毛虫って?その種類は意外と豊富
大きく「毛虫」と一括りにしていますが、毛虫の種類は意外と豊富で、チョウやガの幼虫のうちで、毛やトゲが生えている幼虫の事をまとめて「毛虫」と呼びます。毛やトゲがない幼虫が「チョウの幼虫」として有名な「芋虫」です。芋虫は毒トゲがなく、刺す心配もありませんが、芋虫も毛虫も、広い目で見てしまえば同種類と言えるでしょう。
実は無毒な種類の方が多い?毛虫の種類あれこれ
何と言っても毛虫の特徴はトゲや毛におおわれた、なんとも気味の悪い姿。発生時期や季節が近づくと葉っぱの上を這っている姿が見られ、庭で目にすると何ともイヤ~な気分になる虫として忌み嫌われています。成長するとチョウになる種類もおり、ガにもチョウに負けず劣らず美しい種類が存在しますが、こうも気味が悪いと余り視界には入れたくありませんね。
毒がある毛虫の種類はこれ!
その刺々しい姿や色から触ると毒があると思われがちですが、実は毒があり刺す危険性のある毛虫は一握りで、ほとんどの毛虫は無毒であり、有毒の毛虫はドクガ科、カレハガ科、ヒトリガ科、イラガ科、マダラガ科といった「ガ」の仲間に限られます。
毛虫が沸く時期はいつ?
毛虫は毛やトゲが生えた幼虫全般を指す名称、当然ながら毛虫が発生する時期は、季節の中でも春が最も多く発生するとされ、花の咲く時期、4月を迎えると自然と毛虫も姿を現すようになります。と言っても、種類によっては現れる季節が異なる種類も存在するため、毛虫は必ず春の時期に発生するとは言い切れません。
大量発生の季節は夏!6月から8月は要注意
もっとも毛虫の活動が活発になり、大量発生する時期が6月から8月とされており、夏の暑い日差しの下を這っている姿がよく見られます。中には木から落ちてしまった毛虫が大量に落ちており、うっかり踏んでしまうなんてこともあるため、頭上のみでなく足元にも注意が必要です。大量発生する季節は夏以外にも、毛虫は意外と長期間見かける虫で、11月までその姿を目にすることが出来ます。
毛虫駆除で気を付けるべき種類たち
ガーデニングを行っていると、発生時期になると必ず目にすると言ってもいい毛虫。基本的には無害なので、放っておいてもいいのですが、どうも毛虫にかじられた葉っぱが残っていたり、毛むくじゃらの姿が這っている姿は少し見栄えが悪いため、見つけ次第駆除していきましょう。無害な毛虫も中には居ますが、中でも特に気を付けるべき毛虫たちを紹介していきます。
毒が心配な場合は手袋を着用して
毛虫は向こうから攻撃してくることがないため、間違って触れない限りは毒の心配も刺す心配もありませんが、葉っぱに隠れていたりすることも少なくないため、うっかり触ってしまうなんてことも少なくありません。駆除の際は手元に気を付け、刺す危険性のある毛虫が居そうな場合や大量発生の時期、毒が心配だという方は、厚手の手袋を着用して毛虫退治に挑みましょう。手の他にも、露出を抑え、丸洗いできる服装にすると尚効果的です。
要注意毛虫①・ドグガ
ドグガの幼虫は黒色の頭部に淡いオレンジ色の胴体を持つ、派手な色の毛虫です。その色は成長と共に色が濃くなり、背面や側面にもオレンジ色の縞模様が現れます。目立った毛に毒があるほかにも、その内側にも微細な毛を持っている為、何処に触れても刺す危険性がある要注意毛虫です。
ドクガの発生時期と季節
ドグガは8月頃に孵化し、夏の季節に大量発生するという特徴を持ちます。夏の季節に大量発生したドクガは集団生活を行い越冬し、大きくなると各地に分散していきます。毒も成長と共に強くなっていき、退治しにくくなるため、駆除する場合は早急に駆除するようにしましょう。
要注意毛虫②・チャドクガ
チャドクガは名前の通り茶色いドクガの幼虫の事、その体表は淡い黄褐色で、成長すると頭部は黄褐色に、全体的に黒色になり、側面に白色の線が入った毒々しい姿となっていきます。毒性はドクガに比べると軽く、刺されても刺されてすぐは痛みを感じないため、応急処置が遅れてしまう場合があります。チャやツバキの葉を好む傾向があり、その葉の上に茶色い毛虫が居たらチャドクガだと思いましょう。
チャドクガの発生時期と季節
チャドクガの発生時期は4月~10月に分けての2回、ある程度成長するまでは集団で生活を行い、好物であるチャやツバキの葉っぱの上で整列している姿がたびたび見かけられます。ドクガと基本的には同じですが、一見すると刺す色に見えず、発生時期が2回あり、夏以外の季節にも現れるので注意が必要です。
要注意毛虫③・イラガ
数ある毛虫の中でも特に気味が悪く、刺されると痛い毛虫の種類がイラガです。イラガは毛虫と言うより「ウミウシ」のような姿をしており、トゲの付け根に毒袋があるため、一見トゲが少ないように見えますが触れるとすさまじい痛みに襲われます。数ある毛虫の中でもイラガの毒は特に痛いと有名なので、ウミウシのような毛虫には間違っても素手で触れないようにしましょう。バラ科の植物を好み、ウメやサクラ、アンズやクリ、カエデやヤナギなどに発生します。
イラガの発生時期と季節
イラガの発生時期は夏から秋にかけての1~2回、小さなころは樹木の葉の裏なので集団生活している為、木の葉っぱを裏返してみたら、大量のイラガがびっしり貼りついていた!なんてことも少なくありません。大きくなると分散し、繭の中で越冬し、そのまま蛹となるため、冬になると自然と姿を消していく虫です。
要注意毛虫④・マツカレハ
毛虫の中でもメタリックな色をし、大型の姿でひときわ目を引く種類がマツカレハです。マツカレハは銀灰色の背面と茶褐色の腹部を持つ大型の毛虫で、胸部と頭部に黒色の毒トゲを持ち、アカマツやクロマツ、カラマツと言ったマツ科の植物に発生します。よくマツの木にコモが巻かれているのは、このマツカレハを退治するためなのです。
マツカレハの発生時期と季節
マツカレハの幼虫が孵化する季節は7~9月とされ、秋の時期になると幹から降り越冬します。春になると再び活動を始め、再び樹に登りマツの葉を食べるようになり、それからさらに3回脱皮し、6~7月頃に繭を作りサナギになります。マツカレハの他に「マツに発生する毛虫」と言う訳で、マツケムシとも呼ばれ、マツに虫が付いていたらほぼこの虫と思って間違いありません。
厄介な毛虫を駆除!その注意点
毛虫の駆除には主に農薬を使用しますが、結論から先に言うと「毛虫を完全に退治し尽くす」ことは無理と言ってもよいでしょう。毛虫を退治するために大量の農薬を使用し、肝心の植物が弱ってしまってはどうにもなりません。退治しきれなくても「仕方ない」と思い、ある程度は見逃すことが大事です。農薬散布の他にも、殺虫スプレーで退治する方法もあり、手軽に行えるのでおすすめです。
農薬が効かない場合も?種類によっては捕殺も
毛虫はある程度成長すると農薬や殺虫スプレーに耐性が付き、散布しただけでは退治できなくなる場合もあります。大きくなった毛虫は大体毒も強烈になっている為、出来る限り触れたくはありませんが、その場合は手で捕まえ握りつぶし「捕殺」するという手段もあります。この方法だと当然ながら手袋にトゲが付着するため、捕殺後は必ず水洗いを行いましょう。
毛虫予防に葉をチェック、剪定も効果的
退治し尽くすことは不可能と言ってもいい存在なので、そもそも毛虫が発生しない環境を作ると言うのも駆除方法として非常に効果的です。毛虫は葉っぱの裏に卵を産み付けることが多いため、時々葉っぱの裏を確認し、タマゴが見えたら葉をちぎって捨てるようにしましょう。他にも、毛虫は風通しのいい場所では産卵を行わないため、余分な枝を切り落としほどよく剪定するのも効果的です。
毛虫に刺された!処置の方法
退治中どんなに気を付けても、刺すときは刺すのが毛虫。毛虫に刺されてしまった場合は、種類ごとに様々な痛みに襲われますが、適切な処理を行わないと痛みが更に長引いてしまう場合があります。刺されても命に至る訳ではありませんが、かゆみが続くのは嫌ですよね。
市販薬は危険!?まずは病院へ
市販薬でも、毛虫の痛みや虫刺されに効く薬が販売されていますが、実は市販薬だけで毛虫に刺された痛みを抑えるのは危険です。市販薬でも大体の痛みは押さえられるのですが、刺す毛虫の種類によって毒の症状も細かに変わってくるため、場合によっては炎症が収まらず、長引いてしまう場合があるからです。そのため、毛虫に刺されたらまず皮膚科へ向かう事をおすすめします。
皮膚科が無理そうなら薬剤師に相談!
皮膚科に向かう利点は何と言っても市販薬だけでは抑えきれないような細かな毒の症状まで先生が合わせてくれ、毛虫ごとにあった処方を行ってくれることにあります。皮膚科に向かえば毛虫に合わせた薬を処方してくれるため、すぐにかゆみが抑えられますよ。近くに皮膚科がない!という場合は、薬局店で「薬剤師」さんに、どんな毛虫で、どんな痛みがするかしっかり伝えましょう。出来る限り症状にあった薬を選んでくれますよ。
腫れや痒みの応急処置方
皮膚科を受診する前に症状が酷くなり、耐えられない位痛い!と言う場合は応急処置を行う事で、ある程度なら痛みを抑えることが出来ます。応急処置を行う上で気を付けるべきポイントは、どんなにかゆくても患部をかきむしらない事。皮膚から毛虫の針をガムテープ等で抜き取り、氷や水で患部をしっかりと冷やしましょう。これだけでも大分痛みを抑えることが出来ます。
刺された後は洗濯物に注意
手のみでなく、服にも毛虫のトゲが付いた場合は注意が必要。毛虫に刺されてしまった服は必ず分けて選択するようにしましょう。一緒に選択すると他の服にもトゲが入り込んでしまう可能性があるからです。干す場所も別々の場所が良いでしょう。少々手間がかかってしまいますが、かゆみを抑えるためには仕方ありません。
これで貴方も毛虫博士!種類を覚えしっかり駆除
毛虫は「ガの幼虫で、刺されると痛い気味の悪い虫」という印象が強い虫ですが種類ごとに、好む植物が異なったり、よく見ると色鮮やかだったりと、うっかり触ってしまったりしなければ意外と愛嬌のある姿をした幼虫たちです。と言っても、庭でその姿を見かけるとちょっとイヤな気分になるため、見つけ次第駆除していきましょう。
種類を覚え、適切な処置を行おう!
駆除の際に何と言っても気を付けるべきは、その強烈な毒。無毒で意外とフサフサした種類も存在しますが、毛虫の毒に十分気を付け、もし刺されてしまったら応急処置を行い、真っ先に皮膚科へ向かうようにしましょう。洗濯を別々に行い、二次被害を防ぐことも重要。要点を抑え、種類も覚えたら、これで貴方も毛虫博士です。