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八溝山の登山(ハイキング)コースガイド!展望台から眺める魅力の景色とは?

茨城県最高峰(標高1,022m)の八溝山は、茨城、栃木、福島県の県境にそびえています。山頂展望台からは那須連山など雄大な眺望が素晴らしい上に豊富な自然にも恵まれていて多くのハイキング客が訪れます。そんな八溝山の魅力をご紹介します。
2020年8月27日
Meigen Oka
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八溝山の概要!

八溝山は地図上では茨城県久慈郡大子町と福島県東白川郡棚倉町との県境にあり、栃木県とも接しています。北麓には久慈川の源流があり、南麓の八合目付近には八溝川湧水群があり清涼な冷水が湧き出ています。山頂の展望台からは那須連峰、日光山地、阿武隈山脈などが遠望でき、その360度の眺望はすばらしいものです。また、自然にも恵まれており、八溝山天然保存林とされています。アクセスも良く登山ルートも整備されていますので地図を片手に家族連れでのハイキングを楽しめます。

山頂にある「八溝嶺神社」

展望台近くの山頂には「延喜式」にもその名が表されていて、静かな佇まいの八溝嶺神社が鎮座しています。この神社は日本武尊(ヤマトタケル)が奥州征伐の途中、無事平定することを祈願したと言い伝えのある古社です。祭神は「大穴牟遅命(おおなむちのみこと)”大国主命(おおくにぬしのみこと)”」が祀られています。

八溝山は金の採掘があった!?

八溝山近辺では古くから金の産出があったということです。承和3年(836年)に八溝山の金を献上したという記述が「続日本後記」に記されています。中世になると豪族”佐竹氏”によって盛んに採掘がされたということです。山地のなかには、旧坑といわれる箇所がいくつかありますが、現在ではもう金は出ません。

八溝山展望台からの眺め!

標高1,022mの山頂には城の天守閣を模した展望台があり、遠く那須連山や磐梯山、奥日光などの山地が望めます。気象条件次第ですが、富士山や筑波山などの山地も見える時もあります。また、肉眼では少々無理ですが、展望台からは東京スカイツリーの撮影に成功した方もいるようです。

八溝山は自然の宝庫!

八溝山地にはダケカンバ、ブナ、カエデ、ミズナラなど”八溝山冷温帯性植物群落保護林”に指定されている原生林は、天然保護林とされています。秋、紅葉の時期には素晴らしい色合いのグラデーションが楽しめます。ハイキングルートの両脇には”ミヤコザサ”が風にそよいで登山の疲れを癒してくれます。

小動物や野草の観察もおすすめ!

八溝山地は小動物や昆虫なども多く生息していますので、環境保全地域として「ふるさといきものの里」の名称で環境庁から認定されています。近頃は熊の目撃もあり注意を促す看板も設置されていたりしますが、小動物や登山ルートの沢筋には季節ともなるとカタクリやニリンソウなどの山草の可憐な花が咲いているのにも出会えることでしょう。もちろんハイキングコース途中での野鳥の観察にも最適ですよ。

八溝山が誇る名水!

八溝川は後に久慈川と合流しますが、源流には八溝川湧水群があります。この湧水は、あの黄門様で知られる水戸光圀公が命名したと伝えられている「八溝五水(金性水、銀性水、鉄水、龍毛水、白毛水)」と云われ環境庁選定の「名水100選」のひとつです。登山ルートにも接していますので登山者の乾いたのどを潤してくれます。標高約800m程の高所の山地にあるにも関わらず、四季を通じて枯れる事無く湧き出しています。

八溝山の歴史!

八溝山の名の由来は、山容が深い谷が八方に刻まれている様になっている事から名付けられたと云う事と、また、弘法大師「空海」が命名したとも伝えられていますが、いずれも定かではありません。


八溝山の誕生とその形成!

地図上に八溝山地の形成されたのは、今から1億8千年前のジュラ紀に遡ります。プランクトンなどの生物の遺骸が降り積もった海洋プレートが大陸プレートの下にゆっくりと沈みこんでゆき、海洋プレートの一部と積もった堆積物が沈み込んで行く力によって徐々に剥ぎ取られて積み重なってゆき、また押し上げられて山塊となったのが八溝山地です。その痕跡が登山ルート沿いに見られる場所が残っています。

山頂に向かって進むと、山頂駐車場手前の登山道沿い左側で地層が観察できます。地層は古いものから新しいものへと上に積み重なっていくのですが、ここでは地層がひっくり返っています。約2億6000万年前、大陸のへりに「付加体」が形成され始めました。その中の、1億8000万年前の付加体が、その後隆起して八溝山になりました。そのとき付加体は、プレート運動による強い力を受け、しばしばちぎれたり(断層)、曲がったり(褶曲)します。八溝山の山頂付近の地層は、当時の褶曲によって地層が大きく変形し、逆さまになったものなのです。

八溝山地の形成された珍しい、また学術的にも貴重な痕跡です。

水戸天狗党の乱!?

幕末期の元治元年(1864年)9月に水戸藩の尊王攘夷派が蜂起した天狗党の乱では、田中源蔵が率いる300名ほどが追討軍から追われて八溝山頂に立てこもったのですが、疲労と食料の不足などから八溝嶺神社の社殿前で隊を解散し下山したのですが、田中他隊員たちは捕らえられ処刑されました。

田中愿蔵 天狗党・筑波山の麓にある普門寺から出陣 - 幕末維新
水戸天狗党の乱は、筑波山挙兵に始まった。藤田小四郎(藤田東湖の四男)は、幕府に即時鎖港を要求するため、非常手段をとることを決意。,水戸天狗党の乱は、筑波山挙兵に始まった。 藤田小四郎(藤田東湖の四男)は、幕府に即時鎖港を要求するため、非常手段をとることを決意。 北関東各地を遊説して軍用金を集め、元治元年3月27日(1864年5月2日)、筑波山の中禅寺(中尊寺) (現在は廃寺、筑波山神社付近) にて62人の同志と共に挙兵した。 藤田小四郎は23歳と若かった為、水戸町奉行・田丸稲之衛門が主将を務めたと言う。 挙兵の報を聞いた藩主・徳川慶篤は、田丸稲之衛門の兄・山国兵部に説得を命じて派遣したが、山国兵部も諭されて一派に加わってしまった。 その後、各地から続々と浪士・農民らが集結し、数日後には150人となり、最盛期には約1400人という大集団へと膨れ上がったと言う。

八溝山は修験道の山!

八溝山地は古来より信仰の山として崇められてきて、本来は修験道の修行の道場とされてきました。山頂には豊作を祈願して建立された八溝嶺神社(やみぞみねじんじゃ)が閑静な佇まいをみせています。山頂展望台から下って八合目の中腹には7世紀後半に役小角(えんのおづぬ)が創建したとされる日輪寺(にちりんじ)があります。八溝山地は修験道の山とされて信仰の対象となっていたのです。

日輪寺は弘法大師ゆかりの寺!

日輪寺は、大同2年(807年)に同寺を訪れた弘法大師”空海”がこの地で邪気を祓ったとされる伝説によって名付けられたという由来が残されています。空海が刻んだとされる十一面観音をご本尊として再興され観音霊場として人々の信仰を集めました。平安時代から鎌倉時代にかけては修験道場として修験者たちの霊場だったのです。鎌倉時代以降は坂東二十一番札所とされて多くの信者が礼拝に訪れていました。ハイキングの途中にはぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。

黄門様も敬った日輪寺!

江戸時代には幕府から朱印状が与えられ寺領として七石を与えられました。あの黄門様水戸光圀公も援助を惜しまず日輪寺の維持に貢献したということです。文明年間には、総欅(ケヤキ)造りの大伽藍、地蔵堂が威容を誇っていたのですが、寛永20年(1643年)に消失してしまい、万治3年(1660年)に再建された後、今度は明治13年(1880年)に山火事の類焼にあって再び消失してしまったのですが、現在は本堂なども再建されています。

八溝山ハイキング!

八溝山は本来信仰の山としての対象でしたが、現在はその自然の豊富さとアクセスの良さなどから登山ハイキングなど観光の山としての趣きが強くなっています。展望台のある山頂まで舗装された自動車道(県道248号八溝山公園線)が通じていますが、道幅が狭く急カーブの連続が続きますので注意が必要です。山頂直下に駐車場が整備されており、トイレも設置されています。ハイキングルートも整備されていますので、そのコースをご紹介します。

旧参道コースは、県道248号線の途中に日輪寺入口の標識とコースの地図看板がある箇所には車が数台置ける駐車場が設けられていますので、マイカーの場合はそこに車を置いて、日輪寺入口より旧参道沿いに、日輪寺~八溝山頂~八丁坂~金性水~日輪寺入口に戻る登山ルートです。所要時間は約1時間30分ほどの初心者コースですが、山頂や金性水などでゆっくり休みながら辿ることをおすすめします。


茗荷林道コース

つつじで知られる福島県矢祭町の茗荷林道の終点箇所から八溝山頂を目指すハイキングコースです。アクセスとしては国道118号線より県道196号線(石井・大子線)に入り、真名畑トンネルを過ぎて上茗荷から北西に進み林道ゲート前からが登山ルートです。ゲートは通常閉じていますので車の駐車は可能です。 林道ゲート~林道終点~茗荷川源流~茗荷分岐点~大梅ハイキングコース~八溝山。 所要時間(片道)約3時間。帰りは逆ルート。

大神宮山から高笹山を経て八溝山

アクセスとして国道118号線から県道28号線、町付地区から県道196号線(石井・大子線)中郷地区から約5㎞で大神宮山駐車場に着きます。地図を見ると大神宮山は八溝山からの尾根沿いにある山で、その名の通り伊勢神宮の遥拝所だった山です。 この大神宮山登山口から高笹山~池ノ平~茗荷分岐~八溝山のハイキングコースです。 所要時間は片道約4時間。(健脚コース) コースや標識は整備されていますが、熊笹」に覆われている箇所はテープの目印に注意して進むと良いでしょう。長時間歩くルートには地図やコンパスなども忘れずに所持することをおすすめします。

八溝山へのアクセス!

地図をみると、高速自動車道ICからはかなりの距離があります。自動車での茨城県からのアクセスは、常磐高速道那珂ICから国道118号線で北上、大子町下野宮で左折、県道28号線で大鳥居が目印の蛇穴(じゃけち)が八溝山への登山道入口です。 アクセスは、バス利用の場合は、JR水郡線常陸大子駅下車、蛇穴行き茨城交通バスで蛇穴停留所下車(約45分)。蛇穴の大鳥居を潜り、約4㎞ほど登って旧参道登山口を経由して山頂までは約3時間ほどかかります。徒歩の場合常陸大子駅から八溝山頂まではかなりの行程ですので、車利用をおすすめします。

八溝山周辺の観光スポット5選!

地図の上では八溝山は茨城県久慈郡大子町に属します。大子町は茨城県北部の山間にあり、清流”久慈川”が町の中央を流れる県内屈指の自然に恵まれた町です。また名所旧跡など史跡も多く存在し、春の桜、夏の新緑、秋の紅葉など見所いっぱいです。そんな魅力溢れる八溝山周辺の観光スポットをご紹介します。地図など頼りに観光ルートの散策をしてみて下さい。(写真は厳冬期、久慈川の流れに発生する”氷華(ヒガ)”です。)

袋田の滝(四度の滝)

大子町の一大観光名所の「袋田の滝(四度の滝)」は日光華厳の滝、熊野の那智の滝との日本3名瀑のひとつとされています。高さが120m、幅73mの雄大さで、流れ落ちる滝が岩壁の上を四段になって流れ落ちることから別名”四度の滝”とも呼ばれます。駐車場に車を置いて、見学料金所からトンネルの中を進むと観瀑台という滝展望台につきます。目の前で流れ落ちる滝には圧倒されます。厳冬期、氷結した滝をクライミングの訓練をする登山家もいます。西行法師が訪れた際に「花もみち 経緯にして 山姫の 錦織出す 袋田の瀧」と詠い、その見事さを讃えました。滝の上部に登れるルートがあり、展望台にもなっています。 アクセス:車では、常磐自動車道「那珂IC」より国道118号線大子方面で約50分。鉄道では、JR水郡線「常陸大子駅」下車、バスで袋田の滝行きで約10分。 駐車場:町営駐車場と土産物店駐車場が多数あります。

永源寺(弁財天)

七福神の紅一点である弁財天を祀るお寺です。そもそも芸能の神としてて崇められていますが、永源寺の弁財天は、手が八臂(はっぴ)(※ 仏様の手を数えるには臂(ひ)と言います)あるところから「八臂弁財天」とも呼ばれます。通称”もみじ寺”とも呼ばれるのですが、その名の通りシーズンには境内に色とりどりのツツジが咲き誇り多くの観光客が訪れます。1864年の天狗党の乱で焼失してしまいましたが、現在は再建されています。 アクセス:JR水郡線「常陸大子駅」下車10分(大子駅の裏手高台に位置し、大子町を見下ろす展望台にもなっています) 駐車場:30台。シーズン中は特設駐車場も設けられます。

旧上岡小学校

ちょっと珍しい観光スポットをご紹介します。それは大子町上岡地区にある「旧上岡小学校」です。明治時代に建築された木造の校舎が残されていてご年配の方には懐かしい雰囲気を醸しだしている場所です。現在は、NHKの連続テレビ小説「おひさま」や「花子とアン」のロケにも使用され、一躍人気観光スポットとなっています。 住所:久慈郡大子町上岡957-3 アクセス:常磐自動車道那珂ICより国道118号線~国道461号線沿い。約1時間 見学:土・日・祝日及び夏休み期間中のみ。(9:00~16:00)無料 駐車場:30台


奥久慈茶の里公園

大子町は全国的に有名な「奥久慈茶」の産地で、地図上ではまとまった茶の栽培としては北限地です。江戸時代より栽培されている奥久慈茶を良く知っていただこうと開設されたのが「奥久慈茶の里公園」です。施設内には、茶室も設けられていたり、和紙人形館や物産館、自然な緑いっぱいの広場などもあって楽しく遊べます。また、5~6月には3000㎡もある茶畑で茶摘み体験ができたり、手もみ体験もできたりします。 住所:久慈郡大子町大字左貫1920  ℡ 0295-78-0511 アクセス:常陸大子駅から国道461号線上岡三叉路を右折して県道205号線 約15分 駐車場:有り

月待の滝

袋田の滝より地図上では10kmの所に「月待の滝」があります。袋田の滝ばかりが脚光を浴びていますが、この月待の滝は実に趣きのある滝です。高さは17m、幅12mで普段は二筋で落ちる夫婦滝と云われていますが、水量が増えると子滝が現れて三筋の親子滝となります。こんな珍しい現象から、昔から安産、子育て、開運を祈願する二十三夜講の場所とされ、胎内観音をお祭りして”月待の滝”と呼ばれる様になったのです。また、この滝は裏にも入れることから、「裏見の滝」とも呼ばれています。清涼な場所でマイナスイオンをいっぱい浴びることができます。 住所:久慈郡大子町大字川山 アクセス:国道118号線から袋田の滝方面分岐(県道28・33号線)より10分 駐車場:有り(夜間は立ち入れませんので注意)

八溝山周辺の温泉でゆったり!

八溝山登山の帰りには温泉で疲れを癒すのも良いのではありませんか。大子町周辺には、平安時代から続くといわれる大子温泉、袋田温泉、月居温泉、森林の温泉などの温泉があり、奥久慈温泉郷と称しています。大子町を流れる久慈川沿いに温泉旅館、ホテルなども点在しており、国道118号線沿いにある「道の駅だいご」でも日帰り温泉浴場があり、観光客に好評です。

大子町周辺の温泉一覧!

数ある温泉はどれも湧出量が豊富で、各温泉施設もそれぞれ特徴があり趣きもあります。大子町はリンゴの産地でもあり奥久慈リンゴのブランド名で販売されていますが、大子町営の大子温泉保養センター「森林の温泉」や大子温泉「やみぞ」では浴槽にリンゴを浮かべてのおもてなしが嬉しいですね。

大子周辺の温泉施設 | 観光いばらき(茨城県の観光情報ポータルサイト)
日本三名瀑の一つ、袋田の滝で知られる大子エリアは、茨城を代表する観光地。袋田温泉や大子温泉、湯沢温泉などがあり、入浴施設も豊富です。中でも大子温泉は「美人をつくる湯」と称され、多くの女性から支持を集めています。

まとめ!

地図では茨城県の北端に位置し、筑波山より(標高877m)より145mも標高が高く、近くの高笹山や大神宮山を従えて最高峰に相応しく聳えています。八溝山が形成されたのは恐竜時代に遡る頃です。学術的にも貴重な存在で、信仰の対象でもあることから歴史にも深く関わっている山なのです。