雌阿寒岳について
活火山として知られた雌阿寒岳について、どんな山なのか確認しましょう。
雌阿寒岳とは
雌阿寒岳は 阿寒国立公園にあり、阿寒湖の南西にそびえています。標高1,499の活火山です。アイヌ語ではマチネシリと呼ばれています。植生は、山麓部にアカエゾマツやトドマツなどの森林、標高1,000m付近からはハイマツ帯です。1,100m以上になると岩石と砂れき帯になります。
地図で確認
雌阿寒岳の位置を周辺の状況も含めて地図で確認してみます。
阿寒摩周国立公園について
雌阿寒岳がある阿寒摩周国立公園は、2017年に「阿寒国立公園」から「阿寒摩周国立公園」に名称が変更になり、対象領域が広がりました。阿寒摩周国立公園の特徴は阿寒、屈斜路、摩周の3つのカルデラが作り出した美しい風景にあります。阿寒エリアと摩周(川湯)エリアの大きく2つに分けられます。道東の観光コースとして訪れる人も多い場所です。
雌阿寒岳付近の天気について
雌阿寒岳登山で一番気になるのはやはり天気です。阿寒摩周国立公園の中でも、霧で有名な摩周湖周辺と阿寒湖周辺でも天気が異なります。ここでは雌阿寒岳がある阿寒地区の各シーズンごとの天気を見ていきます。
春(3~5月)の天気
3月はまだ最高気温が0~5℃くらいです。4月や5月でもまだ雪の降ることがあります。4月になると阿寒湖の氷も解け始め、春の訪れを感じさせます。この時期になると天気が良ければ、最高気温が10℃以上まで上がることがあります。降水量は100mm/月前後です。まだ、ダウンジャケットが必要です。
夏(6~8月)の天気
6月には平均気温が10℃前後になります。最高気温は20℃近くになります。6月は降水量も80mm/月前後で天気は比較的安定しています。本格的な夏は7月から8月です。最高気温も20℃以上になります。猛暑の年には、30℃を超える猛暑日になることもあります。7月は降水量も100mm/月前後、8月は降水量も150mm/月前後で雨も増えます。天気が悪いと、最低気温が10℃近くまで下がることがあります。夏でも長袖のシャツを用意しいたほうがいいです。登山にはいい季節ですが、雨の対策を忘れないでください。
秋(9~11月)の天気
9月の平均気温は18℃前後です。降水量は160mm/月前後で1年を通して一番多い月です。10月になると最低気温が5℃以下になってきます。11月になると最低気温は0℃を下回るようになり、初雪の季節になります。台風などの影響で降水量は1年の中でも多いシーズンです。10月になるとジャケットやセーターが恋しくなります。山頂から紅葉を見るにはベストなシーズンですが、天気次第ではかなり冷え込むので防寒対策を忘れないでください。
冬(12~2月)の天気
12月から2月はもっとも寒く、当たり前のように昼間でも0℃以下になります。最低気温が-20℃を下回るような厳しい寒さになる日があります。この時期は晴天に恵まれることが多く、降水量は1年の中で最も少なくなります。
雌阿寒岳登山の難易度
雌阿寒岳には複数の登山口がありますがどの登山口へのアクセスも容易です。登山ルートも整備されていますし、距離もそれほど長くはないので、特に難しいコースはありません。初心者向きの難易度の山です。
雌阿寒岳登山の装備
日帰り登山ができる山です。特別な装備は必要ありません。
基本は日帰り登山の装備
ザックに詰めるのは、雨具、ヘッドライト、地図、コンパス、防寒具などまずは日帰り登山の標準的な装備です。火山灰が積もっている場所を歩くことがあります。スパッツを持って行くといいでしょう。靴の中に火山灰が入るのを防いでくれます。そしてもうひとつ、クマよけの鈴を忘れないようにしましょう。
雌阿寒岳周辺の地図
迷うようなルートではありませんが、地図とコンパスは必ず持参してください。雲に覆われたときなど地図は重要な役割を果たします。
雌阿寒岳登山の注意点
難易度の高い山ではありませんので、技術的な難しさはありません。注意点としては、活火山とヒグマです。特に火山情報に最新情報を入手するようにしてください。
雌阿寒岳の入山規制ついて
雌阿寒岳は活火山です。火山活動状況に注意してください。火山活動状況によっては、入山規制が発表されることがあります。急に活発な火山活動をすることもあります。気象庁が登山者向けに情報提供してくれています。登山開始前に確認するようにしてください。
雌阿寒岳周辺でのヒグマの出没
雌阿寒岳周辺もヒグマの生息域です。周辺でも目撃情報も報告されています。登山シーズンはヒグマのシーズンでもあります。単独行ではなく複数人で行動する、クマよけの鈴を付けるなどの対策をして登山を開始してください。
雌阿寒岳登山初心者向け3つのコース
雌阿寒岳の3つの登山口を起点にした初心者向け難易度の3コースを紹介します。どのコースも登山口までは車で入ることができます。
その1-雌阿寒温泉から雌阿寒岳へのコース
雌阿寒岳登山の3つの難易度初心者向けコース中で、最も利用されているコースです。
地図で確認
野中温泉の手前の登山口から登ります。距離は約3.3kmで一番短いです。途中に急なところもありますが、手軽に登れるため初心者にも登りやすいコースです。
アクセスルートと所要時間
所要時間は、登りが約1時間50分、下りが約1時間20分です。 雌阿寒温泉登山口よりアカエゾマツの森林の中を通ります。4合目ぐらいからハイマツの樹林帯になります。4合目を過ぎたあたりからオンネトーがエメラルドの姿を見せてくれます。8合目あたりからは溶岩のゴツゴツとした岩が現れ、9合目あたりで外輪山の上に出て、火口が見えます。頂上までは緩やかな登りです。
その2-オンネトーから雌阿寒岳へのコース
雌阿寒岳登山の3つの難易度初心者向けコース中では2番目に距離があるコースです。
地図で確認
距離は約4.2kmぐらいです。登山口はキャンプ場のそばですので、キャンプ場で1泊してから雌阿寒岳にアクセスできます。途中に急なところもありますが、手軽に登れるような難易度です。初心者にも登りやすいコースです。
アクセスルートと所要時間
所要時間は、登りが2時間20分、下りが約1時間40分です。 オンネトー登山口よりアカエゾマツの森林の中を進みます。4合目ぐらいまでは、結構急な道です。5合目付近からハイマツの樹林帯になります。阿寒冨士が見えてくると、振り返ってみましょう。オンネトーが見えます。阿寒冨士との鞍部にはお花畑があり、コケモモ、ガンコウラン、イワギキョウなどの花が咲きます。噴火口を右手に見ながら進むと頂上です。オンネトーを望めます。 コケモモ、ガンコウラン、イワギキョウなどの広大なお花畑が阿寒冨士との鞍部に広がっています。 山頂へはゴーゴーとうなって噴煙をあげる火口の右側を通って登ります。
その3-阿寒湖畔から雌阿寒岳へのコース
雌阿寒岳登山の3つの難易度初心者向けコース中で、最も長いコースで最も人が少ないコースです。
地図で確認
阿寒湖畔の温泉街外れから、フレベツ林道を車で登山口まで入ります。距離は約6.0kmで一番短いです。ゆっくりとした勾配で初心者にも登りやすい難易度のコースです。火山の景観を楽しみながら登れます。フレベツ林道は7月の初旬から10月中頃まで利用できます。
アクセスルートと所要時間
所要時間は、登りが約3時間、下りが約2時間です。 フレベツ林道の先の登山口よりトドマツの森林の中を通ります。4合目ぐらいからハイマツの樹林帯になります。視界が開けると、剣ヶ峰が見えてきます。剣ヶ峰を雌阿寒岳までは火山灰の稜線歩きます。
雌阿寒岳山頂からの風景
雌阿寒岳の頂上に立つと、噴火口も間近にすることができ活火山を実感できます。頂上からは、阿寒富士、雄阿寒岳、阿寒湖のパナラマを楽しめ、雄阿寒岳の先に、摩周岳や斜里岳の姿も見れます。頂上付近は高山植物のメアカンフスマやメアカンキンバイなどが群生しています。
雌阿寒岳登山口へのアクセスルート
雌阿寒岳登山口までのアクセスルートを紹介します。
釧路から阿寒湖畔までのルート
北海道の一大観光地である阿寒湖畔までのアクセスです。阿寒湖畔まではバス路線があります。各登山口までの起点となります。 ・バス(阿寒バス):約2時間 ・自家用車:約1時間30分
阿寒湖畔から雌阿寒温泉登山口へのルート
阿寒湖畔からアクセスです。定期路線バスの便がありません。阿寒湖畔からはタクシーの利用になります。 ・自家用車またはタクシー:約20分
阿寒湖畔からオンネトー登山口へのルート
阿寒湖畔からアクセスです。定期路線バスの便がありません。阿寒湖畔からはタクシーの利用になります。 ・自家用車またはタクシー:約25分
冬の雌阿寒岳
ヒグマの心配はありませんが、天気次第で気温はぐっと下がります。冬山の装備を携えてアタックしてください。夏とは違った風景を目にすることができます。道道949号オンネトー線は毎年12月初旬頃から~翌年4月中旬頃まで冬期通行止めになります。登山口へのアクセスが可能か確認してください。
雌阿寒岳登山口の駐車場について
各駐車場へ直接乗り入れている定期路線バスはありません。レンタカーや自家用車を利用する場合各登山口には駐車場がありますので利用できます。
雌阿寒温泉公共駐車場
釧路駅から国道240号を北上します。そのまま阿寒湖方面に進みます。阿寒湖を通り過ぎ左折し国道241号に入ります。しばらく行くと県道664号に入る交差点がありますので、そこを左折して、雌阿寒温泉方面に行きます。雌阿寒温泉公共駐車場までは約76.5kmです。 雌阿寒温泉公共駐車場は無料で、約80台駐車できます。
オンネトー国設野営場駐車場
釧路駅から国道240号を北上します。そのまま阿寒湖方面に進みます。阿寒湖を通り過ぎ左折し国道241号に入ります。しばらく行くと県道664号に入る交差点がありますので、そこを左折して、雌阿寒温泉方面に行きます。オンネトーを過ぎてオンネトー茶屋を左折します。その先にオンネトー国設野営場駐車場があります。オンネトー国設野営場駐車場までは約79.8kmです。 雌阿寒温泉公共駐車場は無料で、約100台駐車できます。
阿寒湖畔登山口駐車帯
釧路駅から国道240号を北上します。そのまま阿寒湖方面に進みます。阿寒湖を通り過ぎてフレベツ林道に入ります。しばらく進むと阿寒湖畔登山口駐車帯です。阿寒湖畔登山口駐車帯までは約64.7kmです。 阿寒湖畔登山口駐車帯は無料で、約4台駐車できます。
雌阿寒岳周辺での宿泊
せっかくの大自然です。1日だけで通り過ぎるのはもったいないです。もう少しゆっくりと時間を過ごすのもいいものです。
野中温泉
野中温泉には「山の宿 野中温泉」があります。 住所:北海道足寄郡足寄町茂足寄159 電話番号:0156-29-7321 硫黄泉で、内湯は総トドマツ造りです。源泉かけ流しで、加水や加温していません。看板犬と看板猫でお出迎えしてくれます。料金は宿泊関連サイトか直接宿へお問い合わせください。日帰り入浴施設もあります。雌阿寒岳に登った汗を流してください。
オンネトー野営場
オンネトーの南岸、アカエゾマツやトドマツなどの広葉樹などに囲まれた自然休養林の中にあります。 利用料(1泊):大人350円、子供200円 利用可能期間:6月1日~10月30日 予約:不要(団体は必要)
雌阿寒岳登山に加えて
雌阿寒岳登山とともに楽しめるスポットを紹介します。
阿寒富士へもアクセス
オンネトーから雌阿寒岳へのコースを8合目まで登ると阿寒冨士への分岐があります。8合目からコースを右に行き、火山灰の急な斜面を登ると約40分で頂上です。難易度は初心者レベルです。滑落と落石に注意しながら登ってください。
オンネトー
見る時間や季節によって湖面の色が変わります。特に天気の良い日の湖面は鮮やかで、エメラルドグリーンやダークブルーなどまざまな色に見えるので五色沼と呼ばれることもあります。湖を1周する遊歩道(所要時間:約1時間30分)があります。雌阿寒岳登山のあとに、オンネトーの向こうに見える雌阿寒岳と阿寒富士姿をもう一度見るのもいいものです。
オンネトー湯の滝
国の天然記念物にもなっている滝です。オンネトー南端の国道664号沿いに駐車場があります。そこから南へ約1.5km林道を進むと標高650mほどの場所にあります。溶岩流の亀裂から温泉が噴出している滝です。この温泉にマンガンイオンが含まれていて、黒色のマンガン鉱床を作り出しています。
まとめ
北海道の雄大な自然のなかにそびえる百名山のひとつ雌阿寒岳は難易度も低く初心者でも楽しめる山です。天気が良ければ広い北海道の風景を満喫できます。大地の活動を身近に体験できる活火山でもあります。本州の山に比べると人が少ないですので、地図は忘れないようにしましょう。
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阿寒湖畔エコミュージアムセンターホームページより