ヒヤシンス《風信子》 とは
春の花壇を彩り、茎の先でモコモコしたボリュームのある花を咲かせ、甘い良い香りがするヒヤシンスという花は、鉢植えや地植え、そして水で栽培する水栽培などと多くの栽培方法があります。
ヒヤシンスとはどんな植物?
ヒヤシンス属の多年草の球根植物です。《ギリシャ》・《シリア》・《小アジア》が原産で、耐寒性がある植物です。開花時期は2~4月で、ふんわりと甘い香りのある綺麗な花を咲かせます。
野生は青紫ですが、園芸品種では赤・ピンク・黄色・アプリコット・白など色々な花色が楽しめます。ヒヤシンスは主として《オランダ》で育成されたものが多いです。
ヒヤシンスを水栽培で育てる方法
ヒヤシンスの球根は、球根の表皮の色と球根の花の色が同じであることが多いようです。普通は、1つの球根から1本の花茎が出ますが、最近は1つの球根から何本もの花茎が1度に出て花を咲かせる、《マルチフローラタイプ》の品種も育成されています。
ヒヤシンスの水栽培は、育て方を知れば案外容易で綺麗な花を咲かせられます。真っ白く伸びた根が透明な容器とぴったり合い、美しいコントラストを見せるのはヒヤシンスならでは無いでしょうか。
水栽培を始める時期は、11月くらいから遅くとも12月初旬くらいの時期までをメドに始めて下さい。
ヒヤシンス球根の品種
フランスで品種を改良された《ローマンヒヤシンス系》の球根と、オランダで品種を改良された《ダッチヒヤシンス系》の球根があります。
ローマンヒヤシンス
《ローマンヒヤシンス》は茎につく花が少ないですが1つの球根から数本の茎を出しそれぞれに花を咲かせます。
ダッチヒヤシンス
この種類のヒヤシンスは球根が大きく、1つの細長い花茎に花を密につけ豪華な感じになります。1つの球根を植えるだけでもボリュウームがありますので、水栽培に向いています。
ヒヤシンスの水栽培を成功させる6つのコツ
水栽培を成功させ、綺麗な花が咲かないことが無いように気を付ける6つのコツ。
①1度寒さにあてる
花を咲かせるための方法として、一定期間、寒さに当てなければヒヤシンスの花が咲かないことがあります。ヒヤシンスを土植えにした場合、秋に植えますので、球根は冬の寒い時期に土の中で春まで待たないといけません。
水栽培のヒヤシンスの球根も、同じく寒い環境に置かなければ花が咲かないことになります。少なくても育て始めの時期の約1ヶ月くらいの間、冷蔵庫に入れるか、または、段ボールやアルミホイルなどで覆って屋外に置くなどして、しっかりと寒さに当てて下さい。
②水で球根を綺麗にする
球根に付着している雑菌や土などが容器の中に入って、それが原因で根が腐るとか、カビが生えてしまったりしてヒヤシンスの球根が腐るので、腐ったりすることが無いように、水で綺麗に洗って使用して下さい。
③根腐れ防止剤を使用
普通に土に球根を植えている場合は、根から出た廃棄物は土の中へ抜けていきますが、水で栽培する場合には、不純物が水の中に溜り根が腐るので、根腐れ防止剤の《珪酸塩白土》や《ミリオン》などを容器の底が隠れるくらい入れることによって、腐ることが軽減されます。
根腐れ防止剤を入れると水が白く濁る場合がありますので、水が濁った場合は、濁りが治まるまで水洗いして使用するのがコツです。
④水替えはこまめにが重要
土で栽培する場合とは違い水栽培の場合、植物の根が呼吸することで出した物や、空気中に浮遊する菌やゴミなどが水の中に溜まってしまい、根腐れ防止剤が入っていても、水は徐々に汚れていきますので、週に1度くらいは、水を入れ替えるのが成功のコツです。
新しい水を入れ替える時には、球根に水がかからないように、ヒヤシンスの球根を少し持ち上げて容器を傾けて水を捨てて下さい。
⑤水の量に気を付けて
球根の根が出るのは、球根の底の部分で、この部分がぎりぎり浸かるくらいの水を入れるのが成功のコツです。球根がすっかりつかってしまうほど水を入れてしまうと、カビてしまったり腐ってしまうので、注意が必要です。
根が出てくるまでは、このぎりぎりの水位を保って下さい。根が生えてきたら根の先端が少し水につかる程度に水位を下げて徐々に減らしていくと、根が水を求めて伸びていきます。根が下につくくらいに伸びたら容器の半分位の水の量が最適です。
⑥水栽培の管理場所
水栽培を育て始めた時期から発芽までは、暗くて寒さを感じる事が出来るような場所で育てて欲しいのですが、発芽から開花までは明るく日の光が当たる窓辺で育てて、しっかり日光を当てるようにして下さい。
暖かく暖房のきいた部屋は避けて、風通しの良い場所でカビが生えないように管理して下さい。
育て方注意点
★水栽培に適したヒヤシンスの球根を選ぶのが成功のカギです。 ★ヒヤシンスの球根の大きさにピッタリ合った容器を選びます。
ヒヤシンスの水栽培《育て方》
水栽培の良い所は透明な容器を通して球根の成長や、根の成長が目で見て解る所にありますし、容器をおしゃれなものにすると素敵なインテリアにもなります。また、開花すると美しい花姿と共に良い香りが楽しめます。
普通に土に植えたヒヤシンスの球根は、増やして植え直す事が出来ますが水栽培では、1度開花したヒヤシンスの球根は、開花で球根の栄養を全部使い切ってしまうので、次年度の花は期待できません。水栽培に使用した球根は、使いきるという気持ちで栽培して下さい。
ヒヤシンスの水栽培に《必要な物》
ヒヤシンスの球根・透明な容器・水・液体肥料などがあれば大丈夫です。
ヒヤシンス水栽培《ガラス容器の選び方》
ヒヤシンスの水栽培に使用する容器の選び方は、ガラスやプラスチックなどの水栽培用のヒヤシンスポットの他、ペットボトルやコップを使って自作する事も出来ます。水栽培用のヒヤシンスポットは直ぐに水栽培を始められ便利です。
またペットボトルなどを使って手作りされるのも楽しいです。ヒヤシンスポットはガラス製は少々価格が高いかもしれませんが、耐久性に優れています。プラスチックは安くて割れませんが耐久性が無いようです。お好みに合わせた選び方をして下さい。
ヒヤシンス水栽培《その他なんでも容器に》
ヒヤシンスを水栽培する場合の容器を費用をかけずに手作りするのも楽しいです。色々なものを工夫して作る方法で、例えば空になったペットボトルやジャムなどの空き瓶を綺麗に洗って容器にすることも出来ます。
もしヒヤシンスの球根よりも入り口が大きな場合は、針金などを使って球根が落ちないように工夫して作って下さい。
ペットボトルで作る方法は、ペットボトルの1/3ほどの所を水平にカッターで切り、飲み口を逆さまにして底の部分に被せビニールテープなどで接着すると簡単に水栽培の容器が出来上がります。球根をのせる部分が小さい場合は球根に合わせて切り取って下さい。
ヒヤシンスの水栽培《最適な球根の選び方》
ヒヤシンスの水栽培の成功は球根の選び方にかかっているともいえます。球根はダッチヒヤシンスを選んで下さい。何故かというと、ローマンヒヤシンスは複数本茎が生えるので、花茎の重みで容器が倒れてしまうことがあるからです。
またその中の選び方として、水栽培を成功させるためには、購入する場合芽が出始めている球根を選ぶと、初めての方にも失敗が無く水栽培を成功させることが出来ます。
球根の良い選び方は、土植えと同じく、持ってずっしりと重く、栄養が詰まって、お尻の部分に傷などが付いていず、カビなども生えていない球根を選ぶのが最も良い選び方です。球根に傷やカビがあると、腐る原因になります。
ヒヤシンスの水栽培《栽培方法》
お好みの容器と球根が揃ったらヒヤシンスの水栽培を始めましょう。
ヒヤシンスの球根の保存
ヒヤシンスの球根の販売時期は9月くらいから始まりますので早めに購入して、暗くて涼しい所で保存して下さい。秋に植えるヒヤシンスの球根はあるていど寒さに当てないと花が咲かないので、新聞紙などにくるみ冷蔵庫の中で2ヶ月ほど保管すると良いです。
本来ならば冬の冷たい土の中で厳しい冬を越して花を咲かせるのですが、室内ではどうしても温度が高くなってしまうため花が咲かない場合がありますので、冷蔵庫の中に置くことをおすすめします。容器にセットして保存するのがベストですが場所を取ってしまいます。
ヒヤシンス水栽培《水栽培で植える育て方》
水栽培のヒヤシンスの球根を植え始める時期は、10月~12月です。球根の育て方として、まずは球根を植える容器を洗剤で綺麗に洗って下さい。
芽出し球根を購入された方はそのまま使えますので、お気に入りのヒヤシンスポットなどに水と根腐れ防止剤を入れヒヤシンスの球根の根を傷つけないようにのせます。
根が出るまでは涼しくて暗い場所に置いて、根が伸びるのに合わせて少しずつ水の量を減らして下さい。水も週に1度は交換して新しくして下さい。
ヒヤシンスの球根に含まれるシュウ酸
ヒヤシンスの球根には、シュウ酸が含まれているため、肌の弱い方はかゆみを引き起こす可能性がありますので、ヒヤシンスを扱う場合、軍手や手袋を使用される事をおすすめします。
ヒヤシンスの色別花言葉
ヒヤシンス全体の花言葉は《スポーツ》《ゲーム》《遊び》《悲しみを超えた愛》などがあります。ヒヤシンスという花の名前はギリシャ神話に出てくるヒュアキントスという美少年の名前に由来しています。
紫のヒヤシンス
花の品種:スプレンディドコーネリア 花言葉は:《悲しみ》《悲哀》《初恋のひたむきさ》
ピンクのヒヤシンス
花の品種名:ピンクパール フォンダン 花言葉 :《スポーツ》《ゲーム》《しとやかなかわいらしさ》
赤のヒヤシンス
花の品種名:アムステルダム 花言葉 :《嫉妬》《悲哀》
白いヒヤシンス
花の品種名:カーネギー 花言葉 :《控えめな愛らしさ》《心静かな愛》
黄色のヒヤシンス
花の品種名:シティー・オブ・ハーレム 花言葉 :《あなたとなら幸せ》《勝負》
青いヒヤシンス
花の品種名:デルフトブルー ブルージャケット 花言葉 :《変わらぬ愛》
ヒヤシンス水栽培《肥料》
ヒヤシンスの水栽培には、特別には肥料を与えなくても、球根の中の養分で花芽がすでに形成されていますので大丈夫です。しかし、ヒヤシンスの球根から芽が出てきた頃に肥料を与えるとより元気に育ちます。
肥料は、ハイポネックスなどの液体肥料を通常の2倍以上に薄めて、水を変える時に一緒に入れて下さい。
ヒヤシンス水栽培《花が咲かないのは?》
水栽培は球根を水の入った瓶に乗せておけばよいという風に、簡単なものだと考えられる方が多いかと思いますが、ヒヤシンスの水栽培はやはり簡単ではないのです。
放っておくと折角の水栽培に花が咲かなかったり、ヒヤシンスの球根が腐るなどということになりますので注意が必要です。
ヒヤシンス水栽培《暖かい場所で管理をしない》
ヒヤシンスの花を咲かせるためには、土に植えた場合のヒヤシンスのように、冬の寒さを体験させないと、花が咲かないことになったり、球根が腐ることが無いように、ヒヤシンスを1月中旬くらいまでは暗くて寒い場所で管理することが育て方の第1になります。
ヒヤシンス水栽培《容器の水替え》
水がまだ入っているから大丈夫などと思わないで下さい。必ず綺麗な水に交換をして下さい。ヒヤシンスの根が伸びてきたら水を徐々に減らしていく必要があります。
容器内の水が何時も一杯に入っていると、新しい酸素が取り入れられないので、根が呼吸できなくなり根が腐る原因にもなりますので水の交換が必要です。
水の交換の際は、根が傷つかないようにヒヤシンスの球根を取りださずに、容器を傾けて球根にも水がかからないように気をつけて、水を半分位入れ替えて下さい。
ヒヤシンスの増やし方
ヒヤシンスは多年草ですが、水栽培で花を咲かせると、基本的には来年もう一度花が咲かないので、花の後に根を折らないように土に植え替えて球根を太らせると、次年度も花を咲かせることが出来る事があります。ダッチ系の球根は根が分球しにくいです。
まとめ
ヒヤシンスを水栽培で育てるというのはちょっぴり懐かしい気がします。水と容器だけでの栽培というと簡単そうに思えますが、本当は土に植え付けるよりも気を使わなければならないコツや方法があります。
しかしそのコツをつかめばとても良い香りの綺麗な花を咲かせることが出来ますので、ぜひ挑戦してみて下さい。