レインリリーとは?
レインリリー(ゼフィランサス・ハブランサス)は花の少ない夏の庭に白やピンクの可憐な花を咲かせます。高温乾燥が続いた後、雨が降ると一斉に開花しますので、レインリリーと呼ばれるようになりました。レインリリーは、南北アメリカを中心に分布する、ヒガンバナ科の球根植物で、白、黄色、クリーム色、アプリコット色、赤系などカラフルな種類があります。もっとも一般的な花は、白い花で和名は、タマスダレやピンクの花のサフランモドキなどが挙げられ、古くから親しまれています。ゼフィランサス属は花を上向きに咲かせる特徴があるのに対し、ハブランサス属はやや横向きに花を咲かせる特徴があります。花の開花時期は品種によりますが、大体6月~10月に開花し、6枚の花弁を持つクロッカスに似た花を咲かせます。
レインリリーの開花時期
花の見ごろは春先品種の開花時期は、5,6月初旬で、秋咲き品種の開花時期は、7月~10月です。花は1日から長くても数日しか咲きませんが、次々新しい花が咲きますので密集させて植えることで、とだえることなく花を楽しむことが出来ます。
レインレイリー品種
タマスダレ
耐寒性が高い品種なのが特徴で、それほど手入れの必要もなく、自然分球でよく増え、3㎝~5㎝の白い花を咲かせます。玉すだれという名前は、細い茎がたくさん並びスダレノようで、また蕾がタマに見えるという特徴から付いた名前です。
サフランモドキ
タマスダレよりは耐寒性が弱く、耐寒温度はー5℃くらいまでです。寒い地方では防寒対策が必要です。冬場は地上部が枯れた状態で休眠します。花の大きさは7㎝~8㎝と少し大きめです。名前は、サフランに良く似た花姿からサフランモドキと呼ばれます。
ハブランサス・アンダーソニー
耐寒性に富み、南米のウルグアイ、パラグアイ地方原産の野生種の品種で、花の色が赤みを帯びた黄色の花です。
ハブランサス・チェリーピンク
ロブスタスとブラキアンドラスの交雑種で非常に丈夫で耐寒性も強く、分球して良く増えます。鉢やプランターに植えた場合は、手入れとして、乾燥しないように気をつけて下さい。5㎝~6㎝のうすいピンクの花を咲かせる品種です。
ハブランサス・ロブスタス
薄いピンクの花色が上品な品種で、真夏の直射日光をさけることができる半日陰でよく育ちます。中南米原産の球根植物で、剛健で剣弁咲きの花が、咲き始めは、ピンクですが、咲き進むにつれて白色に変化していきます。水はけの良い砂質を好みます。球根の2倍くらいの深さに植えて、育成期の水やりは控えめに行い、休眠期には湿り気がある程度に保って下さい。
ハブランサス・ジャンボ
やや寒さに弱く、5,6㎝の濃い桃色の大きな花を咲かせる品種です。乾燥が続いた後雨が降り、そして、一斉に花が開花するのは壮観です。植え付け時期は4~6月で、開花は6~9月で日向を好みます。ハブランサスの中では迫力のある最大級の花を咲かせます。
レインリリーの特徴
・葉は常に光を浴びることによって、同化養分を作り、球根内に蓄えて、雨が降るごとに花芽を肥大させる役目を持っています。 ・根はほかの植物と違って、雨の周期ごとに短時間に大量の水分を吸収して、花芽を急速に肥大させる特徴を持っています。 ・花芽は、層状になった球根の麟片の間の基部に花芽を作ります。
レインリリーの育て方《植え付ける》
レインリリーの球根は、3月中旬~4月下旬に植え付けますが、密植すると綺麗です。庭植えには3㎝~5㎝間隔で植え、覆土は5㎝くらいします。鉢植えは5号鉢に7球くらいがベストです。球根が隠れるくらいに土を被せ浅く植え付けて下さい。植え付ける適期は、原産が熱帯の球根なので、暖かくなる季節が向いています。庭植えでも、鉢植えでも、どちらでも育てる事が出来ます。庭に植え付ける場合は、草丈が低く他の植物に隠れないように、通路わきや花壇の手前のほうの、日当たりの良い場所に植えて下さい。また水はけが良い所に植えて下さい。 鉢植えの場合は、市販の草花培養土または、赤玉土(小粒)6:腐葉土4の割合で配合した土に植えて下さい。
レインリリーの育て方《管理》
日当たりと水はけが良い場所が適していますが、半日蔭の様な所でも、問題なく育ちます。タマスダレのように耐寒性があるものは防寒の必要はありませんが、その他の半耐寒性の種類のレインリリーは、霜や凍結に気をつけて、地植えの場合は株元を腐葉土などで覆い防寒の手入れをして下さい。鉢植えは室内に取り込むなどして管理して下さい。暖地では戸外でも冬越しが可能ですが、半耐寒性のものを寒冷地で育てるには、冬場のことを考えて、出来るだけ植え付け時から鉢植えにして、冬場の時期に移動が可能な状態で育てることをおすすめします。
レインリリー冬の管理
品種によって耐寒性は異なりますが、タマスダレは寒さに強いので、土の中まで凍るような環境で無ければ特に対策や手入れは必要ありません。しかし、半耐寒性のものはやや寒さに弱いので、腐葉土や盛り土をしてマルチングなどの手入れをして防寒対策をして下さい。鉢植えはお家に取り込むなど、霜や凍結の心配のない所で冬越しをさせて下さい。
レインリリーの育て方《水やり》
乾燥が苦手な植物ですので水やりには注意が必要です。鉢植えの場合は、土の表面がよく乾いたら、たっぷりと水やりをして下さい。地植えの場合は、自然の雨だけでも大丈夫ですが、夏の日照りが続く時などは、庭植えにも水やりをして下さい。特に生育期は注意して水やりをして下さい。乾燥した日が続いた後、水やりをすることによって花が良く咲きます。雨が降らない日が続いた場合、地植えにも様子を見て水やりをして下さい。この花は、乾燥と湿りの繰り返しが好きで、夏場の日光と雨に逢うと花付が良くなります。
レインリリーの育て方《用土》
水はけと通気性が良く、有機質に富んだ土を好みますので、もし地植えの場合で、通気性のない土壌の場合には、パーライトや有機質の堆肥を加えて改良して置いて下さい。鉢植えの場合の用土は、市販の花の培養土でも大丈夫ですが、ご自分で作られる場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:軽石1などの割合で混ぜた土を使用して下さい。
レインリリーの育て方《肥料》
地植えや鉢植えの前に、植える球根の下から3㎝くらい下の部分に1球に付き3,4粒の暖効性肥料を蒔いておきます。葉が伸びてきたら、1球につき1粒、大粒の固形化成肥料を、生育状態を見ながら置き肥して下さい。開花期間中は、月に1回くらい液肥を追肥として与えると葉にも輝きが出てきます。
レインリリーの育て方《植え替え》
レインリリーの球根は、前年の根がまだ活動しているうちに新しい根が生育するので、数年間は植えっぱなしにしておいた方が良く育ちまから、毎年の植え替えは必要ありません。しかし、株が混み過ぎると花付が悪くなりますので手入れとして、株が混み過ぎてきたら、分球のためにも植え替えをして下さい。植え替えの適期は3月~4月です。庭に栽培してあるレインリリーは、4,5年に1回、鉢植えは2,3年に1回を目安に植え替えて下さい。
レインリリーの栽培ポイント
★水はけの良い場所に植える。 ★1輪だと見映えがしないので球根1個分くらい間を開けてまとめ植えするのがおすすめです。 ★地植えの場合はよほど乾燥しない限り水やりは不要です。乾いたらたっぷりと与えるようにして下さい。鉢植えは回数を少なめにして、乾いたらたっぷりと与えて下さい。 ★株分けは、生育を始める3月~4月に行いますが、その際根が成長していたら掘り上げた後直ぐに植え付けて下さい。
レインリリーの育て方《増やし方》
レインリリーは、分球と種を蒔いて栽培して増やす事が出来ます。
レインリリーの分球
適期は、3月中旬~4月くらいです。株を掘り上げて分球します。分球は株分けの要領です。
レインリリーの種から栽培する
品種によって種の出方が違ってきますが、黄花の品種は種が出やすいようです。花が終わった後に鞘が出来て、その鞘が裂けて種が出てきたらその種を取って、採取した種は直ぐに蒔いて下さい。栽培には日の当たる場所に種を蒔き、覆土は種が隠れる程度にごく薄くかけ、発根まで水切れに注意して栽培して下さい。種を栽培してから発芽までに2年~4年かかります。
レインリリーの育て方《病害虫》
球根を植えっぱなしにしておいても特に病気は発生しませんが、周囲に雑草が茂るとガの幼虫が葉を食害したり、ナメクジなどが花を食害しますので、ナメクジやガの幼虫が発生しにくいように風通しを良くし、害虫が住み着きにくい環境にして下さい。
レインリリーの育て方《花が散った後》
花が散った後に種が付く事があります。種を採取したい場合は良いのですが、種が付くと養分が奪われるので花立ちが悪くなります。種を採取する必要が無ければ、花がらを小まめに摘む手入れをし、種を付かないようにして下さい。鉢植えは、葉が寒さで枯れたら、凍る心配の無い場所に置いて越冬させて下さい。
レインリリーの花言葉
【清純な愛】・【潔白の愛】・【汚れ無い愛】・【清い愛】という花言葉は白く清らかな花から付いたものです。この花言葉を持つ花は、きっとプロポーズの時にピッタリな花言葉でしょう。 【期待】という花言葉は、晴れた日が続いた後、雨がしっかり降ると沢山の花がワット咲くことから付けられた花言葉です。 その他の花言葉には、【喜び】・【歓喜】・【便りがある】・【陽気】・【予想】などの花言葉があります。
レインリリーの意外な毒性
レインリリーの玉すだれはその可憐な見かけによらず全草に毒があります。おもに麟茎に毒性分が多く、毒性分はアルカロイド(リコリン)です。もし間違って食した場合、吐き気や嘔吐、痙攣などを起こします。レインリリーの葉がニラに、鱗茎がノビル(ニラやノビルには独特のにおいがあります)に似ていて間違えて食べてしまい中毒を起こすということも報告されていますので、庭植えにする場合近くに植えないように気をつけて下さい。
レインリリーを花壇に
草の丈や花の開花時期、色合いなどを考えて、いろいろな草花や球根との寄せ植えや混植も素敵です。草丈が低いので密に植えて、花壇の一番前列に植えたり、縁取りには最適で、ガーデニング初心者にはお薦めです。ただし、ヒガンバナ科なので、葉や球根に毒がありますので、手で直接触れないように注意した方が良いです。
まとめ
レインリリーはとても丈夫で環境が多少良くなくても順応し、手入れも簡単な球根植物です。ある程度、植えっぱなしにしておいても、十分綺麗な姿を見せてくれるので、ガーデニング初心者にはおすすめの、夏の庭を彩ってくれる植物です。