SBK-B KYO-EI ロングハブボルト
WEIMALL ガレージジャッキ 1.5t
京都機械工具(KTC)M5-1113
OH スーパープラハンマー#1 PL-20VLT
トネ(TONE) エアーインパクトレンチAI4201
JTC 10tプレス
5穴アルミホイール用ナット クロームメッキ
はじめに
足回り部品の1つであるハブボルトは実は重要な部品のqつで、これがないとタイヤを固定できません。サイズも小さく、タイヤを外さないと見えませんが、トラブルが発生すると時間も金もかかるハブボルトの交換・外し方を紹介します。
サイズの異なる社外ハブボルトもありますが、どう違うのかにも触れます。
ハブボルトとは
自動車の足回り部品の1つ
ハブボルトは自動車の足回りを構成する部品の1つです。ハブボルトはホイールハブに圧入されています。ハブに使われるボルト、それゆえにハブボルトという名前が付いているのです。ハブボルトの本数は自動車によって決まっていて、4-5本となっています。
ハブボルトとホイールの穴数は一致する
ハブボルトとホイールの穴数は一致します、なぜならハブボルトの役割はホイールを固定することにあるからです。そのため、ハブボルトの本数とそのPCDに対応したホイールが使用されています。
普段はホイールナットが付けられているので直接ハブボルトを見ることはタイヤを外すときくらいです。
自動車のホイールを購入する際には既に使用されているホイールの穴数とPCDが同じものでなければなりませんが、その真の理由はハブボルトの本数とPCDといった規格にあります。
日常的に見かける部品ではありますが、自動車にとって特に重要な部品の1つであり、安全なカーライフを送るうえでも必要不可欠です。故障した場合には必ず修理が必要になります。
ハブボルトの種類
メーカー純正のハブボルト
各メーカーが製造する車両には純正部品のハブボルトが使用されています。トヨタ、ホンダ、マツダや三菱、スズキといった各メーカーのハブボルトの規格は同じではありません。
ハブボルトのスプライン径、ネジ山数やネジ山ピッチ、ネジ部長などの規格は要確認となります。ナットのネジ山もメーカーによって異なる場合があるのです。
基本規格が違うと考えるのが良いですが、ハブボルト径はほとんどのメーカーがM12の規格となっています。軽自動車ではM10の規格の場合もあるので、要注意です。
ロングハブボルト
SBK-B KYO-EI ロングハブボルト
ロングハブボルトは純正ハブボルトより長く設計されたハブボルトです。車両にスペーサーを取り付ける際にロングハブボルトを使用します。
車両のトレッド幅を広げるために取り付けられるのがスペーサーですが、純正規格のハブボルトにスペーサーを付けるとボルトの長さが短くなり、ナットでしっかり締めつけられず危険です。
最悪の場合ホイールが走行中に外れてしまいます。
スペーサーを組んだ状態でもホイールナットをしっかり取り付けるためにロングボルトが活躍します。
純正サイズよりネジ部分の長さが長くなっているのでナットを確実に締められるのです。
トレッドを広げる目的は自分好みへのドレスアップや、モータースポーツ車両のトレッドの確保など、特別な理由がない限り必要性が少ない部品、それがハブボルトです。
ハブボルトの交換時期
ハブボルトが壊れた時
ハブボルトが壊れた時にはハブボルトを交換しなければなりません。ハブボルトも消耗品の1つになりますので、ある程度消耗したらハブボルトを外して打ち替える必要があります。
ハブボルトの壊れ方は、後述しますが、主には折れる・ネジ山がなくなる、などがあります。
ホイールの固定に関係する重要な部品ですので、折れた時やネジ山がなくなったら、必ず修理を行いましょう。
ロングハブボルトに交換するとき
ハブボルトは頻繁に交換する部品ではないので基本的には折れやねじ山の潰れが生じた時の打ち替えるくらいですが、ロングハブボルトに交換する際にも打ち替えます。
上述したとおり、ロングハブボルトを使うのはスペーサーを車両に付けた際にナットの固定部分を確保するためです。
スペーサーでもある程度厚い規格のもの、具体的には5㎜以上のスペーサーを取り付けた場合にロングハブボルトに交換します。
ハブボルトはサスペンションやタイヤの交換や、エンジンオイルやミッションオイルの交換とは違い定期的に交換する部品ではありません。
トレッド幅の調整頻度が多い方や、ネジの折れやネジ山の潰れが生じた時に交換する程度の部品になります。とはいえ定期的に状態をチェックしておくと安心です。
ハブボルトがなめる(ねじ山が潰れる)原因
ネジ山が噛んだままホイールナットを締め付ける
ハブボルトがなめる原因の1つは、ネジ山が噛んだ状態でホイールナットを締め付けることです。ネジ山が噛んだ状態というのは、この場合ホイールナットをハブボルトに締め付けられない状態になります。
具体的には、ねじ山に発生した摩擦熱やハブボルトやホイールナットのネジ山部分に鉄粉、錆、泥や砂利などの異物が発生・付いているような状態です。
この状態で無理やりナットを締めこむとハブボルトのネジ山が潰れるかホイールナットのネジ山が潰れてしまいます。
過剰なトルクで締め付ける
過剰なトルクでホイールナットを締め付けることもハブボルトが潰れる理由です。ボルトやナットを締め付けるには決められたトルク(=規定トルクといいます)で締め付けるのが基本です。
そのためホイールナットをハブボルトに締め付ける時もその決められたトルクで締め付けます。ホイールナット締め付けに定められている規定トルクは、10〜12キロ(100〜120N·m)になります。
そのため、ホイールナットを締める時はトルクレンチで数値を合わせて締めるのです。
しかし、その決められたトルク以上で締め付けてしまうとハブボルトのねじ山が潰れるかホイールナットのネジ山が潰れます。トルクレンチであれば数値を間違えない限りその心配はありません。問題は電動インパクトレンチやエアータイプのインパクトレンチ、そして十字レンチを使う場合です。
ハブボルトが折れる原因
ホイールナットの締め付けトルク不足
ハブボルトが折れる原因の1つはホイールナットの締め付けトルク不足です。締め付けトルク不足、つまりホイールナットの締まりが緩い状態で走行を続けているとハブボルトに必要以上の負担がかかってしまいます。
本来はホイールハブに接した状態で取り付けられているため、ホイールナットが緩くなりホイールの固定が甘くなると、ハブボルトへの負担が適切に取り付けられたよりも大きくなってしまうのです。
タイヤ交換を頻繁かつ適切に行う習慣がある方や、定期的にホイールのトルクチェックを行って締め付け具合を管理している方であればホイールナットの緩みにはすぐに気が付くはずですのでそれが原因でハブボルトが折れる心配はありません。
ホイールナットはよっぽど簡単には緩まないので過度の心配は不要ですが、定期的にトルクチェックを行う習慣を付けましょう。
ハブボルトの規格項目を一部紹介
対応メーカー
ハブボルト規格項目一覧を紹介します。ハブボルトの規格1つ目は、対応メーカーです。社外のハブボルトを購入す場合、そのハブボルトがどのメーカーに対応しているか記載されているので確認できます。
細かい項目を確認するより、必要なハブボルトがどれか大体は見分けられます。
ナット ・ネジサイズ
ナット・ネジサイズはナットとハブボルトに共通するサイズを指します。これらの表示方法は、ボルト径 x ネジ山ピッチ、という表示です。これらが一致していないとナットをハブボルトに締められないので、重要な規格になります。
スプライン径
ハブボルトの固定部分にはスプラインがあります。そのため、打ち替える時にはこのスプライン径が取り付け先のハブ部分に一致していなければなりません。スプライン径はメーカーによって異なるので、サイズの確認には気を付けましょう。
ハブボルト交換作業に使う工具
ジャッキアップ類工具
WEIMALL ガレージジャッキ 1.5t
ハブボルト交換にはジャッキアップ類工具が必要です。タイヤを車体から外して作業する必要があるため、フロアジャッキで車体を持ち上げ、ジャッキスタンドを車両ごとに決められた位置にかけます。安全かつ正確で効率的な作業のためにも必ず一式用意しましょう。
メガネレンチ
京都機械工具(KTC)M5-1113
ハブボルトを交換するためにブレーキキャリパーを一度取り外して作業空間を確保します、そもそも外さないと作業できません。キャリパーを取り付けているボルトを外すためにメガネレンチが必要です。
樹脂ハンマー
OH スーパープラハンマー#1 PL-20VLT
ホイールハブからハブボルトを抜く際に使用します。新しいハブボルトに打ち替えるにはすでに付いているものを外さなければなりません、簡単に抜けるものではないのでハンマーを使って力技で外します。
エアーインパクトレンチ
トネ(TONE) エアーインパクトレンチAI4201
場合によってはエアーインパクトレンチが必要になります。車両(自動車メーカー)によってはハブボルトを抜くためにハブの中心でドライブシャフトとハブを固定しているセンターナットを外す必要があります。
センターナットの締め付けトルクは240N・Mほどと強いので、エアーインパクトのような強いものが必要です。
油圧プレス
JTC 10tプレス
ハブベアリングをナックルから抜く(または打ち替えスペース確保のために少しだけ抜く)ために油圧プレスを使います。一般的な家庭であれば油圧プレスは無いはずです、専門店でやってもらうか油圧プレス作業だけ外注してそれ以外はDIYでやる方法もありです。
ナット大・小
5穴アルミホイール用ナット クロームメッキ
ハブボルトをハブに圧入するときに大小ナットをそれぞれ1つずつ同時に使います。新たに取り付けるハブボルトの命運はこの部品にかかっているといっても過言ではありません。
ハブボルトの交換・外し方手順1
タイヤ交換の手順でジャッキアップする
ハブボルト交換展順1つ目はタイヤ交換の手順でタイヤをジャッキアップすることです。フロアジャッキとジャッキスタンド2台、必要に応じて4台、用意します。
あとはフロアジャッキをジャッキアップポイントを軸に車体を持ち上げ、ジャッキスタンドを車両の決められたジャッキアップポイントにかけます。
フロントのみの作業ならジャッキスタンド2台でフロント部分だけジャッキアップすればよいです。
ジャッキのサイズ、つまり高さを作業性の良い高さに設定しましょう。ジャッキアップポイントは車両ごとに決められています。一度ディーラーなどで確認すると良いです。ジャッキアップを正しく行い、事故の原因をなくすことが重要となります。
ハブボルトの交換・外し方手順2
タイヤを外す
ジャッキアップできたら、次にタイヤを外します。インパクトレンチを使わず十字レンチなどでの外し方では、ジャッキアップ前にホイールナットを少し緩める必要があります。
もし緩めるのを忘れてしまったら、フロントの場合、エンジンを切った状態でだれかにブレーキを踏んでもらった状態でホイールナットを外すという外し方が有効です。
ハブボルト交換・外し方手順3
ブレーキキャリパー交換の要領でそれを外す
ブレーキキャリパーを一度外す必要があります。外し方は、上下についているボルトを緩めてナックルから外す、という感じです。基本、ボルト2本で固定されています。
キャリパーがナックルから外れたら、ブレーキホースを傷めないようにS字フックなどでスプリングやサスペンションなどにかけておくと良いでしょう。
ブレーキホースやABSのホースがあるなど、実は足回り部品周りにはシビアな部品が満載です。作業する際は気を付けて作業しましょう。
ハブボルトの交換・外し方手順4
ブレーキディスク交換手順でディスクを一度取り外す
タイヤを外したら、ブレーキディスクも一度外します。なお、車両によってはブレーキディスクを外さなくてもハブボルトを打ち替え可能です。
ブレーキディスクの外し方は、固着していなければ引っ張るだけで交換できるはずです、ローター中心部分にあるボルト穴をハブボルトに入れるだけですので。作業を悩ませる原因になるものはあまりありませんが、唯一あるとすればその原因は固着です。
ブレーキディスクは固着が原因でなかなか外れないことがあります。しかし外し方はあるので大丈夫です。ディスク中心部にあるサービスホールを利用して外したり、樹脂ハンマーでディスクを裏側からたたいて外す人もいます。
ハブボルトの交換・外し方手順5
ナックルアッシーを取り外す
ハブボルトを抜こうとするとハブに干渉して外せない場合はブレーキディスクだけでなくハブベアリングとナックルを一度取り外します。センターナットを外し、ハブ関連の各部位を外しください。ナックルアッシーを外す作業は意外と手間がかかりますので、必要な工具をしっかり揃える必要があります。
ハブボルトの交換・外し方手順6
ボルトを抜いて新たに打ち替える
ボルトを抜くスペースが確保されたら、ボルトを抜いて新たに打ち替える段階です。ハブボルトの先端に捨てても良いホイールナットを取り付けてハンマーでたたきます、ナットをつけるのは取り外すハブボルトが折れたり潰れないようにして再利用するためです。
すでに折れ・潰れが生じたものを外す外し方ならナットを付けなくてもOKです。
そうすると純正ハブボルト・ロングサイズに関わらずスプライン部分から抜けるようになるのです。必要な場合、油圧プレスでハブベアリング部を少し抜きます。
ハブボルトのスプライン部分の溝に合わせて、ハブに新しいハブボルトやロングサイズハブボルトを差し込みます。そうしたら、タイヤ取り付け側からボルトにナットを締める仕組みを利用してボルトを締めこむのです。
締めこんだら、ハブベアリングにナックルをハンマーなどで押し込んで元に戻します。あとは外し方の逆の順序で取り付けて完了です。
まとめ
普段まったく目に入らない足回り部品の1つであるハブボルト、実は折れや潰れが生じると時間もお金もかかる部品の1つです。
ハブボルトを交換する機会は折れなどが原因で修理するときかロングサイズハブボルトを打ち替えてトレッドを広げる時だけですから、ほとんどDIYでいじることのない部分と考えてよいでしょう。
外し方も少し複雑なため、DIYでやってみたい方でなければ、信頼できる整備工場に依頼することをお勧めします。