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熱収縮チューブとは?材質の特性を活かした使い方や正しい選び方を解説!

熱収縮チューブがどのようなものか紹介します。圧縮したようになってケーブルなどに取り付けられているチューブを、名前は知らないけれど見かけたことはあるのではないでしょうか。その熱収縮チューブの特徴や仕組み、使い方などを詳しく紹介します。
更新: 2021年2月16日
tryyua
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目次

はじめに

熱収縮チューブの使い方やその役割を紹介します。使い方や正しいサイズの選び方を覚えれば日常生活からDIYまで幅広いものに有効な工業用品です。熱収縮チューブの特徴や仕組み、使い方、選び方や注意点についても紹介していきます。正しく理解して活用しましょう。

熱収縮チューブとは

熱で収縮するチューブ

熱収縮チューブは熱を与えることで収縮するチューブです。熱収縮チューブの使い方、物体の保護やまとめることです。熱収縮チューブの間にその物を通した状態で熱収縮チューブに熱を与えます。

熱を与えると、熱収縮チューブが熱で収縮します。収縮によってそのチューブの間を通っていた物にチューブが密着します。密着によってその間の物はすべて熱収縮チューブにまとめられるのです。

熱で収縮する仕組み

熱収縮チューブに熱を与えると収縮するのには材料に施された化学反応に秘密があります。それは放射線架橋と呼ばれる方法です。物質の高分子構造に化学反応を引き起こしています(=架橋、橋かけとも)。

熱収縮チューブに使われる材質にはエラストマー材料、フッ素ポリマー、フッ素ゴムやシリコンゴムなどがあります。押し出し成型で製造される点は他のチューブと同じですが、これに放射線架橋を施して均一にチューブを伸ばすと、熱収縮チューブの完成です。ライターで加熱するのはおすすめしません。

様々な分野で使われる熱収縮チューブ

熱収縮チューブは様々な業界・場所で使われています。家電や電子機器といったものはもちろん、自動車業界や航空機業界など、ハーネスを使うものに多く使われています。

熱収縮テープもある

熱収縮テープというものもあります。チューブと同様、テープを巻いた部分に熱を与えると収縮します。テープのほうがチューブより作業性の良い方や、テープを試してみたい方、ぜひお使いください。


熱収縮チューブの特徴

熱で収縮する

すでに説明しましたが、熱を入れることで収縮するのが熱収縮チューブの大きな特徴です。熱収縮チューブ専用のドライヤー(工業用ドライヤー=ヒートガン)も販売されています。しかし、熱収縮チューブの径ごとに収縮させられる物の最大径があるので確認が必要です(詳しくは後述)。

物を密着させられる

もう1つの特徴は物を密着させられることです。熱を加えて熱収縮チューブを縮めることで収縮部分にある段差などにも対応した収縮が可能となります。内部の材質(物体)とより密着して固定されるのです。管理・保護の面からもこの点はメリットがあります。

難燃性を持った熱収縮チューブもある

熱収縮チューブによっては難燃性を持っています。自動車業界や航空機器業界、そして北米の安全企画に対応している熱収縮チューブには難燃性機能が付けられています。

難燃性を必要としないところもありますので、そのような場所のために非難燃性の熱収縮チューブのラインナップも揃っています。一概に熱収縮チューブと言っても種類が豊富ですので、必要条件を満たすものを確認・購入する必要があります。

熱収縮チューブの種類

一層熱収縮チューブ

【スペック】 材質:電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂 難燃性:非難燃 収縮温度:115℃以上 収縮率:約40% 分野:自動車,建機,産機,エレクトロニクス 長さ変化率:-15%以上 連続使用可能温度:-55 〜 105℃ 制作可能色:黒,茶,赤,橙,黄,緑,青,紫,灰,白,透明

一層熱収縮チューブは薄肉、中肉厚、肉厚の3種類に分けられる熱収縮チューブです。一層熱収縮チューブの役割は、絶縁やストレインリリーフ(=結合部を保護すること)、そして保護など、周りの環境から物を守ることです。

住友電工が展開するスミチューブを例に挙げると、収縮前でスタンダードなものだと肉厚(参考地)0.2㎜、肉厚チューブタイプでは0.7㎜となっています。


二層熱収縮チューブ

【スペック】 構造:二層 難燃性:無し(非難燃性) 材質:外層=電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂、内層=熱溶融性接着剤 収縮温度:115℃以上 収縮率:50%以上 長さ変化率:-15%以上 連続使用可能温度:-55 〜 105℃ 規格:住友電工ファインポリマー仕様(仕様書番号R4-8592) マーキング(例:なし 制作可能色:黒,茶,赤,橙,黄,緑,青,紫,灰,白,透明 柔軟性:柔軟 環境対応:RoHS,ELV 分野:自動車,建機,産機,エレクトロニクス

二層収縮性チューブは内側と外側の二層構成で成っている熱収縮チューブで、腐食対策やシーリングが必要なものに向いています。

二層のスミチューブを例にすると、内側に熱溶融性接着剤、外側には電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂が使われています。内側には接着剤や包埋剤が使われています。これらの材質は二層熱収縮チューブに熱を加えると溶けて流れ出すのです。

これによってチ熱収縮チューブ内の物が周りの環境、例えばへの耐性を付けます(耐環境性能)。水や腐食に強い耐性を持つのが包埋剤、プラスチックやゴムなどに防水性をつけるには接着剤が向いています。

その他の熱収縮チューブ

一層・二層熱収縮チューブ以外に、ヘビーデューティ、特殊チューブ、医療用の熱収縮チューブなど、用途に特化した様々な熱収縮チューブが存在します。用途や場所に合わせた熱収縮チューブの使い方・選び方が大事なのです。

熱収縮チューブの選び方・注意点

熱収縮チューブの収縮とその収縮率を確認する

熱収縮チューブの収縮とその伸縮率の確認を行ってください。熱収縮チューブで覆うもののサイズに適したサイズの熱収縮チューブを選ぶことで防水や腐食にシーリングといった熱収縮チューブ本来の保護性能の発揮へつながります。

収縮前と収縮後の熱収縮チューブの内径を確認して、収縮前の内径が被覆部の外径より大きく、収縮後の内径が被覆部の外径より小さくなるものを選んでください。

そして、重要なのは被覆物が段差を持っている場合です。仮に4㎜と8㎜の外径部分があるとします。その場合、熱収縮チューブの収縮前内径は8㎜より大きく、収縮後は4㎜より小さいものを探す選び方をしなければなりません。

この場合なら、収縮前内径10㎜で収縮後内径が3㎜の熱収縮チューブを選択する選び方をすれば問題ありません。二層式の場合は内側の層の収縮前後の内径を確認する必要があります。チューブごとに収縮率があるので、収縮率も確認しましょう。

チューブをカットするときは一度で切る


熱収縮チューブのカットは一度で切り終えてください。この時、チューブに傷をつけないようにカットするのがポイントになります。チューブに傷をつけないことでその耐性低下を防げるためです。防水性などを損なわないためにも丁寧にひと思いでカットしてしまいましょう。

熱収縮チューブの実際の使い方

ケーブルの耐久性強化

ケーブルの強度が少ない部分に巻いて補強する使い方があります。抜き差しなどで引っ張られたり丸められたりするケーブルは部分的に非常に強い力がかかってしまい、使っているうちに裂けたりします。そうならないように事前に熱収縮チューブを巻いてその部分を強化しておくと、強度が高くなって安心して使用できます。

ヘラシュリンク熱収縮チューブの紹介

ヘラマンタイトン株式会社が販売するヘラシュリンクという熱収縮チューブがあります。ヘラシュリンクは主に電気業界や電子機器業界、そして自動車業界など様々な業界から需要のある熱収縮チューブです。ヘラシュリンクはUL規格が定める安全規格を満たしており、難燃性を持っているのがヘラシュリンクの特徴です。

まとめ

防水や腐食対策に効果のある熱収縮チューブを活用すれば被覆物の寿命を伸ばせます。そのためには適切なサイズや使用環境に適したタイプの熱収縮チューブを見極め、選ぶことが大切です。適切な作業で取り付けましょう。熱収縮チューブをうまく活用して身の回りの工業品を今まで以上に大事にしていきましょう。