ホイールオフセットとは
まずは、ホイールって?
車は3本または4本のタイヤで走行しますが、タイヤだけでは車に装着できません。タイヤを固定させるものがホイールになります。ホイールにタイヤを取り付けた状態で、ようやく車に装着出来ます。ホイールにはスチールホイール(鉄製)やアルミホイール(アルミ合金製)、マグネシウムホイール(マグネシウム合金)などの製品があります。
ホイールオフセットとは?
ホイールオフセットとは、ホイールの幅の中心から装着する面までの長さを現した数値です。(図面を参照ください。)ホイール幅の中心線から装着面が外側にある場合は、プラスオフセットとなります。
装着面が内側にある場合はマイナスオフセットとなります。 車にタイヤを装着するときホイールオフセットがとても重要になりますので、基礎から分かり易く説明します。
ホイールオフセットの歴史
ホイールオフセットと言われる言葉は、実はもう古いのです。2008年7月11日以降は、国際基準に合わせようと、現在は「インセット」と名称を変更しました。が、現在でもオフセットを使用していることが多く、ホイールオフセットで理解できる事が現状です。
アルミホイールのメーカーなどでは、オフセット(インセット)などと表示していますが、まだまだ一般的になっていません。
ホイールオフセットの調べ方
まずは愛車のホイールオフセットを確認
基準となる愛車のオフセット(インセット)の調べ方は、購入した自動車販売店に確認するかネット検索で調べることが簡単です。ネットで検索するときの注意点ですが、車の車種、年式、型式で変わりますので車検証をもとに調べることをおすすめします。
タイヤのサイズを確認する。
基準となるタイヤサイズの調べ方は、車検証と共にある取扱書の仕様を見てください。純正のサイズが表示されています。また、取扱書が無い場合の調べ方は現在装着しているホイールを確認します。ホイールの裏側を見ますと数字とアルファベットが表示されていますので、そちらで確認することができます。
タイヤの表記例
取扱書に標準タイヤサイズとして表記されている例をご紹介します。 (例)195/65R15 195=タイヤの幅(単位:mm) 65 =偏平率(ヘンペイリツ)タイヤの厚み÷タイヤの幅
※数値が小さいほど薄いタイヤとなります。 R =タイヤの構造のこと(ラジアル構造のRを意味する) 15 =ホイールのリム径(タイヤの内径)(単位:インチ)
すべて調べることが大事!
これからご紹介しますDIYでツライチに必要となる情報ですので、確実に調べてください。これらの基礎情報をもとに計算したり測ったりとても重要になります。
ホイールオフセットとその他の名称
ホイールのカタログ仕様に、数字とアルファベットが並んで表示されていますが、それそれどんな名称でどの部位なのか簡単にご紹介します。
ホイールの各名称
図の中の各部位名称を下記します。 A:リムの中心線 B:ディスク取付面 C:オフセット(インセット) D:リムの幅 E:リムの直径 F:フランジ G:PCD H:ハンブ I:ハブ径 今回ご紹介しているホイールオフセットのその他の名称です。
ホイールの仕様表示例
ホイールのカタログ仕様の表示例を下記します。 16 =リムの直径(単位:インチ) 6.5=リムの幅(単位:インチ) J =フランジ形状 48 =オフセット(インセット)(単位:mm) 114.3=PCD(ボルトとボルト間の距離)(単位:mm) 5穴 =ボルトの穴数 ホイールを購入する際に出てくる内容と考えてください。
ホイールオフセットをDIYでツライチに!
愛車のタイヤがフェンダーギリギリの位置で装着できたらかっこいいですよね。DIYで調べ方や測り方がわかってツライチにできたらさらに楽しいです。現在の愛車に装着しているタイヤとホイールの標準仕様が分っていることを前提にご紹介します。まずは車のフェンダーからホイールがどのくらい引っ込んでいるか測る必要があります。
現状ホイールの引っ込み量の測り方
引っ込み量の測り方は、糸とおもりを使って行えます。測り方は車のフェンダーに糸をテープで固定し、糸の先におもりをつけてぶら下げて糸が動かないように安定させます。重りは糸が結べればボルトやナットでもOKです。そして、その糸とホイールの距離を測ります。 この方法はとても原始的ですが、簡単でかつ確実にできる測り方になります。
標準ホイール仕様と引っ込み量が分かれば計算可能!
調べ方や測り方が分かったところで、測った距離で計算してみます。 標準ホイール仕様:15×6 J 5 114.3 48 引っ込み量 :40mm 計算方法として、単純にオフセットの数値が「1」小さくなるとホイールが「1mm」外側になります。
なので、引っ込み量の40mm分をオフセット(インセット)で調整すればツライチになる計算になります。
ホイールオフセットでツライチの計算をしてみます。
標準ホイールオフセットから引っ込み量を引きます。 48-40=8mm しかし、実際にオフセット(インセット)が「8」のホイールは現状ほぼ存在しません。では、どうすればよいのでしょうか?
ホイールのインチアップとリムの幅を太くする!
ホイールのインチアップとリムの幅を太くすることで、タイヤの外径を変えずに調整することができます。 ホイールリムの幅を1インチ太くすると、25.4mm幅が増え、外側に半分の12.7mm広がります。
つまり3インチ太くすると、 25.4×3÷2=38.1mm となり、引っ込み量の40mmに近い数値になります。残りの約2mmをオフセットで調整すればツライチになるはずです。
標準ホイール仕様から考えて計算してみる。
標準タイヤの外径がほぼ同じになるサイズは、205/50R17で、標準ホイールのサイズから3インチアップの17×9J(25.4×9=228.6mm)、オフセットを46mm(48mm-2mm)にすれば、計算上でツライチです。このサイズで装着できるとよいのですが?
実際は装着が厳しい
標準の計算上は3インチアップですが、実際はタイヤ幅よりホイール幅が広くタイヤを装着することが困難になります。また、ホイールの幅は当然内側にも広くなりますので、車体内側とタイヤが当たってしまいトラブルの原因になる可能性があります。
最終的にどう計算するの?
205/50R17のタイヤを装着するホイール理想は、17×7J~8Jになります。では、17×8J、2インチアップと考えて計算してみます。 ※タイヤの種類、車種によっては車体と接触する場合がありますのでご注意ください。
計算してみます。
1インチは25.4mmなので→25.4×2÷2=25.4mm 引っ込み量の40mmから引いて→40-25.4=14.6mm 標準オフセット48mmから引いて→48-14.6=33.4mm すなわち、17×8Jオフセット33mmがほぼツライチのホイールとなります。
ホイールオフセットが分らない時は?
現状のホイールオフセットがネット検索や現物を見ても分からない場合の調べ方として、実物をもとに調べる測り方があります。冒頭でご紹介しましたが、オフセット(インセット)の意味が分かれば簡単です。
簡単な測り方
まずホイールの幅を測ります。そしてホイールの内側に真っすぐな板状の物を置いて、無ければ糸をピンと張ってそこから取付面までの長さを測ります。ホイール幅の半分から、取付面までの長さを計算すればオフセットが分かります。
ホイールオフセットとJの関係
ホイールオフセットの仕様に「J」と表示されていますが、それはフランジの形状と説明しましたが、実際には気にする必要はありません。しかし、リムの幅と一緒の名称として読まれていることが多いので、○○J=リムの幅名称と考えてください。カタログ表示や雑誌などでの表示に使われています。
ホイールオフセットの許容範囲は?
ホイールオフセットの許容範囲は、車のメーカーや車種、型式などによってさまざまです。メーカーに確認することが望ましいですが、安全幅を考慮していますので、明確な回答は頂けないと考えます。
許容範囲を確実に確認する調べ方は車本体に干渉するところがないか、また、フェンダーからタイヤが出ていないか実際に車へ装着することをおすすめします。
どこで車へ装着するか?
許容範囲を確認するために実際に車へ装着する場合は、自動車部品販売店または、タイヤ専門店などで可能です。自分で測って計算した結果をもとに店員さんへ相談して、車への装着をお願いしてください。そうすれば、実際に装着した状態で車本体への影響や干渉の有無がわかります。そして、許容範囲も確認できます。
ホイールオフセットとタイヤの関係
オフセット(インセット)が分かり、計算上のツライチが分かったとします。しかし、実際に装着したらタイヤがフェンダーから出ていた!?とならないように、タイヤの形状も確認が必要です。タイヤの種類によりますが、ホイールに取り付けたらタイヤの側面が異常に出ているものは、注意が必要です。
タイヤによっては許容範囲も変わる!?
ホイールのリム幅によっては、タイヤを取り付けたときにタイヤが膨らむ場合がありますので、そういった意味での許容範囲を考えなければなりません。車体と接触して異常発熱による火災!!なんてことなる可能性があります。
また、車のフェンダーからはみ出していると道路交通法違反の車両整備不良になってしまいます。もちろんDIYですので自己責任になります。注意!!
ホイールオフセットと各ホイールメーカー
ホイールメーカーの基本的な考え方を簡単に説明致します。ホイールメーカーは1つの企業です。商品をより多く売って売上なければなりません。
より多く売り上げるには需要の多いオフセットのホイールをたくさん作るほうが効率が良くかつ、多く販売できますよね。オーダーメードを製造していると割に合いません。それがホイールメーカーの標準仕様になっています。
では、オフセットをどうやって調整するの
ホイールメーカーでは、販売する意味でのオフセット(インセット)に許容範囲を持たせています。色々なホイールに数種類のオフセット(インセット)を準備しているので、計算した数値に近いホイールを選ぶことができます。
どうしても、そのホイールが欲しい場合は?
車両部品販売店やタイヤ販売店などに相談してください。個人のちからではできません。よいアドバイスを頂けるはずです。
ホイール購入時の注意点その1「PCD」
意外に知られていないのが「PCD」です。車へ取り付ける際のボルトとボルトの距離のことですが、車のメーカーや車本体の重さなどで変わってきます。もちろんそのPCDにあわせてホイールを選択しないと、車へ取り付けることができません。ホイールメーカーの仕様にPCDが記載されていますので、間違えないように確認してください。
ホイール購入時の注意点その2「ボルト穴数」
PCDとともに間違え易い「ボルト穴数」。こちらも車のメーカーや車本体の重さで変わります。PCDが合っていてもボルトの穴数を間違えるとこちらも車へ取り付けることができません。ホイールメーカーの仕様をよく確認してください。
まとめ
ホイールオフセットの意味や計算方法などが分かるとDIYがきちゃうなんて面白いですね。ただし、車は車検という決まり事がありますので、やはり車のプロと相談しながら楽しんでください。
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