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アカモクの基本情報まとめ!効果や生態についてご紹介!

近年、健康食品としても注目を集めている海藻「あかもく」。少しマイナーなイメージがあるかもしれませんが、日本の沿岸であれば何処でも目にする身近で滋養に富んだ海藻として注目されはじめました。そんな「あかもく」の情報と美味しい食べ方などをご紹介したいと思います。
2020年8月27日
久石 一刀
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アカモク/分類

ヒバマタ目ホンダワラ科の海藻

あかもくは、ホンダワラ科に属する海藻の一種です。 ホンダワラ科の海藻の特徴としては、葉っぱのような形をした藻体部分に「気泡」と呼ばれる浮き袋を持っていることが挙げられます。

この気泡の浮力により、あかもくは海面に向かって立ち上がるように生えます。 水中から見る様は、まるで天に向かってそびえ立つ大樹のようです。

身近な海藻のひとつ

「あかもく」は日本周辺の浅い岩場の海でごく普通に見られる海藻の一つです。 海底の岩に根を張って群生し、長い物では7mから10mにまで成長します。 こうしたあかもくの森は、沿岸部に生息する小魚などの恰好の隠れ家になっています。

あかもく/外国名

Sargassum(サルガッスム)

ポルトガルの船乗りによって名づけられましたが、この呼び名は主にホンダワラ科の海藻全般を指しています。 あかもくの分布域は日本沿岸などの東アジア地域に限定されていることもあり、本種のみを差す具体的な英語名はありません。 今後注目が増えれば「AKAMOKU」が世界共通の呼び名になるかもしれません。

ちなみに西大西洋のサルガッソ海は、この種のホンダワラ科の海藻(サルガッスム)が大量に漂う海である事から名付けられました。

ホンダワラ科の海藻は、時には船の進行の妨げになるほど巨大な藻屑郡を形成します。 そのためサルガッスムは船乗りから「悪魔の海藻」とも呼ばれています。

あかもく/学名

Sargassum horneri


学名にあるSargassumは上記のホンダワラ科全般を指しています。 horneriが分類上の「あかもく」を意味します。

あかもく/名前の由来

赤藻屑

海上を漂う赤褐色をした藻屑の様子から「赤藻屑(あかもく)」と呼ばれるようになったとされています。 巨大に成長したあかもくは、時化などで千切れることがよくあります。 千切れたあかもくは気泡の浮力で水面に浮かび、やがて大きな藻屑郡を形成して漂うことからこの名が付きました。

地域名

秋田では「ギバサ」、山形では「ギンバソウ」、新潟では「ナガモ」、富山では「ナガラモ」、島根では「ハナタレ」。 そのほかにもガラム、ナガラモク、バチモ、マメタワラなど、あかもくには各地で様々な呼び名があります。

あかもく/生息地域・分布

日本国内

あかもくの日本国内での分布は広く、北海道の道東域を除く全国の沿岸部に生息しています。

海外

日本以外にも朝鮮半島から中国の沿岸部、そしてフィリピン北部の沿岸まで広範囲に分布していることが確認されています。

あかもく/生態・生育環境

あかもくは1年生の海藻で、雌株と雄株があります。 ごくまれに雌雄同体の株も見られます。 沿岸部の比較的浅い海底の岩場などに根を張り、地域差もありますが秋から翌年の夏場にかけて成長成熟します。 なお瀬戸内海では、春に成熟するタイプと秋に成熟するタイプが報告されています。 成長した個体は、漁船のスクリューなどに絡み付くことがあるため、三重県などでは県をあげて駆除対策も検討されるほど厄介な海藻とされてきました。

あかもく/特徴・形態

1本の茎から多くの枝葉を伸ばし、前述した気泡の浮力で海面に向かって伸びます。 茎から伸びた葉にはいくつもの切れ込みがあり、ヨモギや菊の葉を細長くした形に似ています。 切れ込みの深さなど、形態は地域によって若干異なる場合があります。 あかもくはホンダワラなどと外見が非常に似通っていますが、特徴である気泡の形が異なります。 ホンダワラなどの気泡は楕円形など球形をしているのに対し、あかもくの気泡は細長い円柱型をしているので容易に見分けることができます。

あかもく/入手方法


食用とする地域と食用としない地域がはっきりと分かれる海藻です。 あかもくを食べる地域では、スーパーの鮮魚売り場などで、生の物や加工した物、時期によっては冷凍したものなどが普通に売られています。 最近では豊富に含まれる栄養素などがメディアで取り上げられるなどしたことから、従来は食べなかった地域や首都圏の市場でも見られるようになりました。 ただ流通量は比較的少ないため、定番商品として扱っている店舗は多くないのが実情です。 人気が高まったことで、消費エリアは拡大しております。 それに起因し、主な産地でも時期によってはやや高値で品薄傾向になっているようです。

あかもく/選び方

あかもくの旬は、冬から春にかけてです。 選び方のコツは、触ってみて葉がしっかりした物を選ぶと良いでしょう。 初夏を過ぎて成長しすぎた物は食感が固く、食べた時にエグ味を感じることがあります。

あかもく/栄養・寄生虫

他の生物との関係

比較的浅い岩場に群生するため、海中では小魚などの恰好の隠れ家になります。 またあかもく特有の寄生虫などは今のところ報告されておりません。

栄養分

他の海藻類と同様、あかもくには食物繊維が豊富に含まれています。 とくに海藻類特有のネバネバ成分であるフコダインが多く、時期や産地にもよりますが、モズクと比較して2倍~3倍含まれるとも言われています。 フコイダンには腸の働きを整える整調作用や免疫力を高める効果があることが研究で知られており、肝機能の改善や血圧上昇の抑制、コレステロール値を下げる効果なども期待できます。 またカリウムやカルシウム、マグネシウムといったミネラル分なども非常に豊富に含みます。 あかもくが大きく注目されるきっかけとなったとされる成分フコキサチン、これが含まれていることも大きな特長です。 フコキサチンは主に褐藻類に含まれる成分ですが、体脂肪の減少効果(ダイエット効果)を有する事がわかってきました。 またガン細胞に対する親和性が高く、ガン細胞の増殖や転移を抑制する効果が研究で明らかになっています。 あかもくは、このフコキサチンを含む数少ない貴重な食材の一つと言えます。

あかもく/下処理と料理

下処理

生のあかもくには泥や砂、小さな藻などが付着しています。 水道の流水などで丁寧にもみ洗いし、付着したゴミなどを取り除きます。 次に茎から葉を外します。(茎は固いため食感が良くありません) 茎の先端から根元に向かって手でしごくと、可食部分が簡単に選り分けられます。 それをさらに水洗いしてきれいにします。

調理方法

あかもく最大の特徴であるネバネバ。 それを堪能するために、まず熱湯でサッと湯がきます。 熱湯にくぐらせると、少し黒ずんだ赤褐色だったあかもくの色が鮮やかな緑へと変わりますので、色が変わったら取り出し、すぐに冷水にさらして粗熱をとります。

粗熱をとったあかもくを適量をまな板に置き、粘りが出るまで包丁たたきながらで細かく刻みます。 作業が面倒な方は、フードプロセッサーにかけてもOKです。 ただし、予想以上に粘りが出てフードプロセッサーが止まったり故障してしまう恐れもありますので注意してください。


細かく刻めば刻むほど、独特の粘りが出ます。 箸で持ち上げられるほどになったら完成です。

あかもくレシピ

最もポピュラーな食べ方としては、小鉢に入れてショウガなどの薬味を添えてお醤油や三杯酢などをかけていただきます。 トロトロの食感を楽しむことができます。

だし醤油や麺つゆなどを加えて良く混ぜ、トロロ感覚でごはんにかけてもgood! ごはんが進むこと必至のあかもく定番メニューです。

納豆、オクラ、長芋などのネバネバ食材といっしょに小鉢に入れ、最後に卵黄をトッピング。 これを混ぜてご飯にかければ、ネバネバスタミナ丼の出来上がりです。 もちろんお蕎麦やうどんにかけても美味しく召し上がれます。

細かく刻む前のあかもくに衣を付け、油で揚げたかき揚げも美味しさを堪能できます。 カラリと揚がった熱々を塩で頂くと、ほんのりとした磯の香りが口に広がります。

あかもくの味噌汁も定番料理と言えるでしょう。 温かい味噌汁に、刻んだあかもくを入れるだけ。 特有のネバネバが汁に溶けてとろみに変わり、スルスルと喉を通ります。 そのほかにも玉子焼きや練り物などを作る際に混ぜ込むなど、工夫次第で様々な料理に活用できます。 癖がなくて食べやすい点も、あかもくならではの特長と言えるでしょう。 また小分けにして冷凍保存しておけば、年間を通して楽しむことができます。

まとめ

スーパーフードと呼ばれる海藻

かつて、一部の地域では厄介者扱いされていたあかもくですが、整腸作用や免疫力を高めるとされるフコダイン、ダイエット効果などが期待されるフコキサチンをはじめ、豊富な栄養素を含む優れた食材として様々なメディアで紹介され、一躍脚光を浴びるようになりました。 美容と健康への意識の高まりも追い風となり、海外セレブの間では「スーパーフード」と呼ばれているとか。 周囲を海に囲まれている日本人にとって、海藻類は身近な食材のひとつですが、あかもくほど優れた栄養素を含む海藻が近年までほとんど注目されなかった事は少々意外とも言えます。 今後の研究次第では、さらに有益な成分や効果が見出される可能性も期待されます。

 

美味しく食べて健康に。ご家庭の献立メニューに、あかもくを加えてみてはいかがですか?