生け垣(生垣)とは?
お庭作りのベースとなる生け垣。生け垣とは植物を並べて植えたものを整形し作る垣根のことです。 最近は生け垣作りを促し、助成制度が設けられている地域もあるほど、生け垣にはおしゃれな景観だけでなく社会的にもたくさんの役割を果たしているのです。生け垣の3つの大きな役割をご紹介しましょう。
生け垣の役割:1.外からの目隠し
生け垣を作る大きな目的は、外からの視界を遮る目隠しの役割です。 塀を作ってしまうと圧迫感を感じてしまうことがありますが、そんなときには適度に目隠しになってくれる生け垣が最適です。カーテンを開けた時や庭に出たとき、人目を気にせずにのんびりと過ごせ、見た目にも楽しいのが魅力です。
生け垣の役割:2.防風・防音・防災
生け垣は見た目だけでなく、高い機能も発揮してくれます。 生け垣には外からの防風だけでなく、音を植物が吸収してくれるため防音の効果があります。また、万が一火事の際に火が燃え広がるのを防ぐ防火の役割や、震災時における道路の安全確保などにも高い効果があります。
生け垣の役割:3.街の景観・環境保全
生け垣は種類によっては季節により表情を変えてくれ、街並みの景観にも大きく影響します。生け垣が増えることで地域の緑も増え、また環境保全にも役立ちます。 こういった観点から、地域として生け垣を促進している市町村も多く見られます。生け垣を検討する際にはぜひ調べてみてくださいね。
目的別!生け垣(生垣)に人気の植物とは?
生け垣に向いている植物とは?
生け垣に向いている植物の条件は、一般的には以下の4つです。 ■環境適応力がある植物 ■生育旺盛で枝葉が密生する植物 ■病虫害に強い植物 ■強剪定に耐えられる植物 一般的に丈夫な常緑樹がよく用いられます。葉っぱが落ちてしまう落葉樹は目隠しとしての役割にはあまり向いていないとされています。
生け垣の選び方とは
では、たくさんある生け垣に向いている植物の中で、どうやって種類を選んだら良いのでしょうか。 まずは、庭の雰囲気によって植物を選びます。お庭や家が洋風か和風かで植物の種類は絞られてきます。
また、植える環境によっても選ぶ種類は変わってきます。日陰の場合は、日陰に強い植物を選ぶと良いでしょう。
今回は、 ・生け垣作りの基本ともなる目隠しにぴったりの生け垣 ・華やかにお花を咲かせてくれるお花の生け垣 ・ハーブの香りや実用性で楽しむハーブの生け垣 の3ジャンルに分けてご紹介いたします。 お庭やお家に合ったものを探してみてくださいね。
生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!:目隠し効果で選ぶ
まずは生け垣を作る理由の大きなひとつ、目隠し効果の高い種類に注目してみましょう。 目隠し効果に向いている植物の特徴は、 ・枝が多く密集している常緑樹 ・葉が大きい植物 の2点です。 その中でも人気上位の3つをご紹介いたします。
目隠し向き編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!5位
5位:カクレミノ
葉が大きく形がかわいく実もおしゃれなカクレミノ。和風庭園の定番の常緑樹です。 最初は葉の先が3〜5つに分かれる形がかわいく、だんだん木が成長してくると長い楕円形の葉になってきます。ひとつの木でどんどん変わっていく葉の形が人気の垣根です。日陰に強く場所を選ばずに育てられます。
基本情報
科属:ウコギ科カクレミノ属 種類:常緑樹 成長:普通 高さ:高木・2〜7m 耐陰性:ある 合う様式:和風
特徴
●日陰でも育つ ●病害虫にやや強い ○寒さに弱い 病害虫に強く潮風にも強いカクレミノですが、東北以北では育てるのが難しいのが難点。狭い場所や湿った土壌などの悪条件でも適応しやすいのが特徴です。
目隠し向き編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!4位
4位:コニファー類
洋風のお庭には定番の垣根となっているコニファー。コニファーとは針葉樹の総称で、たくさんの種類があります。 ひとくちでコニファーといってもマツの仲間、ヒノキの仲間、ビャクシンの仲間など種類はさまざまですが、美しい葉と豊富な葉色、整いやすい樹形がおしゃれで人気の生け垣です。
基本情報
科属:種類によって異なります 種類:常緑樹 成長:種類によって異なります 高さ:低木〜高木 耐陰性:種類によって異なります 合う様式:洋風
特徴
●樹形が整いやすい ●病害虫に強い ●寒さに強い 種類によって特徴は異なります。大きくなる高木のものから低木、木の根元隠しになる低い這い性のものまで種類はさまざま。寒さに強いのが特徴ですが、種類によっては暑さに比較的強いものもあります。
目隠し向き編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!3位
3位:イチイ・キャラボク
イチイは柔らかい羽根状の葉をつける常緑の針葉樹です。 イチイの変種をキャラボクといい、寒冷地にはイチイ、温暖地にはキャラボクが適していると言われています。別名では「アララギ」「オンコ」とも呼ばれ、古くから生け垣として親しまれている種類です。
基本情報
科属:イチイ科イチイ属 種類:常緑樹 成長:遅い 高さ:高木・2〜10m 耐陰性:ややある 合う様式:和風
特徴
●日陰でも育つ ●樹形が整いやすくお手入れしやすい ○病害虫にやや強い(ハダニ・カイガラムシに注意) 雌雄異株で、初秋に雌の木には実がなります。実自体は甘く食べられますが、タネには毒があるので飲み込んではいけません。
目隠し向き編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!2位
2位:レッドロビン
レッドロビンは丈夫で強いカラーリーフの垣根として人気の植物です。 新芽が真っ赤で美しく、新芽が出てくる春には一面赤くなるのが見ものです。また、剪定をすればどの季節にも真っ赤な新芽が出るのも特徴です。成長が早く枝葉が込み合いやすいので、こまめに刈り込みを行えば美しい赤色になってくれます。
基本情報
科属:バラ科カナメモチ属 種類:常緑樹 成長:早い 高さ:小高木・3〜6m 耐陰性:ややない 合う様式:和風
特徴
●いつでも刈り込みできる ●丈夫で育てやすい ○病害虫にやや弱い 成長が早いため、刈り込みは頻繁に軽めに行うほうが綺麗に保てます。カビなどの病気になる場合があるので、葉に斑点などの症状を見つけたらすぐに取り除きましょう。
目隠し向き編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!1位
1位:マサキ
つやのある厚めの葉が特徴で、綺麗な真っ青の葉のものから、品種によって様々な斑が入るものまで様々です。 かつては斑の入っていないマサキの垣根が人気でしたが、現在は明るい黄色の斑が入る「キンマサキ」や乳白色の斑が入る「ギンマサキ」、葉全体が明るい黄色の「オウゴンマサキ」などが人気になっています。
基本情報
科属:ニシキギ科ニシキギ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:小高木・2〜6m 耐陰性:ややない 合う様式:和風 / 洋風
特徴
●日陰でも育つ ●洋風にも合う ○病害虫にやや弱い 斑入りの品種は日照が足りないと斑がきれいに入りません。また、対潮性があるので潮風の当たる場所にも強いのが特徴です。条件が合わないとうどんこ病にかかることがあるのが難点です。
生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!:お花を楽しむ
生け垣にもお花が咲くとより季節を感じて癒されますよね。生け垣は敷地の中でも多くの面積を占めるため、お花が咲くと一気におしゃれで華やかな印象になります。 そんな生け垣に向いている種類のなかでも、お花が咲く植物の人気ランキングをご紹介いたします。和風の種類や洋風の種類の中から、丈夫で育てやすいものをピックアップしました。
花編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!5位
5位:キンモクセイ
香りがとても良いキンモクセイ。キンモクセイの香りが街のどこかから漂ってきてふと秋を感じることありますよね。 とても丈夫で育てやすいため、垣根としても人気のキンモクセイ。夜になると香りがさらに強くなるのが特徴です。日本ではどこでも育てやすいため、全国でよく見られる生け垣です。
基本情報
科属:モクセイ科モクセイ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:高木・3〜10m 耐陰性:ややある 合う様式:和風 開花期:9月〜10月
特徴
●丈夫で育てやすい ●病害虫に強い ○乾燥に弱い とても丈夫で日陰や大気汚染にも耐えますが、花付きが悪くなってしまいます。木そのものは病害虫に強いですが、お花の香りが強く蜂などが寄ってきやすいため気をつけましょう。
花編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!4位
4位:サザンカ
和風の垣根の定番でもあるサザンカ。お花の減る寒い時期に満開に咲いてくれる姿がとても華やかです。 ツバキよりも早い時期から咲き始めるサザンカ。丈夫で育てやすくお花がたくさん咲いてくれるのが人気の理由です。品種が豊富で、白から紅色まで様々な花の色があります。上品で華やかな姿が街に引き立つ垣根です。
基本情報
科属:ツバキ科ツバキ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:小高木・1〜10m 耐陰性:ややある 合う様式:和風 開花期:11月〜3月
特徴
●丈夫で育てやすい ●開花時期が長い ○病害虫に弱い 丈夫で日陰や大気汚染にも強いサザンカは日本全土で育てやすい植物です。しかし病害虫に弱く、チャドクガやイラガなどの刺されると痛い蛾の幼虫がよくつきます。
花編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!3位
3位:アベリア
甘い香りが特徴のアベリアは半常緑樹の低木で、低めの生け垣におすすめです。 初夏にふんわりと甘い香りを放ってくれるアベリアは大気汚染にも強いため、街路樹などでも多く使われています。かわいい白い小花がびっしりと咲いてくれ、さわやかな印象を与えてくれます。
基本情報
科属:スイカズラ科アベリア属 種類:半常緑樹 成長:かなり早い 高さ:低木・0.5〜2m 耐陰性:ややある 合う様式:洋風 開花期:7月〜11月
特徴
●病害虫に強い ●開花時期が長く楽しめる ○成長が早く樹形が乱れやすい 成長がかなり早いのは嬉しいですが、低木でお手入れしやすいとはいえ樹形が乱れやすいのが難点です。こまめに剪定するか、春と秋に強めの剪定をします。開花時期が長いですが、蜂が寄ってきやすいため注意しましょう。
花編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!2位
2位:ベニバナトキワマンサク
紅色の細い花弁の花をびっしりと咲かせるベニバナトキワマンサク。マンサクは落葉樹ですが、こちらは常緑樹で、丈夫な性質が生け垣として人気の理由です。 お花は4〜5月声おから咲き始め、代表的な紅色に加え、1株で紅花と白花が一緒に咲く紅白咲き分け種などもあります。葉の色も青葉と赤褐色葉種もあり、カラーリーフとしてもおしゃれに仕上がります。
基本情報
科属:マンサク科トキワマンサク属 種類:常緑樹 成長:早い 高さ:低木〜小高木・2〜2.5m 耐陰性:ややある 合う様式:和風 / 洋風 開花期:4〜5月
特徴
●丈夫で育てやすい ●病害虫に強い ○寒さに弱く、寒冷地では生育が難しい 育てやすく丈夫であまり手がかからず紅色のお花が豪華に咲いてくれます。かっちりと刈り込みして和風に合わせても良し、自然樹形でおしゃれに洋風にしても良し、定番の垣根を避けてみたい方におすすめです。
花編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!1位
1位:プリペット
プリペットは美しい葉色に白い小花がかわいい半常緑樹です。 近年とても人気のプリペットは、初心者でも育てやすく、耐暑性に優れ丈夫な植物です。4〜5月に小さな白い花が咲き、優しい葉色もおしゃれに仕上がり、現代のお庭に合わせやすいのが人気の理由です。
基本情報
科属:モクセイ科イボタノキ属 種類:半常緑樹 成長:早い 高さ:小高木・1.5〜2m 耐陰性:ややある 合う様式:洋風 開花期:4〜5月
特徴
●丈夫で育てやすい ●病害虫に強い ○成長が早く樹形が乱れやすい 虫がつきにくく丈夫なのが特徴です。刈り込みやすく扱いが楽なのが特徴ですが、成長が早い分樹形が乱れやすいもの難点。間隔を空けて自然樹形でふわっとさせても良いでしょう。
生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!:ハーブで楽しむ
香りも見た目も楽しめて、実用的にも使えるハーブ。洋風のお庭だと合う垣根も限られてくるのかも…とお思いの方にも、ハーブだとお庭の雰囲気に合わせたおしゃれな生け垣が作れます。 ハーブの中で、生け垣にも使える人気の種類をご紹介いたします。
ハーブ編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!3位
3位:ラベンダー
美しい紫色の花穂とさわやかな香りが人気のラベンダー。 寒冷地のハーブというイメージがありますが、耐暑性のある品種もあります。ただ温暖地ではあまり背が高くなるものが少ないので、温暖地では低めの垣根に向いています。シルバーグリーンの葉は洋風のお庭によく合います。
基本情報
科属:シソ科ラヴァンドラ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:低木・0.2〜1.2m 耐陰性:ややある 合う様式:洋風 開花期:4〜7月(品種によって異なる)
特徴
●洋風に合う ○品種によって耐暑性の度合いが違う ○高温多湿に弱い 高温多湿に弱いラベンダーの難易度は少し高めです。寒冷地では大きくすることもできます。温暖地には交配種系(ハイブリッド系)の「アラルディ」などの品種が丈夫で強くおすすめです。
ハーブ編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!2位
2位:マートル(ギンバイカ)
日本名では「銀梅花」とよばれ、梅のようなお花をつけるマートル。葉は薬用として使われ、フルーティーな香りが特徴です。秋にはブルーベリーのような黒っぽい実がなり、食べることもできます。 刈り込みに強く樹高も高いため、目隠しの役割としてもおすすめです。常緑樹で、明るい日陰にも耐えます。
基本情報
科属:フトモモ科ギンバイカ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:低木・1〜3m 耐陰性:ややある 合う様式:洋風 開花期:5〜6月
特徴
●洋風に合う ●病害虫に強い ○寒さにやや弱い お手入れは難しくないハーブですが、マートルはもともと温暖地の植物のため、寒冷地では栽培が難しい場合があります。刈り込みに強いため、樹形を整えやすいのが特徴です。
ハーブ編:生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!1位
1位:ローズマリー
ローズマリーはとても育てやすい常緑低木のハーブで、日本でも全国で育てられます。 お料理にも使え、ドライフラワーやリースなどの花材にも向いており、使い方もさまざま。お庭にあると便利な植物です。垣根にするには立ち性の種類を選びましょう。
初めから大きな株を植えるより、中くらいの大きさの苗から育てる方が丈夫でしっかりと育ちます。
基本情報
科属:シソ科マンネンロウ属 種類:常緑樹 成長:やや遅い 高さ:低木・0. 3〜2m 耐陰性:ややない 合う様式:洋風 開花期:11〜5月(種類による)
特徴
●洋風に合う ●病害虫に強い ○寒さにやや弱い 環境に合えば大きくなるローズマリーは、やせた土でも育つ丈夫なハーブです。品種によっては寒さにとても弱い品種もあります。「セイレム」「トスカナブルー」などが大きく育ちやすいです。
生け垣(生垣)おすすめ人気ランキング!:番外編
つる植物で目隠しを作る
フェンスに絡ませたり、ワイヤーで土台を作ったりして、つる植物で生け垣を作るのもおしゃれです。ナチュラルなお庭や洋風なお庭に合わせやすい生け垣を作ることができます。
モッコウバラは萌芽力も強く病害虫もつきにくいため、育てやすい植物です。春先にお花をたくさんつけてくれます。白花種は栽培が難しいですが、黄花種は生育旺盛であまり手間がかからず毎年お花を咲かせます。
テイカカズラも常緑のつる植物で、人気の生け垣です。初夏に甘い香りのする白いお花を咲かせ、秋には葉が紅葉します。日本原産種のため育てやすく丈夫です。茎から出る付着根によって壁などに這いますが、付着根のあとが結構残ってしまうところは要注意です。
組み合わせて作る
生け垣は一種類の植物を植える単植だけでなく、何種類かを組み合わせて作る混植生け垣にするとよりデザイン性に富みます。葉の色が違うものと組み合わせたり、つる植物と組み合わせたりするとよりおしゃれな生け垣が出来上がります。
高低差のある植物を混植するのもデザイン性が生まれます。背の高い植物と葉の色が違う低木を植えると、華やかでより美しく見えます。同じ植物同士で高低差をつけるのもすっきりとした印象を保ちつつおしゃれに見えますよ。
生け垣には2段垣・3段垣という種類もあります。高木や低木を組み合わせて高垣・中垣・低垣と段階をつけることで、高木の根元を隠すこともでき、また奥行きが出て圧迫感が軽減されます。高垣を直線的に、低垣を曲線的に作るなど、様々な表情のバリエーションを生み出せます。
まとめ
いかがでしたか。生け垣といっても種類はさまざまです。 和風で重厚感ある仕上がりにしたいのか、洋風のおしゃれな生け垣にしたいのか。ちょっと個性的な生け垣に挑戦してみるのも良いですね。お庭やお家の雰囲気や、環境に合わせてベストな生け垣を選んで見てください。