ブリジストン・モールトンとは?
ブリジストン・モールトンとは日本のブリジストンサイクル株式会社とイギリスのエンジニアであるアレックス・モールトンと共同開発された小径ホイールスポーツ自転車です。ブリジストン・モールトンのような小径車をミニベロとも呼びますね。聞いたことがあるという方も多いでしょう。しかしこの小さくて、しかも決して安いとは言えない自転車になぜ皆夢中になるのか?開発の歴史を紐解きながら、その特徴や評判を見ていきたいと思います!
ブリジストン・モールトン開発の歴史
英国で産声を上げたモールトン第1世代型が日本に渡り、リ・エンジニアリングされて再び英国の地に
ブリジストン・モールトンの源流であるモールトン自転車開発の歴史とブリジストン社との出会いは一体どんなものだったのでしょうか。
アレックス・モールトン
英帝国騎士称号をもつアレックス・モールトン博士は1920年生まれ、自らを「革新するエンジニア」と形容します。1956年のスエズ動乱に端を発した石油危機がきっかけで彼は自転車と出会い、そしてその開発に乗り出します。1962年には彼の開発第1号であるシリーズ1を発表、大評判となります。しかしあまりの人気に自社では製造能力に限界があるとし、大手メーカーに製造権を譲渡、これが裏目に出てしまい一時はモールトン自転車は製造中止となってしまうのです。
ブリジストン社との出会い
1990年代後半ブリジストンサイクル社は小径ホイール車シリーズ「トランジット」を発売、市場に大きな可能性を見出していました。同時にアレックス・モールトン博士は自転車専門誌に掲載されたブリジストンサイクルの小径ホイール車に興味を抱きます。そして両者の出会いが実現、1999年初頭に共同企画である仮称「Pプロジェクト」が始動することとなったのです。
ブリジストン・モールトンの6つの特徴
ブリジストン・モールトンの開発には妥協はありませんでした。モールトン博士のブリティッシュエンジニア魂と日本の真摯なもの作りへの姿勢は最高の自転車を作り上げました。ここではモールトンシリーズ1への原点回帰と最新技術が融合した理想の自転車、ブリジストン・モールトンのテクノロジーに触れていきましょう!
その①ハンドル
自転車のハンドル幅はタイヤのサイズによって決まります。走行バランスを保つためには、ハンドルが切れすぎない幅にすることが重要。だから小径車であるモールトンには通常の500~550mmと比較すると狭く感じる450mm幅のハンドルがぴったりなんですね。
その②フレーム
ブリジストン・モールトンは会走行安定性と操縦性を両立するため、独自の最新フレーム設計技術を駆使しています。そのホイールベースは一般の軽快車とほぼ同じである1080mm。ミニベロとしてはやや長めです。そのフレームもアルミ押し出し材溶接構造を採用し、高い剛性を保ちながら2.9kgという軽さをも実現しています。これぞ日本の誇る技術力!また最大の特徴はフレームが折りたたみというより分割する方式であること。これは意外にも折りたたみ式よりもコンパクトに収納が可能と評判です。
その③ギア比
ミニベロはペダル1回転で進む距離が短いとかあまり進まないとか思っていませんか?実はブリジストン・モールトンは軽快車とほぼ同じ距離、5m程進むよう設計されているんです!これはモールトンの最大の特徴とも言えます。ちなみにブリジストン・モールトンの一車種BSM-R9は9段変速機が装備されていますが、4段目くらいが軽快車と同じように進むギア比なのだそうですよ。
その④走行安定性
ブリジストン・モールトンは走行安定性を実証するためのテスト走行を「一定の走路を手放しでどのぐらいの距離を走れるか」で比較しているいます。それによると一般のミニベロはブリジストン・モールトンの65%程度の距離しか走行できないという結果が。ブリジストン・モールトンの直進安定性、すごいですね!
その⑤操縦安定性
いわゆる小回りが利くかどうかを時速15kmでコーナーに侵入した際の車輪の軌跡を面積で評価し検証しています。ブリジストン・モールトンは軽快車と同じホイールベースなのに他の自転車よりも最小の面積でコーナリングが可能との結果が!またもう一つの検証としてパイロンのスラローム走行があります。これは危険回避(ハンドリング)性能をみるものなのですが、ブリジストン・モールトンは軽快車などよりも短時間で障害物をクリアし、高い操縦性能を持つことが分かっています。
その⑥乗り心地
(株)ブリジストンの防振ゴム技術部門との協力で可能となった、ゴムスプリング「ダブルフジ」これがブリジストンモールトンの快適な乗り心地を支えています。ちなみに「ダブルフジ」の名前は丁度富士山が水面に映ったような形状の特徴が由来だそうですよ!
ブリジストン・モールトン車種
ここからは現在販売されている車種やオーダー感覚でモールトンをカスタマイズ出来る「フレームキット」をご紹介しながらそれぞれの特徴を見ていきたいと思います。
ブリジストン・モールトンBSM-S18
積水ハウスのCMで山本美月さんが乗っている自転車は、ブリジストンモールトンBSM-S18。お値段は、21万9,048円。
— チャリカフェ(gan) (@chari_cafe) January 4, 2018
高い自転車だってわかって見てる人少ないと思うけど。 pic.twitter.com/C3LePp6lO4
まずはフレームから。BSM-S18は持ち運びに便利なセパレート(分割)型フレームになっています。もともとブリジストンサイクルは折りたたみ式のミニベロを得意としていて、共同開発車も折りたたみ式で開発が始まっていました。しかしモールトン博士は分割式にこだわりが。なぜなら新世代ブリジストンサイクルのミニベロは乗用車のトランクに収まる「カーバイシクル」を目指しており、小型車のトランクに収めるには折りたたみよりも分割式の方が平たく収納できると言う理由でした。そのため分割部分には特殊溶接を採用するなど、耐久性もとことん追及しています。
フレームカラー
SMB-S18のカラーラインナップはP.プレシャスブルー、M.グラッシーグリーン、F.ブリリアントレッドの3色。P.プレシャスブルーは鮮やかな水色、M.グラッシーグリーンとF.ブリリアントレッドはどちらも深い色合いの落ち着いたカラーリングです。お好みでどうぞ。
前後サスペンション
ブリジストン・モールトンには前後のサスペンションが装備されており、快適な乗り心地。前後のサスペンションバランスを重視し、体重の軽い人から重い人まで沈み具合が適正になるようにテストを繰り返されています。
ブリジストン・モールトンBSM-R9
BSM-R9は1962年発売のシリーズ1のリファインモデル。モールトン第1世代から継承する「Fフレーム」は低いメインフレームの為、乗り降りしやすい低い車高を実現していることが最大の特徴です。材質はBSM-S18同様アルミ製ですが、こちらは折りたたみの出来ない非分割型フレームになっています。
フレームカラー
BSM-R9のカラーは4色展開。E.グラスグリーン、E.カモミールイエロー、E.カームブルー、E.バニラホワイトです。 E.カモミールイエローは明るすぎない可愛らしい色味、E.カームブルーは爽やかな空の色のよう。どれも素敵で迷っちゃいますね。
ブリジストン・モールトンフレームキット
フレームキットとはパーツやカラーを選び、オーダーメイドのように自由にカスタムすることが出来るシステム。ブリジストン・モールトンフラッグシップショップ限定となっています。是非オリジナルブリジストン・モールトンを作ってみませんか?フレームは折りたたみ可能な分割式のBSM-SF、非分割式のBSM-RFの2種類から選べます。
カラーオーダー
フレームカラーは全31色の中から好きな色を選ぶことが出来ます。ペイントタイプはハイライトがキラキラ輝く「ダイヤモンド」や「メタリック/パール」、「マット」、「モノトーン」、高彩度のソリッドカラー「ビビッド」と本当に目移りするラインナップ!あなたはどれを選びますか?
ブリジストン・モールトンオプションパーツ
フレームキットでなくてもブリジストン・モールトンの専用オプションパーツを使って自分なりにカスタムを楽しむことも出来ます。軽快車などには通常装備になっているフロントやリアのキャリア、輪行用キャリングバッグなど自分のスタイルにあったオプションパーツで更にサイクルライフを充実させてみては?
ブリジストン・モールトン口コミ
ここまででこの日本のミニベロの実力お分かりいただけたでしょうか。時間や海を越えて出会ったエンジニア達の妥協の無いもの作りの魂が、私たちにこの小さな贈り物を届けてくれました。ここでブリジストン・モールトンに実際に乗っている方々からの評判をまとめてみました!
スピード感のある走り
「平均30km/hで走ります。下りは40km/hぐらい出しますがぶれもなく安定した走りです」、「ペダルが軽く減速しにくいのでどんどんスピードを上げることが出来ます」、「スピードはママチャリの比ではありません」等その軽快な走りを絶賛する方多数!でした。
使い勝手やおしゃれ感
「仕事柄荷物が多くその運搬が悩みの種でした。(中略)クロスバイクに大型リアキャリアをつけて走っていました。スタイルが?でしたが実用面優先していました。この度モールトンに変え、大型キャリアに大型のカゴをつけていますが、自分的には結構恰好が良く、しかも乗り降りしやすいです。」、「純正の輪行袋に分割して収めると思ったよりも小さいサイズになりました」、「この自転車はスーツやおしゃれな服装をして、街を小粋に駆け抜けていく紳士・淑女にぴったり」とそのスタイルと実用を兼ね備えた実力は本物みたいです!
乗り心地のよさ
「タイヤを高圧にしても、ハンドルやサドルへの路面の小さなでこぼこの振動は全然伝わりません。私は、初めてこの自転車に乗った時、まるで飛んでいるような気分でした」、「お尻は少し痛くなりましたが、思ったよりも疲れず驚いております。何よりも往復40km のサイクリングをさせてしまう(中略)この自転車の魅力に驚いております。」この評判を聞いては乗ってみずにはいられませんよね!
ブリジストン・モールトンまとめ
いかがでしたか?ミニベロは走らない、乗り心地が悪いなどのイメージを持っていた方はブリジストン・モールトンの評判を聞いて、ミニベロの評価が少し変わったのではないでしょうか。走りよし、見た目よし、乗り心地よしとの特徴を三拍子揃えた自転車には中々お目にかかれないと思います。またカスタムする楽しみ、折りたたみで持ち運び、知らない土地でのサイクリングなど楽しみ方は人それぞれ。それがブリジストン・モールトンが多くの方に支持される理由かもしれません。いよいよ春本番!小さな相棒を連れて外に飛び出しませんか?