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ミツマタ(三椏)とは?和紙の原料になる植物の特徴や栽培方法をご紹介!

古くから和紙の原料として知られるミツマタ(三椏)は、中国原産で冬には葉を落とす落葉低木です。そんなミツマタ(三椏)の特徴や、皮が和紙の原料になり、花も可愛く香りも良いので、庭木や鉢花、盆栽などとして栽培されるミツマタの栽培方法などをご紹介します。
2020年8月27日
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ミツマタ(三椏)とは?

中国原産で、樹高は1~2m位の落葉低木です。枝が三つに分かれているので、ミツマタという名前が付けられました。ミツマタの樹皮は和紙の原料として有名です。この植物の花は、沈丁花と同じように、小さな花が集まった半球形で、秋に枝の先端に花芽を付け、早春に良い香りのする花を咲かせます。この小さな一つずつの花は沈丁花と同じく、花弁では無く筒状のがくの先端が四つに裂けて反り返った物で、花びらを持ちません。花の色は黄色やオレンジ色で、花の開花時期は、3月~4月中旬です。《三椏の花》は俳句では啓蟄(けいちつ)(3月6日ごろ)から(4月4日ごろまで)の春を表す季語とされています。

ミツマタ(三椏)の産地

ミツマタはコウゾやガンピなどとともに、日本固有の製紙原料です。このミツマタが一般的な製紙原料となったのは明治の初め印刷局が始めて使用した頃です。ミツマタは苗を植えてから3年ごとに収穫が出来ます。ミツマタは、最初は静岡や山梨両県で栽培されるようになりましたが、そののち和紙の需要が増大するに従って中国、四国地方に広がり、今では生産量第1位は岡山県です。そして、高知、徳島、島根、愛知県の順になりますが、近年は年々減産しつつあります。

ミツマタ(三椏)の園芸品種

ミツマタには一般的な黄色のミツマタと、真っ赤なベニバナミツマタがあります。

ミツマタ

枝先に下を向いてまあるく咲く黄色の花が可愛らしく、良い香りも漂わせます。この花の姿も切り花として好まれる理由です。

ベニバナミツマタ

アカバナミツマタとも呼ばれ、良い香りも花の様子も基本のミツマタと変わりません。ミツマタの花の色が赤い種類です。

ミツマタ(三椏)の栽培方法

栽培場所・日当たり

ミツマタの苗は根元の直径が5㎜以上で丈が30㎝以上の、細根が多く、病害虫のない健康な苗を選んで下さい。日向でも、明るい日陰でもよく育ちますが、苗木のうちは直射日光が当たらない方が育ちが良いようです。しかし、あまり日照不足になると花が咲きにくい場合があります。西日を避けて、木漏れ日が当たるような場所がベストです。


ミツマタ(三椏)を栽培するための用土

ミツマタを栽培するための用土は水はけが良くて、肥沃な土が植え付けに良いようです。ミツマタは根の表皮が柔らかく、根が傷つきやすいので、移植を嫌います。一度植え付けると他の場所に植え替えるのは難しいので、植える土地を吟味してから植え付けて下さい。小さな苗でも根を乱暴に扱うと根付かない場合があるので、根の周りに付いている土は落とさずに盛り土をして、地上部がぐらつかないように支柱を立てて植え付けて下さい。植え付けの時期は、春、暖かくなってくる時期がベストです。 鉢植えの用土として同じく水はけの良い肥沃な土(赤玉土中粒1:日向土中粒1:完熟腐葉土2の割合)で、植える鉢も素焼の鉢など通気性の良い植木鉢を選び、根腐れしないように気を付けて下さい。

ミツマタに与える肥料

地植えには、1,2月位に元肥として株元の周りに有機肥料を与えます。鉢植えの場合は、花が咲き終わった後、また、翌年に咲く花芽が出来る前の6月位に化成肥料を与えて下さい。

ミツマタの水やり

この植物は、地植えも、鉢植えも、植え付けて1年経たないような株には土の表面が乾いたら、こまめに水を与えて下さい。地植えの場合で1年以上たった株には、雨などの自然界の水で大丈夫です。ただ、夏場などの乾燥には注意が必要です。

ミツマタを栽培するための注意点

★剪定する場合には、枝は付け根から切り落とします。 ★日照不足は花が咲かない原因になりますので、日当たりに注意して下さい。 ★移植を嫌いますので、植え付ける前に場所や日当たりをよく吟味して下さい。 ★この植物は、強風に当たるのは苦手です。

ミツマタ(三椏)の剪定

ミツマタは剪定をしなくても自然に樹形がまとまるので、基本的に、この植物は剪定はあまり必要ありませんが、枝が張って来て剪定する場合は、花が咲き終わった4月下旬位に枝の付け根から切り落として下さい。枝を中途半端な所で切っても、そこからは芽は出ません。

ミツマタ(三椏)の増やし方

ミツマタは、挿し木や接ぎ木で増やす事が出来ます。挿し木の時期は2月~3月が適していますが、花が終って次の花芽が付く5月~7月でも可能です。接ぎ木の適期は2月~3月になります。また、暖かい地方では、実を付けることが多いので、実が付いたら6月下旬に熟した果実を取ります。種を蒔くのは3月中旬~4月頃なので、それまで採取した種を保存しなければなりませんので、乾かないうちに水洗いをして、湿らせた砂にその種を混ぜ密封出来る袋に入れて、冷蔵庫で保存して下さい。春になって種を取り出し、流水でよく洗い流してから乾燥しないうちに蒔いて下さい。

ミツマタ(三椏)の病気・害虫


ミツマタの病気は白絹病、紫紋羽病、立枯細菌病であり、害虫はカブラヤガ、アカダニ、ハムシ、ネコブ センチュウなどがあり、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の被害(幹の中にもぐりこんで幹を食い荒らします)を受ける場合もあります。

ミツマタの病気

《白絹病》:夏から秋にかけて多発します。酸性土壌で発生しやすいので、消石灰、石灰窒素を与えて土壌のpHを整えて下さい。もし、発病を見つけたら直ちに発病した株を抜き取って下さい。 《紫 紋 羽 病》:雨季から初夏にかけて発生することが多く、植え付け後に発病すると根治は難しいので、病気のない苗木を選んで下さい。 《立 枯 細 菌 病》:春から梅雨の時期にかけて発生し、発病した株はほとんど枯死します。

ミツマタの害虫

《カブラヤガ》:幼虫期には葉を食べ、成長すれば、昼間は浅い土中に潜み、夜になると出て来て茎を根の際から食い切ります。 《アカダニ》:7月~9月位の日照りの続く場合に発生することが多く、葉の裏に寄生し溶液を吸い取ります。発生の都度モレスタン粉剤を散布します。 《ハムシ》:黒色小虫が葉に無数の小いさな穴をあけ、生育を阻害します。ディプテレックス粉剤を散布します。 《ネコブ線虫》:根に大小無数のこぶを作り、地上部の生育が悪くなり、葉が小型化し黄色くなってきます。対策は線虫のいない畑に植えることです。

ミツマタ(三椏)の花言葉

花には色々な花言葉があります。ミツマタの花言葉には、《強靭》《意外な思い》《壮健》《永遠の愛》《肉親の絆》などが挙げられます。また、ベニバナミツマタ(アカバナミツマタ)の花言葉には、《永遠の愛》という花言葉もあります。誰かにプレゼントする時はこの花言葉を踏まえてプレゼントして下さい。 花言葉《強靭》・《壮健》:ミツマタの樹皮の繊維が強くてしなやかである所から付けられました。 花言葉《肉親の絆》・《永遠の愛》:ミツマタを使って作られた和紙は、虫の害にも強く、長期保存ができるところから、長く続く縁や絆が思われ付けられたもののようです。

ミツマタ(三椏)の茎の収穫

収穫期は11月下旬~翌春の4月くらいまでが適期です。それ以外に刈り取った場合は、切り口が腐敗しやすいので、発芽が阻害される場合がありますので注意が必要です。寒さの一番厳しい時期の1月~2月に枝を切り取るのが一番ベストです。この植物がこの時期、寒さから木を守ろうと繊維の層が一番厚くなり、収穫量も多くなるからです。

ミツマタ(三椏)で和紙を作る

ミツマタの和紙は虫も付きにくいので、紙幣や証紙などの重要な書類に使われています。

ミツマタの各地の呼び名

ミツマタという呼び名は、昔は駿河や伊豆地方の方言で、三河地方では《じゅずぶさ》、伊勢地方では《みつえだ》、中国、四国地方では《みつまたやなぎ》や《むすびき》とよばれ、高知では《やなぎ》や《りんちょう》などと産地によって色々な呼び方で呼ばれていたようです。ミツマタの繊維は柔軟で、細くて光沢があり、紙の表面が滑らかで、上品かつ繊細な感じが特徴です。

日本ミツマタと中国ミツマタの違い

日本のミツマタと中国のミツマタの違いは、まず見た目として日本ミツマタは葉も幹も細めですが、中国ミツマタは葉が大きく幹も太いです。手触りは、日本ミツマタは、薄い感じで中国ミツマタは分厚くごわごわしている感じです。元々ミツマタは中国から来たもので元は同じものだったはずなのですが、気候風土の違いにより長年かけて変化したようです。 日本ミツマタを和紙にすると繊維が細くコシがあり光沢のある和紙になりますが、年数の経った木は、脂気が少なくなりかさかさした紙になりやすいです。中国ミツマタは繊維が太く長くカサカサして脂気のない枝ですが、紙にするとふんわりとした和紙になります。


和紙の作り方

・みつまたの枝を60㎝くらいの長さに切り取り水に漬けておきます。 ・みつまたの木を窯に入れて蒸、皮を剥ぎます。そして、剥いだ皮を乾燥させます。 ・和紙になる部分を化成ソーダを入れたかまでゆで、不純物は取り除きます。そして、水を流した水槽に入れ水が綺麗になるまで灰汁抜きをします。

・ビーターという機械にかけ細かく砕き繊維だけにします。 ・トロロアオイという草の根からとった粘質液と繊維と水をすき船と呼ばれる箱に入れよ白っぽくどろどろになるまで良く混ぜます。 ・桁というもので紙液をすくい上げ、紙の厚さが均等になるようにすきます。後は脱水をして乾燥をさせれば出来上がりですが、なかなか熟練した技が必要となります。

ミツマタ(三椏)の毒性

この植物は全体(特に果実)に、毒を持っています。樹液が皮膚に着くと皮膚炎を起こす事があります。症状として口内や胃の炎症、皮膚のかぶれ、または、誤飲による腹痛、血便、大量摂取すると身体が麻痺をすることもあります。

ミツマタ(三椏)を生ける

生け花に利用されるミツマタは、枝の皮を剥いで着色した物を使用します。ミツマタがもつ独特な枝の形と、人工的な着色が独創的な生け花になります。ミツマタの切り花を利用する場合は、大振りな枝なので、大きめの花が合います。また枝をさらした物をカラフルな色に染め上げた物もアレンジするのには最適です。大きなオブジェのような花にアレンジしても映えます。

まとめ

淡い黄色のミツマタの花が一面に咲く光景は壮観です。春を告げるこの花を見てみたくないですか。この可愛らしい花の咲く木が美しい和紙になり、そしてお札になるるなんてとても不思議な植物です。庭木としても、良い香りと、お庭に一番先に春を呼び込む花として植えられるのも、素敵かもしれません。