ビワマスとは
琵琶湖に生息する魚
サケ科の魚は釣りの対象魚としてはもちろん食用魚としても人気です。ビワマスもその名称の示すとおりサケ科です。この魚は、元来琵琶湖にだけ生息していた固有の種なのです。
ビワマスについてご紹介
今回は、このビワマスについてご紹介します。この魚の生態や人との関係。そして釣り方、食べ方に至るまでを詳細にお伝えします。滋賀県にお立ち寄りの際の参考にしてください。
ビワマスの生態
ビワマスはサケ目サケ科の淡水魚
ビワマスは、前述したとおり琵琶湖の固有のサケ科に属する淡水の魚です。分類学上は、アマゴの近縁に当たります。そして、体色に見られる特徴もアマゴと類似した色合いです。
スモルト化
幼魚のころには体に紅い模様が存在しますが成長する過程でこの模様は無くなり、他のサケ科の成魚と同じようなシルバーの体色へと変化していきます。サケ科全般に見られるこのような体色の変化を「スモルト化」と呼びます。
寿命とサイズ
体のサイズはサケ科の種のなかでは比較的小型ですが、それでも大型の個体では50センチ以上のサイズに成長します。寿命は約5年です。ほんの数ミリの稚魚からはじまり、たったの5年で50センチ以上にまで成長します。
他のサケ科の魚は降海していくが
アマゴなどの他のサケ科の種は、産まれ育った川から時期がくると下流域、海を目指して降っていきます。そして、海の豊富な栄養を摂取していき、より大型の個体へと成長してから産卵のために、また川へと帰ってきます。
ビワマスは淡水域で一生を過ごす
ただ、その点でこの魚は他のサケ科の種とは違った生態を有します。ビワマスはその一生を淡水域で終える魚なのです。すなわち潮の香りが漂う下流域や海には向かわずに琵琶湖などの淡水の湖と上流域の川のみを生息場所とする魚です。
ビワマスの生息状況
もともとの生息地は琵琶湖のみ
もともとこのビワマスは、滋賀県のみの固有種で、琵琶湖とその周辺の川にのみ生息するという生態をもった魚でした。ただ、近年では人工放流の結果、滋賀県以外の淡水域でもこの魚は目撃されます。
現在は他県の湖にも生息する
例えば現在、滋賀県の琵琶湖以外でも栃木県・神奈川県・長野県の湖にこの魚は生息します。これは、もともとアユの稚魚を放流する目的で行われた人工放流の際に、琵琶湖から持ち込まれたアユの稚魚に混じってビワマスの稚魚が他県の湖に放たれたのが原因です。
海水には適応できない
ただ、ビワマスはもともと10万年ほどの長きに渡って海水から断絶された水域での生活を余儀なくされた結果、現在の完全淡水型の生態へと進化した魚ですので、海水がわずかでも混じる水域では生息できず死滅する可能性がほとんどです。
水温と水深が重要
また、ビワマスが他の水域で定着しなかった理由として水温と水深が要因として挙げられます。この魚は15度以下の低い水温を好み、そして深く暗い湖の底付近で生息する魚です。そのため、水温が高い湖や深さが足りない湖では生息できません。
アユの稚魚と一緒に放流された
琵琶湖以外の他の湖や河川などにも、ビワマスはアユの稚魚に混じって放流されました。しかし、これらの特徴的な生態のため定着できずに、前述した三県でのみ生き残ったというわけです。
ビワマスの特徴と産卵
他のサケ科の魚と判別が難しい
この魚は他のサケ科の種、特に近縁のアマゴが海から戻ってきた「サツキマス」や、ヤマメが同じく海から戻ってきた「サクラマス」などとよく混同されます。他にもサケ科の種にはたくさんの近縁種が存在しており、知らない方が見た場合には判別の難しい魚です。
やや小ぶりで紅い模様がある
他のサケ科の種と、このビワマスとを見分ける際には見るべき特徴があります。分かりやすい例では、この魚は他のものよりも少しだけ小ぶりで、体に幼魚のころの紅い模様がわずかに残って浮かんでいるというものが挙げられます。
産卵期は10月から11月
産卵期は10月から11月で、琵琶湖から流れる川で行われます。産卵が行われる川はもともとそのビワマスが産まれた川です。この魚の寿命は5年で、性的に成熟した状態の個体はオスメスともに赤や緑の模様が浮かぶ特徴的な体色へと変化していきます。
食性は肉食
ビワマスは主に、川に生息するエビやハゼ科の小魚、そして小さなアユなどを捕食して成長していく魚です。ただ、産卵期に入った個体はもうエサを摂取しなくなります。
産卵後に寿命を迎える
この頃には本格的に体色が産卵に向かって変化していき、オスの個体ではさらに顔つきまで変化していきます。もともとビワマスの顔は一般的な魚のような緩やかな曲線を描いた形状です。これが産卵期のオスの個体の場合にはまるでサケのような口元と鼻先に変化します。そして、産まれた川で産卵を終えた個体はオスメスともに寿命を迎えます。
ビワマスの一生
卵から産まれた稚魚たちは、サケ科の種のなかでも早い段階で湖、すなわち琵琶湖へと泳いでいきます。そして、琵琶湖の深部に潜りそこで一生のほとんどを過ごして、親と同じく5歳を迎えたころの産卵期にはまた産まれた川へと向かうのです。
別名「アメノマス」
ビワマスには「アメノマス」という異名があります。アメノマスという名称は産卵期のこの魚が特に雨の日かその翌日に、大群で川に泳ぎだして卵を産むことに由来があります。これは完全淡水域でのみ生息できるビワマスが雨によって川の塩分濃度が下がったのを見計らって行動を開始するというのが真相です。
ビワマスの漁法と養殖
ビワマス漁は滋賀の伝統
滋賀県では古くからビワマス漁が行われます。漁法は刺し網かトローリングが主流です。刺し網とは、船で湖に網を囲んで魚を捕らえる伝統的な漁法です。トローリングは船舶で釣り竿を利用して仕掛けを動かす大胆な漁法です。
滋賀県の宝であるビワマス
もともと天然の琵琶湖産ビワマスは「滋賀県の宝」と表現されるほどの絶品で、知る人ぞ知る滋賀県の名産品です。ただ、外来種の伝播によって琵琶湖の生態系が汚染されてきた最近の情勢を鑑みて、自治体と地元の漁師らが協力してビワマス保護のための施策を行っています。
ビワマス養殖の確立
この策の一環として、この魚の養殖が研究されてきました。ビワマスを安定的に市場に供給していき、より滋賀県の名産品として日本全国や海外にまで周知させていくために、専門の研究機関によって試行錯誤が重ねられ、最近ようやくビワマス養殖の技術が確立されてきました。
養殖ビワマスが出荷開始
2017年に滋賀県の長浜市にある研究機関と大学が共同で研究した人工飼料によって養殖されたビワマスが満を持して一般の市場に提供され、マスコミから脚光を浴びました。滋賀県以外にお住まいの皆さんの食卓に、養殖ビワマスが並ぶ日も、そう遠くはないかもしれません。
ビワマスの釣り方
ブラックバスの釣り方ではビワマスは釣れない
琵琶湖はブラックバス釣りを目的にして足を運ぶ釣り人の多い湖です。ただ、ブラックバスだけでなくこの魚も、もちろん釣り対象魚として人気があります。しかし、ブラックバスとビワマスはその生息する深度が違います。ブラックバスは比較的、琵琶湖の上層に生息する魚です。
ビワマスは琵琶湖の深いところに
この両種の生息深度の違いは、外来種であるブラックバスなどの侵略によって琵琶湖の生態系が汚染されているにも関わらず、この魚が何とか絶滅を免れて生息できている理由として挙げられます。広い琵琶湖で、浅い部分はブラックバス、深い部分はビワマスと何とか住み分けが成り立っているというわけです。
ビワマスの釣り方はトローリング
ビワマスの釣り方としては先の漁業方法でも触れた、トローリングによる釣り方が主流です。小型の船舶を利用して、湖上を船で走りながらスプーンやミノーなどのルアーで琵琶湖の深い部分をダイナミックに探りつつ、アタリを狙うという釣り方です。
専門の業者に依頼しよう
琵琶湖でのトローリングによる釣り方を個人が自由に行うことは許可されていません。そのため、琵琶湖周辺にあるトローリングによる釣りをサービスとして提供する許可を得た業者さんに依頼をして楽しむという形になります。
トローリングは人気の観光レジャー
そう言われると、何やらハードルが高いように感じてしまいますが滋賀県でのトローリングフィッシングは人気の観光レジャーでたくさんの人に親しまれます。
ビワマスフィッシングガイド京丸
おすすめの業者さんは「ビワマスフィッシングガイド京丸」さんです。初心者の方からリピーターの方まで幅広く利用する業者さんで、分かりやすくビワマスの釣り方を教えてくれることで評判です。滋賀県へ観光の際にはトローリングによる釣り方を楽しんでみるのもよいでしょう。
●ビワマスフィッシングガイド京丸●〒529-0721滋賀県長浜市西浅井町大浦1823●090-1477-1059
ビワマス釣りは制約があるので注意
また、この魚を釣りに行く場合には小型のビワマスはリリースしなければいけません。そして、産卵期には禁漁期間となり釣り自体ができません。その他、持ち帰りできる個体数にも制限があるなど制約が存在しますので注意しましょう。
ビワマスの食べ方
ビワマスは食べやすい魚
ビワマスの味は他のサケ科の種と似た食味なのですが、海洋に降っていかないぶん、それらの魚たちが持つ特有の磯臭さがないので、より口当たりがよく食べやすいのが特徴です。
ビワマスの美味しさはマグロ以上
川魚というと、マグロなどの海に生息するものよりも一般的に風味や旨みが劣るというような認識がありますが、この魚についてはその認識は当てはまりません。
ビワマスの旬
ビワマスの旬は初夏です。産卵期に入ったこの魚は産卵のために生殖器官を発達させていき、その他の部位についてはどんどん痩せて旨みが減っていきます。そのため、産卵期に入る前の初夏の頃が、ビワマスが美味しい時期です。
ビワマスのイクラは珍味
ただ、産卵期のビワマスが持っている卵、すなわちこの魚の「イクラ」は珍味として人気があります。しかし、淡水域で生活するサケ科の種のイクラは、サケのものとは少し食味が異なり、小ぶりでやや固さが残るので万人受けはしない食材です。地元では醤油で漬けたものが主に提供されます。
ビワマスの食べ方おすすめ3選!
ビワマスの食べ方は他のサケ科の種たちと同じくいろいろあり、生食から焼き、揚げ、煮るとあらゆる調理法が可能でレシピの幅がとても広いです。そんなビワマスの食べ方のなかから特におすすめのものを3つご紹介します。
ビワマスのおすすめレシピ.1
ビワマスの押し寿司
ビワマスの寿司は滋賀県の名物です。マス寿司と同じ要領で作られたそれは、通常のマスを使用したものよりも脂が濃厚で旨みを強く感じられます。もともと旬のビワマスは寿司にせずに刺身で食べても大トロ並みの味わいです。寿司として食べる場合には、鮮度のよい生食用のものを購入しましょう。
ビワマスの深い味わい
川魚の寿司はあまり馴染みがないという方も多いことでしょう。ただ、ビワマスの寿司は海の魚を利用した寿司と比較しても遜色ないほどの深い味わいがあります。
お祝いにはビワマス寿司を
寿司はご家庭で作るには難易度が高い部類のものですが、マス寿司はレシピの通りに作れば簡単にできますのでお祝いなどの特別な日をビワマス寿司で彩ってはいかがでしょうか。
ビワマス寿司のレシピは簡単
酢飯を用意してこの魚の切り身と共に、巻きすやラップでくるくると巻いてから重しをのせて2時間ほど置けば完成です。川魚の匂いが気になる方は酢飯に生姜を入れてもよいでしょう。押し寿司という形にこだわりがなければ、簡単に海苔で巻いて巻き寿司にしても美味しく食べられます。
下準備が大事
ポイントはビワマスの切り身からあらかじめ十分に水気をとっておくことです。キッチンペーパーなどで切り身を包んでから冷蔵庫で半日ほど置きましょう。これは他のレシピでも必ず行うべき大切な下準備です。
ビワマスのおすすめレシピ.2
ビワマスのムニエル
ビワマスはムニエルにしても絶品です。前述したようにまず切り身から水気をとり、そして軽く塩コショウをふって10分ほど味を馴染ませます。そして小麦粉を薄くまぶしたらバターを引いたフライパンで表面をカリッと焼き上げましょう。
旬のビワマスで作るムニエルは絶品
サケやマスの臭みがほとんど感じられない上に、脂と身質が極上となる旬の時期のものは熱を通す食べ方でも美味しく食べられます。ご飯のおかずにはもちろん、ワインと一緒にいただいても抜群の相性となるおすすめのレシピです。
ビワマスのおすすめレシピ.3
ビワマスの煮付け
お酒のアテというより、白米と一緒にいただきたい食べ方が煮付けです。サケ科の種は煮る調理法の場合には臭み消しに多めに生姜などを入れる必要がありますが、ビワマスの場合には基本的に醤油と砂糖とみりん、料理酒のみで十分美味しく仕上がります。
ご飯のおかずに最適な一品
甘辛く煮付けたビワマスはメインのおかずに最適のレシピです。旬のビワマスから出る芳醇な脂がダシと一緒にタレに絡んで、ますますご飯が美味しくなります。この魚の旬は初夏なので、これから来る本格的な夏を乗り切るための体力を是非、このレシピで付けましょう!
ビワマスのまとめ
ビワマスを釣って楽しみ食べて喜ぶ
ビワマスについてはいかがでしたでしょうか。琵琶湖は日本でもっとも大きな湖として知られています。ブラックバスを釣る人気スポットしても有名なこの湖に、今年は趣向を変えてビワマスのトローリングフィッシングへ向かいましょう!また、養殖ビワマスをもし市場で見かけたときには是非、手にとってその絶品の味わいを楽しんでください!
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