小さい蛾「メイガ」とは
メイガとは、鱗翅目(りんしもく)メイガ科に分類される昆虫の総称です。チョウや一般的な蛾に比べて小さい蛾は、メイガであることがほとんどで、羽を下向きの屋根のように広げたまま物に留まるという特徴があります。
メイガは、日本だけでも600種類以上の種が存在すると言われています。大部分は夜行性ですが、一部は昼飛性であったり、色や柄、形、生態が異なる、さまさまな種類が存在しています。
メイガの生態
メイガは、1年の間に4~5回卵を産むといわれています。卵は、幼虫のえさになりそうなものの周囲に産みつけられ、数日で孵化し、幼虫になります。メイガが幼虫でいる期間は、22~45日で、その間にいろいろと人間を困らせる行動をとります。
その後、幼虫は蛹(さなぎ)になります。蛹は、1週間程度で成虫となったあと、2週間程度で寿命を迎えます。その2週間の間は、基本的に餌は食べず、ひたすら交尾し、産卵します。その結果、小さな体ではありますが、一生に200個近くの卵を産み付けます。
メイガの発生源
屋外の発生源
メイガの野外での発生源は、市街地の場合、精米所や食品貯蔵庫、農園などが多いと言われています。また、自然が多い場所では、鳥の巣や蜂の巣などもメイガの発生源になります。ただ、メイガの発生源についてはまだ研究途上なため、「どうしてこんなところに?」というような場所に、メイガが多量発生することもあります。
部屋の中の発生源
メイガは、部屋中のあらゆる場所を発生源として大量発生します。基本的に、メイガは幼虫の餌となりうるものがある場所に卵を産むので、米などの穀物類、小麦粉、お菓子、ドッグフードなど、食品がある場所、つまりキッチンがメイガの発生源になることがほとんどです。
メイガが活動する季節
メイガは暖かい季節が好き
メイガは、暖かい季節が好きなので、自然環境下では、春から秋にかけて成虫が活動します。気温が低い日が続くと、成虫は見かけなくなりますが、幼虫の状態のまま越冬していることもあります。
部屋の中ならメイガは越冬可能
メイガは暖かい季節が好きなので、冬になると、屋外で成虫を見かけることはなくなります。しかし、冬も暖房が効いている部屋の中では、メイガは1年中発生することができます。
メイガは1cm程度の小さい蛾なので、部屋に侵入していても気づかれないことも多く、部屋の住人に知られないまま、そっと部屋の中で繁殖していることもよくあります。
食品害虫のノシメマダラメイガ
メイガの仲間には、人間や動物の食料を食べる、「食品害虫」とされる種類もいます。その中でも有名なのが、「ノシメマダラメイガ」と呼ばれる種類で、メイガの中でも特に小さい蛾です。
ノシメマダラメイガが食品害虫と呼ばれるのは、幼虫時代にいろいろな食品を食べるからです。 ノシメマダラメイガの幼虫は、米などの穀類や小麦粉、調味料をはじめ、ドライフルーツやコーヒー豆、さらにはクッキーやチョコレートなどのお菓子、ペットフードなど、あらゆる食品を食べ、成長します。
幼虫は最初はとても小さいので、なかなか食害に気づけません。しかし、シメマダラメイガの幼虫が成長したり、大量発生してしまうと、米の場合、みるみるうちに嵩が減ってしまいます。
「米が減っている・・・?」と思って、米びつを見ると、ノシメマダラメイガの幼虫がうごめいていることもあるので、予防や対策をしっかり行うようにしましょう。
ノシメマダラメイガを食べたらどうなる?
ノシメマダラメイガは、あらゆる食品に発生するとなると、もし、ノシメマダラメイガの幼虫を誤って食べてしまった場合、どうなってしまうのか気になりますよね。
しかし、安心してください!ノシメマダラメイガの幼虫にも成虫にも毒はないので、食べてしまっても腹痛を起こすなどの健康被害はありません。また、メイガは病気を媒介することもありませんので、食べてしまっても、気にしないようにしましょう。
ノシメマダラメイガの駆除方法
ノシメマダラメイガの駆除方法1.天日干し
ノシメマダラメイガの幼虫が米に発生した場合は、天日干しをして駆除しましょう。新聞紙やビニールシートなどに米を広げ、しばらく置いておくと、ノシメマダラメイガが這い出していなくなります。
もし可能でしたら、這い出したところを捕まえ、退治しましょう。そうすることで、今後の繁殖を防ぐことができます。 ノシメマダラメイガがいなくなった米は、通常通り食べることができますが、気になる方は、再度精米をするのもおすすめですよ。
ノシメマダラメイガの駆除方法2.水洗い
米が残り少ない場合などは、水洗いして、炊いてしまうのもおすすめです。水洗いすると、ノシメマダラメイガの幼虫は水面に浮いてきます。幼虫が浮いてくるたびに捕まえて退治すれば、いつも通り米を炊いて、食べることができます。
ただ、水洗いでノシメマダラメイガの幼虫を駆除した場合は、いつもより少し丁寧に米を洗い、幼虫が残っていないかしっかり確認してから、炊飯するようにしてくださいね。
ノシメマダラメイガの駆除方法3.捕殺
ノシメマダラメイガの幼虫が、まだ大量発生に至っていない場合は、1匹1匹捕獲して退治する方法も確実でおすすめです。割りばしを使うと、滑らず上手に捕獲できますよ。退治する方法は、つかんだ際にそのまま箸でつぶしてもよいですが、気持ち悪いという方は、屋外に連れて行って、殺虫剤をかけて退治するのもおすすめですよ。
ノシメマダラメイガの駆除方法4.廃棄
虫を見るのも苦手!という人におすすめな駆除方法は、破棄です。また、大量発生してどうしようもない時も、破棄がおすすめです。ノシメマダラメイガが発生した食品を破棄する際は、食品から幼虫が出てこないようにしっかりと封をしてから、捨てるようにしましょう。
ノシメマダラメイガの発生対策
ノシメマダラメイガの発生対策1.食品の保存に気を遣う
ノシメマダラメイガは、小さな隙間さえあれば、どこからでも侵入します。また、薄いビニール袋などは、噛み切って侵入してしまうこともあります。そのため、食品を保存する際は、厚めのビニール袋や保存容器を使用し、しっかりと封をして、ノシメマダラメイガの入り口をつくらないようにすることが大切です。
冷蔵庫も効果あり
また、冷蔵庫で保存できるものは、冷蔵庫に入れておくことも、ノシメマダラメイガ対策に効果があります。さすがのノシメマダラメイガも、冷蔵庫には簡単に侵入することができない上、寒さに弱いので、被害を未然に防ぐことができます。
ノシメマダラメイガの発生対策2.唐辛子やにんにくの力を利用する
米にノシメマダラメイガが発生すること防ぐには、唐辛子やニンニクの力を借りるのがおすすめです。唐辛子の場合は、米10kgに対して5本、にんにくは皮付きのまま1つ、米の上に載せておくだけで効果があります。ただ、その際もできるだけ密封容器や、しっかりとふたを閉められる米びつに入れておくようにしましょう。
また、にんにくを使用した場合は、まれに青カビが生えることがあるので、時々様子を見て、青カビが生えたら、新しいにんにくに交換するようにしましょう。にんにくのにおいが、米に移ることがありますが、米を研いだり、炊飯することでにおいは取れるので、安心してくださいね。
ノシメマダラメイガの発生対策3.対策グッズを利用する
米に害虫が発生することを防ぐための対策グッズも販売されています。スーパーマーケットの米売り場や、ドラッグストアなどでも販売されていて、比較的安価で取り扱いも簡単なので、ぜひ使ってみてくださいね。
畑や花壇に発生するメイガ
ノシメマダラメイガ以外にもやっかいなメイガがいる
メイガには、畑や花壇に発生して、農作物に被害を及ぼす種類もいます。畑や花壇の場合、大量発生すると、あっという間に被害が拡大してしまうので、メイガの成虫を見かけたり、幼虫を見つけたら早めに対策を講じる必要があります。
畑や花壇に発生するメイガはたくさんいますが、その中でも特によく大量発生することで知られているメイガを2種類ご紹介します。
アワノメイガ
アワノメイガは、トウモロコシの天敵とも呼ばれているほど、甚大な被害をもたらすメイガです。アワノメイガの成虫は、トウモロコシの雄穂に産卵するのですが、孵化した幼虫はそこからトウモロコシの実の中に侵入し、実をどんどん食べてしまうのです。
実を食べつくすと、茎の中も食い荒らし、実や茎の中すべてが、アワノメイガのフンでいっぱいになっていた・・・ということもよくあります。
シロイチモジマダラメイガ
シロイチモジマダラメイガは、枝豆に発生するメイガで、幼虫がさやの中に入り、豆を食べてしまいます。シロイチモジマダラメイガが、枝豆の栽培を始めると、100%と言ってよいほど発生するため、枝豆のを栽培する際は、大量発生しないように前もって対策をしておく必要があります。
畑や花壇に発生するメイガの駆除方法
畑や花壇に発生するメイガの駆除方法1.捕殺
畑や花壇に発生するメイガも、基本的に小さい蛾なので、成虫になって捕獲して退治するのは、なかなか難しいです。そのため、幼虫でいる間に見つけ、捕殺するようにしましょう。ただ、幼虫も小さいため、畑や花壇が広い場合は見つけることも難しいです。そういった場合は、次にご紹介する薬剤を使用した駆除方法を試してみてくださいね。
畑や花壇に発生するメイガの駆除方法2.薬剤散布
畑や花壇に発生するメイガの幼虫は、農作物を食べるだけでなく、葉を巻いて住処をつくったりするため、大量発生すると、畑が散々な状態になってしまいます。
最悪の場合、野菜や果物が食べられない状態にまでなることもあるので、捕殺では追いつけないほど大量発生した場合は、薬剤を散布しましょう。使用する薬剤は、スミチオン乳剤やオルトラン水和剤などが有効です。
畑や花壇に発生するメイガの発生対策
畑や花壇に発生するメイガの発生対策1.早めに薬剤散布をする
トウモロコシや枝豆など、メイガの発生しやすい植物を栽培する場合や、メイガが発生したことがある畑や花壇の場合、メイガの被害が確認される前から、定期的に薬剤を散布することで、発生を防ぐことができます。
メイガは小さい蛾な上、夜行性のものが多いため、飛来してきていてもなかなか気づけません。また、幼虫が実や茎の中に侵入すると、薬剤も効きにくくなります。ぜひ、早めに対策をしてくださいね。
畑や花壇に発生するメイガの発生対策2.早めに破棄
メイガが茎や実に入り込むと、駆除が難しいため、入り込んだ箇所がわかる場合は、早めにその部分を破棄することも効果的です。その際は、メイガが再び畑に戻らないよう、退治するか、袋に入れてしっかり封をしてから、破棄してくださいね。
小さい蛾でも油断禁物!
メイガは、とても小さい蛾ではありますが、人間の生活を脅かすほどの「破壊力」を持っていて驚きますよね。部屋に侵入してきた場合も、小さい蛾だからと放置するのではなく、産卵し繁殖する前に、退治するようにしましょう。また、1度でも被害を受けた場合は、また同じ被害にあわないよう、しっかり対策もするようにしましょう。