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野菜の天敵「青虫」!その生態と駆除・対策方法とは?これで撃退できる!

青虫駆除は、キャベツなどの野菜栽培において必須の問題です。大量発生してからでは退治が難しいと言われる害虫対策。野菜をおいしく楽しく育てるために、今回は、野菜に発生する害虫の生態とその撃退法について、農薬・無農薬それぞれにおける対策法を紹介いたします!
更新: 2022年5月3日
森川 美月
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野菜の天敵「青虫」とは

まずは「敵」について、その生態をよく知ることが大切です。一般的に青虫とは、チョウやガの幼虫のことを言います。体に長い毛がないのが特徴で毛虫と区別されますが、キャベツや白菜などの野菜の葉っぱを食べるため害虫と呼ばれ、主に緑色の体です。

野菜につく青虫の種類と生態

野菜の科目ごとにある種の害虫が発生することが多いのですが、中には多くの野菜に共通して発生する害虫がいます。まずは、野菜に寄生する害虫にはどのような種類があるかを知りましょう。 農薬使用・無農薬栽培それぞれにおける駆除方法もご紹介しておりますのでご一読ください。

青虫の生態

キャベツなどによくつく青虫です。見つけ次第、捕殺や農薬散布をして駆除を試みます。青虫は自分の体の数十倍もの葉を食べるため、光合成ができず野菜が傷むのです。 主食:アブラナ科の植物 キャベツ、大根・カブ・チンゲン菜・白菜・ブロッコリー・小松菜・ラディッシュなど。

白菜の虫食い穴の多さに、驚きです! 害虫対策をしないで放置するとこのように穴だらけになり、野菜としての価値がゼロになってしまいます。 こうなる前に、葉裏を徹底的にチェックし、一匹ずつ駆除しましょう。 青虫に効果的な農薬を使うこともおすすめです。

ヨトウムシの生態

ヨトウガという蛾の幼虫です。ヨトウムシは「夜盗虫」と書きます。その名の通り、夜に地中から出てきて、人目をしのんで野菜を食べるため、退治が難しい害虫です。昼間は地表近くに隠れていることが多いので、株の周りを掘り起こしてみて、見つけたら捕まえて退治します。

ダイコンハムシの生態

ダイコンサルハムシとも言います。幼虫は濃褐色や黒色で体長は約7ミリ、成虫は光沢のある濃紺や黒紫色で丸い体、体長は約4ミリです。幼虫・成虫ともに葉を穴だらけにするため、早めの駆除が肝要です。青虫同様、アブラナ科の植物を食します。

アブラムシの生態

体長は2~4ミリほどで、集団発生し、葉・茎・花に寄生して吸汁します。メスだけで子供を産む「単為生殖」という生態をしており、繁殖力が非常に高いです。 甘い排泄物を出してアリを味方にし、外敵から身を守ります。この生態が由来で「アリマキ」という別名があります。

害虫の発生時期と発生原因

●発生時期 春から秋、気候のよい季節に発生する虫が多いです。 ●発生原因 野菜を大量に育てている畑は、害虫たちにとってはごちそうの山です。株が弱っていたり、日当たりや水はけが悪かったり、枯れ葉が多いなど、害虫が好む条件が整っていると、自然と害虫は集まってきます。

青虫の発生時期と発生原因

●発生時期・・・春(4~6月)と秋(9~11月) ●発生原因 近くに青虫を好んで退治してくれる天敵がいない(スズメなど、害虫をエサとして食べる野生の鳥がいない、マンションの高層階や都市部など、青虫の天敵自体が飛来しにくい場所である)

ヨトウムシの発生時期と発生原因

●発生時期・・・5~11月 ●発生原因 肥料成分過多の野菜を好む害虫なので、あまり畑の雑草をきれいに除去しすぎると、肥料成分が野菜の方へ集中するため、被害が出やすくなります。雑草も、ほどほどに残しておいた方が害虫除けになっていいのです。

ダイコンハムシの発生時期と発生原因

●発生時期・・・春(4~6月)、夏(休眠)、秋(9~11月)、冬(枯草の下で越冬) ●発生原因 ハムシ類は、未熟苗や弱った株を食害します。越冬した成虫が春に産卵し、6月過ぎに幼虫が孵化し、初夏に再び成虫が現れて産卵するのです。年に数回このサイクルを繰り返します。

アブラムシの発生時期と発生原因


●発生時期・・・一年中(特に3~10月)、夏の暑さには弱い ●発生原因 晴天続きで降雨量が少ない年や、日当たりの悪い環境で発生するのが特徴です。オスと繁殖を行うとオスが生まれ、メスだけで卵を産むとメスが生まれます。一年中増え続けるため、撃退対策が必要です。

野菜に発生する害虫別駆除方法

害虫には野菜に寄生しても問題ないものもいますが、多くの害虫はそのまま放っておくと、野菜の大部分が食い荒らされてしまい、苗へのダメージが深刻です。 早期発見・早期駆除がポイントになってきますが、害虫の飛来を未然に防ぐ方法もあります。

青虫の駆除方法

幼虫を見つけたら捕殺します(早期発見がベスト)。葉の裏に産み付けられた卵がないか探し、あれば葉の上からすりつぶしてください。大量に発生してしまった時は農薬散布を試みます。直接害虫に散布するタイプもあります。初期段階での薬剤散布を検討するのもよいでしょう。

ヨトウムシの駆除方法

葉裏に卵を見つけたら、葉ごと切り取って捨てるか、手袋などでこすってつぶします。農薬「オルトラン水和剤」などを使って駆除してください。農薬を使用したくない場合は、ヨトウムシの大好物、米ぬかを置いておびき寄せ、殺虫剤や手で直接退治します。

ダイコンハムシの駆除方法

成虫は、多発する前に手で捕まえて、早期駆除します。農薬「ベニカS乳剤」などが効果的です。成虫は反射光を嫌うので、シルバーマルチを敷くかシルバーテープを近くに張ると良いでしょう。泥をつけた割りばしで成虫を触るとすぐにくっつくので、捕殺します。

アブラムシの駆除方法

植物そのものを傷つけないよう、粘着力の弱いテープで貼り付けて駆除します。小さなブラシでこすりとり、ゴミ袋に落としてください。またはアブラムシの天敵、てんとう虫に食べてもらいます。キッチン洗剤や牛乳を水で薄めたものを、霧吹きで吹きかけ窒息死させる方法もあります。

農薬で青虫を駆除 -害虫退治に有効な農薬4選-

農薬は、害虫駆除の最終手段という考え方もありますが、必要最低限上手に用いて、害虫対策を行いましょう。無農薬で育てた野菜の方が、安全で安心なイメージがありますが、完全無農薬で育てるとなると、日常的に害虫を撃退し続けなければならず、生産者の方も大変です。

①農薬「ガゼット粒剤」で青虫駆除

出典: https://www.amazon.co.jp

効果を示す害虫 ・水稲の初期害虫や、コナガ、アザミウマ類、アブラムシ類などの難防除害虫 ・コガネムシ類幼虫、ハリガネムシやケラなどの土壌害虫 ・浸透移行性にすぐれているため、地上部に発生するイネミズゾウムシ(成虫)やコナガ、アブラムシ類、アザミウマなど

②農薬「オルトラン水和剤」で青虫駆除

葉や茎から成分が吸収されて植物にゆきわたり、広範囲の害虫に対して効果が持続する殺虫剤です。 すでに発生している害虫はもちろん、薬剤散布後に発生した害虫にも効果を発揮しますので、害虫防除薬として適しています。 姿の見えない害虫にも効果があります。

③農薬「オルトランDX粒剤」で青虫駆除

効果のある害虫: アザミウマ類、アブラムシ類、青虫、バラソウムシ(クロケシツブチョッキリ)、コガネムシ類幼虫、ハモグリバエ類、ミカンコナカイガラムシ、コナジラミ類、チュウレンジハバチ 等 粒状で、土にばらなくだけなので、扱いも簡単です。

④ベニカS乳剤で青虫駆除


青虫、ヨトウムシ、ダイコンハムシなどにも効きます。

水で薄めて散布するタイプです。果樹、野菜、豆類などの害虫駆除に。 ケムシ、青虫などチョウ目害虫の駆除にご使用ください。 庭木、果樹、野菜に幅広く使えます。 速効性と持続性(チャドクガ・若齢幼虫で1~2週間、散布薬)があり、害虫を効果的に退治します。

無農薬で青虫を駆除 -無農薬栽培での害虫対策-

有機栽培で野菜を育てる場合、一般栽培に比べて害虫駆除や病気対策の頻度が増えます。「安心で安全な野菜」に消費者の注目が集まる近年、有機栽培への需要はますます高まってきていますので、無農薬で野菜を育てるヒントをいくつかご紹介します。

無農薬栽培での害虫対策A -地道な退治法-

一匹ずつ捕殺する

農家の皆さんも、手作業でていねいに、一匹一匹しらみつぶしに青虫駆除をされています。大変手間のかかる作業ですが、キャベツの重なった葉の裏側や、株本などに潜む幼虫と卵を見落とさないのがポイントです。幼虫は、ピンセットなどでつぶして駆除、卵は葉の上でこすりつぶします。

無農薬栽培での害虫対策B -コンパニオンプランツを利用-

コンパニオンプランツとは、共栄作物または共存作物とも呼ぶ、農学、園芸学上の概念であると共に、近傍に栽培することで互いの成長によい影響を与え共栄しあうとされる植物のことを指す。

例) ●キャベツ+ソラマメ、レタス ●キュウリ+オレガノ、トウモロコシ ●トマト+ネギ、ニラ

無農薬栽培での害虫対策C -防虫ネット-

今年は目合い0.25mmの防虫ネットに変えて、ネットの裾を完全に土に埋めて栽培しました。 その効果か全く虫がつきませんでした。昨年のヨトウ被害のリベンジ成功です。

防虫ネットは、目合い、繊維の太さなどによって、さまざまな種類が存在します。目合いの数値を小さくするほど害虫対策としての予防効果は高まりますが、ネット内の通気性が悪くなり気温も上がりやすくなりますので、育てる野菜の種類や季節によって、考慮して選ぶとよいでしょう。

シンセイ 防虫ネット 1mm目 135cm×5m

出典:Amazon

無農薬栽培での害虫対策D -益虫を増やす-

益虫とは、野菜作りにおいて厄介な害虫を食べてくれたり、受粉を媒介したりして役立つ昆虫のことです。特に無農薬栽培では、害虫を食べる虫が野菜畑を守ってくれているといっても過言ではありません。野菜にとって有益な虫「益虫」。大切に見守りたいものです。

テントウムシが害虫を撃退

白菜にいた「ナナホシテントウ」です。 てんとう虫君はアブラムシを食べてくれる益虫で農家さんの強い味方なのです。

上の写真が「テントウムシダマシ」です。これは益虫ではなく害虫。見た目がテントウムシにそっくりなので、アブラムシ駆除のためにと間違えて野菜畑に放置しないように気を付けてください。「テントウムシダマシ」は草食性で、野菜の葉っぱを食べます。

トンボ類が害虫を撃退

小さな昆虫類を食べてくれます。

ハサミムシが害虫を撃退

小さな虫を食べてくれます。尾に鋭いハサミがあるのが特徴的です。暗いところが好きで、雑草や枯れ葉の下によく集まってきます。


ヤブキリがが害虫を撃退

草も食べますが、小さな昆虫も食べてくれます。 通常6回脱皮しますが、回を重ねるごとに肉食性が強くなるのです。

ウマオイがが害虫を撃退

夜に昆虫を求めて動き出し、鋭いトゲのある前足で獲物をはさんで捕食します。

ヨツボシクサカゲロウが害虫を撃退

透けるような淡い緑色の体をした益虫で、アブラムシを食べてくれます。夏の畑などで舞い飛ぶ姿が見られるでしょう。卵は、テグスの先についたような独特の形をしています。

クモ類が害虫を撃退

ご存じのように、巣にかかった虫を食べてくれるクモ。地面や草や葉の上を徘徊し、獲物を見つけたら食べるタイプもいます。

アマガエルが害虫を撃退

畑によくいて、蛾などの害虫を食べてくれます。キュウリやインゲンマメ、サトイモなどの野菜を育てている場所にも出没しますので、野菜に有害な害虫を撃退してくれる益虫です。

ハネカクシが害虫を撃退

雑食性ですが、ウンカやヨコバイなどの虫を好んで捕食し、農業では益虫とされています。

害虫に食べられたキャベツ、天敵を呼ぶ

非常に興味深い記事です!害虫に食べられたキャベツは、食べられた葉の面積に関係なく一定量の化学物質を放出し、幼虫の天敵であるハチを誘います。このキャベツから出る化学物質に、ハチは撃退されてしまうのでしょうか?それとも、適応する変化を見せるのでしょうか?

まとめ

まずはコンパニオンプランツや防虫ネット、益虫を利用した青虫対策を講じましょう。その上で、こまめに葉裏と虫食いのチェックをします。青虫を発見したらすぐに駆除しますが、それでも被害が増えるようなら最終手段として、その害虫に最も効果的な農薬を用いて駆除します。