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貝殻をもつタコ「タコブネ」の正体とは一体?飼育もできるのか?

タコと言うとウネウネしたイメージを抱いてしまいますが、タコブネと言う「貝殻をもつタコ」と言う変わったタコの仲間が存在します。タコブネとはどんな生き物なのか?飼育できるのか?など、ちょっと不思議なタコブネについて、詳しく解説していきます!
2020年8月27日
咲良09
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タコブネはタコ?それとも貝?

タコブネは貝殻を背負ったタコの仲間で、その見た目はタコと言うよりオウムガイなどの巻貝の仲間に見え、でもタコの仲間に分類されると言う、数ある海の生き物たちの中でも、特に奇妙な生物として話題に上がる生物です。一見すると、とてもタコには見えないタコブネですが、タコ目アオイガイ科に分類されるれっきとしたタコの仲間であり、その見た目からフネダコやアオイガイと呼ばれることもあります。

「へんないきもの」も注目した、ユニークな生態

タコブネの奇妙な姿とユニークな生態は、早川いくを著の「へんないきもの」にも取り上げられたことがあり、名実ともに「変な生き物」と言える生き物でしょう。その姿はチョコエッグの食玩として売り出されたこともあり、タコブネという生き物がいることを知っているのは勿論、生態まで知っていれば物知り気分に浸れること請け合いです。海の不思議な生き物や、ユニークな生態を持つ生き物に興味があると言う方は、まず外せない生き物と言えるでしょう。

タコブネだけじゃない!色々いるタコの仲間

「タコっぽくないタコの仲間」はタコブネに限らず、最大の特徴である足がほとんど発達しておらず、扁平に押しつぶしたような姿をしているメンダコも、れっきとしたタコの仲間です。所謂「8本の足を持ち、浅い海に生息し、岩に擬態するタコ」と言うイメージの殆どはマダコから来るもので、タコブネやメンダコのように「タコっぽくないタコ」も存在します。メンダコもタコに抱くイメージとは大きく異なる姿をしているので、興味がある方はより細かな生態を調べることをおすすめします。

タコブネの名の由来と特徴

タコブネの名は漢字では「蛸舟」と書き、貝殻を背負い海を漂う姿が舟に揺られているようであることから名づけられた、とされています。なんといってもその特徴は貝殻を背負っていることで、模様の美しさと珍しさから、貝殻コレクターの間では憧れの品として珍重されています。大きさは一般的なタコより小さめで、成体でも7~8㎝程度にしかならず、大きいものでも手のひらに収まる位しかありません。

タコブネの生態、どんな場所に生息している?


タコブネは太平洋及び日本海の暖かな海域に分布し、タコと同様に肉食性で、海中を漂いながら稚魚や甲殻類を捕食します。貝を背負っていることからじっとしているようなイメージを抱いてしまいますが、海中での活動は結構アクティブで、取り込んだ海水を噴射することで移動もします。

貝殻は自家製!生涯に一個だけ

貝殻を背負っている生き物と言うと、ヤドカリのように貝を見つけ住処にするようなイメージを抱いてしまいますが、タコブネが作り出す貝殻は自分で作り出したもの。殻を作るのは生涯に一度だけで、成長に合わせ殻も大きくなっていき、その貝を一生の住処として過ごします。まさに体の一部と言ってもいいタコブネの貝殻ですが、カタツムリのように、外したら死んでしまうという事はないとされています。

タコブネのオスとメス、オスは殻がない?

タコブネのメスは卵を保護するため殻を作ると言う性質があり、それに対しオスは殻をもたず、オスよりメスの方が大きい生物の仲間とされています。交尾の仕方もユニークで、オスが交接用の腕をメスの体内に挿入し、切断することで体内授精を行います。どちらかわからなくなった場合は、貝殻をもつタコブネはメスと覚えておくとよいでしょう。

ちょっと情けない?タコブネのオス

タコブネのオスが交接腕を切り離し受精するという、ユニークな交尾を行うのにはわけがあり、タコブネのオスは殻を持たないこともですが、メスと比べ余りにも小さいと言う特徴があるためで、その大きさは20分の1にも満たないとされています。大きいものでも7~8㎝しかないメスのタコブネと比較すると、そのサイズはミリ単位。

実はまだ発見されていないオス


あまりにも小さすぎるため、現在もオスがいることはわかっていても、姿は発見されていません。ちょっと情けなく感じてしまいますが、海の生き物の中にはオスがメスに完全に吸収される種も存在するため、タコブネのオスはまだマシな方、と言えるかもしれません。

タコブネの貝殻、コレクター垂涎の理由

タコブネの貝殻が珍重されるのは、形の美しさやタコブネ自体の珍しさも勿論ですが、運が良ければ拾うことが出来ると言う事も含まれます。時々浜辺に打ち上げられていたり、海が荒れた日の翌日などに、浜辺で貝殻を拾えることがあります。時々「中身」が入ったものが打ち上げられることもあるため、タコブネを料理した後、残った貝殻を鑑賞する、なんてこともありでしょう。海沿いであれば、手に入れられる可能性もゼロではない、と言うのが多くの貝殻コレクターたちを惹き付けてやまないのです。

取り扱い注意!扱いは丁寧に

オウムガイのような殻を背負っているため勘違いしがちですが、タコブネの貝殻はとても繊細で壊れやすく、ちょっと壁にぶつけてしまった程度でもヒビが入ったり、割れてしまったりする場合があります。綺麗な状態のタコブネの貝殻を入手することは難しく、かつ取り扱いにも気を付けなければならないため、もしもネットオークション等で綺麗な状態のタコブネの貝殻を見付けたら、落札前に意識するようにしましょう。出品する場合は、傷モノだと数百円程度ですが、綺麗な状態であれば数万の値が付く場合もあります。

タコブネって食べられる?気になる味は

タコの仲間と聞いて、どうしても気になってしまうのがタコブネの味。その奇妙な姿から食べようと思うと気が引けますが、タコの仲間なのでちゃんと食べることが出来、その味はタコに似ているとされています。あいまいな情報しか入ってこないのはそれだけタコブネが稀少で、滅多に食べることが出来ず、販売もされていない食材のため。市場には流通せず、産卵期や旬はいつか等の情報もよくわかっておらず、食べられたらラッキー程度に思った方がよいでしょう。

味はタコよりちょっと柔らかめ、おススメはエスカルゴ風


もしも運よくタコブネを手に入れたと言う場合は、そのまま身を出して食べるのもおすすめですが、貝殻を生かしエスカルゴ風に料理することをおすすめします。本体部分をいったん殻から外し下ごしらえをした後、バターを付けオーブンで焼くことで、世にも珍しいタコのエスカルゴが完成します。まさに貝殻をもつタコブネならではの食べ方と言えるでしょう。味はタコより柔らかめで、味も薄く水っぽく、素材本来の味を引き出すものより、濃いめの味付けが向いており、エスカルゴ風以外にも、タコを材料とする料理なら、ほぼ全部を試すことが出来ます。

タコブネは飼育できる?どこで販売されている?

タコブネはその姿の美しさとユニークな生態から、飼育し漂う姿を実際に鑑賞してみたくなりますが、タコブネ自体が非常に稀少な生物のため、ペットショップなどでは販売されておらず、飼育することは極めて困難とされています。仮に海中を漂うタコブネを捕獲し水槽で飼育するにも、そもそもタコブネ自体の生態が謎に包まれているため、どんなエサを好み、どんな環境を好み、具合が悪くなった場合どうすればいいかと言うマニュアルも完成していません。一般人が飼育するものとしては、おすすめできない生物です。

実物を目にしたいなら水族館へ

どうしても実際に泳いでいるタコブネを目にしたいと言う場合は、ペットショップで販売されている姿を探すより、水族館に向かうほうが確実です。水族館なら魚の生態を知り尽くした人が飼育してくれるため、より確実に、元気に水中を漂うタコブネを見られる可能性が高まります。と言っても、タコブネはとても稀少なため、水族館に行けば確実にみられると言う訳ではありません。鑑賞に向かう前に、その水族館にタコブネが展示されているか、きちんと確認してから向かうようにしましょう。

タコブネとタコはちょっと違う

タコブネは「貝殻をもつタコ」と言う特徴のみならず、オスがメスよりとても小さかったり、実はメスしか貝殻をもっていなかったりと、見た目のみでなく生態も何ともユニーク。もしも浜辺で「貝殻のあるタコ」を見つけたら、可能な限り丁寧に扱い、その不思議な姿と貝殻の美しさをじっくり鑑賞してみましょう。