デニムリペアやリメイクジーンズを楽しむ
ジーンズは、経年変化を楽しむことが出来るアイテムです。履いている人間の生活環境により様々な顔を見せてくれます。しかし、その生活環境によりジーンズはダメージを受けます。そのダメージを逆にオシャレにしてしまうのが、ジーンズのリペアやリメイクなのです。
ジーンズのダメージがオシャレと言われるようになったのは
ジーンズは色落ち等のダメージにより魅力が高まりますが、実は1960年代は本場アメリカでもそういった認識がありませんでした。
しかし、1970年代に一人の日本人(現在は原宿にあるヴィンテージショップ、バナナボートのオーナー)が色の落ちたジーンズを見て「これは売れる」と判断し、日本に輸入します。その結果、現在ではリペアやリメイクなどが施されたジーンズを楽しむ人が増え、ヴィンテージジーンズの市場が世界でも認知されるようになったのです。
デニムのリペアやリメイクを自分で出来る範囲
ジーンズのリペアやリメイクを、自分で行うという人が現在増えています。何を隠そう私もその一人で、画像に挙げたジーンズは私物です。
6~7年ほど履きつぶし、今もなお生活をともにしています。しかしリペアやリメイクを自分でする、少し悪い言い方をすると素人でも出来る範囲というのは決まっています。それは「ダメージが残っていても様になる部分」です。
ジーンズのリペアは前後面だけ
素人がジーンズをリペアする場合、ざっくりしても様になる表面の部分にとどめたほうが良いです。これらの部分は、ある程度ミスをしたり糸の選択を間違えても「味」として捕らえる事が出来るからです。
デニムリペアをしたジーンズの裏側
リペアしたジーンズの裏は、画像のようになっています。破れたり切れた部分を何度も何度も当て布をしミシンで必死に縫製した、まさに努力の結晶です。正直な話、一部はプロにやってもらった箇所もありますが、6~7割は自分でリペアしました。
デニムのリペアはどのくらいの時間がかかるのか
ジーンズをリペアする方法は後で説明させていただきますが、破れたり切れた部分を自分でリペアする際の時間は実はそこまで長くかかりません。その範囲にもよりますが、私のリペア方法であれば1時間程度で完成します。
デニムリペア、リメイクジーンズの必須グッズ1
ジーンズをリペアする際に必要なアイテムは、主に3つです。そのうちのひとつはもちろん、ミシンです。手縫いでするという人も居ますが、私は手縫いはオススメしません。ジーンズの破れや切れたと言う箇所は、手縫いよりもミシンでリペアやリメイクをしたほうが、しっかりとした仕上がりになります。
デニムの手縫いを奨めない最大の理由
なぜ手縫いでのリペアやリメイクが推奨できないのかと言うと、ジーンズの生地であるデニムは大変硬く丈夫な生地なので手縫いには向かないからです。丈夫であるがゆえに手縫いでの補修や修理はかなりの重労働になります。さらに言うと、手縫いでのリペアやリメイクは怪我にもつながります。
そして、手縫いは正確性にも欠くので、ミシンで破れや切れたところを補修した場合と手縫いで行った場合とでは、ミシンの方が圧倒的に長持ちします。ですので、直し方としては手縫いよりもミシンで補修や修理をしたほうが無難なのです。
デニムリペア、リメイクジーンズの必須グッズ2
二つ目のアイテムは、この接着芯と呼ばれるものです。これを当て布として利用します。これは本来、かばんの修理や補修に用いられるアイテムです。
しかし、実はこの接着芯はジーンズのリペアやリメイクを専門とする業者も使っているアイテムなのです。これをうまくジーンズの直し方に取り入れ当て布として使えば、ダメージをいい感じに残して補修することや、無駄な穴を埋める修理も自分で出来るようになるのです。
接着芯とジーンズの相性
ジーンズは、デニム生地で出来ています。デニム生地はもともと、テントに使われていた生地を藍染にしたものなのでものすごく丈夫です。ですので、デニム生地の修理や補修と言うのは単純に当て布をするだけでも難しいものなのです。
一方でかばんに使われている生地もまた、デニムと同じくらいに丈夫で、接着芯はかばんの当て布として作られたという背景があります。そのため、ジーンズのデニム生地と接着芯の相性は良く、接着芯はデニムの補修および修理などのリペアやリメイクに向いているので、ジーンズの直し方には必須なのです。
デニムリペア、リメイクジーンズの必須グッズ3
デニムの補修や修理に欠かせない3つ目のアイテムはズバリ「糸」です。「当たり前だろ」と思われるかもしれませんが、この糸選びがプロでも最も重要としている作業のひとつなのです。なぜなら、直し方においてこの糸を選ぶ際には「修理や補修をする箇所と色目が似ている糸を選ぶ」必要があるからです。
デニムのリペアでなくリメイクの範疇であれば、少し外してまったく色目の異なる意図を選ぶのもアリです。しかしあくまでデニムの修理ですとか補修といったリペアを考えているのなら、似た色の糸を選んだほうができばえも美しいです。
デニムのリペアやリメイクには、細めの糸を
もうひとつ大切なのが、糸は細めのものを選ぶという点です。細い糸であれば、補修箇所や修理した部分が目立ちすぎるということがありません。ですので、修理や補修をした跡が自然な風合いに仕上がります。切れた箇所に派手な糸を用いると、かえって補修箇所が目立ってしまうので本末転倒なのです。
デニムリペアの基本「たたき」
実際のリペア箇所を拡大して撮影した画像がこちらになります。細かい感覚でデニムと同系色の糸を用いて穴をふさぎ、縫っていることがお分かり頂けるかと思います。この作業を、「たたき」と言います。デニムのリペアやリメイクジーンズを作成する際の作業は、ほぼこれになります。ここまで細かい感覚で縫うのには手縫いではかなり難しいです。
デニムの直し方「たたき」の手順1
たたきは、主に当て布を用いて行うのが一般的です。その際にいらなくなったTシャツを当て布として利用し穴をふさぐ方も居ますが、それでは強度が保てません。そこで必要になるのが、この接着芯です。
接着芯は、ワッペンのようにアイロンの熱で接着できるようになっています。ですので、必要な大きさだけ接着芯を切り、画像のようにジーンズの裏側に貼り付けることで穴をふさぐのです。
デニムの直し方「たたき」の手順2
接着芯をデニムに貼り付け穴をふさいだ次に、デニムを表に返します。そして、穴をふさいだ部分を細かい感覚で縫っていくというわけです。このとき、マチ針などで接着芯の端に印をつけておくとしっかり縫うことが出来ます。
端まで縫わないと、接着芯がはがれてきてしまいジーンズの履き心地が悪くなるのです。接着芯は破れにくく、また白い色なので目立たないためジーンズの補修にはピッタリで、自分で修理するにはちょうど良い素材です。
デニムを自分で補修してはならない箇所
ジーンズを長年履いて出来る破れや穴は、場合によってはかっこよく見えるものです。ですが、そのかっこよさがまったく無い、むしろかっこ悪い破れが「またずれ」です。
このまたずれの直し方も、先ほど紹介した「たたき」で修理し補修していくのですが、画像を見てお分かりのように、一見すると穴が開いたとは思えないほどです。これは、デニムリペアのプロに修理していただいたものです。
リペアをしても、ジーンズのまたずれは再発する
ジーンズのまたずれは実は再発してしまいます。これは利用者の体型にもよるのですが、ジーンズの股の部分は履いているうちに摩擦で擦れていきます。 そのため、何度修理しても穴が開いてしまうので完全な直し方はないのです。そしてさらに、実はこのまたずれの最大の原因は摩擦だけではありません。
デニムに穴が開く原因
デニムに穴が開く最大の原因は、ズバリ水分です。水分がデニム生地に含まれると、たとえば体に存在する常態菌や空気中などに存在する雑菌がジーンズに付着し繁殖しやすい常態になります。
この菌がジーンズの糸を少しずつ食べ、最終的にジーンズに穴が開いたり切れたりしてしまうというわけです。これは当て布にも起こってしまう現象で、避けようがありません。
当て布でジーンズのまたずれを防ぐ
股部分の破れの再発を自分で防ぐことは難しいですが、新しいジーンズの股部分に当て布をすることで股の破れを防止することが出来ます。その当て布は何でも良いというわけではなく、なるべく防水性の高い物にしたほうが良いです。
そもそも股ずれは、股から生じる汗を吸収し、さらにその高湿常態により菌が大量に繁殖した結果「内側」から起こる現象です。ですので内側に防水処理を施すことで破れを未然に防ぐのです。ちなみに画像のものはプロにお願いしたものですが、生地を股部分に縫い付けるだけなので自分でも出来ます。
デニムを補修した後の洗濯
リペアやリメイク後に洗濯をするのは、非常に重要な作業です。破れてしまったり切れてしまった箇所に接着芯で当て布をし補修している箇所は、実はまだ完全にはなじんでいません。なじませる為に必要なのが、洗濯なのです。
洗濯をすると、たたきによって縫い付けられた糸が水分で絞まり、糸の縫いつけが一層強固なものとなります。洗濯をせずに履いてしまうと、その補修箇所の糸が切れてしまう可能性もあるので必ず洗濯をしましょう。
ジーンズのリペア、リメイク後の洗濯は優しく
リペアした後というのは、ジーンズは非常に弱っている状態です。そのため洗濯はやさしく行います。洗いは多くて5分程度、すすぎは1回が良いです。なぜなら、洗濯時の摩擦でダメージを負ってしまうからです。
そして脱水もなるべくであれば短時間のほうが良いです。ただし乾燥機にかける場合は、その乾燥時間を短縮するためにもしっかりと脱水したほうが良いです。
ジーンズを初めて洗濯する時の一工夫
ジーンズをはじめて洗濯する際に、食塩を大匙1杯から2杯ほど入れてあげると色落ちの防止につながります。なんと、食塩によって藍染の染料が生地に定着するのです。色落ちはジーンズのダメージの中でも直し方が存在しないものなので、こうして未然に防ぐことが重要になってきます。
デニムでも、ヴィンテージジーンズの場合
同じデニムでも、ヴィンテージの場合は自分でリペアをしないほうが良いです。なぜかというと、そもそも既に誰かが着用したものなので生地が通常よりもかなり弱っているので切れたりしやすいのです。
縫製部分のダメージも深刻な場合が多く、着用して3ヶ月ほどで切れてしまったという話も良く訊きます。先述で紹介した直し方を用いれれば一時的な修復は可能ですが、それでも長持ちはしないでしょう。
デニムはリメイクを繰り返したら、何年使える?
直し方とは違い、リメイクをすることでジーンズのデザインそのものを変えるという考え方もあります。リメイクすることで、元の形とはまったく異なるものになるので、より一層長く使えるというわけです。
しかし、このリメイクの形にも流行り廃りがあります。ですのでリメイクの仕方によってはデザイン的寿命が縮まってしまい何年も使えないという可能性もあります。奇抜なものでなければずっと使えるでしょうが、あまりに派手なものや定番から大きくかけ離れたものの場合は2~3年と言ったところでしょう。
デニムのリメイクが楽しくなるグッズ1
デニムのリメイクで今定番となっているアイテムが、この染めQです。染めQは他のカラースプレーとは違い、生地に色が定着しやすいという特徴があるのでリメイクにはピッタリなのです。また、切れたり破れたりした箇所をリペアした後に近い色で補色することでリペアを目立たなくする効果もあるため、直し方にも利用できます。
染めQ はジーンズ以外のリメイクにも使える
染めQはデニム以外の生地にも利用できるため、たとえば白い無地のTシャツにメッセージを記したり、あるいはボーダー柄にしてしまうといったリメイクも可能です。何気ない安いTシャツをリメイクするのは非常に楽しく、おすすめです。
デニムのリメイクが楽しくなるグッズ2
そしてもうひとつのグッズは、ペンキです。あえてペンキ汚れをつけることで、かつて実際にペンキ職人が使っていたかのようなリアリティを演出することが出来ます。また、切れた箇所にペンキを施すことで、切れた部分を目立たなくするという効果もあります。
リメイクし過ぎるのはダメ
リメイクは、過度に行ってしまうと見た目が派手になりすぎるだけでなくダメージも蓄積されていきます。ですので、結果的に生地が切れたり破れてしまうという結果になってしまうことにつながるのです。
上記に挙げたような染料は天然素材以外にも化学薬品が用いられているため、それによりダメージを受け、生地が切れたりしてしまうというわけです。ですので、リメイクはほどほどに行ったほうが無難です。
まとめ
今回は、ジーンズのリペアやリメイクの方法をご紹介させていただきました。ジーンズは、愛好家の中では「第二の肌」とまで言われています。ですのでどんなにダメージを負って破れてしまったとしても、リペアを繰り返して履き続けるのです。
実際にヴィンテージショップを見ても、もう60年以上も前に履かれていたというジーンズを見ることがあります。そういったジーンズの大半はリペアが繰り返されているのですが異様に格好が良く、まさに芸術品といった感じです。
値段もまさに芸術品であると言わんばかりの高額であることが多いので、なかなか手が出せないですが。しかし、自身で長年履き続け、リペアやリメイクを繰り返すことでそういった芸術品を生み出すことが出来るのです。ジーンズのリペアやリメイクは奥深く、趣味としても楽しいのでぜひお試しください。
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