ヒガンバナ(彼岸花)とは?生態やその特徴についてご紹介!

ヒガンバナ(彼岸花)とは?生態やその特徴についてご紹介!

秋の彼岸が近づくと真っ赤な花をつけるヒガンバナ(彼岸花)。とても美しいにもかかわらず、ネガティブなイメージも多く持つ花でもあります。今回はそんなヒガンバナ(彼岸花)の珍しい生態や特徴から育て方の紹介まで、ヒガンバナの真実に迫ります。

記事の目次

  1. 1.ヒガンバナ(彼岸花)とはどんな花?
  2. 2.ヒガンバナ(彼岸花)の名前の由来
  3. 3.ヒガンバナ(彼岸花)の不思議な生態
  4. 4.ヒガンバナ(彼岸花)が畦道に多い理由
  5. 5.ヒガンバナ(彼岸花)が墓地に多い理由
  6. 6.ヒガンバナ(彼岸花)の構造
  7. 7.ヒガンバナ(彼岸花)の花言葉
  8. 8.ヒガンバナ(彼岸花)を詠んだ詩歌
  9. 9.ヒガンバナ(彼岸花)にまつわる迷信の真意
  10. 10.ヒガンバナ(彼岸花)の仲間
  11. 11.ヒガンバナ(彼岸花)の育て方・・・植え付け編
  12. 12.ヒガンバナ(彼岸花)の育て方・・・日常の管理編
  13. 13.ヒガンバナ(彼岸花)の取扱い上の注意事項
  14. 14.まとめ

ヒガンバナ(彼岸花)とはどんな花?

日本の里山の秋を彩る彼岸花は、学名をLycoris radiataといい、植物学の分類ではヒガンバナ科ヒガンバナ属に属する多年性の球根植物です。元々中国やネパール、韓国に自生していたものが古い時代に日本に伝わり、現在では各地に広く自生しています。一方、欧米に渡った彼岸花からはさまざまな園芸種が作られました。花の時期は9月の中旬ごろ。花の丈は30cm~50cm。季節を代表する花として古くから親しまれています。

ヒガンバナ(彼岸花)の名前の由来

別名や俗称を持つ植物は多いですが、ヒガンバナほど多くの名前を持つものはありません。その数なんと1000以上。主な名前と由来をご紹介します。

彼岸花の由来

彼岸花はもっとも一般的に使われる名前です。この名前の由来には2通りの説があります。1つ目はちょうど秋の彼岸のころに花が咲くことから付いたという説。2つ目はヒガンバナには毒があるのでこれを誤って食べると彼岸に行く(死ぬ)ことから付いたという説です。

曼珠沙華の由来

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)は、仏教発祥の地の言語であるサンスクリット語「majūṣaka」が元になった言葉で天上に咲く伝説の花を意味します。真っ白な花で人々の犯してきた悪行を払うとされています。ヒガンバナのイメージが不吉なものや縁起が悪いものが多いなか、ありがたい名前なのです。もちろんヒガンバナにも白い花がありますが、日本では赤い花もひとくくりにして曼珠沙華と呼んでいます。

リコリスの由来

リコリス(Lycoris)は彼岸花の属名をそのまま使ったものです。ギリシャ神話の海の女神リコリアス(Lycorias)の名前から付けられました。ブロンドの長い髪を持つ美しい女神のイメージが、この花にぴったりだったんでしょうね。園芸種はリコリスの名で販売されているものが多いです。

英語名の由来

彼岸花の英語名もいくつか紹介しましょう。まず赤い蜘蛛のユリという意味の「red spider lily」。あの長い雄しべや雌しべが蜘蛛の足に見えるのでしょう。このほかにアマリリスの集まりという意味の「cluster amaryllis」や、ハリケーンの時期に咲くことから「hurricane lily」という名前も使われます。

その他の名前

ヒガンバナは死を連想されることから地獄花(じごくばな)や死人花(しびとばな)、幽霊花(ゆうれいばな)などの異名があります。そのほかにも毒があることから痺れ花(しびればな)や毒花(どくばな)。花の形状から天蓋花(てんがいばな)、花色から赤花(あかばな)などがあり、全部合わせると1000を超えます。

ヒガンバナ(彼岸花)の不思議な生態

実は彼岸花の生態は一般的な草花と比べるとちょっと違います。彼岸花の成長サイクルから、タネができない理由、毒を持つことのメリットを説明します。

葉は花が咲き終わってから

彼岸花には独特の成長サイクルがあります。季節は秋、彼岸が近づくと突然花芽のみが伸びてきて開花します。花は1週間ほど咲くと枯れ、暫くすると葉が出てきます。そして冬、周りの植物が枯れた時、彼岸花は葉を茂らせ日光を独り占めにするのです。冬の間、盛んに光合成を行い、春までにじゅうぶんな養分を球根に貯め込むためです。5月になると地上部分が全て枯れ、再び秋に花芽を伸ばします。

彼岸花はタネができない

一般的には球根で増える植物でもタネを作りますが、彼岸花はタネができません。それは日本の彼岸花が3倍体の染色体を持つからです。タネを作る生殖細胞は分裂する際に染色体の半分を受け継ぎますが(減数分裂)、3は奇数なので減数分裂ができないのです。なお日本以外では2倍体のものが主流です。

生存のために使われる毒

彼岸花は全草に毒があります。アルカロイド系のリコリンという毒で、特に球根には多く含まれます。彼岸花はこの毒のお陰で害虫やモグラやネズミなどの小動物から食べられません。毒で身を守っているんですね。

ヒガンバナ(彼岸花)が畦道に多い理由

彼岸花は、畦道でよく見かけます。これは自然に生えたというよりは人が植えたからです。理由は2つあります。1つは畦道に彼岸花を植えると毒のために害虫や小動物が近寄れず作物を守ることができるから。そしてもう1つは彼岸花は根がはるので畦を固めてくれるからです。同じ理由で土手にも植えられています。

ヒガンバナ(彼岸花)が墓地に多い理由

彼岸花は墓地でもよく見かけますね。これも人が植えたのです。昔は人が亡くなると土葬をしていました。ところが埋葬された遺体を動物が荒らすので、墓の周りに毒のある彼岸花を植えたのです。動物は本能的に毒のあるものには近づきません。このようにして墓を守ったのです。

ヒガンバナ(彼岸花)の構造

1輪の彼岸花をよく見ると、1つの花ではなく複数の花の集合体ということがわかります。通常1つの花茎に5個から7個の花を外側に向かってつけます。それぞれの花弁は6枚、とても長い6本の雄しべと1本の雌しべがあります。

ヒガンバナ(彼岸花)の花言葉

彼岸花の花言葉は「再会」「独立」「悲しい思い出」「あきらめ」といったものがあります。さらに花の色別にも花言葉があるのです。 赤花・・・「情熱」 白花・・・「また会う日を楽しみに」「あなた一人を思う」 黄花・・・「深い思いやり」「追憶」

ヒガンバナ(彼岸花)を詠んだ詩歌

古くから日本の秋の風情として親しまれてきたヒガンバナ。多くの歌人たちがこの花を主題に詩歌を詠んでいます。いくつかご紹介しましょう。

種田山頭火

彼岸花について最も多い句を詠んだのは放浪の詩人、種田山頭火です。その数なんと38句。赤く美しい彼岸花を求めて歩き回り、道端に咲く彼岸花に安らぎを求め、時には自分の姿を投影した作品を数多く残しています。

燃えつくしたるこころさびしく曼珠沙華

うつりきてお彼岸花の花ざかり

夏目漱石

夏目漱石も曼珠沙華を詠んだ俳句を残しています。曼珠沙華はどことなく妖しい雰囲気と時に哀しい意味合いを持っている花です。それが明るい爽やかな朝の日差しを浴びているさまが「あっけらかんと」見えてしまうのでしょう。

曼珠沙花あつけらかんと道の端

北原白秋

白秋もこの花を題材に詩を書いています。題名は「曼珠沙華(ひがんばな)」。子どもを失った女性の悲しい気持ちを綴ったもので、冒頭に出てくるGONSHAN(ごんしゃん)とは、良家のお嬢さんのことです。彼岸花が死者を連想されるものとして描かれています。

GONSHAN.(ゴンシャン)GONSHAN. 何処へゆく 赤い御墓の曼珠沙華(ひがんばな)、 曼珠沙華、 けふも手折りに来たわいな。

ヒガンバナ(彼岸花)にまつわる迷信の真意

彼岸花にはさまざまな迷信があり、その多くは花の外観や生態からきたものです。さらに死や病気を示唆するものまでありますが、その真意は彼岸花が毒草なのでむやみに触ったり取ってはいけないこと、田畑や墓を守る花なので大切にするようにということです。

ヒガンバナ(彼岸花)の仲間

ヒガンバナ科の植物は数が多いですが、その中でも彼岸花に近い植物でよく見かけるものをご紹介します。

ショウキズイセン

ショウキズイセンは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根植物でショウキランとも呼ばれます。彼岸花より一回り大きく60cmほど。明るい黄色の花弁は彼岸花よりはやや広いです。開花時期は9月から10月にかけて。四国以南に自生しています。

ネリネ

ネリネは、ヒガンバナ科ネリネ属の南アフリカ原産の球根植物で、ダイヤモンドリリーとも呼ばれます。彼岸花と同じ大きさで、花色は赤、白、ピンク、オレンジ、紫の単色あるいは複色。10月下旬から12月上旬が開花時期です。彼岸花とは異なり花と葉が同時に出てきます。寄せ植え向きの品種です。

ナツズイセン

ナツズイセンはヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根植物で毒があります。原産地は中国で、日本では本州以南の比較的人里に近い場所で自生しています。花の時期は8月でピンク色の花を付けます。彼岸花と同じ大きさで、花が終わった後に葉が出ます。

ヒガンバナ(彼岸花)の育て方・・・植え付け編

彼岸花は育て方がとても簡単な植物で、園芸種もさまざまなものがあります。球根または苗から栽培を始めましょう。彼岸花の球根は夏に出回り、苗は10月以降に多く出回ります。同じ彼岸花同士や他の植物と寄せ植えもできます。

根と苗の植え付けの時期と用土

彼岸花の球根の植え付け時期は6月から8月まで。苗は年中入手可能なので、苗を買ってきたらすぐに植え付けましょう。水はけのよい環境を好むので、用土は、球根、苗ともに土に赤玉土と堆肥と腐葉土を混ぜたものか、市販の球根植物用の培養土を使用します。

植え付け方と環境

彼岸花はお日さまが大好きです。庭植えは、なるべく長時間日が当たる場所に、鉢植えもそのような場所に置きましょう。根が張るので鉢は球根縦3つ分以上の深さが必要です。植える深さは球根の頭にわずかに土が被さる程度。寄せ植えは球根同士の間隔を球根1つ分以上空けます。植え付けたらたっぷりと水をあげましょう。苗も球根と同じ大きさの鉢に植えます。苗の根を傷めないようにそっと取り出してください。

ヒガンバナ(彼岸花)の育て方・・・日常の管理編

水やりや肥料、夏と冬の季節の管理、株分けや切り戻しが必要か、増やし方、寄せ植えなどの育て方をご紹介します。基本的に彼岸花はあまり手をかけなくてもいい植物です。

水やり

彼岸花は全ての季節を通じて過湿を嫌います。水はけがよい用土でやや乾かし気味に管理したほうがよく育ちます。地植えなら雨だけでほとんど大丈夫です。ただしずっと雨が降らない場合は水をあげてください。鉢植えは、土が乾いてから水をあげます。

肥料

彼岸花の肥料は植え付け時に用土に混ぜ込んでいれば、その後は特にあげなくてもじゅうぶん育ちます。もし与えるのであれば、季節的には冬、葉が茂った時に液肥や置き肥を、夏の地上部分が無い時期に土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んであげるといいです。

増やし方

彼岸花の増やし方は、株分けによる増やし方ではなく、球根の分球による増やし方です。増やし方のポイントはよい球根を多く作ること。それには冬、葉が茂った時期になるべく日に当ててください。光合成を盛んに行うことで新しい球根が育ちます。

植え替え

地植えなら植えっぱなしで大丈夫です。むしろあまり動かさない方が花立ちがよくなります。鉢植えは、小さい鉢なら毎年植え替えますが、大きい鉢なら3年おきに植え替えます。植え替えは植え付けと同じで、地上部分が無い夏に行います。

切り戻しと株分け

一般植物でよく行う切り戻しと株分けは彼岸花には必要ありません。花の時期に切り戻しをしても再度花はつきません。茎の切り戻しを行うにも茎がありませんし、茂った葉を切り戻しすると光合成に影響が生じます。また一般的な増やし方である株分けに関しては、ほかの植物と彼岸花は株分けの概念が違います。根株を分ける株分けというよりは球根を増やして取り出す増やし方を行います。なので彼岸花は切り戻しと株分けは行いません。

病気と害虫

彼岸花は毒があるので害虫被害はほとんどありませんが、過湿状態で育てると軟腐病という菌による病気になり腐ってしまうことがあります。軽度なら罹患箇所を切り戻しましょう。水はけをよくして、過湿にならないようにすることである程度防げます。

季節の管理・・・冬

彼岸花は冬が生育期なので日がよく当たる場所で管理してください。寒さには強い植物ですが、寒冷地で雪が積もる場合は冬の光合成ができなくなるので、一般的な秋に葉が出てくるタイプではなく春に葉が出てくるタイプを育てた方がいいです。

季節の管理・・・夏

最近の夏は気温もかなり上がり乾燥もひどいので育て方が難しい季節です。何か日除けになる植物を周りに配してあげるとかなり過ごしやすくなりますよ。影になる植物との寄せ植えもおすすめです。

ヒガンバナの寄せ植え

春と夏に彼岸花を寄せ植えにしてみませんか?一緒に寄せ植えする植物の条件は育て方が簡単で根が浅い一年草。この時期は彼岸花の地上部が無い時期なので、どうしてもお世話を忘れがち。寄せ植えすることで解決しますし、見た目もよくなりますよ。

ヒガンバナ(彼岸花)の取扱い上の注意事項

彼岸花には全草に毒があるので取扱う際は注意が必要です。毒の主成分のリコリンは、摂取すると嘔吐や下痢、呼吸困難を起こします。しかし彼岸花自体のリコリンの量はとても少ないのでちょっと触ったぐらいなら問題はないです。ただし子どもやペットは彼岸花を手にとってみたり口に入れてしまこともあるので、近寄らない方がいいでしょう。

まとめ

知っているようで知らないヒガンバナ(彼岸花)、いかがでしたか?これまでヒガンバナ(彼岸花)に対して持っていたネガティブなイメージがこの花生態や特徴を知ることにより変わったのではないでしょうか?育て方もとても簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。

M. rhetenor
ライター

M. rhetenor


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