日本三大怪魚の一つ!巨大なビワコオオナマズ
北海道のイトウ、高知県や宮崎県のアカメとともに「日本三大怪魚」に数えられる、滋賀県琵琶湖の「ビワコオオナマズ」。龍のような迫力満点の長大な魚体と、ヤワな竿や仕掛けをへし折り、弱い糸は引きちぎってしまうほどの記録的な怪力は、まさに「怪魚」の名にふさわしい魚です。世界中で日本の琵琶湖とその水系だけにしか生息していない巨大な固有種ですが、イトウやアカメなどの怪魚よりもずっと釣りやすく、しっかりしたタックルで臨めば、怪魚と言えども釣りの初心者が釣り上げることも可能。一度は釣り上げてみたい、文句なしの怪魚、巨大魚です。
ビワコオオナマズの生態について
生態①琵琶湖水系の固有のナマズ
400万年前にできたという日本一古い古代湖の琵琶湖では、ビワマスやホンモロコなど、独自に進化してきた淡水魚の固有種がいます。ナマズもそれぞれ進化して、普通のナマズの他にも、イワトコナマズ(岩床鯰)、ビワコオオナマズ(琵琶湖大鯰)の3種類が生息しています。ビワコオオナマズは昔から知られていましたが、日本で新種として記録されたのは1961年のことで、それまでは単に巨大なナマズ「オオナマズ」と呼ばれていました。
生態②大きさや姿は?
日本産の3種のナマズの中で「怪魚」ビワコオオナマズは最も巨大な種類です。1メートルを超える巨大な個体も数多く生息しています。1メートルを超える巨大なものはほとんどメスで、オスは70センチ前後のものが多いです。 ビワコオオナマズの姿は普通のナマズやイワトコナマズとそっくりではありますが、口の形がやや異なります。頭部を上から見た場合、ビワコオオナマズは他のナマズよりも多少、角張った印象があります。また横から見た場合、頭部が比較的扁平です。
生態③どんな行動パターンか?
ビワコオオナマズの生態は普通種のナマズとほぼ同じ。基本的に夜行性で日中は岩陰や水草の中に潜んでいます。巨大怪魚の食欲はやはり旺盛。日没ごろから活発に泳ぎだし、眠っている魚を吸い込むようにして食べまくります。曇天では日中でも餌を求めて泳ぎ回ることがあります。
生態④どんな餌を捕食しているか?
幼魚の時期はヌマチチブなどの底生魚やスジエビなどを捕食していますが、成魚はもっぱら魚を食べます。餌としている主な魚はフナやコイ、ビワマス、アユなど。日本産の淡水魚だけでなく、ブルーギルやブラックバスなどの外来魚も盛んに捕食しており、琵琶湖の淡水魚の生態系の頂点に怪魚として君臨しています。1メートルほどの個体ならば、30センチほどのブラックバスを丸呑みすることもできます。こうして自身の体を巨大に成長させていきます。
生態⑤産卵時期とオス、メスの違いは?
ビワコオオナマズは6月から8月の梅雨開け時期に産卵します。この時期、雨で水位が上がると、夜間ヨシの茂みなどの浅瀬に集まり、オスがメスに巻き付くようにして行われます。ビワコオオナマズの成魚はヒゲが2対4本ですが、生まれてから幼魚の時期まではヒゲは3対6本あります。
ビワコオオナマズの釣り方は2種類
漁業者は積極的に狙わない
ナマズはウナギに負けぬ美味な魚で、特にイワトコナマズの味の良さは有名ですが、ビワコオオナマズは「泥臭くてあまりおいしくない」とされています。このため漁業者が積極的に狙うことはなく、釣り人が楽しむ以外に漁獲されることはないようです。
ルアー釣り、餌釣りで狙える
釣り方には生き餌や虫を使った餌釣りと、ルアー釣りの2種類があります。餌釣りは複数の竿を使った「ぶっ込み釣り」が基本で、初心者も簡単に挑戦できます。ブラックバスなどの外道を避け、超大型だけにターゲットを絞りたいという場合にも有効な釣り方となります。 一方ルアー釣りは、ブラックバスのルアー釣りなどよりもタックルが大型になるため、キャスティングなどに技術や体力が必要となります。ブラックバスやスズキなどをルアーで釣った経験が無い方は、キャスティングなどを練習して、道具に慣れておくことをおすすめします。
ビワコオオナマズの釣れるポイント
琵琶湖でのポイント
ビワコオオナマズは琵琶湖の湖岸部に広く分布しています。沖合の深場にはおらず、日中は20メートルほどの水深で休んでいます。夜になると湖岸に現れ、水深5メートル以下の浅い場所まできて餌を探します。餌は寝ているフナやブルーギルなので、こうした小魚の魚影が濃いところがポイントとなります。日中に湖岸を探索して、多くの小魚が集まっているような場所や、ヘラブナや鯉を狙った釣り人が釣りをしている場所はポイントになるので、下見しておきましょう。
河川でのポイント
ビワコオオナマズは琵琶湖だけではなく、淀川水系の河川にも生息しています。特に有名な場所は、琵琶湖から大阪湾に流れ出す河川で、大津市の瀬田川や京都の宇治川は好ポイント。これまでにも多くの大物が釣り上げられています。 河川では堰堤の落ち込みや、淵に瀬の水が流れ込むところなどがポイントとなります。こうした場所は遡上しようとする小魚が集まるため、ビワコオオナマズが集結して捕食の機会をうかがっています。
ビワコオオナマズが釣れるシーズンと時間帯
釣れる時期
ビワコオオナマズの釣れる時期は春先、4月ごろから晩秋11月ごろまでです。冬の時期は活動量が小さくなり、水底でじっとしていることが多く、釣るのはかなり難しくなります。 特に釣れるのは梅雨の時期。雨で増水し、水が薄く濁ったような時はチャンスで、ビワコオオナマズは非常に活発に餌を追いかけます。蒸し暑い真夏の時期、夜に活性が高くなり、かなりの浅場や水面近くまで出てきて餌を追います。トップウォーターで釣れる確率も高くなります。
釣れる時間帯
ビワコオオナマズは日没前から活動を始めます。餌となるフナやブルーギルは日没とともにすぐに活動が鈍り、眠ってしまいます。ポイントによりますが、活動を始めた直後の日没後から数時間は時合の一つです。ポイントや時期によって、午前0時前後、明け方など、活動が活発になる場所は変化します。
ビワコオオナマズ釣りのタックル
ライトタックルは通用しない
ビワコオオナマズは120センチ、15キロ以上にもなるため、ルアー釣りにしろ餌釣りにしろ、ライトタックルでは全く歯が立ちません。道具も仕掛けもとにかく「強力」なものをそろえる必要があります。 ビワコオオナマズ巨体であることに加え、長い尾をうねらせるナマズ特有の泳ぎ方がトルクのある粘り強い引きを生みます。ランディングまで長時間の駆け引きになることもあるため、疲れて力負けしないようなタックルが必要になります。
タックルの種類
ビワコオオナマズの強い引きに耐えうるのは、ルアー用ならば雷魚やヨーロッパオオナマズを対象としたタックルや、シーバス用、ショアジギング用といった、海用の強力なタックルとなります。大型のルアーが扱えるロッドがおすすめです。 餌釣りでも硬めの投げ竿や鯉用の竿が必要となってきます。
ビワコオオナマズのルアー釣りのポイント①ルアー用ロッド
ロッドの基本
ビワコオオナマズはヒットした直後、万力のような強烈な引きでラインを引きずり出します。この引きに負けてのされると、ロッドの弾力が生かせず、ラインを切られてしまいます。粘りのある強いロッドが必要となってきます。ルアーで狙う場合のロッドの長さは、7から9フィート前後のものがベストです。基本的には身長や体力に応じて選びましょう。
ロッドのテクニック
ビワコオオナマズが生息しているポイントは手前にヨシなどの障害物があることがありますので、ロッドは長めであることに越したことはありません。長いロッドほどキャストできる範囲も広くなります。 しかし長いロッドは、使うルアーが大型であることもあり、体力に自信がある人でも何度もキャストを重ねると、疲れてしまいます。竿尻にバランサーを付けて手持ちをよくするなどの改造も、疲れないための有効な手段です。
ビワコオオナマズのルアー釣りのポイント②リールとライン
リールはどうする?
ビワコオオナマズの強い引きに対抗するためにはベイトキャスティングリールが必要です。大型のスピニングリールも使えますが、超大型のヒットにも備え、ドラグ機能がしっかりとした(7キロ前後)のベイトリールを選択しましょう。大物釣りによく使われるABUガルシアの両軸受けリールなどが理想的です。
ラインはどうする?
ラインは最低でもPE3号が200メートルほど巻くようにしましょう。ただしルアーを直接接続するのではなく、太刀魚用のワイヤーリーダーを30センチほど付ける必要があります。 ビワコオオナマズの口には、小さな円錐状の歯が無数に生えています。これにPEラインがこすれると、すぐに傷が入り、強度が一気に低下。ラインが切れ、ルアーを持って行かれてしまいます。 ルアーが口に掛かったまま餌が取れなくなり、死んでしまったビワコオオナマズが見つかったこ ともあります。針掛かりしたら必ず取り込めるよう、頑丈な仕掛けにする必要があります。
ビワコオオナマズのルアー釣りのポイント③ルアー
生態から見るルアーへの反応
ビワコオオナマズはどんなルアーにもヒットすると言っても過言ではありません。ビワコオオナマズは2本のヒゲを前に伸ばし、餌を探し回ります。ヒゲだけでなく嗅覚も敏感で、側線も重要なセンサーとなっています。魚が起こす水流や微電流、音や匂いを頼りに餌を探しています。視力は高くありませんが、そうした感覚器官をフル回転させて濁った夜間の水中でも餌を探すことができます。
おすすめルアー
おすすめはミノータイプのルアーです。アユやフナ、ブルーギルなどを模した、大型のルアーが使いやすいです。よく研究されて作られているバス用のビッグベイトも非常に有効ですし、ソルトウォーター用のルアーも十分に使えます。 湖岸ならシンキングタイプ、河川ならフローティングタイプが扱いやすいです。トップウォーター系のルアーは、活性が高い時は有効です。 重要なのはルアーの強度です。粗悪なルアーだと抵抗の最中に壊され、分解してしまうことがあります。使う前にしっかりチェックする必要があります。
ビワコオオナマズのルアー釣りのポイント④ルアーフック
ビワコオオナマズのあごは非常に硬い上に小さな歯がびっしり生えているため、フッキングはブラックバスなどよりも難しくなります。針先が食い込む力が分散するトリプルフックよりも、ダブルフックやシングルフックのほうがフッキングが良いようです。 口が硬い分、いったん掛かった針を外すのは、非常に困難となります。針外しに時間が掛かるとリリースするにしても魚体もかなり痛めてしまいます。できるだけ返しをつぶしたバーブレスフックを使いましょう。 ポイントとなる場所は藻が多いこともありますので、ウィードレスフックにするか、ワームで針先を被ったほうがストレス無く釣りができます。
ビワコオオナマズの餌釣りのポイント①餌
生き餌を使った餌釣りは、ブルーギルやブラックバス、フナなどを餌にして行います。大型の「ドバミミズ」なども使えます。そのほかの餌として、スーパーで売っているイワシやサバなども使えます。 餌釣りの場合、餌が小さいと普通のナマズやブラックバス、コイなどの外道が頻繁にヒットするという問題が あります。メーター級に絞ってビワコオオナマズを釣るのであれば、ビワコオオナマズしか食べられない、大型の餌を使うようにします。
ビワコオオナマズの餌釣りのポイント②ロッド
ロッドの長さは?
投げ竿を使うなら、4メートル以上のものを使いましょう。30号以上の重り負荷があるものが使いやすいです。投げ竿には両軸受けリールが実は使えます。5号程度の磯竿や、鯉用の竿も適しています。いずれもビワコオオナマズの強い引きにのされない、粘り強いことが条件となります。
置き竿で狙うのが基本
仕掛けもリールも大型になることから、置き竿での釣りとなります。このため、竿立てが必要になります。竿立てには鯉用のロッドポットや、磯用のピトンが適しています。現地の状況に合わせて使い分けましょう。ヒットしたあと異常を感じたビワコオオナマズは、一気に突っ走って逃げることもあります。竿を離れていると竿ごと水に引きずり込まれる恐れがあります。尻手ロープを使い、竿の紛失を防ぎましょう。
ビワコオオナマズの餌釣りのポイント③リール
ビワコオオナマズの餌釣り用のリールは、ルアーで狙う場合と同じもので良いです。両軸受けリールが力があり、ラインはPE3号以上と同程度のものを巻きます。リーダーもワイヤーなどを使います。
ビワコオオナマズの餌釣りのポイント④仕掛け
仕掛けは、道糸に30号ほどの中通し重りを通してクッションのゴム管を付け、サルカンで固定します。ハリスは餌の魚がある程度泳ぎ回れるように、1ヒロ程度とし、材質はフロロなど丈夫なものを選びます。針は伊勢尼、セイゴの16号以上を使います。丈夫なワームフックも使えます。餌となる魚の大きさに応じ、孫針をつけても良いです。夜釣りなので仕掛けにはケミホタルを竿先につけるか、鈴を付けましょう。餌となるフナやブルーギルへの針は、背掛けか口がけにしましょう。
ビワコオオナマズの餌釣りのポイント⑤:かかるとどうなる?
小さな生き餌を使うと、ブラックバスや普通のナマズなどの外道がヒットしています。メーター級の超大物に限定して狙うのであれば、ヒット率は下がってしまいますが、大きな生き餌を使うのが得策です。小型のブラックバスなどを使うといいでしょう。
ビワコオオナマズが餌をくわえるまで
ビワコオオナマズが生き餌に近づくと、餌の魚は逃げようとして泳ぎまくります。仕掛けが遊動式なので、このときに竿先が大きく動揺しますが、まだビワコオオナマズがくわえた状態ではありません。間違えて合わせないようにしましょう。ビワコオオナマズは餌の魚にその巨大な身体をくねらせ静かに近づき、動きが止まったところで一気にくわえ込みます。次に反転し、それから頭から飲み込む動作に入ります。
ビワコオオナマズが餌をくわえたら
竿先が曲がったまま静かになったのは、餌をくわえたままの状態で、くわえた場所によっては針が口の中にないことがあります。竿先の曲がりが大きいときは少し糸を送ってテンションを緩め、ビワコオオナマズが違和感を感じるのを解消します。 くわえた魚を飲み込んだ瞬間、竿先は再び動揺し、引き込みます。合わせるのは餌を飲み込んだ、この直後となります。早合わせは「すっぽ抜け」の恐れがあります。
餌釣りとルアー釣りに共通すること
ランディング
フッキングしたビワコオオナマズは沖や深みに泳ぎ出します。この力は非常に強いので、ある程度糸が引っ張り出されますが、竿の弾力で耐えます。ポンピングが基本的な引き寄せ方ですが、テンションを維持し続けなければばれてしまいます。岸まで寄せたらネットでランディングしましょう。頭から網に入れるようにしますが、ビワコオオナマズは他魚と違い、後退する泳ぎの瞬発的な力も強いので、逃げられないように注意が必要です。
ビワコオオナマズ釣りのワンポイントアドバイス
ビワコオオナマズの生態として、夜間に湖岸、川岸に寄ってきて餌を漁る習性があります。ルアー釣りにしろ餌釣りにしろ、あまり岸辺に近づくと、足音や光で警戒されてしまいます。沖合に遠投する必要があるならばなるべく岸辺に 近寄る必要がありますが、そうでなければ、岸から離れるほど魚の捕食は大胆になります。仕掛けを投入したあと、やや岸から後退して当たりを待つといいでしょう。
ビワコオオナマズの日本記録
さぁ、ビワコオオナマズを釣りに行こう!・・・とその前に今までどのくらいのビワコオオナマズが釣れたのか確認しましょう。JGFA(Japan Game Fish Association)によると、ビワコオオナマズの記録は次のようになっています。 1位(記録:17.20kg 1997)2位(記録:15.30kg 1997)3位(記録:14.20kg 2002)4位(記録:12.20kg 2000)5位(記録:9.00kg 1998)6位(記録:6.25kg 2009) また、記録にはありませんが、過去には1間(約1.8m)の大物がとれたという話もありますので、これらの記録を塗り替える巨大なビワコオオナマズを釣ることも夢ではありません。
ビワコオオナマズ釣りに出かけよう!
しっかりした仕掛けとタックルで挑む
ビワコオオナマズは日本を代表する怪魚で、淡水魚の生態系の頂点に君臨していますが、環境の悪化などでかつてほど大物はいなくなったと話す地元の人もいます。日本一の怪魚・ビワコオオナマズを守るためにも、確実な仕掛け、タックルで釣りに臨みましょう!