もやい結びを使うシーンとは?
もやい結びとは、登山の世界では「ブーリン結び」英語では「ポウリン」とも呼ばれ、ロープを結ぶときの古くからのやり方の一つです。その特徴は、強度が上がるのはもちろん、結ぶときにロープで作った輪が必要以上に締まらないで、その輪のサイズを維持できることにあります。そのため、いろいろなシーンで使う方法が昔から多くの人たちによって考えられてきました。それがどのような使われ方かご紹介します。
①もやい結びの使い方:テント設営
もやい結びの特徴は、輪が締まらないというものがあります。この結び方は、結ぶ相手を締めあげることがないので、テントやターフをロープと結ぶときに、締めあげないから負担をかけないというメリットがあります。風が吹いてもこすれないで、せいぜい丈夫な金具しか摩擦をしないでしょう。そして、消耗品のロープが摩耗する程度の被害で済みます。これはキャンプをする人ならば、ぜひ覚えたいテクニックですよね。
②もやい結びの使い方:登山
登山は、ロープワークが多いアウトドアの一つですが、その中でもよく使われます。特に命綱ともいえるロープの使い方ではもやい結びがよく使われます。金具とのジョイント部をロープで作るとき、輪が締まらないこの結び方の構造は、自然に解けないにもかかわらず、意外なほどほどきやすいというメリットがあるので、命綱が逆に邪魔な時に対処しやすいというものがあります。命のリスクがあるアウトドアでは、もやい結びは必須のスキルといえるでしょう。
③もやい結びの使い方:船舶
最ももやい結びが見られるのが、港です。船を停泊させる時の繋留用のロープの結び方が、このもやい結びなのです。現在では、大型船舶の場合は特別に加工されたものを用いていますが、中型の船舶や小型のボートなどは今でもこの結び方で船を止めています。自分のボートやカヤックなどで水辺のアウトドアを楽しみたい場合は、ボートが流されないように絶対必要な結び方でしょう。
⑤もやい結びの使い方:ペット
ペットのリードがなくなった、もしくは切れてしまった時に、ロープをその代わりにできます。普通の結び方では首が閉まってしまいますが、もやい結びならば、ペットに良き苦しい思いをさせることなく結ぶことができます。ペットがいない人にはあまり使い道がない用途かもしれませんが、逃げた犬や猫などを捕まえて飼い主に返すまでの間、ロープさえあればペットを安全に保護することができるでしょう。
⑥もやい結びの使い方:水中作業
潜水士などの水中作業をする人は、沈んでいるものを引き上げるときや、水中の構造物とロープを結び、作業をしやすい一種の足場を作るためにこのもやい結びを使います。これで体を固定して、アーク溶接などを安定した姿勢で行えるようになるのです。危険な水中での作業を安全に行うためにももやい結びは活用されているのですね。また、ロープを伝って潜れば目的地にもすぐに行けるので、仕事もはかどるのでしょう。
⑦もやい結びの使い方:靴
子供が靴を履くのを覚えるのに、もやい結びを使っているとても素敵なアイデアがあります。子供の指では、うまく靴のかかとに自分のかかとを入れることができないケースもよくあります。そんな時に、少し補助的にもやい結びでロープを付けることで、簡単に引っ張って自分で靴を履くことができます。自分でできるという喜びは、幼い子供にとってはとても大きなものですね。子供と一緒に、靴を一足ずつもやい結びをしてみるのもいいかもしれません。
⑧もやい結びの使い方:ガーデニング
もやい結びは、とてもしっかりとした強度の高い結び方です。そこで、ガーデニングの鉢をつるすロープの結び方として活用している人も多いようです。また、ロープで作った輪を必要以上締め付けないので、野菜の苗を支柱に固定する結び方としても、とても重宝するようです。素敵な庭づくりにももやい結びはかなり活用できるので、すぐに覚えてしまいたいですよね。
⑨もやい結びの使い方:手作りハンガー
もやい結びを使って、ハンガーなど生活雑貨に使うアイデアも素敵ですね。輪を作ってしまうと、それが動かないので、フックにかけるととても安定します。流木などを河原で拾ってきたら、ちょっとしたアートを感じさせるハンガーの出来ああg利ですね。他にもいろいろなアイデアで、ロープを使ったインテリアなども作れるようになるでしょう。
⑩もやい結びの使い方:重いものを釣りあげる
もやい結びは、強度が高くなるのでしっかりとしたロープがあれば、かなり重いものを持ち上げることができます。例えば、クレーンで100㎏前後のオートバイでもしっかりと結ぶことで釣りあげることが可能です。引っ越しなどで2階から重い家具をおろすときでも、使えるかもしれませんね。もやい結びは、重量のあるものを移動させたい時に使える結び方なのです。
もやい結びの簡単な結び方講座
もやい結びは非常に簡単で、5秒あればだれでもできてしまいます。極力簡単にご説明していきます。
ステップ1
ステップ1で、ロープで輪を作ります。重なる部分が右のひもが上に来るように気を付けてください。
ステップ2
ステップ2は、1で作ったロープの輪の下から、左のひもを右に向かって通します。
ステップ3
ステップ3は、ステップ2で左側に通したロープの端を、右側のロープの下に通します。
ステップ4
ステップ4は、ステップ3で左の方に通したロープの端を、もう一方のロープの端を巻くようにして、輪の上から下に向かって通します。あとは、手前にできた大きな輪のサイズを調節するように、最初に作った輪を締めるようにロープを引けば完成です
もやい結びを学べるところ
もやい結びを実際に学びたいという人もいるでしょう。そういう場合は、消防署などのイベントに参加するのが手っ取り早いかもしれません。ほとんどの自治体には消防署があり、市のお知らせなどで消防署での講習などの情報が入手できます。実際にマスターしている消防署員の方から指導を受ければ、きっと早い簡単な覚え方を学べるでしょう。さらに、その様々な用途を知ることができるでしょう。
もやい結びの簡単な覚え方
もやい結びは、普通のちょうちょ結や堅結びよりやや複雑ですが、やり方を一度覚えてしまえば、とても簡単に結ぶことができる結び方です。用途も多いので、ほどけにくく強度が増すから、ぜひ一度試してみてください。アイデア次第で、家庭でもいろいろな応用ができるでしょう。早く結べるようになったら、仲間とのアウトドアでちょっと活躍できるかもしれませんね。もやい結びを早くマスターするには実際に使うのが一番です。
動画で学ぶもやい結び
この動画をおすすめなのは、もやい結びのコツが紹介されているからです。何も考えないで、こうすればできるというポイントが適切に説明されています。何度か見ながら、自分でロープやひもを用意して、実際にやってみると何となくできるようになるでしょう。あとは反復練習で、本当に考えなくてもできるまで体に覚えこませるだけです。動画は何度も再生して、繰り返し見ることができるので、一人でもやい結びをマスターしたい人におすすめです。
いろいろなもやい結び
もやい結びには、基本的な結び方以外に、「一重継ぎ」という、ロープ同士を輪で結ぶ方法や、「二重もやい結び」という、ロープ2本で結ぶ方法、「イングリッシュマンズノット」というもやい結びと止結びのコンビネーション、「スペインもやい」という輪を2つ作るもやい結び、「強化もやい結び」という複雑な結び方があります。それぞれ、いろいろな特徴があるので、もやい結びをマスターしたら、試してみてください。
もやい結びを使ってはいけないシーン
もやい結びは、とても便利で、強度も高い結び方なのですが、使ってはいけない状況というものがあります。もやい結びをさらに強度を増すために二重もやい結びという方法があるのですが、人をつるして救助するシーンで使われます。しかし、このやり方は意識がない人に対しては使ってはいけないといわれています。ロープワークになれたとしても、シーンごとに使い分ける必要があるのですね。
もやい結びのまとめ
もやい結びの簡単な覚え方はいかがでしたか。アウトドアだけではなく、生活のいろいろなシーンで使えるので、せっかく覚えたのですから忘れないように機会があるたびに使ってみるといいでしょう。そうすれば、今よりももっと早く結べるようになるはずです。特に強度が高くなるので結び目がほどけては危険なものに使うとより安全ですね。もし、ロープの結び方に興味が出たら、ロープの結び方のワークショップに参加するほか、ロープの結び方の本などを読んでみることをお勧めします。