サケガシラの基本情報
珍しい魚、サケガシラ
サケガシラは深海魚の一種で、日本海沿岸に広く生息しています。普段は200メートルから500メートルの深海にいるため、なかなか見られない珍しい魚です。浜に流れ着いたり、網に偶然かかったりなどしてその姿を見ることがあります。
サケを連れてくるという言い伝え
サケガシラは細長い身体をしていて、大きい場合は全長は2メートル以上にもなります。銀に近い色をしており、尾に向かっていくと身体は細くなっていきます。面白いエピソードとしてはサケガシラが取れると、サケが豊漁になるという言い伝えも残っています。
サケガシラの生態
謎に包まれた生態
サケガシラは他の多くの深海魚同様に詳しい生態はまだわかっていません。泳ぎ方は立ち泳ぎに近く、泳ぐというよりは漂うという表現の方が適切だと考えられています。水温は冷たい場所よりも暖かい場所の方を好んでいるようです。
富山湾で幼魚発見
近年では富山湾での発見が多く、富山湾でサケガシラの幼魚も見つけられました。幼魚の発見からサケガシラが富山湾で繁殖している可能性もあると考えられています。これから少しずつでもサケガシラの生態が明らかになっていくのかもしれません。
サケガシラと深海魚
水深200メートルより下を住み家に
サケガシラは深海魚に属しますが、そもそも深海魚という明確な定義はなく一般に水深200メートルよりも下を住み家にする魚を深海魚と呼んでいます。世界には少なくとも2000種類の深海魚がいると考えられていますが、まだ判明していない謎なことも多い分野です。
ユニークな姿にも理由あり
サケガシラを始めとして深海魚はそのユニークな姿が特徴としてあげられます。その姿には熱狂的なファンがいる一方で、グロテクスだと敬遠する人も少なからずいます。しかし、深海魚のその姿は深海で生きるための知恵が詰められています。
水圧で潰れない身体
海底は下に行けば行くほど水圧が強くなります。例えば私たちは水深200メートルより下では潰れてしまいます。水圧が大きくなればなぜ潰れてしまうかというと空気があるからで、深海魚は内部に空気を入れない作りになっています。ユニークな形で人間にはたどり着けない世界で暮らしています。
サケガシラとテンガイハタ
サケガシラの仲間、テンガイハタ
サケガシラはアカマンボウ目フリソデウオ科に属しており、同じ仲間にテンガイハタと呼ばれる深海魚がいます。テンガイハタもサケガシラ同様にまだ謎の多い魚です。サケガシラが日本海沿岸に生息しているのに対して、テンガイハタは太平洋以南の海域に主に生息しています。
頭部で見分ける
テンガイハタはサケガシラと同じ仲間なだけあり、姿も大きさもよく似ています、テンガイハタも2メートル以上の大きな身体を持ちます。サケガシラとの見分け方としては頭部を見る方法があり、サケガシラの頭部は陥没しているような形をしています。頭部を見ることがわかりやすい見分け方になります。
味の評価は高くない
テンガイハタは食べることができますが、味の評価は決して高いものではありません。鍋として食すという方法がよく用いられる食べ方のようです。なおハタという名前がついていますが、スズキ目のハタとは関連がないようです。
サケガシラとリュウグウノツカイ
最大11メートル以上のリュウグウノツカイ
リュウグウノツカイもサケガシラと同じ深海魚です。深海魚としてはリュウグウノツカイの方がメジャーかもしれません。とはいえ、リュウグウノツカイもサケガシラ同様に珍しい魚です。サケガシラよりも大きく全長は3メートルほどで、大きいものだと11メートル以上になることもあるようです。
まるで絵本の中の魚
リュウグウノツカイは「竜宮の使い」という非常に美しい名前でも有名です。その名に恥じぬ美しい身体をしていて、細長い身体によく伸びた背ヒレはまるで絵本の中で見た魚の姿のようです。この特徴的な姿からリュウグウノツカイは人魚だと思われていたそうです。
味の評価は分かれる
リュウグウノツカイもテンガイハタ同様に食べることができます。リュウグウノツカイは味の評価が分かれる魚のようで、美味しいという声と美味しくないという評価に分かれます。リュウグウノツカイの部位では心臓が美味しいと評判が高いようです。実際のところは食べた人のみぞ知るといったところでしょうか。
サケガシラと地震
深海魚と地震の関連は
サケガシラとリュウグウノツカイは地震魚としても知られています。サケガシラやリュウグウノツカイが浜に打ち上げられると地震が起きると信じられています。深海魚の打ち上げと地震の関連はこれまでもよくフォーカスされてきました。
深海魚と地震は無関係が定説
現状においてサケガシラをはじめとした深海魚と地震の関連は証明されていません。そのため、迷信もしくは全く関連がないものとして扱うのが科学的定説です。過去20年の深海魚の目撃と地震発生を検証して関連性を見いだせないという結果が発表されています。
地震を心配しすぎない
確かに深海魚が打ち上げられるというのは、なかなかない珍しいことで、そこに何かしらの不吉なものを感じ取ってしまうのもわかります。しかし、深海魚の打ち上げから過度な地震への心配などはしなくても大丈夫そうです。珍しいものを見たとポジティブに捉えるくらいでもいいのかもしれません。
サケガシラの味
食用としての流通はほぼなし
サケガシラは食用としては流通していないため、食べる機会はあまりないでしょう。サケガシラは食べることはできますが、同じ仲間のテンガイハタ同様にあまり美味しい魚ではないようです。味は悪くはないようですが、水気が多いためか、満足度は低いです。
味を楽しむよりは珍しい体験を楽しむ
サケガシラを食べる機会があったら、味を期待するというよりは珍しいものを食べられる貴重な経験だというような捉え方をした方がよいでしょう。やはり食用として流通していないのには、それ相応の理由があるということなのかもしれません。
サケガシラの料理1
魚全般の料理方法が可能
サケガシラは毒がある魚というわけではないので、一般的に魚を食べるときの料理は概ね可能です。味を期待しなければ刺身としても食べることは可能です。それぞれのサケガシラの料理と味を紹介します。
刺身は不評
魚を食べるときには刺身は外せません。特に新鮮な魚であればあるほど、刺身で食べてみたいという気持ちがわきます。しかしサケガシラの刺身はサケガシラの料理の中でもおすすめできないものの代表格になります。サケガシラの水っぽさをそのまま食べることになるので、あまり美味しくはありません。
焼き魚の方が食べやすい
サケガシラは焼き魚にすると、水っぽさが抜けて食べやすくなるようです。しかし、水っぽさが全て抜けてくれるというわけでなく、まだ美味しく食べられるというレベルではありません。刺身よりは焼き魚の方が食べやすいというような表現が適切かもしれません。
サケガシラの料理2
干して水気を抜いてから料理
サケガシラを美味しく食べるための方法として、水気を抜くことがあります。サケガシラは干すと、かなりの水気を抜くことができます。水気を抜くことでサケガシラの物足りなさを改善することが可能です。もしもサケガシラを料理する時は水気を抜いてからがおすすめです。
干すと小さくなる
サケガシラは干して水気を抜くと、かなり食べやすくなります。しかし、サケガシラを干すことによるデメリットもあります。サケガシラを干すと、サケガシラはかなり小さくなってしまいます。そのため食べる部分は相当に小さくなります。サケガシラが相当量の水分を含んでいることが伺えます。
サケガシラについてまとめ
地震魚は科学的根拠はなし
サケガシラと深海魚について紹介しました。深海魚の生態にはまだまだ謎が多くて興味をそそられます。謎が多い中でも深海魚の打ち上げと地震は科学的根拠のないようなので、その点は安心した方もいるのではないでしょうか。
深海魚の楽しい世界
なかなかお目にかかることがないサケガシラですが、一度くらいは直接見てみたいですね。また鑑賞するだけでなく、機会があれば一度食べてみたいです。とはいえ、食べる機会があっても味には過度な期待を持ちすぎないようにしましょう。