チダイとは
チダイという魚はタイ科の海水魚となります。ぱっと見て真鯛と見紛うほど類似した容姿ですが実は別物のお魚なのです。容姿だけでなく味わいも同じくらいに類似していたので真鯛として実はチダイを売っていたという業者も少なくなかったのです。
法律により代用魚を厳しく取り締まるようになったので最近ようやく正当に売られる場面が増えてきたこのチダイについてを今回はご紹介しましょう!
チコ鯛などの別名
チダイは沖縄諸島を除く日本全国で捕られるお魚で、食用としてはもちろん釣りの対象魚としてもたいへん人気があります。全国で漁獲高があるお魚というのは地方によりいろいろな名前で呼ばれるのが常。
このチダイも例に漏れずにさまざまな地方名があります。チコダイという名前も、そんな別名の一つです。
チコというのは「小さな」という意味。すなわち、小さな鯛という意味となるわけです。
チダイの生態
チダイはチコダイの別名のとおり少し小さいタイ科のお魚です。そのサイズは成魚で約30cmほどでよく育ったとしても40cmいけばチダイとしては大きい型となります。タイ科としては小ぶりな部類でチコダイ以外の他の別名もそのサイズに由来した名前が多いです。
温かい水域で暮らしていますが分布が広く日本のほとんどの海で見られ、体色は綺麗な桜色。
産卵期は7月から11月の間で地域差があります。寒い地方を住処とする個体の方が産卵期は早い傾向があります。本格的に寒波が来る前に出産を終えてしまいたいのでしょうね。
チダイと真鯛の違い
チダイと真鯛は似ているが
前述したように、チダイと真鯛はよく見ないと間違えてしまうほど似たお魚です。
味については真鯛の方が美味しいというのが一般的な評価ですが、法律で取り締まられるまでは当たり前のようにチダイを真鯛と表記して小売店や高級料亭でも提供していたほどにチダイは食味のよい魚なのです。
しかし、きちんと細部まで見ればこの二種には実は意外なほど多くの違いが存在していることに気づくことでしょう。
違いはたくさんある
まず、真鯛とチダイの違いを見分けたい場合に見るべきポイントは尾ビレです。真鯛は尾ビレの端がわずかに黒いのですが、チダイの尾ビレは綺麗なピンク色で黒い部分はありません。
しかし、尾ビレが何らかの理由で見られない場合に、次に見るべきポイントはどこかと言えば、それはエラです。
真鯛のエラは体色と同じ色で統一しているのですが、チダイのエラにはまるで血がにじんでいるかのように真っ赤な部分があります。ちなみに、チダイは漢字表記で「血鯛」と記載するのですが、この名前の由来はエラの赤い部分が由来です。
チダイの旬
美味しくなるのは5月から
チダイは春~初夏の間が旬というのが世間的な認識です。ただ、その期間のなかでも美味しくなる時期には波があります。チダイがもっとも美味しい月。それはずばり5月となります。5月のチダイはまさに絶品!
真鯛はもとより他の高級な白身のお魚と比べても遜色ありません!ゴールデンウィークにはチダイを使ってチラシ寿司などいかがでしょう。
旬のチダイのお値段
チダイは年間を通して漁獲されるポピュラーなお魚です。ただ、旬の時期に型のよいものを手に入れようとするとそれなりのお値段がします。実は真鯛の影に隠れがちですが、チダイも正真正銘、高級魚となります。
小ぶりなものなら数百円と信じられないほど安く手に入るのですが、30cmを超えるチダイとなるとキロ千円以上はするほどのお値段となります。
チダイの選び方
そうなると気にかかる部分が出てきますよね。「鮮度のよいチダイの選び方」です。安くないお値段を出費して購入するからには少しでも良質なチダイを選びたいところです。
そこで、鮮度のよいチダイの選び方を紹介します。まず、見るべきところは体色です。桜色のあざやかではっきりしたチダイがより良質な個体となります。そして、鮮魚選びの基本である瞳です。
瞳がクリアで綺麗な個体がより新鮮となります。チダイ選びは鮮魚の目利きの方法を学ぶのにちょうどよい例となります。これを機会にお魚の選び方を覚えておくとよいでしょう。
チダイの美味しい食べ方.1
お刺身は真鯛より美味しいとの声も
チダイの美味しい食べ方としてまず話題に上がる料理がお刺身です。チダイの身と真鯛の身の違いの特徴として、チダイは真鯛より身がみずみずしく、それでいて柔らかいという性質があります。
この特徴を生かせる料理と言えばやはりお刺身でしょう。真鯛のお刺身よりも柔らかいため食べやすく旨みを感じやすく、食べ頃とされる5月のチダイだと特に真鯛以上の味わいであるという呼び声高い絶品の食べ方となります。
お寿司にしても驚異の美味しさ
お寿司のネタとしても旬の時期のチダイは最高の一品です。お刺身として食べられる状態にまで料理したチダイをさらに昆布で締めて旨みを素の状態の何倍にも引き出したチダイは白身魚のお寿司としては最高峰のネタへと進化を遂げます。
その美味しさは幻の高級魚クエに匹敵するほどです。
港の市場付近なら比較的リーズナブルなお値段でその味を堪能できるでしょうから春から初夏にかけてチダイを目当てにお寿司屋さんを巡るのも楽しい食べ歩きの一幕としておすすめです!
チダイの美味しい食べ方.2
チダイを昆布で締めてみよう
旬の時期のチダイのお刺身をより美味しく食べる方法をお教えしましょう。それは昆布締めです!海の食材はほぼ全てを昆布で締めることが可能なことをご存知でしょうか?
特にチダイのような白身のお魚は昆布で締めることでより旨みが増すんです。この昆布締めは料亭などでも一品として出されるほどの上品な美味しさなので是非おすすめします。
簡単にできる昆布締め.1
昆布締めと聞くとなんだか敷居が高そうなイメージを持たれる方が多いのでしょうが、実は昆布締めは簡単なのです。用意する材料は、チダイのお刺身と昆布と塩だけ。チダイのお刺身はさくの状態でも大丈夫です。
簡単にできる昆布締め.2
まず、チダイのお刺身に塩を軽くふりかけます。このときにふりかけるのはお刺身の裏と表との両面です。そのあと、10分ほど常温に置いてください。ただし夏場の場合には冷蔵庫に置きましょう。
簡単にできる昆布締め.3
チダイに塩をふって待っている間の時間で昆布を切っておきましょう。昆布は軽くコンロであぶって香りを出してから調理用はさみでお刺身にくるむのに適したサイズに切りましょう。
簡単にできる昆布締め.4
お刺身を切った昆布でくるんでラップで密封するようにさらにぐるぐると巻いて下さい。きちんとラップで梱包できたら冷蔵庫で1日ほど寝かせれば昆布締めの完成です。どうでしょうか。意外に簡単ではないでしょうか。
食べる際にはそのまま昆布をはずして食べても美味しいですし、めんつゆなどにくぐらせて食べても美味しいですよ!
チダイおすすめ料理5選
刺身・寿司以外にも美味しい食べ方
チダイはお刺身とお寿司も絶品ですがもちろんそれらだけがチダイ料理の全てというわけではないのです。加熱しても抜群の旨みとホクホクした身の甘さを堪能できるのがこのお魚の真髄と言えます。
そこで、今回チダイを紹介するにあたって特におすすめできる美味しいチダイ料理を5選ピックアップしました!是非、皆さんが実際にチダイを調理する際の参考にして下さい!
チダイおすすめ料理.1
チダイのアクアパッツァ
チダイは真鯛と違い小ぶりなのでこのように丸ごと鍋に入れて煮込む料理は最適と言えますね。あさりなどの貝の出汁とチダイから出る旨みが合わさって海からの滋養をこれでもかと凝縮したアクアパッツァはまさにこれ以上ないほどの驚愕の美味しさ。
ニンニクとオリーブの香りで嫌な魚臭さは完全に消え去り残るは食欲をそそる芳しい臭いだけです。
海の出汁を適度に吸い込んだプチトマトがちょうどよい箸休めになります。また、ビタミンとミネラル豊富なので美味しいだけでなく美容にもよいのも嬉しいですね!
材 料(2~3人分)●チダイ1匹●あさり12粒●プチトマト8個●ブラックオリーブ6粒●ケッパー6粒●ニンニク1片●白ワイン50cc●塩4つまみ黒こしょう6ガリガリ●オリーブオイル大さじ2●EXオリーブオイル(仕上げ用)大さじ1
チダイおすすめ料理.2
チダイの煮付け
チダイのおすすめ料理で欠かせないのが煮付けです。この食べ方をするのならやはり白いご飯は隣にいて欲しいですね。醤油と酒にみりんでコトコト煮付けた飾り包丁を入れたチダイは間違いのない美味しさ。
魚市場の食堂で食べるチダイの煮付け定食もみなまで言うまでもないほどの定番料理ですが、小型サイズならリーズナブルに手に入るこのお魚ならご家庭でもお手軽に食卓にあげられます。
チダイはもともとサバなどの青魚より臭いはないのですが、お魚の磯臭さが気になる方はここに生姜を入れればさらに食べやすくなりますよ!
材料(2人分)チダイ2尾★しょうゆ大さじ2★酒大さじ1★みりん 大さじ1★だし汁 50cc
チダイおすすめ料理.3
チダイの炊き込みご飯
炊飯器にもらくらく入るサイズが手に入るのは真鯛とチダイの違いの一つですね。そこを上手に生かしたのがこの炊き込みご飯となります。炊飯器はもちろん、土鍋で炊けばより本格的です!
研いだお米と処理したチダイを入れてだし昆布に調味料を加えて炊くだけで絶品の鯛炊き込みご飯の完成です。
手間がかからないのにまるで料亭の味わい。真鯛に負けず劣らずの出汁が出ることで評判のチダイがもつポテンシャルをここまで生かした料理はなかなかありません!あらかじめチダイを軽く焼いておけば芳しい香りが食欲をそそります!
材 料(2人分)
チダイ(下処理済み)1匹
塩ひとつまみ
米1合
昆布10×10cm
水500ml
☆しょうゆ大さじ1/2
☆酒大さじ1/2
☆みりん大さじ1/2
山椒の佃煮大さじ1
三つ葉1束
チダイおすすめ料理.4
チダイのスチームフィッシュ
蒸し魚、スチームフィッシュという食べ方は臭いの強い青魚にはできない調理法です。しかもチダイは画像のサイズなら数百円程度で購入可能な点も見逃せない要素ですね。
「蒸し魚なんて専用の蒸し器がないとできないんじゃ」と不安に思う方もいることでしょうが、心配ありません。チダイくらいのサイズなら電子レンジでも十分、スチームフィッシュを作れますよ!
レンジで簡単!
耐熱皿にオーブンシートをひいてからチダイをのせて日本酒をふりかけラップをかけたら500wレンジで8分前後加熱すればそれで完成です。あとは鍋でソースをつくって蒸されたお魚にかけていただきましょう!煮る焼くという調理法より旨みが閉じ込められているので美味しいですよ!
材料 (魚一匹分)●尾頭付の魚一匹●塩小さじ2●サラダ油小さじ2■ソース●サラダ油大さじ1●ゴマ油 大さじ1●生姜みじん切り大さじ1●にんにくみじん切り大さじ1●醤油大さじ2●オイスターソース 大さじ2●コリアンダーか小葱を飾り適量
チダイおすすめ料理.5
チダイのから揚げ
旬のチダイを生かす調理法は焼く煮る蒸すだけではないのです!揚げるという調理法、チダイのから揚げもまた絶品となります。塩コショウを適量ふったチダイの切り身を皮ごと軽く小麦粉をまぶして180度の油でカラッと揚げましょう。
小ぶりのチダイならそのままじっくり揚げれば小骨ごと口に運べるのでカルシウムなどの栄養素を丸ごと摂取可能な点もおすすめする理由ですね。お好みでレモンをかけてお酒のおつまみにするのもよいですよ!
材料●小鯛(今回は16㎝前後)3尾●塩コショウ適量●小麦粉適量●サラダ油適量
まとめ
チダイは真鯛に負けていない
一般にチダイは真鯛よりも下に位置するお魚だという評価を受けます。味・お値段ともに真鯛の方が上でチダイはその下だというのが世間の評価です、ただチダイにはチダイの良さがあるということは決して忘れてはいけないところでしょう。
とりわけ旬のチダイの美味しさは知る人ぞ知る味。しかも、真鯛の影に隠れていた過去のためか、チダイは小型から中型のサイズなら本当に信じられないほど格安で手に入るので狙い目の食材です。
上手に調理して食卓を賑わせよう!
何と言っても縁起のよい魚であるチダイ。小ぶりなチダイでも姿を生かしたまま調理して食卓に出せば箸をつける前にご家族皆さんの目を「お!」と驚かせること間違いなしです。
目で楽しませてからはチダイの味わいでもう一度驚かせる。そんな楽しい食卓の演出に是非、チダイを利用してみましょう!