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化学肥料「硫安」とは?その成分や特徴、植物に生育に効果のある使い方も解説!

「硫安(りゅうあん)」って聞いた事がありますか?ガーデニングをしている人でもあまり耳にしないかもしれません。一言でいうと即効性の化学肥料の事です。安価で使いやすい優れものの窒素単肥です。ここではその硫安についてその成分や使い方効果などについて説明していきます。
更新: 2024年7月24日
sarabande
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目次

硫安って何?

窒素を含む単肥

硫安とは「りゅうあん」と呼び、正式名は「硫酸アンモニウム」です。硫安は化学肥料であり、窒素だけを含んだ単肥です。野菜などの肥料として使われ安価なために広大な畑などに使われる事が多いと言えるでしょう。また窒素だけでは作物の生育は不十分なために他の肥料と合わせて使う事が多いですね。

肥料の三大要素の1つ

肥料の三大要素とは?

ガーデニングをしている人であれば、植物に必要な肥料の三大要素とは何か?という問いに聞いた事はあるけれどすぐにはそれぞれの名前が出てこないという人もいるかもしれませんね。またそれぞれの役割というのも詳しくは知らない人も多いのでは?

その三大要素とは「窒素」「リン酸」「カリウム」の事です。硫安(硫酸アンモニウム)はこのうちの1つ、窒素肥料という事になりますね。補足としてそれぞれの役割を次に簡単に述べていきます。

窒素

硫安に含まれる窒素は植物の主に「葉」や「茎」に効く成分で最も重要な役割と言えるでしょう。植物を大きく成長させるタンパク質や、葉に含まれる葉緑素などに欠かせない単肥です。「葉肥え(はごえ)」と言われています。植物にとっての生命維持には欠かせない成分と言っても良いでしょう。

リン酸

リン酸は主に「花」や「実」をつきやすくする為の単肥です。リン酸が不足すると開花が遅れたり結実できなくなったりの障害を起こします。「実肥え(みごえ)」と言われている単肥です。

主な物で「過リン酸石灰」や「熔成リン肥」がありどちらも土中のアルミニウムや鉄と結合されると植物には吸収されない性質を持っているので使い方に注意が必要ですね。

カリウム


カリウムとは水に溶けるカリウムイオンで植物の根の生育を促す役目がある単肥です。またその他に病気などに対する抵抗力を高め、植物全体を強くする働きをするのが特徴です。

なので不足すると病気になりやすく害虫などの被害にあいやすいと言えるでしょう。「根肥え(ねごえ)」と言われています。用途は根に良く効く肥料なので球根や根葉類の元肥や追肥に利用されます。

硫安の成分

正式名は硫酸アンモニウム

既述のように硫安には肥料三大要素の1つの窒素が含まれています。硫安の正式名称は「硫酸アンモニウム」です。その名の通り「硫酸」と「アンモニウム」が結合した化学肥料ですね。

この中に含まれている窒素が肥料として使われているのです。純品の物だと窒素が21.2%ですが、肥料として使われる物だとアンモニア性窒素が20.5%以上含まれています。

硫安の特徴は?

土壌のphを低い酸性にする

まず土壌のphとはどういう事か?これは土壌の水素イオン濃度を表す物で「0(酸性)~7(中性)~14(アルカリ性)」で表されます。このphが低めの土壌を酸性に傾いていると言い、野菜、作物などはそれぞれ適した土壌のph具合が違ってとても重要になります。

酸性を好む植物、特にブルーベリーなどは酸性土壌が適しています。また野菜はどちらかというとph6.5くらいの弱酸性を好む物が多く、この硫安を施して土のphを下げて弱酸性にして野菜の為の土作りをする働きがあるのです。

即効で作物に吸収される

硫安はすぐに作物に吸収されるという特徴があります。これは広範囲の畑などに施す事に向いているでしょう。また生育期間が短い野菜、たとえば葉物野菜のホウレンソウや小松菜などは収穫までの期間が短いので、硫安を施すのには適していると言えるでしょう。

あまり大量に撒くと「肥焼け」「肥料焼け」を起こすと言われています。この肥焼けとは大量の肥料が土の成分を濃くしてしまい、植物の根にも機能が害するという悪影響を及ぼす事ですね。

石灰材と同時使用でガスが発生

硫安と石灰材を同時に使うと空気中にアンモニアと逃げてしまいます。これはガスとしても毒性で危険ですし、窒素としての効果も薄れてしまうから同時に使用するのは避けましょう。

元々硫安は酸性土壌に、石灰材はアルカリ性土壌にする役目なので全く反対の働きをする物を同時に使う事があまりありませんが、硫安を使用し過ぎて酸性に傾きすぎた場合などに石灰材で調整する事があります。この場合も両方の撒く時期をせめて7~10日あけて施す事が大事だと言えるでしょう。


硫安の使い方

元肥として粒を土に混ぜ込む

畑の土壌改良の為にも作物を植える前に、元肥として粒のまま土に混ぜ込みます。この場合上から下まで土と混ざり合うようにする方法と、作物を植える予定の場所よりもさらに下の土の奥底の方に撒く方法があります。

どちらの場合でも作物を植える10日ほど前に施すと良いでしょう。更に既述したように石灰と同時に撒く事は避けましょう。

液肥にして追肥用に。

硫安は粒のままでも使えますが、作物の追肥として500倍の水に溶かして普通の液肥としての使い方もあります。主に硫安は植物の葉や茎の生育を促すので、ある程度育ってきた苗に追肥として液肥料にして施すと良いでしょう。

葉や茎を大きくする事で花付きが良くなりより良い収穫に期待できます。また元々即効性がありますが液肥にする事でより早い効き目が期待できますね。

有機肥料との組み合わせ

硫安だけを施していると窒素栄養としての役目は果たせるけれど、そればかりだと土の中の微生物が減ってしまい固い土となり保水性や透水性が無くなってしまいます。

土壌改良する為に鶏糞や牛糞などで微生物を増やしてフカフカの柔らかい土にする事が大切ですね。逆を言えば有機肥料ばかりだと窒素分の栄養が無い土と言えるでしょう。両方を補うという事が大事ですね。

他の単肥と共に使用

硫安は窒素だけの単肥ですので、植物に必要な栄養素が足りませんね。なので他の三大要素であるリン酸やカリウムを含む単肥と共に使用する事が必要になります。緩効性のリン酸肥料として「熔成リン肥(ようりん)」などがあり、この時も硫安を撒く7~10日くらい前に施して決して一緒に使用しないようにしましょう。

スキー場で雪を固める

硫安は雪を固める特徴があります。これはガーデニングとはまた別の話になりますが補足として説明しておきますね。硫安を水に溶かすと周りを凍結させる働きがある事を利用してスキー場などで雪が溶けるのを防ぐ為に用いられています。


硫安の効果は?

葉物野菜に効く

硫安に含まれる窒素が植物の葉や茎の生育に効果的に働きます。しかもその効き目が即効性に富んでいる為に発育期間の少ないホウレンソウなどにはとても適していると言えるでしょう。

またキャベツなどに追肥として与えると見る見るうちに大きくなります。また葉物野菜だけでなく、ナスやじゃがいもなども追肥として施すと苗がいきいきと大きくなります。

即効性がある

硫安は即効性があり、植物や作物が目に見えて発育していくのがわかるほどです。特に葉や茎の成長を促し植物全体を大きく育てるのに効果的ですね。

もちろん元肥としても利用できますがこの即効性により、追肥としても大活躍してくれのですね。また広大な畑など撒く肥料はその範囲も広いので即効性のある肥料の方が使いやすいと言えるでしょう。

追肥として効果的

上記の即効性を理由として、追肥にとても向いています。もちろん元肥としても利用できますが、植物がある程度成長するまではその成長スピードもややゆっくりですが、大きくなるにつれて成長スピードも速くなり、生育がピーク時の作物などにすぐに効く追肥が必要で、それによりスムーズな栽培ができるようになりますね。

まとめ

広大な畑で活躍

広大な畑ではお世話も大変ながら、それらに費やす肥料代もばかになりませんね。そんな時に比較的安価な硫安はとても利用しやすいです。

また硫安の即効性を用いながらスピーディーに栽培もでき大きな畑での数多くの労力や負担を少しでも軽減できると苦になりません。他の単肥と組み合わせながらそれぞれの特徴などを考えて硫安の使い方の見直しをしてみてはいかがでしょうか。