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独特の模様をもつ「タコノマクラ」の生態とは?食べることはできる?

タコノマクラという印象的な名前を持つ海の生き物がいます。まるでおまんじゅうのような形をしたタコノマクラとは、いったいどんな生き物なのでしょうか。タコノマクラの特徴や生態。スカシカシパンとタコノマクラの違いなどご紹介していきます。
2020年8月27日
佐藤3
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目次

タコノマクラとは

タコノマクラなどという印象的な名前をつけられた海の生き物がいます。タコノマクラという名前、俗称なのかと思いきや、タコノマクラ目タコノマクラ科に属する、図鑑にも乗るようなれっきとした正式な生き物の名前です。今日はこの不思議なタコノマクラの特徴・生態をご紹介します。タコノマクラとよく似た形をしている「スカシカシパンとの違い」から「タコノマクラは食用になるのか?」まで、あなたの素朴な疑問にズバリ!お答えしていきます。

タコノマクラの特徴・生態など

まずはタコノマクラの基本情報として、その特徴や生息地・生態、タコノマクラという名前の由来などをご紹介していきましょう。

タコノマクラの特徴

タコノマクラという名前から想像すると、きっとフニフニと柔らかいさわり心地なのだろうと思う人もいるでしょう。しかし、タコノマクラは触れてみると決して柔らかくなく、むしろ固くてすべすべした感触だとわかります。その大きさは、大きなものでも手のひらに乗るくらいのサイズの小さくてかわいらしい生き物です。海底の砂泥の中に生息していて、砂泥の中の有機物を食べて大きくなります。

模様

タコノマクラの模様は花びらのような形になっています。「*(アスタリスク)」にも似ていますが、よくみるとタコノマクラのかわいい花びら模様は全て5つからできています。その花びら模様の中心には口があり、裏返してみると開いている穴がタコノマクラのおしりです。

名前の由来


タコノマクラの名前の由来は「タコが昼寝してそうな形だったから」「タコが隠れるのに使っていたから」などとタコ絡みでいくつかありますが詳しいことはわかっていません。それもそのはず、タコノマクラという呼び名は江戸時代からあり、最初は現在のタコノマクラだけを差すことばではなく、広くヒトデやカシパンなどを差す言葉だったそうです。それを明治時代の教科書で現在のタコノマクラの写真にこの名前を使ったことから一般的に広く普及し、ヒトデやカシパン類全般を差す名前ではなく、タコノマクラ単体の呼び名に変化していきました。

生息地

タコノマクラは房総半島以南、本州、四国、九州沿岸に分類している生物です。浅瀬の礫質の海底に生息しています。

タコノマクラは固くてすべすべしているとお話しましたが、それは外殻のさわり心地です。その表面には丸の模様がたくさんついていて、殻の花びら模様に見える部分は小さな穴が開いてそのように見えます。その殻の中には「アリストテレスの提灯」と呼ばれる口器がついています。これも花びら模様と同じく5組の対になるパーツがあり、対になる口器はピッタリとパズルのようにセットになります。タコノマクラの殻の中はとても不思議な形の柱や口器などがありますので、殻が割れてしまっても中を観察する楽しみがあります。

タコノマクラは食べることができるか?

タコノマクラの別名は「きんつば」や「饅頭介」といいます。どちらもお菓子の名前です。見た目がまんじゅうのようで美味しそうと感じた人が付けた名前でしょう。このように見た目は美味しそうなタコノマクラは、食べることができるのでしょうか。

殻の中身

タコノマクラの中は柱がたくさんあります。この柱のせいで食べられる部分がほとんどなく、食べる人はいません。あのお魚博士のさかなクンでも、「タコノマクラはぼくでも食べたことがありません」と言っています。

タコノマクラはヒトデの仲間?

江戸時代はタコノマクラをヒトデやカシパン全般を差す総称(俗称)として使っていたというお話をしました。このことから、ヒトデとタコノマクラは同じ種類の生き物なのかという疑問が生まれてきます。この答えは「とても広い意味では仲間といえる」です。


棘皮動物門

ヒトデは棘皮動物門という大きな分類に属します。同じ棘皮動物門にタコノマクラもいます。タコノマクラの分類は「棘皮動物門 ウニ綱 タコノマクラ目 タコノマクラ科 タコノマクラ属 タコノマクラ」となります。ここからもわかるように、タコノマクラはウニの仲間でもあります。その証拠にタコノマクラもよくみると小さなトゲがたくさんついています。

5という数字

ここで、タコノマクラの花びらの枚数、ヒトデの星型の足といわれる部分を思い出してみてください。どちらにも共通して5という数字があらわれます。ウニも実はあのトゲを全て取ってしまうと5つの帯があらわれます。これはヒトデもウニもタコノマクラもすべて元をたどると同じ仲間だという証拠です。

タコノマクラとスカシカシパン

タコノマクラを見たときに「スカシカシパンだ」と思った人もいるでしょう。スカシカシパンはタレントの中川翔子さんが歌をうたったことで有名になったカシパンの仲間のうちのひとつです。花びらの模様があって、丸いおまんじゅうのような形をしていて、パッと見はそっくりです。

タコノマクラ目スカシカシパン属

スカシカシパンはタコノマクラの仲間ですが、タコノマクラ=スカシカシパンではありません。実はカシパン類は他にもたくさん種類があって、どれもとても良く似た模様をしています。スカシカシパンは大きめの穴が開いていて中が透かして見えることから「透かして見えるカシパン類」からスカシカシパンという名前がつけられました。殻に開いた穴の小さなタコノマクラは、スカシカシパンではないのです。

タコノマクラを漂白してみよう

タコノマクラなどのカシパン類は海で見つけた時は汚れていてかわいい形はしているものの、お世辞にも綺麗と呼べるものではありません。しかし、このカシパン類は漂白してあげることで真っ白にすることができます。ここではタコノマクラをインテリアとして使う場合の綺麗な漂白の仕方とその注意点をご紹介します。


漂白前準備

タコノマクラも生き物です。殻の中に小さくても内臓類が入っていますので、まずはそれを腐らせ取り除くために真水に漬ける作業をします。水はとても悪臭を放ちますので、毎日綺麗な水と取り替えることを忘れずに。家族や近所の人の迷惑にならないようにくれぐれも注意しておこないましょう。目安は3週間ほどですが、真水を変えていくたびにタコノマクラの色が白っぽくなり、その分水が汚くなるのを感じるでしょう。水換えのときに水が汚れなくなった(タコノマクラが真水ではこれ以上白くならなくなった)ら、真水での腐らせ作業は終わりにして漂白作業に移って大丈夫です。

漂白剤に漬ける

タコノマクラの中身が完全に腐って、真水での限界を感じたら漂白に入ります。漂白剤の濃度目安は1リットルの水に塩素系漂白剤を小さじ1杯です。あまり漂白剤の濃度を強くしすぎると殻がもろくなり割れてしまうので濃さには注意しましょう。漬けておく時間は殻が白くなるまで。毎日漂白剤を新しいものと交換して好みの白さになるまで繰り返します。

タコノマクラが割れる

塩素系漂白剤での漂白は、強力な分タコノマクラの殻をもろくするといわれています。ひとつしかなくて割りたくないというときは、塩素系漂白剤よりも入れ歯洗浄剤の方が割れないという意見があります。タコノマクラが数個あり、割れても良いので真っ白に漂白したいという人は塩素系漂白剤を使うとよいでしょう。ひとつも無駄にしたくないという人は、念を入れて入れ歯洗浄剤での漂白がおすすめです。

まとめ

不思議で綺麗ないきもの「タコノマクラ」についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。タコノマクラはとてもかわいい模様が特徴で、拾って帰って漂白してインテリアなどにする人もいます。スカシカシパンとは模様が似ていますが、よくみるとその模様の違いで見分けることができるということもわかりました。これで、海でタコノマクラなどのカシパン類を見つけた時も「これはタコノマクラ」「こっちはスカシカシパン」と教えてあげることもできるでしょう。