フロントディレイラーの調整とメンテナンス
ロードバイクには長い間乗っていても、フロントディレイラーという言葉を初めて聞く方も意外に多くいらっしゃるのではないでしょうか。素人でもメンテナンスのしやすい箇所であれば、ご自身で調整をしたり場合によっては部品交換もおこなっているという人も多いです。
思い切って自分で調整してみよう
しかし、そこまでメンテナンスに手慣れている人でも、フロントディレイラーはメンテナンスが入り組んで難しいので素直にプロ整備士のいるお店へロードバイクを持参してお願いしている人が多いのも事実です。ここは思い切ってフロントディレイラーの調整方法を学習してご自身のロードバイクを徹底的にメンテナンスしていきましょう。
フロントディレイラーとは
フロントディレイラーとはロードバイクのギアの変換と調整をする装置です。購入当初は正しい位置にあり快適なサイクリングを楽しむことができます。
しかし、時間の経過にともない少しずつチェーンとギアの位置がズレていき、気づかないうちにギアの調整がスムーズにいかなくなってきます。少しぐらいの違和感ならそのまま乗り続ける方も多いのではないでしょうか。
安全の為にも調整法をマスターしよう
そのまま放置してしまうと、どこかのタイミングでギアが空回りをして転んでしまうことも考えられます。危険から身を守るためにもフロントディレイラーの調整方法やギアの取り付け位置、ケーブルの張り方をマスターして快適なロードバイク生活を送りましょう。
フロントディレイラー調整に必要なもの
用意する工具 ・六角レンチ、プラスドライバー、メモ帳、ペン 意外に思われるかもしれませんが、メモとペンがあるとなにかと便利です。交換部品が出ることもありますので、わからなくならないようにメモを活用しましょう。
フロントディレイラーの調整 手順1
取り付け位置の確認をする
フロントディレイラーの取り付け位置を最初に確認していきましょう。フロントディレイラーとはロードバイクの中心部に取り付けてあり、ギアとチェーンが連携して収まっている部品です。いわばロードバイクの心臓部です。
さっそくメンテナンスをしていきましょう。まず最初にギアの位置、チェーンのたるみ、ケーブルの張り具合をチェックしていきます。
細かいパーツは無くさないように注意
場合によっては交換をする部品がでてくることもありますので、細かい部品をなくさないように周囲に置き場所を決めておきましょう。この時にメモを活用して忘れないようにしましょう。
フロントディレイラーの調整 手順2
ガイドプレートとギアのスキマを確認する
フロントディレイラーの取り付け位置を真横から見て外側のガイドプレートと外側のギアのスキマが1~3mmの範囲内か確認をします。ガイドプレートとはフロントディレイラーにあるチェーンを挟み込んでいる部品のことです。 この箇所がズレている場合に調整をおこないます。
ロードバイクを真横から見て調整
ロードバイクを真横から見てフロントディレイラーの取り付け位置から外側のガイドプレートと外側のギアの隙間が1~3mmの範囲内からズレていれば調整をおこないます。フロントディレイラーが規定の位置にない場合は取り付けボルトを緩めて調整します。
フロントディレイラーの調整 手順3
ロー側のギアを調整する1/3
次にギアのロー側の調整確認です。フロントローギアとリア側ともに最大ギアにチェーンが移動していることを確認しましょう。ギアが作業に必要な場所に移動していない場合は、クランクをまわしながらギアを移動させましょう。フロントが前側、リアが後ろ側です。
ロー側のギアを調整する2/3
確認ですがロー側がギアの数字が低くペダルが軽くなる方で、トップがギアの数字が大きくてペダルが重くなる方でそしてフロントが前側、リアが後ろ側です。クランクとはペダルを支えているアーム状の部品です。
チェーンリングとつながりペダルを踏むことで前にすすむ大事なところです。クランクを回転させて何か所かでチェーンの張りと動きに違和感がないか確認をします。あまり調子がよくない場合はギア交換という手段も視野に入れましょう。
ロー側のギアを調整する3/3
調整ボルトを回すときは一度に大きく動かさず、右に1/4回転、左に1/4回転のように少しずつ回して微妙なスキマのズレを確認していきましょう。ここでもメモを活用します。
調整ボルトを回した方向と回数をメモしておくと便利です。調整範囲を超えてしまった場合にもとに戻せなくなるおそれがあるからです。 メモがあれば、あとから調整もしやすくなります。
チェーンを外す場合はチェーンリンクが必要
なお、この作業をおこなうとき、場合によってはチェーンをはずさないと正確に確認ができないことがあります。この時はチェーンリンクを使用して外す方法もあります。チェーンリンクとはチェーンを外したり取り付けたりすることをスムーズにおこなうためのアイテムです。チェーンの交換をおこなうときに、お世話になるアイテムです。
フロントディレイラーの調整 手順4
トップ側のギアを調整する
次にトップ側の調整をおこないます。ロー側の時とは反対にフロントトップギアとリアは最少になるように、チェーンを調整します。このさいに必ずクランクをまわしながらおこなってください。
クランクをまわさずにギアの変換をおこなうと、故障の原因となります。調整のやり方はロー側のときと同じように、クランクを何回か回転させて微妙にズレているところがないか確認しましょう。
フロントディレイラーの調整 余裕のあるときは
作業に余裕がある場合は一連の行程の中に、チェーンやギアの清掃を含めるのもよいでしょう。普段はなかなかイジらない箇所をメンテナンスしていますので、せっかくだからグリスまたは潤滑油をチェーンに新しく使用しましょう。これだけでもギアの変換がだいぶスムーズに進み、快適なサイクリング走行ができます。
フロントディレイラーの調整 手順5
ロードバイクを真上から見て確認する
ロードバイクを真上から見て微調整の確認を行いましょう。確認するところは、ガイドプレートの外側の平らな部分と外側のギアが平行になっているかどうかです。ここのズレがあると走行中にチェーンがブレてしまい、思うようにサイクリングができなくなるおそれがあります。
しつこい位の確認が重要
次にロードバイクを真横から見て、フロントディレイラーの取り付け位置から外側のガイドプレートと外側のギアの隙間が1~3mmの範囲内におさまっているかどうか、しつこいぐらいに確認しましょう。ここで気になる箇所がある場合は、この段階で調整をおこないます。
フロントディレイラーの調整 手順6
チェーンを移動させる
次にチェーンを移動させます。必ず、ペダルを手動でまわしながらギアチェンジをしていきましょう。この際にフロントが内側、リアがいちばん大きなギアになるように移動させます。横から見てチェーンがいちばん奥に位置するようにします。確認ですがフロントは前側、リアは後ろ側のことです。
チェーンとガイドプレートの内側の隙間が0.5mm以下になるようにロー側のボルトで微調整し、ロードバイクを真上から見て、ガイドプレートの外側の平らな部分と外側のギアが平行になるように調整をします。
フロントディレイラーの調整 手順7
シフトケーブルの張りを調整する1/2
ディレイラーの位置が決定したら、シフトケーブルにたるみがないかの確認をします。シフトケーブルにたるみがあると、ギアがイメージどおりに変換されずに思わぬ事故を引き起こすおそれもあります。しっかりとチェックしていきましょう。場合によっては交換することも考えましょう。ケーブルの張りをチェックをします。
少しのたるみならアジャスターでOK
もし、ケーブルの張りが少しである場合ならアジャスターで調整できます。 アジャスターとはシフトワイヤーやブレーキワイヤーの伸びやたるみなどの張り具合を調整する装置です。 この段階でしっかり調整できた場合はここまでで作業終了です。しかし、ケーブルのたるみがひどく緩い場合は次の調整作業が必要になってきます。
シフトケーブルの張りを調整する1/2
たるみがひどい場合は、ワイヤーの固定ボルトを緩めてケーブルを張りなおします。フロントを外側のギアに動かし、リアをいちばん小さなギアにします。このときも必ずペダルを手動で動かしながらギアを移動させてください。
トリムを内側にかるく操作をしてから、チェーンとガイドプレートの外側の隙間が0.5mm以下になるように、トップ側のボルトで調整をしていきます。
ここまででひととおりの操作は終了です。なお、走行時にフロントを外側にリアを一番大きいギアにするとチェーンの負荷が強くなりますので、ギア調整には注意をしてサイクリング走行を楽しみましょう。
フロントディレイラーの調整 よくあるトラブル
フロントディレイラーの調整お行った後に、上手く調整ができていなかったときに起こるよくあるトラブルの一覧です。
クランク側にチェーンが落ちてしまう場合
トップ側の調整ボルトを右側(時計回り)に1/4ほど回転させて締め付けます。
小ギアから大ギアに変換しずらい場合
トップ側の調整ボルトを左側(反時計回り)に1/8ほど回転させて緩めます。
大ギアから小ギアに変換しずらい場合
ロー側の調整ブルトを左側(反時計回り)に1/8ほど回転させて緩めます。
トリムを操作したあと、小ギアへの変速が堅くなり動かしずらい場合
小ギアへの変換がズムーズになるまでアジャスターのボルトを右側(時計方向)に1/8ほど回転させ、緩めます。この時に一度にたくさん動かすと、大ギアへの変速がおこないにくくなるので、注意してください。
ボトムブラケット側にチェーンが落ちる場合
ロー側の調整ボルトを右側(時計回り)へ1/2回転ほどさせて締め付けます。ボトムブラケットとは、クランクの軸受けが取り付けられている部分のことです。
まとめ
フロントディレイラーの調整をマスターすると、ロードバイクのメンテナンスの幅が広がります。それに付随してギアとチェーンのメンテナンスも同時に行うこともでき、ロードバイクの寿命が長くなります。ほとんどの方はフロントディレイラーの調整や部品の交換はプロ整備士の勤務する自転車販売店にお任せすることが多いでしょう。
自分でメンテすれば愛着も倍増
思い切ってご自身でロードバイクのメンテナンス作業や部品の交換作業ができるようになると、相棒とも言えるロードバイクへの愛着がより増していき、より良いロードバイク生活を送ることができるようになるでしょう。
今後も長く乗り続けるとさらにメンテナンスの必要がでてきます。その時もまた、ご自身のロードバイクを労わってメンテナンスをおこなってください。安全で快適なサイクリングをお楽しみください。