スズキGSX250Rの全容を徹底解剖!
2017年春、スズキからGSX250Rが発売されました。250ccクラスのロードスポーツモデルはいつの時代も注目の的。1983年にRG250γ(ガンマ)でレーサーレプリカブームを巻き起こしたように、スズキは今回もとんでもなくピーキーなマシンを投入するのだろう思いきや…スズキGSX250Rのスペック、インプレ・レビューを紹介して、ツーリングに向いているかを考えてみますね。
スズキというオートバイメーカー
スズキには他社では思いつかない発想力があり、コンセプトが明確なバイクを開発する傾向があります。スズキの開発コンセプトとユーザーの使い方が合致するとスズキ車の虜となってしまいますが、的外れなバイクに出会ってしまうと「スズキ車には二度と乗らない」と思ってしまいます。スズキは少し変わったバイクメーカーなのです。
GSR250の後継モデル
GSR250はGSX250Rのベースとなったバイクです。大柄な車体と重厚なハンドリング、豊かなトルクを発生させるエンジン特性に定評がありましたが、特異な印象を受けるデザインとスペック数値の低さが目立ち、爆発的なヒットには至りませんでした。GSR250は厳しい環境基準をクリアできなくなり、後継車としてGSX250Rが誕生したのです。
GSX250Rのデザイン
スズキはGSX250Rのコンセプトを「街乗りにおける日常的な扱いやすさを持つスタイリッシュなスタンダードバイク」として開発しました。簡単にいえば「乗りやすくてカッコいいバイク」ということです。スズキのGSX250Rの発表会では厳しい環境基準をクリアしてマイナーチェンジするのではなく、デザインを一新してフルモデルチェンジしたとの説明がありました。
洗練されたデザイン
GSX250RにはGSX-Rシリーズのデザインを踏襲したデザインが与えられました。単純にカッコいいと思えますし、奇をてらったデザインでもないので好感がもてますね。ツーリング途中の缶コーヒータイムでもうっとりと眺めてしまいそうな美しいデザインです。スズキはライダーがGSX250Rに跨ったときの美しさにもこだわったとのことです。
シンプルで安心感のあるカラーリング
デザインは洗練されたものですが、カラーリングはスズキの伝統的な配色。スズキのワークスカラーであるブルー、YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACINGを思わせるレッド。レーサーレプリカ全盛期に青春時代を過ごしたベテランライダーには懐かしいカラーリングですね。ブラックならライディングウェアの自由度が高いでしょう。
GSX250Rのエンジン
GSX250RにはGSR250で高い評判を得たエンジンを一部改良して搭載されました。無駄な抵抗の軽減と燃焼効率の向上をして厳しい環境基準のクリアすることを目指した一部改良です。基本的な部分はGSR250と全く同じといっていいでしょう。GSR250のエンジンをリファインすることを前提にGSX250Rを開発したようです。
控えめなスペック
GSX250Rのエンジンスペックは最高出力、最大トルク共にGSR250と全く同じです。GSX250Rの開発にあたってエンジンスペックの数値を上げる試みもされたようですが、数値を変えずに環境基準をクリアすることを目指したようです。スズキはGSR250に搭載したエンジンに自信があったのです。実際、地味なデザインながらもGSR250は評判のいいバイクでした。
全長:2,085mm 全幅:740mm/ 全高:1,110mm シート高 790 mm 装備重量:178 kg 最小回転半径:2.9 m エンジン型式:水冷4サイクル2気筒SOHC2バルブ 総排気量:248 cm3 最高出力:18 kW(24 PS)/8,000rpm 最大トルク:22 N・m(2.2 kgf・m)/6,500rpm 燃料タンク容量:15 L フレーム形式:セミダブルクレードル キャスター/トレール:25°35'/104mm タイヤサイズ(前)110/80-17M/C 57H (後)140/70-17M/C 66H
扱いやすいエンジン特性
GSX250Rのエンジン特性はGSR250と似ています。低中速での粘り強さをもちながらも、レブリミッター(一定の回転数に達するとエンジンを守るために回転数を制御するシステム)が働くまでは気持ちよく吹け上がります。最大トルクは6500回転で発生するのですが、これは低中回転域を重視するオフロードバイクのエンジン特性にも似ています。
GSX250Rの操縦性
GSR250は幅が広いバーハンドルでしたが、GSX250Rでは少し幅が狭いセパレートハンドルが採用されました。しかしやや前傾姿勢になった程度で、腕が疲れる…首が痛くなる…そんな位置関係ではありません。ハンドルとシート、シートとステップの位置関係が良好で、疲れを蓄積させないポジションだと言えるでしょう。肝心なフレームとサスペンションについて紹介しますね。
しなやかなフレーム
GSX250RはGSR250で評判が高かったセミダブルクレードルフレームを継承しました。低中速域を重視したエンジンには高剛性フレームよりもしなやかなフレームの方が適しています。しなやかさをもつフレームは乗り心地を高めるだけでなく、コーナリング中のねじれを吸収するので車体の挙動が穏やかです。シートレール(シートを支えるフレーム)だけは新設計となりました。
ソフトなサスペンション
サスペンションの味付けもGSR250を継承したソフトなセッティングですが、フロントフォークのキャスター角(フロントフォークと地面の角度)がわずかに変更されました。GSR250の重厚さを残しながらもスポーツ性を高めています。リアサスペンションは7段階のプリロード調整(バネを伸ばすか縮めるかの調整)ができます。せっかくですからサグ出しをしましょう。
補足 サグ出し
タイヤを浮かした状態を0、ライダーが乗車した状態を1として、乗車したときの沈み込み量を1/3に調整します。ライダーの体重に合わせた調整をすると飛躍的に操縦性が上がります。アクスルシャフトとシートカウルの定点の距離を計り、適切な沈み込み量になるまでプリロードアジャスターを回転させます。SGX250Rなら車載工具(フックレンチ)で調整できますよ。
GSX250Rの試乗インプレ動画~街乗り
GSX250Rの街乗りについてイメージしやすい試乗インプレ動画がありましたので紹介します。250㏄ロードスポーツの試乗インプレ動画には必ず街乗り性を試す動画があるのですが、GSX250Rではあまり見当たりませんでした。
試乗インプレ動画~街乗り
GSX250Rの街乗りでの試乗インプレ動画を見ると、乗りやすさと低中回転域のトルクの豊かさについてのコメントがさ目立ちます。他の試乗インプレ動画では1速が扱いやすい…車体がしっかりしているというコメントが見受けられました。大柄といっても250㏄ロードスポーツの範囲内のようで、大きさや重さよりも車体の安定感は評判がいいですね。
GSX250Rのユーザーレビュー~街乗り
GSX250Rの街乗りに関するユーザーレビューや試乗レビューを紹介します。スペック以上にパワー感があるといった声が目立ちます。大型バイクから乗りかえるライダーにも評判がいいようです。
250ccなのに6速2・3000回転からアクセルをひねっても少しずつ加速して行く粘りもビックリ。
街中でルーズに乗っても、全くエンストする感じがしない粘り強さも持ってます。250ccで最高出力を捨て、低速トルクにふったスズキの判断は大正解
マイナス評価ユーザーレビュー~街乗り
ステップの位置についてのマイナスポイントレビューがあったので紹介します。ステップが足にあたったりズボンの裾が引っかかったりするのはステップ位置が前気味なのが原因だと考えられます。ライディングポジションがアップライトなバイクにはありがちなことなので、あまり気にしなくていいでしょう。
ステップの位置が少し微妙な雰囲気がします。レインコートを着て乗ってみましたが引っ掛かりやすい印象です。慣れれば問題ないと思います。
GSX250Rの試乗インプレ動画~ワインディングロード
GSX250Rでワインディングロードをスポーツ走行をすればどんな走りができるでしょうか。「デザイン的にはスーパースポーツ風だけど実は鈍足?」ピークパワーが低いのでそう思ってしまいますが、ワインディングロードはGSX250Rの得意な速度域。期待してもいいですよ。
試乗インプレ動画~ワインディングロード
試乗インプレ動画を見るとスペック以上に感じるパワー感…と評判がいいですね。低中回転域のトルクが豊かなのでコーナー手前でのシフトチェンジの回数が少なくて済み、結果的にスーパースポーツマシンを追いかけられるくらいの旋回性を発揮するとのこと。車体の倒しこみは意識的にしなければならないようですが、ここでも安定性はいいようです。
GSX250Rのユーザーレビュー~ワインディングロード
低中回転域の豊かなトルクを利用してワインディングロードでGSX250Rのスポーツ性を楽しむ人が多いようです。大型バイクに似た扱いやすいエンジン特性の評判が高いですね。低中回転域で路面にトルクをかけられるので車体が安定する…ワインディングロードでも景色を楽しむ余裕がもてる…など評判は上々です。
峠などのタイトなワインディングが連続するシーンでの扱い易さは非常に心強いです。 2日間、ほぼ酷道険道探索(使い道がおかしいかも?)に引きずり回しましたが、 あらゆる場面で全幅の信頼を置いて存分に堪能しました。
峠の上りなどでも、2速3速の7000回転あたりを使ってやると、面白いようにグイグイ登ります。
GSX250Rの試乗インプレ動画~高速道路走行
24馬力しかないのに総重量が約180kg…というところが気になりますよね。街乗りやワインディングと同じようにスペック以上のパワー感を得られるのでしょうか?それともGSX250Rは高速道を経て目的地へワープするようなツーリングには不向きなのでしょうか。高速道路での試乗インプレ動画を紹介しますね
試乗インプレ動画~高速道路走行
高速道路を6速90km/hで巡航するときに最大トルクが発生する回転数になりますので「最高出力の割には余裕がある」という試乗ライダーのコメントが目立ちます。高速道路でもハンドリングは重厚で、ライダーの操作についてくる感じとのことです。フロントスクリーンの防風性が低いという試乗インプレ動画もありました。
GSX250Rのユーザーレビュー~高速道路走行
GSX250Rでの高速道路走行についてのレビューを探すと、法定速度前後で楽しさを実感できるという声が目立ちます。無駄に回転数を上げなくてもいい…乗り味がゆったりしているので疲労感が軽減される…合流加速についても大型バイクのようなすさまじい加速はないが十分なレベルが確保されている…と評判はいいようです。
高速道路では楽に90km/hで巡航し、そこから110km/hくらいまでは苦もなく加速します。
アドベンチャーと比較すればちょっと疲れるかな。ただ、その前に所有していたオフ車に比べれば極上です。
GSX250Rでツーリングに行く!
ツーリングでは街乗り、ワインディング、高速道路などさまざまな道路を走ることになります。どんなシーンであっても快適にライディングを楽しみ、疲労を蓄積しないバイクがツーリングに向いています。GSX250Rは乗りやすさを重視したバイクですので、ツーリングに向いているといえるでしょう。
日帰りツーリングに
日帰りツーリングではGSX250Rのゆったりとした乗り味が頼もしく思えるでしょう。グループツーリングでの高速道路走行は待ち合わせするサービスエリアを決めておくべきです。無理して追いかけないようにしましょう。事故して迷惑をかけるよりも待たせて迷惑をかけるほうがいいのです。風圧による疲労を防ぐためにウインドスクリーンを追加すれば快適です。
宿泊施設泊ツーリング
ホテル・旅館・ゲストハウスを利用したツーリングにもGSX250Rは向いています。日帰りツーリングの装備に着替えを追加するだけですので重量バランスを崩すことなく積載できるでしょう。中型のシートバッグがあれば大丈夫です。GSX250Rにはタンデムステップに荷かけフックがありますので、シートバッグの固定もしやすいでしょう。
色・材質:ブラック/1680Dナイロン サイズ:180X240X280mm 容量:9.1L
キャンプツーリングに行く!
GSR250Rでキャンプツーリングに行くときに問題になるのは積載性です。リアシートの面積の狭さと位置の高さが課題となります。ウインカーが邪魔でサイドバッグの大きさが限られるかもしれません。上に積み上げるように積載すると操縦性やスポーツ性が損なわれてしまいますよ。軽量でコンパクトなキャンプ道具を厳選し、カッコよく積載しましょう。
GSX250Rの購入動機は?
GSX250Rのデザインに対する評判は高く、スペックよりもデザイン性を重視して購入する人が多いようです。250ccフルカウルロードスポーツは激戦区で、スペック競争に発展しかねない状態です。しかしGSX250Rはスペックよりもデザインや乗りやすさを重視した異端児で、競合モデルと比較する人は少ないようです。
競合他車と比較すると…
ABSやバックトルクリミッター(極端なシフトダウンをしてしまったときに後輪が滑らないように力を逃がす装置)などの安全装備が一切付いていません。バイクでの転倒は怪我や死亡事故につながりやすく、安全装備を求める声も少なくありません。しかし運転技術を高めるためにはなくてもいいという意見もあります。
GSX250Rのアフターパーツ(カスタム)
フルノーマルでGSX250Rに乗る人も多いでしょうが、カスタムパーツの存在も気になるところ。使い勝手を高めたり好みの外装パーツに交換したりすることをバイクの楽しみの一つとしている人も多いのです。GSX250Rのカスタムパーツが少ないのは残念です。
社外マフラー
カスタムの基本ともいうべき社外マフラーへの交換。GSX250Rの純正マフラーの排気音は評判がいいので交換する人は少ないかもしれませんが、重い総重量を軽量化する意味で交換したい人もいるでしょう。スズキ車ですのでヨシムラサイクロンがおすすめです。
ラジアルタイヤが…
悲しいことにGSX250Rの純正サイズのラジアルタイヤはありません。リアタイヤは250ccロードスポーツの標準的なサイズですので選択肢が豊富ですが、フロントタイヤは純正のIRC製タイヤしかないのです。CBR250RRなどのフロントタイヤと同サイズのラジアルタイヤを装着できそうですが、ハンドリングが変わること、メーター類に誤差が出ることを知った上でかつ、自己責任で交換するしかありません。
スプロケット交換もおすすめ
トルクが豊かなエンジン特性を逆手にとって、リアスプロケットの丁数を減らして高速道路での走行性を高める方法があります。発進から法定速度までのギアチェンジに忙しさを感じる人にもおすすめですが、豊かなトルク感が影を潜める可能性がありますので自己責任でお願いしますね。GSR250用のスプロケットも使えます。
あなたをカスタムしましょう
洗練された美しいデザインのGSX250Rに乗るのならばライディングウェアなどにも気を使いましょう。GSX250Rの青/白と赤/黒はレースマシンのイメージが強いのですが、シンプルなカラーリングですのであなたの感性に合ったウェアでいいでしょう。ブーツは安全性を重視して必ずバイク用を用意すること。スズキにゆかりのないレーサーのレプリカヘルメットを着用するのはNGです。
ケビン・シュワンツ スズキRGV500γ(ガンマ)を駆り1993年にロードレース世界選手権で優勝。豪快なレース運びに人気があり、ヨシムラスズキの契約ライダーとしてAMAスーパーバイクで活躍した経歴もあり日本のファンが多いレーサーです。長年使用したゼッケン34はWGP大排気量クラスで初の永久欠番となりました。1995年引退。
女性用のライディングブーツはまだまだ少ないですね。透湿防水素材を使用していますので雨で足元が冷えることはありません。内サイドの模様が素敵です。ガエルネの本革ブーツは馴染むと吸い付くような着用感がありますのでおすすめです。
GSX250Rまとめ
スペック競争に発展しそうな250㏄ロードスポーツモデル市場をあざ笑うかのように登場したGSX250R。デザイン性と乗りやすさを重視したため、初心者からベテランライダーまで幅広い層からの評判が高く、GSX250Rはバイクのあり方に対して新たな問題提起したといっても過言ではありません。うまく積載できればキャンプツーリングでも活躍するでしょう。
全長:2,145mm 全幅:760mm 全高:1,075mm シート高:780 mm 装備重量:183 kg 最小回転半径:2.5 m エンジン型式:水冷4サイクル2気筒SOHC2バルブ 総排気量:248 cm3 最高出力:18 kW(24PS)/ 8,500rpm 最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/ 6,500rpm 変速機形式:常時噛合式6段リターン フレーム形式:セミダブルクレードル タイヤサイズ(前):110/80-17M/C 57H (後)140/70-17M/C 66H