栽培前の基礎知識1・黒法師ってどんな花?
黒法師の特徴
黒法師は、アエオニウムに属する多肉植物です。「サンシモン」という別名で呼ばれることもあります。黒法師の葉っぱは、黒のような紫のような、独特のシックで美しい色をしています。
ロゼッタ状なのも大変魅力的です。春から初夏に向けて、葉を日光に当てると、よりと美しい黒紫になります。
葉の下部が少しずつ枯れるのにともない、茎がのびていきます。茎はやがて木の幹のような雰囲気になり、長いものですと100センチにも成長。茎がぐんと伸びると、また趣きが変わります。
観葉植物として楽しむのも良いですし、適度な長さでカットして、花瓶に挿して楽しむこともできます。
アエオニウムとは
アエオニウムは、亜熱帯地域原産の植物で、気候の穏やかな、地中海やカナリア諸島などで自生しています。アエオニウムには、35~40種類の原種が存在すると言われています。とても可愛いので、多くの園芸品種が開発されています。そのひとつが、黒法師です。
栽培前の基礎知識2・黒法師の花
花が咲くと株が枯れる
黒法師は、成長とともに、茎がすっと伸びた先に、鮮やかな黄色の花を咲かせます。スプレー菊のような花模様で、愛らしいです。ただし、黒法師は、花が咲くと株が枯れる、という特質を持っています。
継続して株を育てたい場合は、茎が伸びてきたら、花が咲く前に切ってしまいましょう。
ただしこれは枯れない確実な方法ではありません。蕾が出てきた黒法師の寿命は短いもの、と考えておきましょう。黒法師は、増やし方が簡単な植物。挿し木をして増やすなどして、花を楽しむもの、株を楽しむものを分けるのもおすすめです。
とても力強い蕾です。株が枯れてしまう、としても、お花も見たくなってしまいますね。
黒法師の花名の由来
見た目のとおり、美しい黒紫の葉から、黒法師という名前がつけられました。ちなみに、黒法師には、かつて「闇夜笠(やみよがさ)」という名前も存在したそうです。また、黒法師の属する、アエオニウムは、ギリシャ語の「永遠に生きる(aionion)」「永久の(aionios)」から由来しています。
栽培前の基本知識3・黒法師の花言葉
黒法師には、「いい予感」という花言葉があります。ロゼット状の外観を見て、なんともなしにいい予感がする、ということから由来する花言葉なのでしょうか。あるいは、黒法師は、花が咲くまでに何年かかかるので、その花の時期を心待ちにする気持ちがあらわされている言葉なのかも知れません。イマジネーションをくすぐられる花言葉ですね。
栽培前の基礎知識4・黒法師の基本データ
科名・属名
ベンケイソウ科アエオニウム属
学名
Aeonium arboreum cv.Atropurpureum
和名
黒法師
別名
サンシモン
英名
Purple crest aeonium
原産国
地中海西部・モロッコ
黒法師の育て方のポイント・特性を知ろう
育て方のポイント1・黒法師は多肉植物
最近、一大ブームを巻き起こした「多肉植物」。何千種類もの品種があると言われています。育てやすく可愛いので、インテリアプランツとして女性にも大人気。多肉植物は、プックリとした葉っぱが魅力ですが、そのほとんどが水分でできています。
そのため、水やりは必要最小限にしましょう。
特に、多肉食ぶっつの休眠期は、一か月に一度くらいのほんの少しの水やりでよいでしょう。逆に、水やりしすぎると、根腐れを起こしたり、元気がなくなることがあります。
育て方のポイント2・黒法師は「冬型種」
多肉植物には、大きくわけると、春から秋の時期に成長する「夏型種」と、冬の時期に成長する「冬型種」があります。黒法師は、冬型種です。そのため夏の時期には元気がない状態になりますが、そのまま枯れるわけではないので心配ありません。
冬に成長するので、あまり寒くない場所で管理して、冬越しをさせましょう。上手に冬越しできれば、春に向けて、グングン生育します。
黒法師の育て方1・土づくりと肥料
土づくり
黒法師は、水はけのよい環境を好む植物です。小粒赤玉土、鹿沼土、ピートモス、川砂を同量ずつ混ぜ合わせると良いでしょう。また、市販の多肉植物用の培養土を利用するのもおすすめです。
市販の多肉植物用培養土なら、黒法師が育ちやすい土がはじめからブレンドされているので、初心者さんにもとても便利ですよ。
肥料
春と秋。黒法師の成長時期には、数カ月に一度、ほんの少しの液体肥料を施すとよいでしょう。ただし、黒法師の休眠時期に当たる真夏には、肥料は施さないでおきましょう。
夏に元気がないと、つい肥料をあげたくなってしまいますが、逆効果になってしまいます。休眠期の夏にあまり触りすぎると枯れることもあるので注意しましょう。
黒法師の育て方2・場所と水やり
場所
黒法師は、日当たりの良い場所を好みます。とくに、春から初夏の暖かい時期に、日差しに当ててやると、葉っぱがより美しくなります。
葉っぱに水がついたままで日に当たると、葉焼けを起こしてしまい、元気がない葉っぱになることがあるので、気を付けましょう。夏は、涼しくて風通しのよい半日陰の場所で管理して夏越しします。
黒法師は霜にあてると枯れることがありますので、冬の間は室内で管理して冬越ししましょう。黒法師は、鉢植えにして、季節によって、場所を変えてあげるのがベストです。夏越しと冬越しが、黒法師を育てるポイントです。
水やり
黒法師は、時期によって、水やりを加減します。夏のあいだは、黒法師の休眠の時期になりますので、水やりは最低限にします。乾燥が気になったときのみ、葉水を与えましょう。
肥料と同様、元気がないと枯れるのではないかと、つい水をたっぷりあげたくなりますが、ぐっと我慢しましょう。そのほかの季節は、土の表面が乾いたら、その都度、たっぷり水を与えましょう。
黒法師の育て方3・葉挿しと挿し木(増やし方)
葉挿し
黒法師のひとつめの増やし方は、葉挿しです。葉挿しという方法は、多肉植物を増やすのによく用いられる方法です。黒法師の葉挿しの適期は、3~5月もしくは10~11月の気候のいい時期です。
黒法師は、しっかり夏越しと冬越しをさせ、環境の合う場所で育てると、どんどん芽が出てきます。そのなかで、生育のよい葉を切り取り、葉挿しに利用します。元気がない葉っぱは避けましょう。
直射日光に当たらない所に置くのがポイント
切り取った葉っぱを、直射日光の当たらない場所に置いておきます。2~3週間すると、根っこが出てくるのですが、それまでは水も土も必要としません。これが、黒法師の葉挿しのポイントです。
根がでてきたら、挿し木用の土を入れたポットなどに、挿してやりましょう。そして、しっかり根付いたら、好きな場所に植え替えましょう。
挿し木
黒法師のふたつめの増やし方は挿し木です。挿し木に向く時期は、春3~5月もしくは、秋10~11月です。剪定と挿し木を兼ねるのもおすすめです。
また、夏越しと冬越しにちょっとコツのいる植物なので、保険のために多めに挿し木しておけば安心です。伸びた茎を切り取り、挿し木用土を入れたポットに挿します。
だいたい2~3週間すると発根するので、直射日光の当たらない日陰で管理します。その間、水は与えません。根がしっかり張ってきたら、好きな場所に植え替えましょう。
黒法師の育て方4・植えつけと植え替え
植えつけ
黒法師は、季節によって管理する場所を変えてあげることが必要な植物です。植えつけの際は、なるべく持ち運びしやすい鉢に植えましょう。植えつけの適期は、3~5月もしくは9~11月です。
好みの鉢に、土をいれ、根を傷つけないように注意しながら植えつけます。植えつけたらしっかり水をあげましょう。
植え替え
黒法師は、だいたい2~3年に1度、植え替えをしましょう。植え替えの適期は、3~5月もしくは9~11月です。株を土から取り出して、古くて元気がない根っこや、傷んでいる部分を取り除きます。一回り大きい鉢を準備して、植え替えましょう。根がしっかりするまで、水やりを続けましょう。
黒法師の育て方5・剪定
剪定
黒法師は、長く育てていると、茎がひょろひょろと伸びてきます。茎が長くなりすぎかなと感じたら、切り取って剪定しましょう。選定の適期は、3~5月もしくは9~11月です。
剪定で切り落とした茎は、挿し木として使えます。黒法師は、花を咲かせてしまうと、その株が枯れてしまいます。
そのため、株を温存したい場合も、剪定をします。この場合、伸びてきた花の茎を速やかに剪定してしまいましょう。花の茎を剪定したものは、挿し木として使えません。
黒法師の育て方6・寄せ植えにチャレンジしよう
おすすめのプランターや鉢
お部屋のインテリアに素敵なプランターや鉢がたくさん販売されています。季節に応じて、黒法師の好む場所に移動できるよう、持ち運びしやすいタイプを選ぶといいでしょう。
シャービックカラーが可愛いブリキのプランター。黒法師の葉っぱの色が映えそうな色合いですね。棚に並べたり、高いところからつるしたり、とさまざまに楽しむことができます。
アンティークテイストのプランターも、黒法師の色味にぴったりです。別の多肉植物との寄せ植えに良いサイズです。持ち手があるタイプは、移動の際に、中の土をこぼしにくくおすすめです。
木製の鉢には、直接土を入れて、黒法師を植えてもよいですし、育苗ポットなどで育てている途中の黒法師を、ポットごとぽとんと入れておいても絵になりますよ。
粘土などからできているテラコッタ。素朴な風合いでナチュラルテイストを演出できます。いろいろな色が彩色されたものが販売されています。お部屋の雰囲気や、黒法師の葉の色と合わせてチョイスしましょう。
黒法師の苗は、小さいものから大きいものまで
小さめのサイズの黒法師の成長を、はじめから観察するのも楽しいものです。黒法師は、環境が合えば、グングン育ち、挿し木などで増やしやすい植物。まずは、お手頃価格の小さめサイズを購入してみてはいかがでしょうか。
黒法師は、大きく育つと、まるで木のような外観になります。このくらい大きいと、お部屋のインテリアとして存在感がありますね。足元に、別の小さい多肉植物を植えても素敵です。
かわいいピックなどで飾ってもよいですね。また、込み入った茎を少し切り取って、すぐに挿し木をすることも可能です。
黒法師を育ててみよう
黒法師は、そのシックな色味から、インテリアプランツとしても人気です。ほかの多肉植物と寄せ植えをして、アクセントにしても素敵です。黒法師は、夏に休眠して冬から秋に生育する「冬型種」。この特性を理解して夏越しと冬越しをさせるのが、育て方の最大のポイントです。
プレゼントにもおすすめ
夏に元気がないと枯れるのでは?と心配になりますが大丈夫。あまり刺激せずそっと見守ってあげましょう。また、黒法師は多肉植物なので、厳しい寒さは苦手です。
うまく冬越しさせましょう。黒法師は、葉挿しや挿し木など、増やし方も簡単なので、たくさん増やして、プレゼントするのもおすすめですよ。