サゴシはどんな魚?
春の訪れを知らせる魚
サゴシは、スズキ目サバ亜目サバ科サワラ属に分類されるサワラの子どもの魚です。産卵のため、春になるとサゴシの群れが接岸してくることから、「春を告げる魚」として、サゴシは春の季語とされています。
また、初心者でも狙いやすい釣りの対象魚としても人気があります。
サゴシの漢字や由来は
漢字(和名):「青箭魚」、「狭腰」 語源:サゴシの細くて平たい見た目から、細い体形をした魚に付けられる「狭」に「腰」を付けて「サゴシ」と呼ばれた。サゴシの出世魚であるサワラには「狭腹」の漢字が付けられています。
他にも「狭」の付く魚には、「狭真魚(サマナ)」と書くサンマなどが挙げられる。
サゴシの特徴や形態
鋭い歯を持つサゴシ
サゴシは、大きく育ったものは最大で1m以上、体重は10kg以上まで成長します。サゴシの体型は細くて長いカラダをしており、鋭く尖った歯が特徴です。 体色は、背側が青みがかった灰色をし、腹側は銀白色をしています。
また、体側には、黒っぽく丸い斑点列が入っているのが特徴です。
サゴシは出世魚の仲間
サゴシは知らない方も多いですが、成長とともに呼び名が変わる出世魚の仲間です。呼び名の違いは、サゴシまたはサゴチ(40〜50cm)→ナギまたはヤナギ(50〜70cm)→サワラ(70cm以上)の順で、成長の程度や地域によっても呼び方に違いがあります。
また、場所によっては、80cm以上のサイズをサワラとしているところもあるようです。
サゴシの生態や食性
サゴシは肉食性の魚
サゴシは肉食性の魚です。主に、カタクチイワシ、アジ、イカナゴなどの小魚を捕食します。またそれだけではなく、自分の体長と変わらない大きさの魚も次々と捕食していく、貪欲なフィッシュイーターでもあります。
釣り場でも、簡単に釣れることから多くの釣り人から、釣りの対象魚とされています。
春は群れで接岸する
春を過ぎ、海水温が上がってくると沿岸に接岸してくる小魚たちを追いかけてサゴシも群れで接岸してきます。そのため、サゴシの釣りシリーズンともなれば、磯、サーフ、堤防からサゴシが狙え、釣り人を楽しませてくれます。
ただ、サゴシが本当に美味しくなるのは冬の海水温が下がる時期で、この時期になるとサゴシの動きも鈍くなり、深場に潜ってしまいます。
サゴシの生息域や生育環境
主に黄海を産卵場とする群れ
サゴシの群れは、2つの群れに分けることができます。ひとつは、黄海を産卵場とする群れです。 この群れは、黄海から北海道の南部までを群れで回遊し、日本海南部、東シナ海、黄海を主な生息域としています。日本海側の沿岸の各地で釣ることができます。
主に瀬戸内海を産卵場とする群れ
もうひとつは、瀬戸内海を産卵場とする群れです。こちらの群れは、瀬戸内海から太平洋の沿岸を主な生息域・回遊域としています。このように、サゴシは2つの群れに分かれて、それぞれの分布域を回遊しています。
ちなみに、サゴシの寿命はオスのサゴシでおよそ6年、メスのサゴシでおよそ8年程度まで生きるとされています。
サゴシの旬の時期は
関東は冬から初春が旬
関東でのサゴシの旬は、冬から初秋にかけてです。ここで漁獲されているのが、主に黄海を産卵場とする群れです。関東では、産卵で接岸する春先はのサゴシは脂ののりが少なくあまり喜ばれません。そのため、産卵前の脂がのった時期を好んで食ます。
関西は春から初夏が旬
一方、関西ではサゴシの旬は、主に春から初夏にかけてです。ここで漁獲されているのが、主に瀬戸内海を産卵場とする群れで、サゴシの身だけでなく白子なども保存食として食べられています。
サゴシの美味しい食べ方
サゴシは庶民派の魚
サゴシは、スーパーでも安価で売られている庶民派の魚です。サゴシは身の柔らかい魚のため煮物料理にはあまり向きませんが、いろいろな食べ方で食卓にあがります。焼き魚、西京味噌で作る西京焼き、竜田揚げ、刺身、ムニエルなど。
サゴシの定番レシピから人気の料理レシピをご紹介します。
サゴシの捌き方
「捌き方の手順」
手順1.胸ビレから頭にかけて包丁を入れます。
手順2.肛門から包丁を入れて、頭と内臓を一緒に取ります。
手順3.背骨内側の血合い部分に切込みを入れ、中の血合いを洗い流します。
手順4.押さえつけすぎないように注意しながら、サゴシを3枚おろしにしていきます。
手順5.腹骨を包丁で削ぎ落とします。
3枚おろしが完成したら、お好みで柵にしてお刺身もよし、サゴシの切り身にして焼き魚にしても美味しい魚です。お好きな食べ方で、サゴシを料理してください。
サゴシの定番レシピ|焼き魚料理
「料理の手順」
手順1.内臓の下処理をしたサゴシに塩を振って1時間ほど放置します。
手順2.でてきた水分をキッチンペーパー等で拭き取ります。
手順3.適当な大きさに切り、皮に切込みを入れます。
手順4.皮の面を上にして焼いていきます。
手順5.裏返して、腹面も焼いていき、両面焼ければ完成です。
サゴシの人気の料理レシピ
人気の料理レシピ①丨サゴシのフライ
「材料」 ・サゴシ 2~3切れ ・小麦粉(衣) 適量 ・卵(衣) 1個 ・パン粉(衣) 適量
「料理の手順」
手順1.サゴシに、塩コショウ少々を振り少しなじませます。
手順2.水分が出てきたらキッチンペーパーで拭き取ります。
手順3.小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけます。
手順4.170度の油でこんがり揚げて完成です。
お好みでタルタルソースやチリソースでの食べ方もおすすめです。
人気の料理レシピ②|サゴシの照り焼き
「材料」 ・サゴシ 2切れ ・酒(A) 大さじ1 ・しょうゆ(A) 大さじ1 ・みりん(A) 大さじ1 ・砂糖(A) 小さじ1
「料理の手順」
手順1.調味料(A)を合わせ、サゴシを30分ほど漬け込んでおきます。
手順2.漬け込んだサゴシを取り出しキッチンペーパーで拭きます。
手順3.油を引いたフライパンで焼きます。
手順4.最後に漬け込んだタレで煮詰めて完成です。
お好みで、焼きネギを添えたり、ごまをかけても美味しいです。
人気の料理レシピ③|サゴシの炙り
「材料」 ・サゴシ 半身 ・レモンなど
「料理の手順」
手順1.3枚におろしたサゴシを柵にします。
手順2.柵にしたサゴシをバーナーで炙ります。
手順3.お好みの幅で切り完成です。
食べ方は、お好みでポン酢しょうゆや岩塩、レモンを絞っての食べ方もおすすめです。
人気の料理レシピ④|サゴシのパスタ乗せ
「材料」 ・サゴシ 2切れ ・お好みのパスタ
「料理の手順」
手順1.サゴシに軽く塩コショウをしてフライパンでソテーします。
手順2.お好みのパスタを用意します。
手順3.ソテーしたサゴシをトッピングして完成です。
サゴシはトマトソースとの相性もいいので、トマトソースパスタやトマトスープにトッピングする食べ方もおすすめです。
サゴシを釣ろう!
サゴシはルアー釣りで釣れる
サゴシを釣るための竿には、シーバスロッド、エギングロッド、ショアジギングロッドを選べば大丈夫です。 リールには、3500番前後のハイギヤリールがおすすめです。
ルアーは、定番ルアーのメタルジグで釣れる以外にも、ワーム、ミノー、バイブレーションなどでもサゴシは釣ることができます。
サゴシを釣るための仕掛けは
PEライン1.5号とショックリーダーに30lb前後のフロロカーボンを結び合わせましょう。使うメタルジグの重さは、岸からであれば20~40gを使用し、沖堤防などでは40~80g位の大きめのジグを使います。
捕食が下手なサゴシのフッキング率を上げるためには、フロントフックだけでなく、リアフックにもトリプルフックが必須です。ワームの場合はアシストフックを付けましょう。
サゴシを釣るためのアクション
サゴシを釣るためのアクションは、活性が上がっているときは表層をタダ巻きするだけでサゴシを釣ることができます。ワンピッチでのジャーク、ジャカジャカ巻き、リフトアンドフォールなどで食ってきます。
ワインドで釣る場合は、ゆっくりめにフォールさせることでフッキング率が上がります。
サゴシの上手な締め方
釣れたらすぐに締める
サバの仲間であるサゴシは、とても痛みの早い魚でもあります。そのため、サバと同様に、釣った直後は、すぐに血抜きをして、血抜きが終わったものはクーラボックスに入れ美味しく料理しましょう。
血抜き後はエラの付け根から内臓を出しておくと、より美味しく食べられます。
サゴシの締め方と血抜き方法
「締め方と血抜きの手順」
手順1.エラに沿ったこめかみを刺し締める
手順2.エラに切込みを入れる
手順3.エラをつかんで血を抜く
手順4.神経棒があれば、尻尾付け根を切り神経を取り除く
身が柔らかく身割れもしやすいので、海にいて血抜きをする場合は、ストリンガーを用いて海中で行う方法が楽でおすすめです。
サゴシの匂いの原因
表面のヌメリが匂いの原因
サゴシは釣った後、生かしておくことができずにすぐに死んでしまいます。そのため、釣った直後はすぐに締めて血抜きをする必要があります。その際、サゴシが暴れてしまわないように注意しながら血抜きをしましょう。
また、匂いが強いとされるサゴシの匂いの原因は、サゴシの表面から出るヌメリにあります。特に、水温が上がる季節になるとその匂いも強くなります。
匂いを取り除く対処法
サゴシの匂いの原因である表面のヌメリを取り除きましょう。表面のヌメリを取る方法としては、持ち帰ったサゴシを塩もみし、きれいに洗い流すか、もしくは、キッチンペーパー等できれいにヌメリを拭き取ってもいいでしょう。
そうすることで、サゴシから出る匂いを防ぐことができます。
サゴシとサワラの違い
見た目と味に大きな違い
サゴシとサワラの違いは成長の程度にあります。サゴシは生まれてから1年で、およそ45cm前後まで成長しますが、まだ1年ではサゴシの大きさです。これが2年経つと70cm前後まで成長し、見た目にも味にも大きな違いが出てきます。
出世魚であるサゴシは、大型のものほど高級といわれる魚だけに、赤身の魚であるにも関わらず、60cmを超えたサワラの身は、脂が乗って白身魚のように白くきれいな身になります。 新鮮なものは刺し身での食べ方がとても美味しい魚になります。
サワラは格段と味が上がる
サゴシとサワラは、味にも大きな違いがあります。鮮度のいいサゴシであれば、身は透き通って、脂ののりは少ないものの、淡白で癖がなく、どんなレシピでも料理がしやすいです。
ですが、大きく育った冬のサワラは、「寒鰆」と呼ばれ、脂ののった身は格段と味に違いがでます。そのためサワラは、とても美味しく高級魚として釣り人からも珍重されています。
まとめ
美味しくサゴシを食べよう
釣りで人気のサゴシですが、持ち帰ったサゴシがおいしくない原因は、血抜きや処理の仕方にあったんですね。釣るだけでなく、血抜きや処理をして料理としても美味しいサゴシを楽しみたいですね。
サゴシを美味しく食べるために、皆さんもよろしければ参考にしてみてください。