タコブネという不思議な生き物
謎の多いタコブネ
タコブネという生き物をご存知でしょうか。貝殻の中で生活する不思議な生き物です。姿を表わすことは稀で、未だに判明されていない点も多い謎の多い生き物になります。
不思議なタコブネの世界
謎の多いタコブネですが、タコブネの世界は不思議な魅力であふれています。また貝殻はコレクターの間で高価な値段で取引されており、一攫千金のチャンスもあるかもしれません。知れば知るほど好きになるタコブネについて紹介します。
タコブネの基本情報
珍しいタコブネ
タコブネはアオイガイ科に分類されるタコの一種です。タコブネはあまり見られることがない非常に珍しいタコになります。貝の中にいる様が舟の中にいるように見える事からタコブネと呼ばれるようになったと言われています。タコブネは太平洋と日本海の温暖域に生息しています。
メスのほうが大きい
タコブネはオスとメスで大きさにかなりの違いがあります。メスの方が大きく、成長したメスは7センチから8センチほどの大きさになります。一方のオスはメスの20分の1程度の大きさしかないと言われています。この小ささのためかオスが泳いでいる姿を発見されることはほぼないそうです。
タコブネの漁獲は稀
タコブネに狙いを定めた漁は行われていたようで、タコブネの漁獲は定期網に引っかかったりなどという、偶然によるものが主のようです。その上でタコブネが網にかかることは稀だと言われています。また、地域によってはフネダコと呼ばれることもあります。
タコブネとアオイガイ
タコなのに貝?
タコブネはアオイガイ科に属しています。タコなのになぜ貝なのかと不思議に思う方もいるかもしれません。タコブネが属するアオイガイ科の代表格とも言えるアオイガイは、タコブネ同様に貝殻に生息するタコになります。アオイガイの生態について少し紹介します。
タコブネとアオイガイは似た形状
アオイガイはタコブネと非常に似た形状をしています。しかし、タコブネとアオイガイの見分け方は難しくなく、アオイガイの方がサイズが大きいです。メスの大きさは27センチ前後になります。メスが大きく、オスの方が小さい点はフネダコと同様でオスは15ミリほどしかありません。
アオイガイも珍しいタコ
アオイガイはタコブネ同様に珍しいタコになるようです。アオイガイに狙いを定めた漁獲は行われておらず、定期網に引っかかるという偶然による漁獲になります。市場で販売されることはほぼないと言えますが、ちなみに味は水っぽくて食べられないことはなくても美味とは言えないようです。
タコブネが貝を持つ理由
タコの祖先を知る
ところでなぜタコブネやアオイガイがなぜ貝に入っているのかという点は気になるところではないでしょうか。これはタコのルーツを辿ると見えてくるかもしれません。実はタコの祖先は貝とは遠からずの関係にあります。
タコやイカは貝の仲間
タコは頭足類というものに分類されており、この仲間で私たちに親しみ深いものとしてはイカがいます。この頭足類は貝の仲間に分類されます。タコやイカが貝の仲間というのは不思議な感じもしますが、進化の過程でタコやイカは貝が不要になったためなくなったと言われています。
イカに残る貝の名残
タコやイカが貝の仲間だということは今ではなかなか想像がつきませんが、イカの進化には貝の名残が残っています。イカの中にはコウイカと呼ばれる身体の中に硬い甲を持つ種類がいます。このイカの甲は貝殻の名残だと言われています。
フネダコはタコのルーツに近い?
このように考えてみると、フネダコやアオイガイがなぜ貝の中で生活しているのか少しわかるような気がします。私たちはフネダコやアオイガイを見て不思議な形状だと思いますが、あるいは遥か昔の視点でみると現在の一般的なタコの方が不思議な形状だと言えるのかもしれません。
タコブネの生態
タコブネの生態1:貝に入っているのはメスだけ
タコブネは非常に珍しい生き物で、生態については判明していない点も多いです。タコブネという名前から貝に入って生活していると思いますが、貝に入っているのメスのみになります。また先に紹介したアオイガイもタコブネと同じく、貝殻に入っているのはメスのみです。
タコブネの生態2:自分で貝を作り出す
タコブネのメスは貝を見つけてそれを住み家にするのではなく、自分で貝を作り出します。貝を作るのは生涯に一度だけで、その貝を一生の住み家として過ごします。ちなみに貝から出しても死ぬということはないようです。
タコブネの生態3:海中を浮遊
タコブネは肉食で小さな魚や甲殻類を食べるそうです。肉食の食性は一般的なタコと近いと言われています。取り込んだ海水を噴射することで、移動もします。通常は海水の表層で生活しています。貝のイメージから海の底で動かずにいるのかとも思いますが、そうではないようです。
タコブネの味
タコの味に近い
タコブネは食べることが可能で、その味はタコに近いと言われています。しかし、私たちがタコブネを食べる機会はほぼないと言えます。タコブネは市場で販売されることがほぼないことがその理由です。
販売はほぼされていない
タコブネの漁獲は時々網に引っかかる程度で、ほとんど漁獲がないというのが実情のようです。漁獲自体がほぼないので、市場でも販売されません。もしもタコブネが食用として販売されていることがあったら、それは非常に貴重なことなので購入して食してみるとよいかもしれません。
タコブネの飼育
飼育もほぼされていない
レアなタコブネを飼育してみたいという人もいるかと思います。しかし、タコブネは飼育もほとんど行われていないようです。食用同様に飼育用としてタコブネが販売されることもあまり期待しないほうがいいでしょう。また仮に飼育したとしても、タコブネを長く生きさせるのは非常に困難です。
水族館でまれに飼育
タコブネは網にかかったものが水族館などで飼育されることもあります。しかし、長く生きられることはほとんどないようです。もしも水族館にタコブネがいたらそれも貴重な瞬間なので、よく鑑賞しておくことをおすすめします。
タコブネの貝殻
貝殻がコレクターの間で人気
食用として販売もほぼされていない、飼育も稀に水族館でされるだけと、タコブネは非常に珍しい生き物です。そして、このタコブネの貝殻がコレクターの間で人気を集めています。高いものでは数万円以上の価値になることもあるそうです。
メスだけが持つ美しい貝殻
先にも触れたようにタコブネの貝殻はメスだけが持っており、貝殻を自分で作り出すという特徴があります。この貝殻はカルシウム成分でできていて非常に綺麗な形をしています。確かにコレクターたちが高価な値段をつけるのも頷ける独特の美しさがあります。
海辺で貝殻を採集できる
タコブネの貝殻は私たちでも採集できる可能性があります。タコブネの貝殻は浜辺に流れ着いている場合があります。特に海が荒れた後には流れ着いている可能性が高いと言われています。採集できるのは非常に稀なことではありますが、見つけられたら一儲けなんていうこともできるかもしれません。
タコブネの生殖
生殖でも弱いオス
タコブネは繁殖方法も特徴的なものになります。タコブネのオスは貝殻もなく、身体も小さいとメスに比べると非常に弱いです。生殖時においても、タコブネのオスは人間の観点から見ると苦しい立場に置かれます。
身体の一部を失うオス
オスには貝殻もなく、身体も小さいですが、メスにはない生殖腕という生殖用の足を持っています。この足をメスの体内に挿入して生殖活動を行います。ここまではよく見られるような形なのですが、生殖が終わるとオスの生殖腕は切断されてしまいます。
卵を保護するメス
このようにタコブネのオスは生殖において、ただでさえメスの20分1程しかない身体の一部を失います。なんだかタコブネのオスは私たちの視点から見ると悲惨なところがありますね。メスはその後、貝殻の内側に卵を産み、新鮮な海鮮を送り、この卵を保護しつつ生活をします。
タコブネの楽しい世界
不思議な魅力あふれるタコブネ
タコブネは謎の多い生き物ですが、知れば知るほど興味がわいてくる不思議な生き物でもあります。一度自分の目でタコブネを見てみたいですね。また浜辺で貝殻を見つけたら高値で売れる可能性もあるので大事にしましょう。