穴釣りは 初心者でも簡単に始められる
穴釣りは、組まれたテトラポッド同士のわずかな隙間に仕掛けを落として、アイナメ、カサゴ、メバルなどの根魚類 (ロックフィッシュ)を狙う釣り方です。穴釣りは釣り方の難易度も高くなく、シンプルなタックルと市販の仕掛けとを用意すれば、初心者でも簡単に始めることができる釣りであり、大型の根魚類が掛かるチャンスもあります。
穴釣り初心者向けのコツを解説!
前述の通り、穴釣りは、初心者でも手軽に根魚類をゲットできる釣りですが、好釣果を追求するのであれば、穴釣りに関する様々なコツを確実にマスターすることが肝心になってくるでしょう。ここでは、「穴釣りに初めて挑戦してみよう」と考えている初心者向けに、釣果アップにつながる「4つのコツ」を徹底解説します。
穴釣り初心者向けのコツ1【釣れる魚の種類を理解する】
穴釣りで釣れる魚の種類は様々ですが、中には、絶対に素手で触れてはいけない危険な魚も含まれていますので、穴釣りで釣れる魚の種類を理解しておく必要があるでしょう。ここでは、穴釣りで釣れる「11種類の魚」をご紹介します。
穴釣り初心者向け: 釣れる安全魚の種類
穴釣りで釣れる魚のほとんどは、天敵から身を守るために体に鋭いトゲを持っていますが、この記事では、素手で直接つかむことは厳禁であるものの、トゲの毒性や鋭さのレベルが比較的低い魚についても、危険性が全く無い魚と併せて「安全魚」と定義しています。
ここでは、穴釣りで釣れる「8種類の安全魚」それぞれの特徴や、釣れる機会が多くなるシーズンなどについて解説していきます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類1: カサゴ
「カサゴ」(「アラカブ」や「ガシラ」などとも呼ばれる)は、穴釣りで釣れる最もポピュラーな魚の一つで、赤や褐色などの 比較的明るめの色 の魚体と、立派な胸ビレとが特徴的な魚です。カサゴは通年釣れる魚ですが、特に9 - 2月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類2: クロソイ
「クロソイ」は、大型のものでは50cm以上になることもある大型の根魚類で、暗い場所を好む性質があるため、日光が届きにくいポイントや夜釣りで釣れる機会が多い魚です。クロソイは9 - 5月のシーズンに釣れる魚ですが、特に、11月、12月、4月、5月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類3: ムラソイ
「ムラソイ」は、比較的水深の浅いポイントでも釣れる魚ですが、穴釣りでは他の釣り方以上に、大型のムラソイが掛かる確率が高くなる傾向委があります。クロソイは6 - 11月のシーズンに釣れる魚ですが、特に7 - 10月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類4: アイナメ
「アイナメ」(「アブラコ」などとも呼ばれる)は、海釣り全般における人気ターゲットの一つで、様々な釣り方で狙うことができますが、テトラポッド同士の隙間のように容易に身を隠せるポイントには、大型のアイナメが潜んでいることも少なくありません。アイナメは通年釣れる魚ですが、特に9 - 2月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類5: メバル類
「メバル」類は食味が非常に良く、ゲームフィッシングの好敵手としても知られていますが、穴釣りで釣れるのは、「シロメバル」と呼ばれる 体色が白色系のメバル と、「クロメバル」と呼ばれる 体色が黒色系のメバル との2種類です。メバルは通年釣れる魚ですが、特に3 - 6月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類6: タケノコメバル
「タケノコメバル」(「ベッコウゾイ」などとも呼ばれる)は、ほとんどの釣り初心者には認知されておらず、前述した カサゴ と混同されてしまいがちですが、同サイズのカサゴと比較すると非常に釣りごたえのある魚です。タケノコメバルは6 - 11月のシーズンに釣れる魚ですが、特に7 - 10月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類7: キジハタ
「キジハタ」(「アコウ」などとも呼ばれる)は、穴釣りで時々釣れる高級魚ですが、ポイント周辺に生息している絶対数はそれほど多くなく、引きも非常に強いため、「穴釣り初心者が釣り上げるにはハードルの高い魚」と言えるでしょう。
キジハタは4 - 10月のシーズンに釣れる魚ですが、特に、5月、6月、9月、10月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣りで釣れる安全魚の種類8: マダコ
「マダコ」は主に、「タコテンヤ」と呼ばれる カニを装着した専門の仕掛け で狙う魚ですが、小型のマダコは、水中のテトラポッド の周辺などに潜んでいることがあり、穴釣りの仕掛けに掛かった魚に抱き着く形で掛かったり、仕掛けの回収時にハリが体に引っかかる形で掛かったりすることがあります。
マダコは8 - 12月のシーズンに釣れる魚ですが、特に8 - 10月のシーズンは好釣果が期待できます。
穴釣り初心者向け: 釣れる危険魚の種類
穴釣りでは、素手で触れることは絶対に避けなければならない厄介な魚が釣れてしまうことがありますので、魚が掛かってもすぐに魚をつかまず、釣れた魚の種類をしっかりと確認し、危険魚が釣れた場合は適切に処理する必要があります。
ここでは、穴釣りで釣れる「○種類の危険魚」それぞれの危険性や、釣れた場合の適切な処理方法などを取り上げます。
穴釣りで釣れる危険魚の種類1: ゴンズイ
「ゴンズイ」は、背ビレと胸ビレとに強い毒を持つトゲがあり、刺されると激痛と共に赤く腫れあがる症状に見舞われますし、二度刺されると、アナフィラキシーショックで命を落とす可能性もあります。ゴンズイが釣れた場合は、容易にハリ外しができる場合であっても、ハリスを安全に切断したうえで水中に投棄してください。
穴釣りで釣れる危険魚の種類2: ハオコゼ
「ハオコゼ」は、全身の至る所に強い毒を持つトゲを持っており、万が一刺されると刺された箇所だけでなく、刺された箇所から離れた箇所にも痛みが走る厄介な魚で、筆者も過去に刺された際に、3日間痛みが消えなかった経験があります。
ハオコゼが釣れた場合は、容易にハリ外しができる場合であっても、ハリスを安全に切断したうえで水中に投棄してください。
穴釣りで釣れる危険魚の種類3: フグ類
「フグ」類は、皮や内臓などに 猛毒のテトロドトキシン が含まれていることが広く知られていますが、フグ類が持つ強靭な歯についても注意が必要で、ハリ外しの際にうっかり指が口に触れてしまうと、深い傷を負う恐れがあります。フグ類が釣れた場合は、口にハリが掛かっている時には、プライヤーを使用して安全にハリ外しをしてください。
穴釣り初心者向けのコツ2【ポイントの選定方法を理解する】
穴釣りでは、ポイントの選定方法が釣果を大きく左右しますし、竿を出しにくいポイントに無理やり仕掛けを投入しようとすれば、最悪の場合、テトラポッドに体を強く打ち付けてしまったり、落水したりする恐れもあります。
ここでは、ポイント選定において、穴釣り初心者がぜひとも知っておきたい重要な要素である、「テトラポッドの形状やサイズ」、並びに、「テトラポッドの密度」について取り上げていきます。
穴釣り初心者向け: テトラポッドの形状
設置されているテトラポッドの形状には様々な種類がありますが、全体的に角ばっていて平面が少ない形状のテトラポッドで構成されているポイントは、竿を片手に持っている状態では非常に上りにくく、穴釣りには不向きです。
基本的には平面が多い形状のテトラポッドで、且つ、立ち位置が平行になる角度で組まれているポイントが理想的ですが、一見すると穴釣りには向かないポイントであっても、特定のエリアであれば容易に穴釣りができる場合もありますので、竿を持参せずにポイントを訪れる機会を作り、テトラポッドの形状をじっくりと観察しておくことが重要です。
穴釣り初心者向け: テトラポッドの密度
テトラポッドの密度も、ポイント選定時に重要となる要素の一つで、密度が低いほど、仕掛けを投入できる隙間が多いことを意味しています。
ただし、ポイントを構成するテトラポッドのサイズが大きい場合、密度が低いと、テトラポッド同士の間の隙間が広くなってしまい、テトラポッド間の移動がしづらくなりますので、必ずしも密度が低いことが望ましいわけではありません。
穴釣り初心者向けのコツ3【基本的な釣り方を習得する】
穴釣りの基本的な釣り方はそれほど難しくはありませんが、いくつかの 釣り方の細かなコツ を習得しておかないと、根掛かりが頻発したり魚を確実に取り込めなかったりして、快適に穴釣りを楽しむことができなくなってしまいます。
ここでは、1本の竿を手で持ってあちこちのポイントを釣り歩いていくスタイルの、最も基本的な穴釣りの釣り方における「3つの手順」を解説していきます。
穴釣り初心者向け: 基本的な釣り方の手順1
仕掛けを落とせる穴を探し出し、慎重に仕掛けを投入します。
他の釣りのように仕掛けを穴に放り込み、道糸をテンションフリーで出していく方法で投入してしまうと、水深の浅い場所にある沈みテトラポッドに仕掛けが乗ってしまい、魚が潜んでいる 根 の奥深くまでエサを届けることができず、思うような釣果が得られなかったり根掛かりしたりする恐れがあります。
ですから、仕掛けを投入する際は、竿先から10cmの位置まで仕掛けを巻き上げておき、竿先を穴に突っ込む形で仕掛けを穴に送り届けるようにするのがコツで、このようにすれば、通常の投入方法では攻略しにくい形状の穴にも簡単に仕掛けを投入することが可能です。
また、リールから道糸を出す際は、「サミング」と呼ばれる、スプールに指や手を添えて道糸の放出速度を制限する作業をしながら、少しずつ道糸を出していくようにすることで、道糸の出しすぎを抑制し、出過ぎた道糸が潮流に流されることによって起こる根掛かりを防止するようにしましょう。
穴釣り初心者向け: 基本的な釣り方の手順2
仕掛けを着底させ、アタリを待ちます。仕掛けが着底すると、スプールを押さえている指や手の力を緩めても道糸が放出されなくなりますので、竿を斜め下方向の 45°の角度 で構え、リールのハンドルを1回転させた状態でアタリを待ちます。
ほとんどの穴釣り初心者は、仕掛けが着底したら、そのままの状態でアタリを待ってしまいがちですが、仕掛けが着底している状態で道糸が潮流に流されると、仕掛けが道糸に引っ張られる形で動いてしまい、根掛かりを引き起こすことになりますので、仕掛けが底よりも若干浮いた状態でアタリを待つのがコツです。
なお、基本的な穴釣りの釣り方では、「探り」と呼ばれる 仕掛けを上下に動かす作業 は行わず、竿を静止させた状態で15秒程度アタリを待つようにします。
穴釣り初心者向け: 基本的な釣り方の手順3
仕掛けを回収します。穴釣りにおける魚のアタリは、竿先を強く引き込む形でハッキリと表れますので、瞬間的に竿をあおってアワセを入れ、素早くリールを巻いて仕掛けと掛かった魚とを回収します。
アタリが出てもすぐに合わせなかったり、アワセた後の 仕掛けの巻き上げ にモタついていると、掛かった魚が根に潜ってしまい、二度と出てこなくなりますので、確実に魚を手にするためには迅速な対応が不可欠です。
アタリが無かった場合でも、仕掛けの回収を素早く行わないと、道糸が潮流に流されることで仕掛けが動き、中層にある沈みテトラポッドに引っ掛かってしまう恐れがありますので、十分に注意が必要でしょう。
穴釣り初心者向けのコツ4【応用的な釣り方を活用する】
穴釣りはもともと、根魚の隠れ処に直接エサを送り込む釣り方ですので、基本的な釣り方の手順を適切に実践すれば、特別なテクニックを駆使しなくともある程度の釣果を得ることは可能ですが、さらなる釣果アップを目指すのであれば、応用的な釣り方を活用することも重要になってきます。
ここでは、筆者が穴釣りにおいて実践して確かな実績を証明した 応用的な釣り方 である、「探りを入れる釣り方」と「複数の仕掛けを投入する釣り方」とについて見ていきます。
穴釣り初心者向け: 探りを入れる釣り方
「探り」とは仕掛けを上下に動かすことで、根で息を潜める魚に対し、エサの存在を視覚的にアピールするテクニックです。探りを入れる釣り方は穴釣りだけにとどまらず、多くの釣り方において非常に効果的ですが、穴釣りでは探りの入れ方に問題があると、仕掛けが簡単に根掛かりしてしまいますので、探りの作業にはコツがいります。
仕掛けが着底したらリールのハンドルを2回転させた後、ゆっくりと竿先を上下させることで探りを入れ、探りを5秒程度行ったら再度仕掛けを着底させ、アタリを待ちます。
竿先を激しく上下させる方法で探りを入れた場合、アピール力は高くなるものの、根掛かりした際に外れにくくなってしまいますが、探りをゆっくりと行うように心掛ければ、万が一根掛かりしてしまってもハリ先が深く刺ささりにくくなるため、道糸のテンションを緩めるだけで簡単にハリを外すことができるようになります。
穴釣り初心者向け: 複数の仕掛けを投入する釣り方
基本的な穴釣りの釣り方で使用する竿の本数は1本ですが、複数の竿を用意し、仕掛けを投入した状態で竿をテトラポッドの上に置いてアタリを待つことで、効率的にポイントを攻略していく釣り方も非常に効果的です。
ただし、竿から離れてしまうと、アタリを目視で確認することができなくなってしまいますので、竿先に装着する鈴を活用してアタリを取る必要があります。
一人での釣行の場合、熟練度の高い釣り人でも、出せる竿の本数は2本が限界でしょう。なお、二人以上で釣行する場合は、「人数×2」本よりも多い本数の竿を出すことが可能ですし、探りを入れながらアタリを待つこともできますので、好釣果を得られる確率はグッと上がるでしょう。
穴釣り初心者も コツをつかんで釣果アップ!
穴釣りは根魚を狙う他の釣り方には無い、独特のスリルやワクワク感が魅力の釣りです。皆さんも穴釣りに関する様々なコツをつかんで、釣果アップにつなげていきましょう。
スズキ目カサゴ亜目メバル科カサゴ属