カレイ/分類
カレイ目カレイ科
カレイ目の魚はヒラメも含めたいへん種類が多く分類も複雑です。ここではカレイ目カレイ科に属する魚を総称してカレイと呼ぶことにします。カレイ科にはマガレイ属・サメガレイ属・オヒョウ属・アブラガレイ属・カラスガレイ属・アカガレイ属・ウロコメガレイ属・ソウハチ属・ムシガレイ属・メイタガレイ属・マツカワ属・シモフリガレイ属・ババガレイ属・ヤナギムシレイ属・ヒレグロ属・ミギガレイ属・シュヌマガレイムシュガレイ属・ツノガレイ属・スナガレイ属・マガレイ属の20種に別れます。
日本いる主なカレイ
カレイはたいへん種類が多く、日本近海で獲れるものでは、マガレイ、マコガレイ、ババガレイ(ナメタガレイ)、ホシガレイ、メイタガレイ、アカガレイ、イシガレイ、オヒョウなど40種類以上になります。また、北海道から九州まで広く分布しているため、地方によって呼び名も味も旬もいろいろです。
カレイ/外国名
Righteye flounder
英語では、カレイ、ヒラメ、シタビラメなどカレイ目の魚を総称してflatfishと呼びます。そのうち、カレイ・ヒラメはflounderと呼び、体の右側に目が寄っているカレイ科などの魚をrighteye flounder、ヒラメ科・ダルマガレイ科などの目が左側に寄っているものをlefteye flounderと呼びます。カレイ科のうちオヒョウ類を特にhalibutと呼びますがその区別はあいまいです。
カレイ/学名
Pleuronectidae
カレイ目の学名をPleuronectiformesと言い、その中のカレイ科の学名をPleuronectidaeと言います。カレイ科には20属ありそれら全てにも学名がつけられています。
カレイ/由来(漢字)
鰈
カレイは唐鱏(からえい)または涸れ鱏(かれえい)がなまったとされています。また、鰈の枼は葉に由来し、薄いものを現しているとも言われています。中国では王が半分食べた魚を水に放すと泳ぎだしたとの故事から王余魚、王餘魚とも書きますが、ヒラメも含めた言い方のようです。この他にも鰕魿、嘉列乙、嘉鰈、魪、鮙、鰜魚など、様々な漢字表記もあります。 とにかく見た目が特徴的な魚だけに様々な字で表現されているようです。
カレイ/生息地域・分布
日本全国の近海
カレイは浅い海から水深1000mの深海、汽水域までの砂や泥の海底に生息しています。国内では北海道から九州の近海に広く分布し、世界では北極海、太平洋、インド洋、大西洋などの北半球に分布しています。
カレイ/生態・生育環境
成長とともに目が移動する不思議キャラ
カレイも孵化後10日ほどは目が普通の魚と同様に左右に分かれて付いていて、体も平たくありません。成長とともに変態し、目がだんだんと右側に移動。それとともに体が平たくなって、浮き袋がなくなり海底で暮らすようになります。カレイは概して長寿命で、ヨーロッパ産の一種 プレイス (European plaice) で50年、オヒョウで40年などの記録があります。
ちょっと不器用なフィッシュイーター
カレイは主に肉食性で、小魚や海底の無脊椎動物を食べています。よく似た外見で同じくフィッシュイーターのヒラメとは異なり、捕食行動はやや大雑把です。そのため、釣りをする場合はヒラメには生き餌の小魚や俊敏な動きのルアーを用いるのに対し、ちょっと不器用なカレイにはゴカイ・イソメのほか、鈍重な動きのワームを用います。
カレイ/特徴・形態
左ヒラメに右カレイ!?
カレイの体は平らで両目はヌマガレイなど一部の例外を除き、体の右側の面に集まっています。逆にヒラメ類の目は体の左側にありますが、カレイでも偶発的に左側にある場合もあります。
変幻自在に体色を変える海底の忍者
海底では両目のある側を上にして横向きになり、砂や泥を被るなどして潜んでいます。目のある側の体色は黒褐色から褐色で、特有の斑点を持つものもいます。この体色は体表にたくさん散らばっている色素細胞である黒色素胞(メラノフォア)と言うもので、その大きさを変えることにより、周囲の環境に合わせて体色を変化させる保護色となります。また、両目のない側は白色で、背ビレと尻ビレが長く、背ビレは頭部からはじまり尾ビレの根元まであり、尻ビレは頭部のそばにある小さな腹ビレから尾ビレの根元まで続いています。
カレイ/釣り情報
投げ釣りの好敵手
カレイはキスと並んで投げ釣りの最大のターゲットです。シーズンは産卵のために浅場にやってくる秋から冬。防波堤や砂浜などからカレイが集まってくる場所を探す釣りになります。そのため、タックルは広範囲を探れるような遠投のできる4m程度の竿と大型のスピニングリールがいいでしょう。ポイントにもよりますが、100mまで安定してキャストできるものを最低でも2セットは用意したいものです。
派手な仕掛けで旺盛な好奇心にアピール
基本的にはキスと同じ天秤オモリ等を使った仕掛けです。ラインはナイロンの5~6号、PEの0.8号ぐらいがいいでしょう。また、ハリはカレイの場合、しっかりとフッキングできるよう大きめの流線バリ(12号から13号)を使用します。ハリ周りにはキラキラやユラユラした派手なデコレーションを施します。これはカレイの好奇心の強い性質に訴えかけたもので、他の魚では警戒されそうですがカレイには魅力的なようです。
生エサからワームまでお好みで
カレイの投げ釣りのエサには主にイワムシやアオイソメを使います。ハリのサイズに合わせてカットするのではなく、基本的には1匹掛けか房掛けをします。エサの動きを重視するならチョン掛けで、確実にハリ掛かりさせたいなら刺し通しするなど、カレイの食いや潮の状況に合わせていろいろと工夫が必要です。 その他にも地域によっては、コガネと言う虫エサやユムシ・コウジと言うちょっと変わったエサを使う所もあります。また、エサの代わりにルアー(ワーム)を使う釣り方もありますので、いろいろと試してみるのもいいでしょう。
船釣りも人気上昇中
カレイ釣りと言うと砂浜や堤防からの投げ釣りのイメージですが、船からのカレイ釣りもゲーム性が高く奥の深い釣りです。投げ釣りの場合はカレイが産卵のために浅場に入ってくる秋から冬とシーズンが限られていますが、船釣りの場合は季節ごとにカレイのいる場所を直接狙えるため一年中楽しむことができます。また、船釣りは投げ釣りのようにじっと待つのではなく、小突き釣りと言う誘う釣り方が主流です。その日のカレイの活性や潮の状況からパターンを導きだす、攻める釣りとして人気が高まってきています。
カレイ/味・選び方
淡白ながら甘みと旨みを凝縮
カレイは脂肪が少なく淡白ですが、上品であっさりした甘みと旨みがあります。鮮魚店で買う時には、表面にぬめりやツヤがあり全体的に丸みを帯びて肉厚なものを選んでください。切り身で買う時は、お腹が真っ白(赤カレイは赤いもの)、身がピンク色で硬く締まったものを選ぶといいでしょう。
カレイ/栄養・寄生虫
タウリンが豊富な健康食
カレイはたんぱく質を多く含んでおり、脂肪分も少なくヘルシーな魚です。淡泊な白身は消化が良く、低カロリーなので病人食や離乳食にも最適です。また、タウリンが多く含まれているので動脈硬化の予防や血圧の正常化、コレステロール値の低下、血糖値の上昇抑制などに効果があります。
特にアニサキスに注意が必要
カレイを刺身などで食べる場合は、やはりアニサキスに注意が必要です。アニサキスは砂や泥などの海底に居ます。カレイもまた砂や泥の上で生活していますのでアニサキスに寄生されやすく、特に、汽水域で獲れたカレイは要注意です。そのため、刺身で食べる際は新鮮なものを選び、自分で調理する時は目視で十分に注意してください。 また、アニサキスの他に、粘液胞子虫類が寄生していることがあります。食べても人に害はありませんが、寄生した身はゼリーのようになるので美味しくありません。
カレイ/料理・調理方法
お刺身で食べられるのは釣師の特権
淡白ながら上質な甘みと旨みのあるカレイのお刺身。先ずは何もつけずにカレイ本来の美味しさを味わってください。薬味で食べるならネギやカイワレ、もみじおろしやあさつきがオススメです。少しかわったところではコチジャンもなかなかの美味です。 ヒラメに比べあまり見かけることのないカレイのお刺身ですが、その味はヒラメにひけをとりません。そんなカレイのお刺身を食べられるのは、釣り上げた者だけの特権ではないでしょうか。もちろん、アニサキスや他の寄生虫には十分に注意してください。
食卓の定番カレイの干物
カレイの干物を焼くのには、特別な調理法はありません。焼き上がりに網からはがれやすくするために、焼き網をきれいに掃除してから軽くサラダ油を引いてください。しっかり中まで火が通るように中火で焼きましょう。皮の下に脂がジューッとなってきて、身の色が白っぽくなってきたら焼き上がりです。焼きすぎると身が固くなるので注意してください。 鮮魚店などで美味しい干物を選ぶ時は、肉厚のものを選ぶようにしてください。また、カレイ釣りに行って大漁の時は、自分で干物を作ってみるのもいいでしょう。作り方も簡単ですのでぜひ試してみてください。
カリッと香ばしい唐揚げが人気
カリッとふわっと子供たちにも人気の唐揚げですが作り方は意外と簡単です。内臓・鱗を取ってぬめりをしっかり洗い流してから、塩・コショーで下味をつけて片栗粉をまぶします。最初は強火、表面がカリッとなってきたら、中火にして両面ひっくり返して5~6分揚げてください。キツネ色になればできあがりです。1匹そのまま切れ目を入れて揚げてもよし、食べやすい大きさにおろしてからでもお好みで。 食べる前にレモンを搾るとさっぱりと美味しくなります。また、甘酢あんかけで中華風にしてみるのもオススメです。
お酒の肴にご飯のお供にほっとする味
甘辛く香ばしい薫りが食欲をそそるカレイの煮付け。まず、鍋に水と砂糖、酒、みりん、醤油を入れて沸騰させます。そこにきれいに下処理をしたカレイと生姜の薄切りを入れ、落とし蓋をして中火で10~15分ほど煮込みます。煮汁が1/3ほどになって、とろみがでてきたらできあがりです。 お酒の肴にご飯のおかずに、煮付けを食べる度に日本に生まれてきた喜びを実感できるのではないでしょうか。
バター風味のムニエルもオススメ
和のイメージが強いカレイですが、バターとの相性もバッチリ。こんがりムニエルにしてみるのはいかがですか。 ペーパーで水きりをしたカレイに塩・コショーをしてから小麦粉をまぶします。熱したフライパンにオリーブオイルをひき、バターを溶かしてカレイをいれます。切り身の場合は皮面から焼くようにしてください。両面に焼き目がついたところでお皿にうつし、フライパンに残ったバターソースとレモンをかけてどうぞ。
カレイ/その他
知れば知るほど魅力的な魚
ヒラメは高級な魚でカレイは庶民の魚と言うイメージですが、味のほうはヒラメに負けてはいません。釣りにおいても、砂浜や堤防からの投げ釣りから、沖へ出ての船釣りまで楽しむことのできる魅力的な魚です。世界には100種類ほどの仲間がいて、大きいものは1mを越すものまで。生まれた時は普通の魚と同じような姿をしているのに、成長とともに目が片方に寄ってくると言うユニークな特技!?の持ち主です。ぜひ、この愛すべき魚を実際に釣ってみて、味わってみてください。