アヒージョとは
スペイン料理
アヒージョはスペインで誕生した料理です。主な材料は、オリーブオイル、にんにく、鷹の爪、塩、そして魚介類を中心とした具材です。もともとアヒージョとは「刻んだにんにく」を意味する言葉で、オリーブオイルでにんにくと具材を煮込むマドリード以南で代表的な小皿料理です。
カスエラと呼ばれる陶器の皿で作ることが一般的ですが、最近はスキレットの方が手軽に手に入れられる道具として、人気が高まっています。
実は油が主役!
レシピは簡単なものがほとんどで、オリーブオイルと塩で味つけた具材を煮込むだけのレシピが大半です。スペインでは油を主役として、バゲットやチュロスをオリーブオイルへ浸して食べるのが一般的です。
日本のスペインバルではバゲットやチュロスを出さない場所もありますが、スペインでは「一緒に食べないと意味がない!」と主張する人も多くいます。
定番具材は海老
レシピは具材の数だけあるアヒージョですが、定番の具材は海老です。アヒージョだけだと正確には「刻んだにんにく」になってしまうので、海老のアヒージョという時は「ガンバス アル アヒージョ」と言います。
海老をオリーブオイルに入れたら煮込み、仕上げにシェリー酒を入れるのがポイントです。シェリー酒とはワインの一種でブドウが原料のお酒です。
基本の味付けはにんにく、塩、鷹の爪
アヒージョの最も基本的なレシピにおいて、味付けはにんにく、塩、鷹の爪が基本となります。にんにくはスライスするか、みじん切りにするのがおすすめです。丸ごとだと香りが出にくく、火が通るのも遅くなってしまいます。
またチューブにんにくは手軽ですが、水分が多いので油がはねやすくなってしまいます。
アヒージョを美味しく作る3つのコツ・ポイント
美味しく作るコツその①:美味しい油を用意
アヒージョのレシピで欠かせないのが、オリーブオイルです。エキストラバージンオリーブオイルはオリーブを絞っただけのオリーブオイルの中でも、香りや成分の基準を満たすことができた限られたオリーブオイルです。
なので風味や味わいも豊かで、料理に向いているオリーブオイルです。 一方で、エキストラバージンオリーブオイルがもつ香り、風味、苦みは加熱によって弱まってしまいます。
なので加熱時はピュアオリーブオイルを使い、アヒージョの仕上げとしてエキストラバージンオリーブオイルを使うと、オリーブオイルが持つ香りや味わいを存分に楽しむことができます。
美味しく作るコツその②:弱火でじっくり
アヒージョを作る時のポイントは、弱火でじっくりと煮込んでいくことです。あまり強火で一気に過熱すると、オリーブオイルから煙が出てくる温度である発煙点を超えてしまう可能性があります。
発煙点を超えた油は、風味も一気に落ちてしまい、変質するため栄養面も損なわれてしまいます。エキストラバージンオリーブオイルの発煙点は180度から210度、ピュアオリーブオイルは220度以上と言われています。
温度に注意しながら、弱火でじっくり煮込んでいきましょう。
美味しく作るコツその③:具材にはしっかり下味
アヒージョのレシピを見ると、具材の扱い方について注意しておきたいポイントがあります。それは、具材にしっかり味付けをしておくことです。これは海老や牡蠣などの海産物だけでなく、野菜も同じです。
具材を油で煮込むだけなので簡単そうに見えるアヒージョですが、美味しいアヒージョを作るためには下味をつけることが大切です。レシピによってはこの下味の部分を書いていないものもあるので、注意しましょう。
油の跳ねやすい食材と塩加減に注意!
食材の中でも特に注意したいのが、油の跳ねやすい水気の多い食材と、塩加減です。海老も水気を含みやすい食材の1つなので、魚介類は海老も含めて一度下茹でし、綺麗に水気を拭き取ることが大切です。
また生野菜も、注意しておきたい食材の1つです。下味をつけるのをうっかり忘れてしまったら、油で具材をよく煮込んだところで、塩をふりかけて混ぜてから食べると、油には味はつきませんが具材には塩がからみます。
魚介類の下ごしらえ
海老は殻を剥いたら背ワタを取り、酒でかるく揉んでからゆでるといいでしょう。海老の尻尾は雑菌が溜まりやすいので、先端を切り取って綺麗に洗うか、尻尾も外してしまった方がよさそうです。
タコ、イカ、ホタテは食べやすい大きさに切ってから、塩で味付けをしてさっとゆでます。茹で上がったら、キッチンペーパーなどで水気をとります。水分が抜けるのでアヒージョの味も決まりやすくなり、油はねもしなくなります。
野菜の下ごしらえ
アヒージョのレシピによく登場する野菜は、アスパラガス、マッシュルーム、ジャガイモ、ホウレンソウ、ミニトマトなどがあります。アスパラガスやジャガイモはそのままだと硬いので、一度下茹ですることが大切です。
ジャガイモは皮つきでも、皮を剥いてもかまいません。ホウレンソウやマッシュルームは、少量のオリーブオイルでソテーすると油跳ねを抑えることができます。ただミニトマトだけはどうにも手が加えられないので、アヒージョの器にぴったりの蓋があると便利です。
アヒージョの人気レシピ1位
第1位、定番!海老のアヒージョ
第1位は、アヒージョの定番レシピである海老のアヒージョです。簡単で美味しいだけでなく、大人も子供も食べやすいので、人気のあるレシピです。
頭つきの海老でも、冷凍海老でも、一度下茹ですることで油跳ねをぐっと減らして、海老の持つ旨みを凝縮することができます。第1位に選ばれるレシピだけあって、素材も用意しやすいのが特徴です。
材料・分量(1~2人分)
・海老:10匹 ・オリーブオイル:40ml ・にんにく:1欠片 ・鷹の爪(赤トウガラシ):1本 ・塩:少々
作り方
まずオリーブオイルにスライスかみじん切りにしたにんにくを加え、弱火にかけます。にんにくから細かな泡が出てきたら唐辛子を4つ割りにして入れて、そのまま熱します。油の用意をする間に、海老を下茹でします。
頭がついている海老のほうが、だしが出ておいしくなります。殻をむいて背ワタを取ったら、少量の塩を入れた沸騰したお湯へ海老を入れ、ゆで上げます。背ワタは除去した方が苦みがなくなるので、子どもも食べやすくなります。
あとは水気をしっかりとって、オイルと絡ませるように煮込むだけです。
アヒージョの人気レシピ2位
キノコの旨みたっぷり、キノコのアヒージョ
少量ずつ買えるキノコは、様々な種類を入れることができるのでアヒージョにぴったりの食材の1つです。良く使われるものはマッシュルーム、エリンギ、シイタケ、マイタケなど、大きめのサイズにカットできるものの方が人気があります。
油との相性もよいので、パンへのせながら食べるのもおすすめです。第1位の海老のアヒージョに比べると、ヘルシーなのもポイントです。
材料・分量(1~2人前)
・好きなキノコ:鍋から溢れず、オリーブオイルに浸る程度 ・オリーブオイル:40ml ・にんにく:1欠片 ・鷹の爪(赤トウガラシ):1本 ・塩・こしょう:少々 ・パセリ(あれば):少々
作り方
キノコはマッシュルームなら8~10個ほど、エリンギならカットして3本くらいです。あらかじめ、オリーブオイルで軽くソテーしておくと、油跳ねを抑えることができます。ソテーが終わったら軽く塩・こしょうをまぶしておき、油の用意をします。
作り方は、海老のアヒージョと同じです。鷹の爪ではなく、柚子胡椒など和風の味付けをしたアヒージョもおすすめです。
アヒージョの人気レシピ3位
冬にぴったり、牡蠣のアヒージョ
冬だからこそ味わえる、牡蠣のアヒージョが第3位となりました。牡蠣は生食用ではなく、加熱して食べるタイプの牡蠣の方がおすすめです。身の縮みも少なく、ふっくらとした牡蠣を楽しめます。味付けはシンプルに、牡蠣のうまみを楽しみたいレシピです。
材料・分量(1~2人前)
牡蠣:10個ほど オリーブオイル:40ml にんにく:1欠片 鷹の爪(赤トウガラシ):1本 塩・こしょう:少々
作り方
まずは牡蠣を水で洗い、汚れを取り除きます。塩を入れたお湯でさっと茹でたら、水気をしっかり拭き取っておきましょう。油を用意し、鷹の爪を入れてしばらく煮込んだら、牡蠣をそっと入れていきます。
牡蠣にオリーブオイルを絡めるように煮込んだら、完成です。牡蠣はノロウイルスの感染源ともなるので、しっかり煮込んでおくことが大切です。
アヒージョの人気レシピ4位
簡単おつまみ、鶏もも肉のアヒージョ
おつまみにおすすめなのが、こってりとした鶏の油を一緒に楽しめる、鶏もも肉のアヒージョです。むね肉だとパサつきがちで硬くなってしまいますが、もも肉ならよりジューシーに仕上がります。魚介類に比べて用意が簡単なので、手間もかかりません。
レシピとしても簡単なので、バーベキューなどにもおすすめです。
材料・分量(1~2人前)
・鶏もも肉:100~80g ・オリーブオイル:40ml ・にんにく:1欠片 ・鷹の爪(赤トウガラシ):1本 ・塩・こしょう:少々
作り方
鶏もも肉のこってり感を楽しみたい人は、鶏もも肉を100gぐらいまでなら増やしても大丈夫です。食べやすい大きさに鶏もも肉をカットして、オリーブオイルでさっと炒めます。この時、塩こしょうをふっておくと、味付けができます。
皮がカリッとなるまで焼いておくと、香ばしさがアップします。ハーブを加えるのも、味を変える意味でおすすめです。オリーブオイルとにんにく、鷹の爪を熱して油の用意ができたら、鶏もも肉を加えて煮込んで完成です。
アヒージョの人気レシピ5位
野菜たっぷり、茄子とトマトのアヒージョ
アヒージョは美味しい野菜の食べ方の1つです。特に油と馴染みの良い茄子とトマトのアヒージョは簡単に食材が用意できるだけでなく人気のある具材なので、子どもでも食べやすいのが特徴です。
トマトが水分を豊富に含んでいるので、できれば蓋がある容器でつくると、油跳ねが少なくて済みます。アヒージョのレシピの定番である鷹の爪がないほうが、トマトが持つ甘み、酸味が引き立ちます。
材料・分量(1~2人前)
茄子:小さめ1本 トマト:プチトマト8個 オリーブオイル:40ml にんにく:1欠片 塩・こしょう:少々
作り方
作り方はまず、茄子は1口大にカットして、さっと水にさらしてアクをとります。水気を切って、オリーブオイルでソテーしておきます。ここで塩・こしょうをふっておきましょう。
ミニトマトは洗ってヘタを取り、爪楊枝など先がとがったもので数か所穴を空けておくと、中まで火が通りジューシーに仕上がります。油を用意したら、茄子とミニトマトを並べて、軽く煮込んでいきます。ミニトマトの方が火の通りが遅いので、先にミニトマトを入れるのがおすすめです。
番外編:アヒージョの子どもに人気レシピ
子ども向け、ジャガイモいりのアヒージョ
子供に人気の高いアヒージョレシピの1つが、ウインナーや海老などに、ジャガイモを合わせたアヒージョです。どちらも家によくある食材であり、用意も簡単なので手軽にできます。
ウインナーをハーブの香りが強いもの、辛味の強いチョリソーなどに変えると、大人向けのおつまみレシピに変身します。
ポイントは、鷹の爪をいれないこと
子ども向けなので、刺激の強い辛味である鷹の爪はいれないようにしましょう。入れる場合も、鷹の爪の種は取り除いた方が無難です。種の部分がもっとも辛味が強いので、辛さをより高める原因になってしまいます。
作り方
ジャガイモ、ウインナーともに一口大にカットしたら、ジャガイモは軽くゆでるかレンジでチンして火を通します。ウインナーは、オリーブオイルでソテーしておきます。
弱火で静かにオリーブオイルとニンニクを温めたら、ジャガイモ、ウインナーの順番で入れて、絡めるように煮込みます。ウインナーに塩気があるので、ある程度の味がつきますが、心配であれば味付けとしてジャガイモに塩を軽くふっておくのがおすすめです。
余ったオイル、人気活用レシピ1位「パスタ」
味付きオイルで、絶品パスタ
アヒージョを作った後のオリーブオイルはとてもおいしい、味付きのオイルになっています。ただそのままパンをつけて食べるのも美味しいのですが、活用レシピとして人気なのがパスタです。
どんなアヒージョのオイルも合うので、自由度も1位の活用方法です。レシピとしてもお手軽なので、アヒージョのオイルが余ったらためしてみませんか。
茹でて絡める、簡単レシピ
パスタを分量に合わせて茹で、残ったオイルに絡めるだけの簡単レシピです。具材を追加したい場合は、オイルであらかじめ具材を炒めておき、そこへパスタを合わせるやり方でもおいしく出来上がります。パスタはロングタイプのほうがオイルが絡みやすく、味もよく合います。
余ったオイル、人気活用レシピ2位「目玉焼き」
一味違う!目玉焼き
朝、手軽にオイルを活用したいときにおすすめのレシピです。目玉焼きというとサラダ油や、ちょっとリッチにバターで焼くことがあるかとおもいます。休日のブランチにもおすすめの、一風変わった美味しい目玉焼きが出来上がります。
レシピとしては簡単なので、ぜひ試してみてください。
いつものオイルを変えるだけ
作り方は、いつものように目玉焼きを作る時に、オイルを変えるだけです。日本では片面だけを焼き固める目玉焼きが一般的ですが、せっかくの味付きオイルなので両面を焼き固めた目玉焼きにして、サンドイッチの具材にするのもおすすめの食べ方です。
オイルを保存したいときは?
具材を綺麗にすくいとる
パスタや目玉焼きに使っても、オイルが余ってしまうことがあります。一度加熱されたオリーブオイルなので、どんどん酸化が進んでしまいます。保存したい場合は、具材を綺麗にすくいとり、空気に触れないようにジャムの瓶などに入れて熱が取れたら蓋をします。
冷凍庫に入れれば1か月以上、冷蔵庫なら2週間ほどを目安に使いきるようにしましょう。
アヒージョQ&A
Q:味付けしたのに味が薄い!
A:下味をきちんとつけていないと、味が薄く感じられてしまいます。オリーブオイルには塩が溶けないので、あとから塩をいくら入れても、味がイマイチ決まらないという結果になることもあります。下ごしらえをきちんとすることが、美味しいアヒージョを作るコツです。
Q:タコ焼き機でアヒージョをしたいんだけど……
A:タコ焼き機でアヒージョを作るレシピはたくさんありますし、お手軽で可愛いのでパーティーにもぴったりです。ですが、油跳ねは必ず起きると考えておきましょう。
温度調節が難しい、あるいはできないタコ焼き機がほとんどなので、アヒージョを作る時に欠かせない「弱火でじっくり」が出来ないことがあります。また具材に注意しないと、油跳ねがどんどん酷くなりがちです。
行う時は食材の水分をしっかり拭き取り、一度にたくさん食材を入れないようにして、火傷や油跳ねに十分注意して行いましょう。
美味しく作って、アヒージョを楽しもう
手軽に作れるアヒージョは、家の中で行うパーティーでも、キャンプなど野外でも楽しめる料理の1つです。美味しく作って、アヒージョを思い切り楽しみましょう。