焚き火の世界は奥深い
手軽だけれど奥が深い
近年、焚き火が密かなブームになっています。焚き火ストという言葉も生み出され、多くの人が焚き火の魅力に引き付けられています。焚き火は火をつけるだけで簡単でお手軽ですが、その世界は奥深いものがあります。
知っておいて損はない焚き火の情報を紹介
焚き火には事前に知っておきたい基礎知識、上手な火の起こし方、また焚き火に必須な道具やあると便利な道具などがあります。これらの情報を知っておくと焚き火がより楽しく、より充実したものになります。知っておいて損はない焚き火の情報を紹介します。
焚き火の基礎知識1:場所選び
場所選びは重要
焚き火をする上でまず必要なのは場所選びです。焚き火はどこでもやっていいわけではなく、場所によっては火事などの心配があったり、焚き火自体が禁止されていることもあります。そのため、どこで焚き火をやるのか場所を決めることは重要になります。
禁止されている場所では焚き火しない
焚き火をする場所としては、海や川や湖などの水辺の近く、開けた山の奥、キャンプ場などがあげられます。山やキャンプ場などの場合は特に火事に気をつける必要があります。禁止されているエリアでの焚き火はやめましょう。
焚き火の基礎知識2:焚き火の環境
焚き火の条件を確認
焚き火が出来る場所を見つけてももう一点気をつけることがあります。焚き火をする場所が直火が許可されているか、もしくは焚き火台やコンロなどの道具が必要なのかを確認しましょう。
直火が許可されている場合
直火とは地面で直接焚き火をしたりなど火を起こすことです。直火が許可されていれば、荷物も少なく済むので気軽に焚き火を行うことができます。
焚き火台やコンロが必要な場合
直火が許可されていない場合は焚き火をするために準備が必要になります。焚き火台かコンロを用意して道具を用意して、地面に火をあてずに焚き火をしましょう。直火が許可されているキャンプ場は少なく、焚き火台やコンロが必要になる機会は多いです。
直火禁止の理由
直火が多くのところで禁止されている理由は、地面の芝生などが駄目になってしまうからだと言われています。また、焚き火をしたあとの後始末が悪いことも目立つそうです。直火が禁止されている場所には、禁止されている理由があります。そのぞれの場所のルールを守るようにしましょう。
焚き火の基礎知識3:薪選び
薪の中にも種類がある
焚き火をするためには何と言っても燃やすための材料が必要です。焚き火の材料となるものには様々なものがありますが、代表的なものは薪でしょう。さらに薪の中でも木の種類によって違いがあるので、それぞれを比較して特長を紹介します。
広葉樹と針葉樹
薪になる木には、葉の形がひらたい広葉樹と葉の先が尖っている針葉樹という2種類に大きく分類され、それぞれに特長があります。2つを比較すると広葉樹は燃焼時間が長く、針葉樹は激しく一気に燃えるという特長があります。
広葉樹と針葉樹を使い分ける
焚き火においては、針葉樹と広葉樹を組み合わせて使用する方法が賢い方法になります。はじめに火の勢いの強い針葉樹を入れて、火が落ち着いてきたら広葉樹を入れるという火の起こし方をすると焚き火が安定します。特長の違う2つの薪を使い分けるということです。
薪になる広葉樹の木
薪になる広葉樹の木には、ナラ、カシ、クヌギなどがあります。ナラとカシは流通量も多く、比較的安価で手に入りやすい木になります。クヌギは多少値が張りますが、燃焼時間が長いという特長があります。
薪になる針葉樹の木
薪になる広葉樹の木には、スギ、マツ、ヒノキなどがあります。スギが最も入手しやすいですが、燃焼時間は短いです。マツは火力が比較的強めです。ヒノキは針葉樹の中では火持ちが良い方だと言われており、香りも良いです。
焚き火の基礎知識4:拾える材料
現地調達は焚き火の醍醐味
焚き火の楽しみ方のひとつとして燃やす材料を現地調達することがあります。自分で拾ったもので火をおこすとその喜びも倍増します。焚き火に適した拾える材料を紹介します。
拾える材料の代表格、松ぼっくり
松ぼっくりは拾える材料の代表格です。松脂を含んだ松ぼっくりは非常に燃えやすく、着火剤の代わりとしても使えます。松ぼっくりの中でも傘の開いているものの方が空気が入りやすく、よく燃えます。
よく燃えるスギの葉
スギの葉も燃えやすい材料のひとつです。スギの葉を拾う上でのポイントは茶色くなっていて、乾燥しているものを選ぶことです。スギの葉は煙の量が多いという難点がありますが、それでもよく燃えるので重宝します。
乾燥している枝
焚き火をするときに枝を拾うということはよくありますが、枝は乾燥しているものだけを拾うようにしましょう。水分を含んでいる枝は焚き火にとって逆効果になってしまうこともあります。枝も広葉樹は広葉樹の、針葉樹は針葉樹の特長を持っているので、上手に使い分けましょう。
上手な焚き火の仕方1:着火準備
木の組み方にもコツがある
材料がそろったらいよいよ着火準備に入ります。木の組み方にはいくつかコツがあり、コツを覚えることで焚き火の成功率があがります。さらに焚き火を充実させる木の組み方のコツを紹介します。
組み方のコツ1:針葉樹から広葉樹へ
薪選びの項でも紹介したように、針葉樹は燃えやすく、広葉樹は火持ちが良いというそれぞれの特長があります。この特長を活かすために、まずは針葉樹が先に火を着くような組み方をしましょう。針葉樹が下に広葉樹が上に来るように組みます。
組み方のコツ2:細い木から太い木へ
木や枝は細い木の方が燃えやすく、太い木のほうが火がつきにくいです。そのため木や枝を太さごとに何段階かにわけ、細い木から順に組んでいくことも焚き火のコツです。分ける時に水分を含んでいる木を見つけたら避けるようにしましょう。
組み方のコツ3:着火剤を中心に
市販の着火剤やもしくは松ぼっくりなどの着火剤の代わりとして用いるものは焚き火の中心に配置します。イメージとしては着火剤の周りを枝や木が覆うような形が望ましいでしょう。着火剤は他の材料に火が移ることが主目的です。下部分の中心に置くのがコツになります。
上手な焚き火の仕方2:着火準備の上級編
様々な薪や木の組み方
薪や木の組み方は絶対にこうしなければいけないという形はなく自由に組むことができます。しかし、焚き火をする上で様々な組み方があり、組み方によって楽しみ方も変わります。焚き火の楽しみ方がもっと広がる様々な薪の組み方を紹介します。
基本の形の三角すい型
三角すい型は焚き火の基本の形のひとつで、焚き火の様子などでもよく見られます。地面に近いところほど面積は大きく、上にいけばいくほど面積が小さくなっていきます。単純な形なので、コツなども特になく簡単に組むことが出来る点が大きな魅力です。
エンターテイメント向きの井桁型
井桁型も焚き火でよく見られる形になります。この形は上から見るとわかりやすく漢字の「井」の形のように組まれています。非常に燃えやすくキャンプファイヤーなどのエンターテイメントな楽しみ方でよく用いられる組み方です。
長い時間楽しめるインディアン型
インディアン型または合掌型・開き傘と呼ばれる組み方です。中心には枝などの燃えやすいものを置いておき、火持ちの良い薪は放射状に角度を低くして配置します。火力自体は強くないですが、その分だけ燃えている時間が長くなり、ゆっくり楽しみたいときにおすすめの組み方です。
万能な並列型
並列型はインディアン型と同様に薪の角度を低くする組み方です。インディアン型との大きな違いは放射状に並べるインディアン型に対して、並列型は薪が中心で重なるように組んでいきます。並列型は火力の調整もしやすく、調節によって楽しみ方を変えられる点が魅力です。
焚き火は自由
この他にも薪や木の組み方には様々な種類があります。しかし焚き火において重要なことは型にこだわるよりも、焚き火を楽しむことでしょう。型を守らなければ焚き火はできないということはないので、型は楽しみ方を広げる手段として考えて自由な焚き火を楽しみましょう。
上手な焚き火の仕方3:着火の方法
着火にもコツがあり
着火は焚き火の中でも重要な局面の一つです。ただ火をつけるだけに思われがちですが、ここでもコツがあります。より充実した焚き火のための着火の仕方を紹介します。
着火の仕方1:着火は複数の方向から
初めに着火剤や松ぼっくりなどの燃えやすいものでかつ、小さいものに着火します。この時のコツとしてひとつの方向からだけつけるのではなく、様々な方向から火をつけることです。90度ずつごとに全4方向から火をつけたりなどすると、最初の火も安定します。
着火の仕方2:火種を崩さない
焚き火は最初は小さな火から始まります。はじめの内は火が消えてしまわないか不安になるかもしれません。ここで重要なのは組んだ薪や木の形、火種を崩さないことです。火種を崩すと中の温度が下がり逆効果になってしまいます。不安になっても崩さずにグッと我慢しましょう。
着火の仕方3:熾火(おきび)をつくる
熾火とは薪が炭火のようになったものです。火は出ていなくても熱を持っている状態を指します。熾火は一度出来ると火が安定して焚き火が消えにくくなります。熾火になるのは主に広葉樹なので、ある程度火が大きくなってきたら小さめや細い広葉樹を足すのもコツのひとつです。
楽しみ方に合わせて火を調整
熾火まで出来ると焚き火はほぼ完成になります。あとは自由に薪をくべて火力の調整などをしましょう。なお、調理を目的とした焚き火の場合は火が燃え盛っている状態よりも、熾火の穏やかな火程度の方がよいとされています。各々の楽しみ方に合わせて火を調節しましょう。
焚き火の終わらせ方・片付け方
後片付けも重要な工程
後片付けも焚き火において重要な工程です。燃えかすは自然に還ると考える方もいますが、炭化した木は自然には還りません。十分に焚き火を楽しんだあとは後片付けもしっかりするようにしましょう。後片付けの役に立つ知識を紹介します。
後片付けの仕方1:時間の計算
焚き火は意外に消えるまでに多くの時間を要します。広葉樹の太めの薪は完全に消えるまでに1時間以上の時間はかかると見ておいた方がよいでしょう。また水をかけて消化するという方法もありますが、特に焚き火台を使用している時は焚き火台に悪影響が出る可能性もあり、あまりおすすめしません。
後片付けの仕方2:ゴミの持ち帰り方
ゴミを持ち帰るコツとしては、焚き火を始める前に下にアルミホイルを敷いて置く方法がおすすめです。火が全て消えたらアルミホイルで包むことで燃えカスを簡単にひとつにまとめることができます。
後片付けの仕方3:火消し壷を利用
火消し壺は簡単に火を消すことができ、また燃えきっていない木や炭を再利用できる非常に便利なアイテムです。使い方も燃えきっていない材料を入れるだけと簡単です。大きさにもよりますがひとつ持っておくと焚き火の消化と片付けが楽になります。
焚き火の基礎知識4つ&上手な焚き火の仕方3つを紹介
焚き火の楽しみ方を広げる
ここまでで焚き火の基礎知識と上手な仕方を紹介してきました。基本的な焚き火の仕方やコツを知っておくことで、焚き火の楽しみ方も格段に広がるでしょう。
焚き火をより充実させるための道具を紹介
焚き火を楽しむためには知識はもちろんのこと道具も重要になります。道具には焚き火台や身につける物、椅子など様々な種類があります。ここからは焚き火をより楽しく、より充実させるためのアイテムを紹介します。
焚き火のおすすめ道具1:焚き火台
もはや必要不可欠な焚き火台
最近では直火ができる場所が非常に少なくなってきていることから、もはや焚き火台は焚き火をするために必要不可欠なアイテムとも言えます。焚き火台の中にも様々な種類があるので、違いを比較しつつ用途に合った焚き火台を選びましょう。
コンロとして使用できるか
焚き火台を選びではバーベキューコンロとして併用するかも重要な視点になります。コンロとしての使用を考えられていない焚き火台は比較的高さが低めに設計されているものが多いです。初めからコンロ併用を想定されているものもあるので、用途によってはおすすめです。
コンロを焚き火台として使用
逆にバーベーキューコンロを焚き火用に使用するという方法もあります。多くのコンロは焚き火台よりも面積が小さいため大きな薪は使用しづらいですが、焚き火台として使用出来ないことはありません。また薪から出る脂やすすがコンロに付着する可能性もあるので、その点も注意です。
収納性も重要な観点
コンロと併用できるかという観点以外では収納性が重要になります。折りたためるか、どの程度分解可能かなどの観点があります。小さくてかさばらないものの方が持ち運びは楽になります。どの程度の大きさのものが良いか比較しつつ判断しましょう。
焚き火のおすすめ道具2:ライター
火をつける道具で失敗しない方法
焚き火をするためには火をつけるための道具も必要不可欠です。火をつけるための道具にはライターの他にもマッチやチャッカマンなど様々な種類があります。焚き火で失敗しないための道具選びの方法を紹介します。
道具選びのポイント2点
火をつける道具選びでは風への強さと手元までの距離の2つが大きいです。焚き火は外でやるので風の影響があります。風でライターなどの火が消えてしまうことがよくあります。また手元からの距離があるものの方が材料に火を移すときの作業がしやすいです。
フリント式ライターは焚き火に不向き
フリント式ライターという一般的によく使用されているライターは風に弱い傾向があり、焚き火には不向きです。ターボライターなどの放電で着火させるタイプのものが比較的風に強いです。ガスバーナーなども風の影響をほぼ受けることなく使うことができます。
焚き火のおすすめ道具3:耐火グローブほか
身につけるものも重要
焚き火をする上で身につけるものにも気を配りたいです。手元は非常に熱いため手袋などの覆うものが必要で、衣類も火の粉などで燃えてしまう心配がないものを選ぶとよいです。焚き火でおすすめの身につけるものを紹介します。
幅広い耐火グローブ
手袋をすることで火の暑さから手を守ることができます。耐火グローブという専用の革の手袋が販売されています。安価に購入できるものか、高価な丈夫なものまで幅広い種類があります。どの程度の頻度で焚き火をするかも検討しながら、比較して自分に合ったものを選びましょう。
化学繊維の服は避けるのが無難
焚き火の火の粉で大事にしていた服に穴が空いていたら、せっかくの楽しい焚き火も台無しになってしまうということもあるかもしれません。比較的、化学繊維の服は火の粉で穴が空きやすいと言われており、避けるのが無難です。コットンやウールなどの天然素材は火に強いと言われています。
焚き火のおすすめ道具4:火ばさみ
火を起こすときや火力の調節で使用
火ばさみは火を起こすときや火の調節で使用する道具です。火ばさみがないと、火の調節などができないため火ばさみも焚き火で必須の道具のひとつと言えるでしょう。
火ばさみとトングの比較
火ばさみと似た道具としてトングがあります。この2つのどこが違うかを比較すると、火ばさみの方が火の扱いに特化した作りになっています。具体的には火の暑さを軽減するためにトングよりも長かったり、炭をつかみやすい形状に作られています。
トングでも代用可能
火ばさみとトングは違うと言っても、トングでも火ばさみの代用は可能です。特に焚き火の初心者などでは100均などの安価なトングでも十分に事足りるでしょう。焚き火の頻度が増えたり、より凝った焚き火をしたいと思ったら専用の火ばさみを買うという方法がおすすめです。
焚き火のおすすめ道具5:その他の便利な道具
準備すれば役に立つ
紹介した4つのアイテムは焚き火をする上でなくてはならない道具にあげられます。この他にも焚き火には様々な道具があり、用意しておくと役に立ちます。あると便利な焚き火の道具を紹介します。
木や薪を切るナタ
ナタがあれば、木や薪を小さく細かくすることができます。特に大きな薪などははじめは火がつきにくいので、ナタで切ることで火がつきやすくなります。燃やす材料が大きなものしかないときなどに重宝します。
ゆっくりと焚き火を楽しめるチェア
チェアは必須アイテムと言っても過言ではないかもしれません。焚き火は長い時間を要することもあり、チェアがあると座って休むことができます。また何かを調理して食べるときなどもチェアがあると便利です。落ち着いて焚き火を楽しむためには必須のアイテムです。
片付けが楽になりエコな火消し壺
後片付けの項でも紹介した火消し壺もあると便利なアイテムです。消化の作業が楽になり、また燃焼しきっていない材料を再利用できるのでエコにもつながります。他には後片付けの項で紹介したアルミホイルもあると片付け作業が楽になります。
焚き火を楽しもう!
焚き火の楽しみ方は人それぞれ
焚き火の基礎知識、焚き火の上手な仕方、おすすめの道具紹介してきました。様々な項目がありますが、この全てを満たしていないと焚き火を出来ないということはありません。焚き火の楽しみ方は人それぞれですので、ぜひ自分に合った焚き火の方法を見つけましょう。