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マテバシイの特徴
マテバシイは漢字では「馬刀葉椎、全手葉椎」と表記であり、ブナ科の常緑高木です。特徴としては名前にシイが使われていて、葉や幹などが似通っているのですが、シイの木が属するのは同じブナ科でも別属に分類されていて、マテバシイはマテバシイ属とされています。実のドングリは同じ実をつけるコナラやクヌギなどのコナラ属とも別に分類され、食材としてレシピもあります。比較的温暖な地域として房総半島から沖縄まで分布していて、公園や庭園、街路樹としても栽培品種とされていて親しまれています。
マテバシイの開花時期
マテバシイは、6月頃の時期に樹木全体を覆うように花を咲かせます。雌雄同株ですが雄花と雌花があるのが特徴で、新枝の葉先上部に約10㎝ほどの穂状の薄黄色の花をつけます。花言葉もある様ですよ。 マテバシイの花は新緑爽やかな初夏に、雌花を囲むように穂状の雄花が上向きに無数につき、栗の花に似た香りを放ちます。
実用的なマテバシイ
マテバシイは病害虫にも強く丈夫な樹木であり、葉も厚めですので、寺社や工場、学校などの防風や防火に役立つ実用的な樹木として植栽されていましたが、常緑樹であるため外見も良く、特徴的に花の時期は樹冠が黄褐色の花で覆われて見事な景観となりますので、公園や庭園にも用いられてきています。また実は渋みがないことから食用としても古くから珍重され、現在では実の食べ方のレシピなども工夫されていて栽培されてきました。
マテバシイの用途
マテバシイの木質は堅く強い性質のため、昔より農具の柄や器具材として用いられてきました。樹皮は染料の原材料とされたり、写真のようにシイタケ栽培の「ほだ木」や家の床柱としても使われていたほど多用されてきたのです。
マテバシイの文化的背景
現在地の千葉県加茂にある縄文時代前期とみられる貝塚遺跡から歯型のついた実が出土されていることから縄文人には食料とされていたと考えられています。江戸後期の本草学研究書である「本草網目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)」享和3年(1803)では、薩摩椎と記述があり、1806年紀州藩が編纂した「紀伊続風土記(きいぞくふどき)」のなかには”末天葉椎”(まてはしい)の記述があります。
縄文人の食料
縄文人たちが主食としていたのは、主に木の実などを採集していたものと考えられています。主にクリ、トチ、クルミ、ドングリなどの堅果類は貯蔵が利き、必要な時に食べていたと思われるということです。なかでもドングリ類は数多く採集でき貴重な食物であったことでしょう。
縄文人たちが食料としたドングリは渋みがあるので、アク抜きをしなければ食べられません。食べ方としてはアク抜きをするには加熱して水で何度も晒してアクを抜きました。その為に使用したと思われるのが、あの大型の土器で有っただろうと思われます。
”ドングリ”って何?
写真などでよく見かける”リス”が可愛らしくドングリを食べる様子を思い浮かべるでしょう。子どもの頃はコマを作って遊んだりした憶えも有るでしょう。このコマの古い呼び名が”ツムグリ”と呼んでいたことからいつのまにか”ドングリ”と呼び名が変化したという説と、トチの木の実の呼び名”トチグリ(橡栗)”から転訛したとの説もあります。漢字では「団栗」と書きます。
同種との見分け方
見かけは同じ様なブナ科の樹木ですが見分け方として、同じようにドングリの実をつけるコナラやクヌギでは、葉の縁にギザギザ(鋸歯)があるので簡単に見分けること見分け方の一つの方法です。コナラ属のカシは葉が一回り小さいことと、やはり鋸歯があります。またもうひとつの見分け方として、マテバシイ属で関西以西で植生するシリブカガシもマテバシイより葉が小さく、葉の裏は銀白色をしていますので一目で違いが分かります。
呼び名の相違
地方によって呼び名がそれぞれ違います。マテジイ、マタジイ、マテガシ等々。マテジイはマテバシイの名が詰まったもの、マタジイはマテジイの転訛したものと思われます。マタガシは同属のシイ類(スダジイ、ツブラジイ)よりもカシ類に似ているためでしょう。
マテバシイの学術的背景
漢字名の「馬刀葉椎」や「全手葉椎」、「真手葉椎」は葉の形からの当て字と思われます。地方によってそれぞれ呼び名が違いますが、マテバガシ、マテガシ、マタジイ、サツマジイ、トウジイ、アオジイとの名がつけられています。
マテバシイの学名
学名は「Lithocarpus edulis(リトカルプス エドゥリス)」と著わされ、種の小名エドゥリスはラテン語で”食べられる”という意味です。属名のリトカルプスは”石のような果実”という意味で、果実が硬いからとされています。
シイの名の由来
俗名にシイの名が付けられていますが、シイ属のスダジイなどとは別属です。同じ実をつけるスダジイもあまり渋みもなく食用とされていたので同じ属名とされてきたのでは、とされています。また、良く見かけるようにドングリは木の下に落ちていますよね。そのため”下(シ)”と”実(ヒ)”からシヒ→シイになったという仮説もあります。
マテバシイの名前の由来
和名のマテバシイの名は、葉の特徴がマテガイ(馬刀貝)の姿形に似ているとされていますが、千葉や九州の一部ではマテジイとも呼ばれていて、実がシイの実よりも細長く葉の形もマテガイ(馬刀貝)に良く似ているからともされています。また渋みの強いシイの実よりもしばらく”まてば(真手葉)”美味しく食べられるという意味など諸説ありますが定かとはされていません。
マテバシイの栽培(育て方)
葉が厚く、材質も固く環境に強いため古くから防風林や防火予防、建築材などに使用されるために栽培されてきました。但し、温暖の気候を好むため、寒冷地での栽培は難しいとされています。
適した場所
本州の関東以南、九州、沖縄など比較的温暖な地域に分布しますので、寒冷地での植栽は不向きと前述しました。育て方の目安としては、風通しの良い日光が良く指す場所が適地です。栽培には、土壌はやや湿り気を含んだ地を好みますが、乾燥ぎみの地でも良いでしょう。
植栽の時期
栽培するには、秋口に落ちた実を拾い集めておきます。その際は内部に虫などが入っていないかを良く確かめ、ある程度重さのあるものにします。集めたドングリは水を溜めた容器に浸しておきましょう。虫が食べてしまい中身が空になった実は浮き上がってきますので、捨ててしまいます。植え付けの時期は秋初旬か、5月~7月初旬にかけてですので、秋遅くなってからと春早いうちの植栽は避け、そのまま植え付け時期の5月頃まで冷蔵庫に入れて保管しておきましょう。
植え付けの方法
9月下旬か5月頃でしたら植栽の時期です。プランターか6号位のビニールポットに赤玉土6:腐葉土4の割合で混合した用土に6号ポットでしたら2~3個、プランターならば15㎝間隔に1個ずつ実を横向きにして2~3㎝ほどの深さに植えつけます。水やりをしたら土の表面が乾かないように枯葉かワラなどを被せておきます。その後発芽するまで4~5日間隔で水やりを施します。
植替え(移植)の時期
育て方の方法としては、プランター植えの場合、実を植えつけて葉が2~4枚程度になったら大きめの鉢かビニールポットに植替えます。鉢植えにして3年ほどの時に地植えにするか一回り大きめな鉢に植え替えます。但し地植えにする場合は年数を経るとかなり大きな樹木となることを考慮しなければなりません。庭があまり広くない場合は盆栽仕立てにすると良いでしょう。
マテバシイの植栽管理
マテバシイを鉢植えなどでの育て方の場合、水やりや肥料の施し方など気をつけて欲しい項目を挙げてみました。
水やり
育て方のポイントとして、鉢植えでの水やりは、夏場は朝・夕1日2回ほど用土の湿り具合をみてあげることが必要です。反対に冬場は土の表面を触ってみて乾いているようでしたらたっぷりと与えて下さい。この場合、鉢の底穴から水が出るまで与えることが必要です。マテバシイは乾燥を嫌いますので、常に湿り気があるように心がけましょう。地植えにした場合は、植え付けから半年間は3日に1度土が渇き気味でしたら水やりをするのが良い育て方でしょう。
肥料
地植えでも鉢植えにする場合でも”赤玉土6:腐葉土4”の割合のように腐葉土かあるいは培養土を使用していれば特に施す必要はありませんが、もし施すとしたら、植え付け後、植替え後に1週間ほどしたら、根元近くに油粕を適量施しておけば良いでしょう。
剪定の時期・方法
新芽が伸びる3月~4月が剪定の適期です。若木で小さめに仕立てる場合は、枝先から40~50㎝の箇所で切り取ってしまいます。この時に混みいっている太枝を数本間引くようにしてしまうと良いでしょう。切った後の芽吹きも良いので心配いりません。花芽を気にせず、枝先を切り詰めるのではなく、枝を間引く様に剪定するのがコツです。
マテバシイの病気と害虫
マテバシイは丈夫な樹木ですが、罹ってしまうと厄介な病気と害虫の防除の方法を取り上げてみました。被害にあう前に知識として病気や害虫の見分け方も憶えておくと良いでしょう。
病気
殺虫殺菌剤 GFオルトランC 420ml
新芽の葉や茎にうどん粉をまぶした様な白いカビ状の病気で「うどんこ病」を発見したら、早めに防除が必要です。ベニカA、オルトランCなどスプレー式の殺菌剤が有効です。また、柑橘類に多く見られるのですが、「白紋羽病(シロモンパビョウ)」がまれに発生する時があります。これが発生すると樹木全体の生育が阻害され、やがて枯死します。苗を植えつける時に根元をベンレート水和剤などで消毒をしておくと安心です。
害虫
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葉や幹に白い点のようなものが無数についていたら「モミジワタカイガラムシ」という害虫が発生しています。カメムシの仲間で名前の通り硬いカイガラの様な殻で覆われています。樹木などに貼りつき吸汁して木を弱らせてしまう害虫です。見つけたらスプレー式殺虫剤などで噴霧し、その後、厄介ですが使い古したハブラシなどでこそぎ落としてください。定期的に良く注意して見つけることも大切です。
マテバシイの花言葉とその意味
ドングリの花言葉は、「勇気」「力」「長寿」「永遠の愛」「もてなし」です。「永遠の愛」と「もてなし」は、林間の小動物たちに食べ物として分け与えることからでしょう。そのうちマテバシイの花言葉は「長寿」。これは樹勢が強く、頑健の性質で樹齢も長いことから名付けられた花言葉でしょう。
マテバシイの実の食べ方
ドングリは縄文人たちの主食でもあったであろう貴重な食料でした。マテバシイの実は渋みの元となる他のドングリに含まれるタンニンが少ないのでアク抜きもせず美味しく食べられるため各地で植栽され、その昔飢饉時などの食料とされたようです。食べ方としてレシピも色々あるようですが、実をすり潰したり砕いたりしてクッキーに混ぜて食べたり、茹で上げて皮を剥き混ぜご飯としての食べ方レシピが一般的です。
マテバシイのレシピ
山形県の押出遺跡から出土したクッキー状炭化物、いわゆる「縄文クッキー」は良くご存知でしょう。ペースト状にした実を混ぜて作った「クッキー」や、茹で上げたドングリがそのまま入る「まぜご飯」、アルミ箔で包んでトースターで15分ほど焼くと香ばしい「焼きどんぐり」、殻を割った実をミキサーで粉砕したものをフライパンで焙煎した「ドングリ珈琲」など工夫次第でいろいろなレシピが生まれます。長崎県松浦市鷹島では、マテバシイの実を原料に「まて焼酎」として”鷹島”のブランド名で販売されています。
まとめ
マテバシイの特徴や育て方、見分け方、食べ方のレシピなどをご紹介しました。大きく育つとこんもりとした樹姿を見せるマテバシイは、環境にも強く、用途も広く実は食料ともなる実用的な樹木です。成長するとかなりの大きさとなってしまいますので、庭木としては不向きですが、盆栽仕立てで楽しむ方も多いでしょう。剪定の仕方もそれほど難しくないのですが、乾燥を嫌いますので、水やりなどは充分にきをつける様にしましょう。