ミニマリストとは
自分の部屋に必要最小限のものだけをを置き、余分なものがないという人々。その部屋はすっきりと整い生活感はありません。2010年頃から出現し始めた流行の一つで語源は「minimal 最小限の」と「ist ...行う人」で最小限主義者という意味です。 おしゃれなイメージでごく最近出てきた言葉のようですが、実はミニマリストは昔からいたんです。
ミニマリストの歴史1.紀元前から
ソクラテスが水を飲むのに手ですくえば用が足りることに気づき茶碗を割ってしまった、という話は有名です。また1917~1991年の間、経済不安定の中ソビエト連邦は継続されてきましたが、その頃の一般人の生活は物資に乏しくスーパーでは品物のないガラガラな状態でした。これを否定せず「要求は最小限に」という考えのグループが政治組織内に生まれ、それがミニマリストと呼ばれていました。
ミニマリストの歴史は古く「最小限の物で行こう」という考えは昔からありました。
ミニマリストの歴史2.ミニマリズムとは
下の画像はスタジアムの観客席です。最小限の形でたくさんのお客さんを収容できますね。
「最小限で行こう」という考えは表現の世界でもあります。1960年代アメリカで生まれたミニマリズム(最小限主義)は音楽・美術・建築などで行われ、互いに影響し合い他様々な分野に受け入れられました。芸術ではそれぞれの分野の純粋性を追求していこうというものですが、デザインやファッションなどでは装飾をできるだけなくし簡素なスタイルでいこうというものです。 余分なものを失くしていこうという考えが基本のようですね。
ミニマリストの歴史3.ミニマルアートとは
下の画像はミニマリズムの絵画として代表的な作品です。
画像はPiet Mondrian(ピエト・モンドリアン1872年~1944年)、オランダ出身の画家の作品で《黄・赤・青と黒のコンポジション》1921年 線の太さと色のバランスのみで成り立つ絵です。
視覚でのミニマリズムでシンプルな色や形のみで表現されており人間、風景、果物、など具体的なものは一切なく一見無機的な印象を受けます。現在のデザイン界でもシンプルが主流で単純にわかりやすく伝えられるのがよしとされていますね。
上の画像、apple社のデザインは「keep it simple」がモットーです。
ミニマリストの歴史4.ミニマルミュージックとは
Steve Reich(スティーブ・ライヒ1936年~)、アメリカ合衆国出身でミニマル作曲家 の作品《Electric Counterpoint (エレクトリック・カウンターポイント)》
Aメロ、Bメロ、サビなどもちろんありません。最小限の短い旋律や一定のリズムをひたすら繰り返す中で、様々な変化を施していくという音楽。瞑想音楽、環境音楽、テクノ音楽など影響を受けている分野は多くあり普段耳にする機会も多いのではないでしょうか。
ミニマリストの歴史5.ミニマルアーキテクチャーとは
上の画像はLudwig Mies van der Rohe(ミース・ファン・デル・ローエ1886年~1969年)、ドイツ出身のモダニズム建築家の作品で《イリノイ工科大学クラウンホール》 機能性、合理性が追求され余分な装飾がありません。
20世紀初頭、建築の世界ではモダニズムという新しい運動が起こり、装飾をなくした機能的、合理的なデザインが主流となりました。鉄やコンクリートなど大量に工業生産される材料を使って直線的な形の建物が多く建てられ始めたのもこの頃からです。
ミニマリストは最小限の形で最大限の効果を
上の画像はRichard Buckminster Fuller(リチャード・バックミンスター・フラー1895年~1983年)、アメリカ合衆国出身で建築家・デザイナーの作品で《ジオデシック・ドーム》(1967年モントリオール万国博覧会アメリカ館) 細かい三角形の集合で球が作られ、耐久性、耐震性が抜群の上低予算です。
「Less is more(少ない方が豊かである)」とはドイツのモダニズム建築家、ミース・ファン・デル・ローエの言葉、「Doing more with less(少しで多くのことをすること)」 とはバックミンスター・フラーの言葉です。余分なもの(装飾他)に無駄なエネルギーを使うのではなく本質を大事にして行こうという意味です。
ミニマリストはただむやみに物をなくしている訳ではなさそうですね。
ミニマリストの考え
ミニマリストはミニマリズムの考え方から最小限の持ち物で豊かにくらそう、という人達。無駄なものを捨てればそれだけ部屋も広くなるし掃除も楽になりますよね。品物の管理という手間も省けて自由な時間も増えます。 自分の時間も増え、広い空間も出来れば新しいことにチャレンジできます。
ミニマリストの部屋での生活
ミニマリストは物に縛られない自由な人々です。
ミニマリストは大量消費時代に出現した新しい生活スタイル
戦後の高度成長を受け継いだ大量消費時代は今も続いています。特に百斤が出現してからはさらに加速している状態。欲しいものはなんでも安く手に入るのですから。その大量消費に疑問を持ちよいものだけを厳選して所有しようというのが多くのミニマリストの考えです。 ミニマリストの成り立ちや考え方はなんとなく解りましたよね。では実際どんな人たちでどんな生活なのでしょうか?
ミニマリストはワンルームでの一人暮らしに多い
上の画像はワンルームで一人暮らしの男性の部屋です。趣味の自転車関係の物で部屋がすっきりとまとまっています。このスタイルを貫けるのは男性も女性も一人暮らしでないと難しいようです。家族と同居していると自分だけのいいようには出来ないし、生活空間を完全に自分だけのものにはできませんからね。
上の画像は女性のミニマリストのワンルームの部屋です。シンプルな花瓶に季節の花、温かみのある木のテーブル、丸くてコロンとしたかわいいクッション、シンプルで機能性のある家具を選んでいるという面では男女共通でも女性らしさは自然と表れますね。 好きな家具を選べるのも一人暮らしならではですね。
ワンルームの一人暮らしは収納が大事
ワンルームタイプの部屋では生活のための空間が狭いため、どうしても収納を工夫する必要があります。ミニマリストはワンルームのインテリア(室内装飾品)を考える前に収納で物をすっきり片付けることをしています。 収納用品自体をできるだけ置かないために、ワンルームの部屋そのものを利用した壁収納は大変おすすめです。
狭いワンルームでは部屋の隅も収納のために使います。上の画像、コーナーシェルフは部屋の雰囲気も壊さずデッドスペースをうまく利用できますね。小さいながらもいい仕事をします。
上の画像、洗濯機の上のスペースを使った壁収納です。そういえば洗濯機の上って空いててもったいないですよね。 壁に吊るすタイプも壁収納の一つで大変便利ですが、大量に吊るすとごちゃごちゃしてすっきりした印象とは程遠くなるので注意が必要です。
上の画像のおひなさまが置かれている棚、実は壁かけなんです。壁掛けを床に置いたらしっくりきて、そのままかざり棚になりました。壁収納は機能も見た目もよいため、結果的によいインテリアにもなります。
ミニマリストは洋服も最小限
ミニマリストは一時期買い物をし尽くして物の良し悪しを良く知ったおしゃれな方が多いですね。自分の必要最小限をよく理解した上で選び抜いた品物はその人に長く愛用されています。数着のシンプルな洋服をおしゃれに着こなせるのは女性も男性も素敵ですね。
ミニマリストの部屋の特徴
実際にミニマリストの部屋を見てみましょう。一人暮らしのワンルームの部屋といってもそれぞれ好みもあり個性的で様々ですが特徴を3つに分類してみました。
部屋タイプ1.ほんとに何もないタイプ 男性の場合
上の画像、男性一人暮らしのワンルームの部屋です。一人暮らしで必要と言われる冷蔵庫、洗濯機、掃除機、布団類はありません。食事は外食、洗濯は手洗いとコインランドリー、掃除はほうきですみます。布団、ベッドはなく寝袋で寝るので災害時も使え、収納場所もとりません。他あるのはパソコン用机とラックだけ。ワンルームの部屋には家具、インテリアはいっさいなく、いさぎよくて気持ちいいです。 このタイプの男性はただ家事が面倒で家電類を置かないだけかもしれませんがミニマリストの一つの形といえるでしょう。
部屋タイプ1.ほんとに何もないタイプ 女性の場合
上の画像は女性のワンルームでの一人暮らしの様子です。家具、インテリアはバラの花瓶以外にはありませんが、床のローズピンクの色とバラの花の色がマッチして女性らしい雰囲気がでていますね。ごちゃごちゃと物が広げられていますがこれも何もない部屋だからこそできることです。ちらかしても簡単にかたずけられるのもミニマリストの部屋のいいところですね。
部屋タイプ2.必要最小限のタイプ 男性の場合
上の画像、男性のワンルーム一人暮らしの部屋です。何もないようで洗濯機や物干し、少数の調理用品、ふとんはちゃんとあり男性でもきちんと家事をこなす生活がわかります。インテリアはありませんが壁とふとん、洗濯機、台所用品の白色が統一されすっきりとした印象です。机は折りたたみを必要に応じて出せばいつもは必要ありません。出窓も家具の一つと考え、机にしたり収納に使ったりインテリアを置いたり、いろいろ利用できそうですね。 住人の方もこざっぱりとしたおしゃれさんです。
部屋タイプ2.必要最小限のタイプ 女性の場合
上の画像、女性のワンルームでの一人暮らしで部屋には何もないですね。寝具のベッドは壁や床の色と調和させ、部屋全体をまとまりのあるものにしています。イーゼルは木製で温かみを持ち、絵の作品とともに生き生きとした存在感があり、愛犬といっしょの充実した生活がうかがえます。絵が中心の毎日で充実していますね。
部屋タイプ3.必要最小限+趣味の品のタイプ 男性の場合
上の画像、男性一人暮らしのワンルームの部屋です。基本の生活用品+趣味の品が置かれており、それがおしゃれなインテリアになっているので住人のこだわりの生活を想像できます。気に入ったものがあれば置くがなければ置かないという姿勢でしょう。 ほとんどミニマリストの部屋はこのタイプです。特におしゃれを意識していないけど身の回りのものすべてを厳選しているため結果的に物数の少ないシンプルですっきりした部屋にまとまります。
部屋タイプ3.必要最小限+趣味の品のタイプ 女性の場合
上の画像は女性のワンルーム、一人暮らしの部屋です。鮮やかな色のラグマット、机、トレー、ベッド、サイドテーブル、壁収納、すべての素材が木や天然素材で温かい印象をもち、特に女性らしいデザインの家具ではありませんが やさしいインテリアになっていますね。木製の家具はそれだけで落ち着きます。 こちらも特におしゃれは意識してないようですね。
部屋には厳選したものだけを置く
一人暮らしだと部屋のインテリアを自分で自由に決められるので妥協せず自分のミニマリズムを貫けます。厳選された品物は決して高価なものではなく機能とデザインが融合されたシンプルなものですね。一見質素すぎると感じられますが使い心地は抜群で長く使えば使うほどその真価を発揮します。 部屋をおしゃれにするにはカタログ通りのインテリアを揃えればいいのではなく、自分の好みを把握し一貫性をもって厳選したものを購入していけば自然に統一感が生まれ、すっきりした好印象の部屋に変わっていくでしょう。
ミニマリストになろう
一人暮らしのみなさん、試しにミニマリストになってみませんか?余分な物を処分すればそれだけですっきり整った部屋にかわり自分の時間も増え、やりたかったことも始められるのではないでしょうか?
部屋で必要最小限のものって何?
必要最小限の物といっても人それぞれです。なにが大事かはその人の生活スタイルや価値観が反映されますね。でも一人暮らしの方はほとんどが仕事を持った社会人か学生なのでみなさん時間がもっと欲しい人達でしょう。そこから必要最小限の物を考え出せそうです。
部屋に必要なものと不必要なもの
時間の欲しい者にとって嫌なものは時間を食いつぶす物でしょう。一人暮らしにとって、管理や維持に時間をとられるもの、めったに使わないものは不必要なものとして分類しましょう。本、雑誌、新聞はこまめに処分し、必要な部分はパソコンなどに取り込んでしまいましょう。 また衣類も一年間一度も着なかったものは不用品の対象ですので処分を考えてみてください。衣類が少ないとその収納用品自体も必要なくなります。また天然繊維で管理や収納に空間や手間がかかるもの、たとえばウール、カシミヤなどは思い切って手放すのも一つの方法です。 食に関してはすぐスタイルを変えるのは難しいですね。しかし長い目で見て健康、栄養面から自炊を覚えてしまうのが一番のミニマリズムでしょう。体を壊してから回復までの時間や労力はむだなエネルギーですから。
部屋の要らないものは処分しましょう
いらないと決定したものは思い切って処分しましょう。でも必要かどうかわからないものまで捨てることはありません。しばらくトランクルームに預けるなど自分から遠ざけてみて必要性を感じないならその時処分しましょう。 写真、音楽、書類、動画などはすべて小さな記憶媒体で管理できますがコピーをいくつかとり、定期的に確認してデータに問題がないか見てみましょう。記憶媒体は耐用年数もあるのでうっかり大事なデータをなくしてしまわないように。またクラウドサービスも便利ですがインターネットがつながらない場合データを取り出せないので注意が必要です。
部屋に何もない
ずいぶんすっきりしましたね。処分したものを惜しいと感じるでしょうか?これが意外ときれいさっぱり忘れるんです。その分部屋も広くなり新しい空間が生まれました。でもミニマリスト初心者としてはちょっと寂しいですね。なにか物足らない、だけどもう妥協して物を買うのはやめませんか?
こだわりの品を自分の手で
ちょっとぐらい出来が悪くてもいいんです。どこを探しても売っていないこだわりの家具を自分で作ってみませんか。おしゃれなDIY風の家具を買ってしまうのも一つですね。でも「IKEA」は自分で組み立てるタイプの家具でサイズも選べますが素材や作りが安価なので壊れやすいという難点があり、「無印良品」の家具は見える部分は無垢材ですが見えない部分は合板という商品が多いので総合的な耐久性は疑問が残ります。
忙しい一人暮らし、探し回る手間や予算を考えるとDIYした方が早いです。自分で作るといっても木製パレットやブロックを積み重ねるだけのネジいらずで完成させるというものもあり方法はさまざまです。
気に入ったものを大切に長く
気に入ったものを長く使っていくのが物を増やさないコツでしょう。長く使うにはどんな部屋の状況にも合うシンプルで丈夫なものというのが最低条件です。しかしおしゃれなミニマルデザインのインテリアを揃えても消費生活そのものを見直していかないとまたいらないものがあふれる部屋に逆戻りです。
地球環境にも優しいミニマリスト
不必要なものを買い処分しつづける生活はまだ続くでしょう。それに合わせてゴミ問題も深刻です。これを解決するためのリサイクルも今の時点では限界があるのでやはり不必要なものは買わないというのが一番です。消費者一人ひとりが生活のミニマリズムを心がけていくだけでいつか環境も変わっていくでしょう。
ミニマリストの部屋まとめ
いかがでしたか?おしゃれなミニマリストの部屋や生活をご紹介しました。環境にも優しいミニマリストですが普通の人がすぐになるのは難しそうですね。ですが本当に必要なものを選んで手に入れることの積み重ねでこだわりのミニマリストに近づいていくのではないでしょうか?シンプルで上質な部屋の暮らしは意外と簡単かもしれませんよ。
画像の周囲は住居がひしめく下町、そして三軒長屋の真ん中部分です。 環境との調和、仕様目的を追求したシンプルな形、最小限の予算、とミニマル精神がよく伝わってきますね。