栽培前の基礎知識1・落花生ってどんな野菜?
特徴
落花生は、一年草の野菜で、草丈はだいたい25~50センチです。葉は、まるくて美しいグリーン色をしています。夏になると、黄色い可愛いらしい花を咲かせます。かの有名なコロンブスが、航海する際の食料として落花生を利用していたという伝説が残っています。日本には、およそ300年前にやってきましたが、一般に広がったのはもう少しあとの明治初期と言われています。現在、落花生は、千葉県の名産として知られています。ただし、栽培数は、年々減少しているそうです。
さやの網目模様の秘密
落花生の莢(さや)の表面は、網目模様でデコボコしています。このデコボコ模様は、実に水分や栄養を送るための管なのです。落花生は、真夏の時期の直射日光を避けるべく、大切な種を守ろうと、地中に実を潜らせます。そして、土の中で育つ実に、しっかりと水分と栄養を与えるため、管が張り巡らされているというわけです。まるで人間の神経や血管のようですね。
栽培前の基礎知識2・落花生の名前の由来
落花生は、花が咲いたあと、時期がくると、子房柄と呼ばれるヒゲのような根を、地面に伸ばしてゆきます。その子房柄は、そのまま地面に刺さり、地中に潜っていきます。そして、深さが3~5センチのところで、子房柄の先端が膨らみ、鞘(さや)がつきます。この特徴を理解することが、落花生の植え方の最大のコツです。このように、地面に落下して育つ様子から、「落花生」と言う名前がつけられました。また、土の中で育つ様子から、沖縄では、落花生のことを、地豆(ジーマミー)とも呼んでいます。
栽培前の基礎知識3・落花生の栄養価
落花生の実には、ビタミンB、ビタミンE、ミネラル類、レシチン、脂質が豊富に含まれています。ビタミンEは、抗酸化作用に優れていてエイジングケアにもってこいの栄養素です。ビタミンBとともに、女性に嬉しい野菜です。また、落花生に含まれる脂質は、オレイン酸やリノール酸と呼ばれるもので、コレステロールの値をさげる役割があります。脂質と言っても、大変健康に良いタイプのものです。そのほか、食物繊維やたんぱく質も含有されていて、栄養価の高い野菜です。落花生の薄い茶色の皮には、ポリフェノールが豊富に含まれていますので、食べるときは、なるべく薄皮ごと摂ると良いでしょう。
栽培前の基礎知識3・落花生の基本データ
科名・属名
マメ科ラッカセイ属
学名
Arachis hypogaea
和名
落花生(らっかせい)
英名
Peanut
原産国
南米(アンデス地方)
栽培前の基礎知識4・茹で方と食べ方
落花生は、植え方や育て方が簡単で、しかも栄養価が高くて美味しい野菜です。食べ方も簡単で、塩ゆでするだけで、お酒のおともにもピッタリです。手を加えて、自家製ピーナッツバターやお菓子を作るのも素敵ですね。落花生のゆで方をご紹介いたします。鍋にたっぷりの水と、塩、殻のままの落花生を入れて、強火で、沸騰させます。沸騰したら、弱火にしてコトコト30分くらい茹でます。そして火を止めたら、ゆで水につけたまま、冷やして完成です。
栽培前の基礎知識5・豆知識
可愛いリースにしてみよう
「ピーナッツリース」と呼ばれるオーナメントがあります。庭先につるすと、シジュウカラなどの野鳥がやってくるそうです。ピーナッツリースの作り方は簡単。落花生の真ん中のくびれの部分に、千枚通しで穴をあけていきます。また、落花生の両端をキッチンバサミで少し切り取ります。こうすることで、鳥たちが中の実をスムーズに食べられるそうです。だいたい50個くらい作り、最後に、真ん中の穴にワイヤーを通していきます。くびれとくびれを合わせながら、バランスよく形を整えて、ワイヤーを丸いリースの形にすれば完成です。とっても可愛いですよ。
落花生を節分の豆に利用する地域もある
節分の豆まきと言うと、大豆をまくと思われがちですが、実は、落花生をまく地域もあるようです。東北地方や北海道など、おもに寒い地方でそうした風習があるのだとか。落花生は高カロリーで、栄養価が高い食材です。そのため冬の寒さが厳しい地域の人々に好まれ、節分でも利用されるようになった、という説があります。
落花生の育て方1・栽培期間
落花生は、比較的強く、栽培に、さほど手間がかかりません。初心者にも栽培しやすい、おすすめの野菜です。ただし、栽培期間が少し長く、種まきしてから収穫できるまでに、およそ半年くらいかかります。最近は、早生品種の落花生が開発されていますので、種まきしてから、なるべく早いめの時期に収穫を希望する方は、こうした早生種を選ぶとよいでしょう。
落花生の育て方2・おすすめの栽培品種
落花生の育て方3・栽培環境
落花生は、日当たりが良く、風とおしの良い場所、そして水はけの良い場所を好みます。また、生育適温は、25~28度です。
落花生の育て方4・土づくりと肥料
土づくり
落花生は、連作を嫌う植物です。畑で育てる場合には、過去2~3年、落花生を育てていない場所で栽培しましょう。畑、プランター、どちらで育てる場合も、水はけのよい土づくりを目指します。プランターで栽培する時は、小粒の赤玉土に、腐葉土とバーミキュライトをあわせて3割くらい混ぜた土を使用します。野菜用培養土を利用してもよいでしょう。畑、プランター栽培どちらの場合も、石灰を施します。
肥料
落花生は、根につく根粒菌の働きにより、空気中の窒素を取り込みます。肥料を多く与えすぎると、窒素分が多くなりすぎて、いわゆる「つるぼけ」という状態になってしまいます。葉っぱばかりが育ちすぎてしまい、逆に実があまりならなくなる状態です。植え付けの際に、ほんの少し元肥を施すくらいにとどめておきましょう。その後、花が咲き始めたころに、カリウムを多く含む肥料を、少しだけ追肥として施すとよいでしょう。
落花生の育て方5・畝たて(畑で栽培する場合)
落花生を畑で栽培する場合、石灰を施してから1週間くらい寝かせておきます。そして、高さ10センチ、幅40~50センチくらの畝を作ります。ただし、水はけが良くない場所の場合、もう少し高い畝にして、なるべく水はけの良い環境を作りましょう。
落花生の育て方6・種まきと植えつけ
種まき
落花生は、発芽しやすく、種まきで苗を作りやすい野菜です。種まきに適した時期は5~6月初め。殻から取り出した種を、薄皮のまま一昼夜水に浸しておきます。あまり長時間水煮浸けたままにしておくと、そのまま腐ってしまうことがあるので気をつけましょう。種まき用の土を入れた育苗ポットに、種をまきます。深さ1センチくらいの土の中に種を埋めて、水やりをします。直射日光を避けて管理し、発芽するのを待ちます。だいたい7~10日くらいすると発芽しますので、それまで水は与えません。発芽苗の本葉が3~4枚になったら、苗の完成です。
植えつけ
落花生の植えつけに適した時期は、5~6月。植え方のコツは、しっかりと株間をあけること。プランターで栽培する場合、株間を15~25センチ、畑で栽培する場合は30~50センチと、株間を空けて植えつけましょう。発芽して十分育った苗を用います。ポットから苗を取り出し、土を崩さないように注意するのが、もうひとつの植え方のコツです。
落花生の育て方7・水やり、中耕、土寄せ
水やり
落花生は、栽培時期により、水やりの方法が異なります。水やりの仕方が、落花生栽培成功の秘訣とも言えます。まず、苗を植えつけてしっかり根付くまでは、欠かさずに水やりを行いましょう。そして、落花生の花が咲くまでは、少ないめの水やりを行います。花が咲いたあとは、ほとんど水をやりません。表面の土がしっかり乾いたのを確認したら、少しだけ水をあげる程度でよいでしょう。
中耕
落花生の花が咲いたあと、子房柄が土の中に潜る直前のタイミングで、中耕します。潜る位置にあたる土を、ふんわりほぐしてやります。こうすることで、子房柄がすんなり土に潜れるように、手助けしてあげることができます。
土寄せ
中耕のあと、土寄せをしっかりします。落花生の出来を左右する、大切な作業です。中耕してやわらかくなった土を、落花生の株元に寄せます。そうすることで、子房柄がスムーズに土中に潜ることができます。子房柄が潜りはじめたら、傷つけてしまう可能性があるので、触りません。
落花生の育て方8・病害虫
病気
落花生は、比較的病気の少ない植物です。
害虫
落花生は、比較的害虫の少ない植物です。ただし、発芽したばかりの苗をナメクジが食べることがあります。しっかり管理しましょう。また、実がつくと、アブラムシ、ヨウトウムシ、オンブバッタ、オオハバコガ、ネコブセンチュウ、ハンスモンヨトウなどが発生することがあります。害虫を見つけたら、すぐに駆除しましょう。
落花生の育て方9・収穫と保存
収穫
落花生は、一般的に、種まきしてからだいたい5カ月で、収穫の適期になります。季節で言うと、10月初旬~中旬頃です。収穫の目安は、緑の葉っぱがすべて黄ばんで、下の方の葉っぱが枯れてきた頃です。はじめに、少しだけ試し掘り出りしてみると良いでしょう。土を軽く掘り、莢(さや)をいくつか掘って、莢に網目が入っていればオッケー。中の実が熟しています。株ごと引き抜いて収穫です。収穫の際に、莢(さや)が土の中に残っていると、そこから発芽することがあります。手で株を引き抜いたあと、シャベルなどでしっかり収穫しておくと安心です。
保存
落花生は、堀ったまま置いておくと傷みやすいので、遅くとも、収穫から1週間以内に加熱してしまいましょう。ゆで落花生にすれば、冷凍保存が可能です。また、空気が乾燥している時期であれば、自然乾燥で生のまま保存することもできます。ただし、収穫した落花生は、水に濡れると発芽してしまうことがあります。雨などに濡れない、風通しの良いところで、自然乾燥させましょう。期間はだいたい1カ月。カラカラになれば完成です。
自分で育てた落花生で、美味しいアテやスウィーツを作ろう
落花生は、比較的、病害虫に強く育てやすい野菜です。落花生は、水はけがよく乾燥気味の環境を好むので、畝たてや水やりの際に、その点に留意しましょう。また、栽培期間が6カ月くらいと、野菜のなかでも長いめなのがポイントです。植え方のちょっとしたコツをつかめば、初心者にもトライしやすい野菜です。フレッシュな落花生は、本当に美味しいですよ。シンプルに塩ゆでして、ビールのアテにすれば、手が止まりません。また、ピーナッツバターにするのもおすすめです。自分で育てた野菜を、美味しくいただくのは、家庭菜園の醍醐味ですね。
極早生タイプの落花生です。5月上旬に種をまきます。開花からおよそ70〜75日が収穫の時期です。収穫量も多く、美味しい品種です。莢(さや)の大きさは中くらいで、薄皮が薄いです。草勢は、ややおとなしいタイプです。