バイクハンド YC-126-2A フリーホイールリムーバー
ロードバイク用メンテナンススタンド
シマノ ロックリング締付け工具 TL-LR15
チェーン スプロケットリムーバー
フリーホイールリムーバー チューナーセット
スプロケットってどの部品?
リアホイールの、進行方向を向かって右側についている歯数の異なるギアを重ね合わせた形をしているものがスプロケットです。メーカーによりますが、一枚一枚独立しているギアを順にフリーにはめ込み、写真の黒いロックリングと言われるリング用の部品を締め込むことでホイールに固定します。
スプロケットの役割
スプロケットは、リアホイールのフリーに取り付けることで、様々な速度においてもペダルを回す回数をある一定の幅に収めることが出来る部品です。もちろん駆動力の伝達という役目も持っています。
これに準ずる機構でギア比を変えることができないと、どんなにきつい坂道だろうと、平地を走るときと同じペダルの重さ(ギア比)のペダルを踏み続けなくてはならなくなります。
スプロケットを交換・脱着する意味は?
スプロケットを交換する理由としては幾つかパターンを分けることができます。一つずつ見ていきましょう。
スプロケットの交換・脱着理由①:寿命
スプロケットは、長い目で見れば消耗品です。チェーンから伝わる力を受け止めたり、ギアチェンジの度にかかる力によってギアの歯は磨耗していきます。
交換時期は、ギアチェンジの頻度によって変わってくるので距離でも時間でも明確な基準時期はないのですが、おおよそ4000km前後で、一般的なチェーンの交換時期とも重なるでしょう。
スプロケットの交換・脱着理由②:ギア比変更
スプロケットは、様々な歯数のギアを組み合わせることで、様々な状況に対応できるようになっています。ギア比とは、リアのギア歯数でフロントのギア歯数を割った数字です。ギア比は、クランクを1回転した時にスプロケット(つまりはホイール)が何回転するかということを表す数字です。
計算の仕方
例えば、フロントの歯数が50Tの時、リアは25Tのギアを選択していたとします。この時、ギア比は50÷25ですから、2になります。クランクが一回転すると、ホイール(スプロケ)は二回転する計算になります。
このギア比が高いほど、少ないケイデンスでたくさんホイールが回転するので、スピードを出すことができる一方、強い力をペダルにかける必要があります。
最大/最小のギア比は部品を組み付けた時点で決まってしまうので、山に行く時であるとか、平坦しかないようなレースに出る時とでは、求める最大/最小ギア比を部品を交換することで手に入れます。その時交換される部品として、スプロケットが選ばれることが多いです。
スプロケットの交換・脱着理由③:清掃などメンテナンス
クランク・チェーンリング・チェーン・スプロケットなどといった駆動系のことをまとめてドライブトレインと呼びます。
このドライブトレインに入力される踏力を余すことなくホイールに伝えて推進力にするために、ドライブトレインから汚れはできるだけ取り除き、潤滑しておくことが大切です。
チェーンには潤滑のためにチェーンルブが塗布されているので、走行中に路面から巻き上げた微細な汚れを吸着してしまいます。
汚れによって伝動効率が落ちる
チェーンによって回転させられているスプロケットその他のドライブトレインの部品たちにも、チェーンルブと混ざり合ったその汚れは移っていくので、長い間その状態で走り続けると伝達効率が落ちてしまいます。
加えて、汚れによってスプロケットやチェーンリングのギア歯の磨耗を早め、部品の交換時期を早めてしまう原因にもなります。寿命を伸ばすためにも、清掃は時期を見てこまめに行うことをお勧めします。
スプロケットの交換・脱着理由④:変速系の交換を伴うコンポーネントの変更
例えば、リアの変速段数が変わるようなコンポーネントの部品変更を行うと、リアディレイラーやチェーン、フロントギアであるチェーンリングやコントロールレバーとの間での互換性の関係から、スプロケットのギア間にある幅が他の部品に適合しなくなることがあります。
同じ世代、同じモデルの部品で統一されている場合はこのようなことは起こりませんが、部分的に部品をアップグレードしようとすると、互換性の壁にはばまれて他の部品も交換…ということになるのは割と良くある光景です。
互換性のチェックを行おう!
ホイールについているフリーの互換性によって、一定以上のギア数が使えなかったり、逆に一定以下のギア数が使えなかったりするフリーがついているホイールもあります。互換性のチェックをしてから、コンポやホイールは買い換えることをお勧めします。
スプロケット交換に必要な工具・道具は?
スプロケットの交換に必要な工具は、スプロケットリムーバー・フリーホイールリムーバーです。フリーホイールリムーバーには、単体で機能するものと、力を加えるためにスパナやレンチが必要なものが存在します。一つずつそれぞれの工具を見ていきましょう。
単体で使用できるスプロケットリムーバー
バイクハンド YC-126-2A フリーホイールリムーバー
単体で使用できるタイプのスプロケットリムーバーです。黒い金属の部分をスプロケットのロックリング部分に合わせて差し込み、ロックリングに記載されている締込み方向と逆に力をかけることで締込みを緩めます。
ロックリングの切り欠きは、メーカーによってことなるのでスプロケットを作っているメーカーのロックリングに互換性のあるものを選びましょう。
フリーホイールリムーバー
シマノ ロックリング締付け工具 TL-LR15
単体では使用が難しいフリーホイールリムーバーです。柄が付いていないので単体ではトルクをかけることができないでしょう。単体使用できるフリーホイールリムーバーから柄を取り除いたような形です。
使用方法は単体使用できるフリーホイールリムーバーと同じようにロックリングの切り欠きに合わせて差し込み、径の合うスパナやレンチでロックリングの締込み方向とは逆方向に力をかけるのがスプロケットの外し方、その逆で装着です。
チェーン付きのスプロケットリムーバー
チェーン スプロケットリムーバー
このチェーンのついた棒がスプロケットリムーバーです。フリーホイールリムーバーによって力をかける際、フリー機構によって空転してしまうのを避けるために、スプロケットを固定する工具です。
チェーンをスプロケットのギア歯に引っ掛けて使用します。種類によってチェーンの厚さが違い、スプロケットのギア速数によって互換性が存在するので、お手持ちのスプロケットに合わせて互換性を確認しましょう。
スプロケット交換の手順・外し方編
上で紹介した二種類の工具があれば、スプロケットの着脱は可能です。まずは外し方から見ていきましょう。ここではシマノのスプロケットの外し方を参考にしましょう。まずはフレームからホイールを外します。
戻すときのことを考え、リアはトップに入れておきましょう。クイックリリースはホイールから抜き、クイックが通る穴にフリーホイールリムーバーの突起部をあてがい、ロックリングの切り欠きに合わせてはめ込みます。
図のように、スプロケットリムーバーのチェーンをスプロケットに巻きつけます。フリーホイールリムーバーを反時計回りの方向に回転させるとロックリングが緩みますが、反時計回りに力を加えると、スプロケットとともにフリーも回転してしまいます。
スプロケットリムーバーに巻きつけたチェーンで時計回りに力を加えて、スプロケットを固定し、ロックリングに力を加えましょう。
スプロケット交換の手順・装着編
スプロケットの装着は、フリーボディの切り欠きにあわせてギア歯の大きいものから順に通していきます。
ギア歯数が刻印されている側が、自転車の進行方向から見て右側(フリーボディ側)です。そちらが上になるように、歯数が多い順に入れていきます。途中、ギア間座と呼ばれる部品を挟む場所があります。
ギアと間座が一体になっているギアの次には間座が必要ないのですが、モデルによって異なるので慣れるまでは仕様書を確認しながら組み立てるのが無難だと思います。最後に、ロックリングをフリーホイールリムーバーで時計回りに締めます。この際はスプロケットリムーバーは不要です。
スプロケットの清掃方法
スプロケットを外し方を覚えたら、あとは清掃も行ってしまいましょう。あまり乗れない梅雨の時期などが清掃にはいいかもしれません。手間がかからない順に三つのおすすめ法をお教えします。
とにかく急いでいる時
外し方を覚えましたが、外しません。工具もいりません。スプレータイプのディグリーザーとウェスだけ用意します。ホイールをスプロケットを上にして寝かせます。スプロケットの汚れている部分に豪快にスプレーします。ウェスで拭きます。以上です。
ちょっと余裕がある時
外し方を紹介する記事ですが今回もスプロケットはホイールについたままやります。短冊状に切ったウェスと、ディグリーザーを用意します。ウェスをねじって、スプロケットのギアとギアの間にギリギリ入るくらいの太さに調節します。
ディグリーザーをウェスに染み込ませます。ギアとギアの間にウェスを差し込み、デンタルフロスを使う要領で汚れをこそげとります。
本気でやる時
外し方がようやく役に立つ方法です。スプロケットを外したら、分解して金属製のバットなど並べて溶剤に漬けます。汚れが落ちたら、溶剤を綺麗に水で洗い流し、水分をきちんと拭き取って組み付けます。
スプロケットの交換方法を比較すると…
先ほどの清掃方法を順番に見ていくと、一つ目はとにかく早いです。一方で、ディグリーザーを無駄に使っている感じは否めませんし、ギアとギアの間に入った汚れは取りきれません。 二つ目は、時間はそれほどかかりませんし、ギア間の汚れもしっかり取れます。
ウェスもディグリーザーも必要最低限の量で済んでいるといえるでしょう。時間的にも経済的にもおすすめです。 三つ目は、本当に気合を入れてできるときだけです。
汚れ落ちは他の追随を許しませんが、スプロケットを外す手間、バットを洗う手間、溶剤の量、と考えると、綺麗さとのバランスがあまり撮れてない気がします。おすすめは二番目ですね。バランスがいいと思います。
あると便利な工具・道具
ロードバイク用メンテナンススタンド
最低限、リアホイールが浮くタイプのスタンドがあるとスプロケット清掃後の潤滑作業などが楽になると思います。
ひっくり返したまま潤滑するという手もありますが、滴下した油がそのままフレームへ…なんてこともあるので、スタンドに立てての作業をお勧めします。クイックの形状によっては固定がうまくいかないことがあるので、互換性については確認してから購入しましょう。
チェーンキーパーです。ホイールを外した後にチェーンを黒い車輪状の溝にはめることでテンションをかけてフレームへの接触を防いでくれます。二次的な清掃作業を増やさずに済みます。
おすすめのスプロケット交換用工具
フリーホイールリムーバー チューナーセット
PWT フリーホイールリムーバー/フリーホイールチューナーセットです。値段は安いですが、必要十分な作りですし、セットになっているので便利です。片方でこの数倍する工具もありますが、スプロケットを消耗品と考えれば過度な精密さは工具に必要ないのではないでしょうか。
最後に
スプロケットの脱着や清掃について少しでも理解を深めていただけたでしょうか?清掃や交換時期については個人の乗り方によって差が出ると思うので、最適な頻度を見つけることができるといいと思います。