ノーザンパイク/分類
ノーザンパイクは、カワカマス科、カワカマス属の大型淡水魚です。○○パイクと名の付く近縁種、亜種が10種類ほどおり、2メートルと最も大きくなることで知られる北米のマスキーパイク(マスケランジ)を筆頭に、釣魚、食用魚として、古くから親しまれている魚です。サケ目に分類されることもあります。
ノーザンパイク/外国名
ノーザンパイク(Northern pike)が一般的な呼称ですが、普通は単に「パイク」と呼ばれています(ロシア語圏を除く)。パイクとは槍を意味し、とがった口や、捕食時の鋭い動きから連想されたものと思われます。
ノーザンパイク/学名
学名は「Esox lucius」。「Esox」がカワカマス属を表す学名となります。
ノーザンパイク/由来
和名は「キタカワカマス」で、字は「北川(河)梭子魚」と当てられます。スマートな体形ととがった大きな口から、日本の海水魚のカマスを連想してそう名付けられましたが、全くの別種です。
ノーザンパイク/生息地域
ヨーロッパからロシア(中央アジア)、北米にかけて広く分布します。寒帯から亜寒帯を中心とした寒い地方に多く、ノーザンの名の通り、冷たい水を好みます。
ノーザンパイク/生態・生育環境
湖沼や河川、汽水域などに生息し、止水または緩い流れを好みます。魚食性が強く、自分より大なものまで捕食するほど貪食で、 昆虫や、カエルなどの両生類はもちろん、ヘビや水鳥、ネズミなどの小型哺乳類なども積極的に襲います。 完全な淡水魚で、鮭鱒のように降海はしません。繁殖力が強いとされており、水草の中に卵を産み、一生を淡水で過ごします。 鮭鱒を捕食することから、日本では特定外来種に指定され、現在は飼育などが禁じられています。
ノーザンパイク/特徴・形態
大きなものは150センチほどになります。アヒルのくちばしのような口をしており、口腔内にはびっしりと小さな歯が並んでいることから、「舌にも歯が生えている」と表現されることがあります。 体は長く、背びれと尻びれは、尾びれに近い位置にあります。このため非常に瞬発力があり、バネが伸びるような激しい勢いで獲物を襲うことができます。 体色は周囲の環境により、グリーンから茶褐色まで変化します。体表には虫食いのような複雑な模様があります。
ノーザンパイク/釣り情報と装備について
獰猛にルアーを追うゲームフィッシュで人気が高いパイク釣り
魚やネズミなどの小型の哺乳類、アヒルなどの水鳥まで襲う獰猛な性質と、フッキングのあとの激しい抵抗が人気を博したゲームフィッシュで、ルアーや生き餌による釣りが各国で盛んです。海外の釣り宿に泊まり、ガイドを頼むのが最も確実でしょう。パイク釣りはポピュラーな釣りで、仲間とパイクを釣りに行くことを「ハイキング」にかけて「パイキング」と呼ぶ言葉もあります。
どんなルアーでも食ってくるパイクは釣り人に人気/装備
貪食な性質のため、ルアーをあまり選びません。パイク専用のルアーも海外では多く販売されていますが、ミノーやスプーン、ジグ、スピナー、ワームなどのタイプはもちろん、スピナーベイトなどにも積極的にアタックしてきます。トップでもボトムでも、動くものならすぐに反応し、日本国内で使われているバスルアーもトラウトルアーも十分に通用します。 「どんなルアーでも釣れる」と言っても過言ではありません。
あえて選ぶならルアーはスプーンとミノー/装備
どんなものでもアタックしてくるノーザンパイクですが、強いて言うならばミノータイプか、スプーンがおすすめです。ノーザンパイクは待ち伏せ型の捕食をするため、ミノーはフローティングタイプが 使いやすいです。スプーンは広範囲が狙えます。
パイク釣りのポイントと、パイクのルアーの襲い方
パイクは流木の影や水草の間に隠れ、パーチなどの獲物の通過を待ち伏せています。ルアーが通過する際に反射的に食いついてくることもありますが、段階的に忍び寄るように近寄って距離を縮め、静かに獲物を観察することもあります。 獲物を観察するパイクは、体をゆっくりとくねらせて「S」字に保持しつつ、獲物の次の動きを待ちます。獲物が動き出す瞬間を狙って、尾びれと背びれ、尻びれを一気に動かし、バネで弾いたように一気に襲いかかります。 パイクは捕食に失敗した場合もあきらめず、何度も執拗にアタックする性質があります。このため最初のフッキングが失敗してもアクションを止めず、二度目、三度目のバイトで掛けましょう。
パイク釣りのルアーアクション
パイクが静かに近づき、ルアーを観察しているとき、フローティングタイプのミノーだとアクションをやめ、竿先を小刻みに少しだけ動かしてルアーを揺すり、小さな波紋を出しましょう。これはパイクにとって非常に魅力的な信号となるようで、次に大きめのアクションを加えたとたん、反射的に食ってきます。 パイクは餌をいったんくわえてから飲み込む習性があります。合わせが遅いと、ルアーが飲み込まれてしまいます。
スプーンは遠いポイントを狙う釣りに使うルアー/装備
パイクの潜んでいそうな樹下や立ち枯れた木の回りなどのポイントが遠いとき、 スプーンの遠投で狙います。うまくいけば着水と同時にアタックしてきます。アクションはストップアンドゴーのような緩急を付けたリーリングで、巻き取るスピードはそのスプーンが最もオーバーな動きをする速さで良いでしょう。
できればルアーはバーブレスのシングルフックで釣ろう/装備
パイクは口が大きいので、合わせが遅いとルアーを丸呑みしてしまいます。ルアーはフックが大きいので、パイクの口内を傷つけてしまいます。リリースするつもりで釣っているならば、トリプルフックを返しのないシングルフックに変えましょう。
パイク釣りでワーム系のルアーを使わない理由/装備
ワームへの反応は非常に高く、特にザリガニを模したタイプのものは何度でもアタックしてくるほど、パイクの興味をそそるようです。しかしワームはパイクが食道付近まで飲み込んでしまう確率が高く、魚体を激しく傷つけてしまいます。リリースするつもりならばおすすめできません。
ランディングはネットが安全。手で取り込むならエラを持って
パイクのランディングは、ランディングネットを使うようにしましょう。パイクの歯は非常に鋭く、無数に生えています。ブラックバスのように唇に手をかけてランディングすると、大けがをして血だらけになります。革のグローブを付けても、牙が貫く危険があります。 手でランディングする場合はエラに指を入れましょう。暴れて頭を振り、かみ付くことがありますので、できるだけすぐに頭を地面に押さえつけるようにし、動きを封じましょう 。
パイク釣りのタックルは頑丈一点張りで/装備
パイクの瞬発的な遊泳力は驚くべき速さと、力を持っています。ロケットのように突っ走って逃げようとする最初の引きに耐えられず、流木の中に突っ込まれたらおしまいです。糸は切られ、ルアーが口に引っかかったパイクも死んでしまいます。ライトタックルは通用しません。 メーター級がいる場合は、強い引きに耐えるために、5000番クラスのベイトキャスティングリールと、ダブルハンドのロッド、30ポンド以上のラインといった、タフなタックルで臨みましょう。 パイクは非常に歯が鋭いので、リーダーにはワイヤを使う必要があります。日本の太刀魚釣りや石鯛釣りに使われるリーダーは質が良く、しなやかなので、遠征す るならば日本から持って行った方が無難です。
パイクの飼育は現在は禁じられている 無断の飼育は違法
日本国内では特定外来種としてパイクの飼育は禁止されていますが、かつてはパイクは観賞魚として売られていました。アクアリストが何らかの理由でパイクを自然界に放流すると、繁殖力が強いパイクは鮭鱒やアユなど在来種を脅かす存在となります。 パイクは日本国内の河川で繁殖が可能なため、定着すれば内水面漁業に大きな打撃を与える恐れがあります。しかし環境省によると今のところ、パイクは日本国内には定着していないということです。
パイクは冷水で飼育 クーラーは必需の飼育用品
パイクの飼育は水温が問題でした。冷水を好むパイクは、ヤマメやニジマスなど を飼うときと同じように、水槽を冷やす夏用の高価なクーラーが必需品でした。しかし意外と高温にも慣れ、池などで飼う場合は、水を循環させて酸素をたっぷり溶け込ませておきさえすれば、真夏でも元気に生かしておくことが可能でした。
飼育下でもすさまじい成長と食欲
パイクは人にも良くなつき、人工的な餌も喜んで食べます。成長はすこぶる早く、5センチほどのかわいらしい幼魚が、条件が良ければ1年ほどで40センチを超えるほどにまで成長します。飼育に使った餌は成長に応じてサイズを上げていき、、キビナゴ、アジ、イワシ、サバなどを与えます。体長の半分から3分の1ほどの長さの餌も、丸呑みして食べます。
ブルーギルが大好物 飼育ではありがたい餌
生き餌として手に入り やすいブルーギルやブラックバスも良い餌になります。どれも北米にパイクとともに生息している魚種なので特に好んで食べ、腹の形が変わるほど大きなものもどんどん飲み込みます。餌が十分だと、驚くべきスピードで成長します。 ノーザンパイクよりもマスケランジのほうが成長のスピードは速く、同じサイズを混泳させ、同じ餌を与えても、マスケランジの成長速度のほうが速く、あっというまにノーザンパイクを食べてしまうほどの大きさに成長してしまいます。
ブラックバスもブルーギルも飼育は禁止 飼育は許可が必要
現在はブラックバスもブルーギルも特定外来種に指定され、飼育が禁止されています。また釣り上げた池から生きたまま移動させることも禁止されています。無断で生かし たまま持ち出したり、飼育したりすると違法行為となりますので、十分に注意してください。
ノーザンパイク/味・選び方
ノーザンパイクは国内ではなかなか食べられない
ノーザンパイクは味が良く、現地では重要な食用魚として、鮭鱒と並び、様々な料理で味わわれています。しかし日本国内に食用として輸入されることはめったに無く、まず食べることはできないでしょう。
ノーザンパイク/料理・調理方法
濃厚できめ細かい白身
ノーザンパイクには川魚の臭みや、泥臭さは感じられません。身は白身でしっとりとしてきめ細かく、蒸した鯛のような食感です。味はしっかりしており、淡泊ではありません。 現地では香草などを使い、 溶かしたバターをかけながらソテーしたりする料理で食べられています。 蒸し料理にも向いていますし、フライなどもおいしい食べ方です。共食いが非常に激しいので養殖が難しく、将来的にも天然物だけが食卓に上がることでしょう。 刺し身などの生食は、いわゆるサナダムシなどの寄生虫の恐れがありますので、やめましょう。
ノーザンパイク/その他
パイク釣りはフィッシングツアーが便利。装備も現地調達がおすすめ
ノーザンパイクが釣りたいならば、ヨーロッパかロシアなどの中央アジア、北米に行くしかありません。サーモンなどと違って年中釣れますので、水面が凍結しない季節を狙って遠征しましょう。釣り宿などに泊まりながら楽しむのがベストです。 日本には海外のフィッシングツアーを扱う旅行会社があるので 、相談してみましょう。