銀木犀(ギンンモクセイ)とは
「金木犀は知ってるけど、銀木犀なんてあったの!?」と驚かれる方も少なくないのでは?知られざる魅力がたっぷり詰まった銀木犀について、特徴で分かる見分け方や育て方をご紹介します!金木犀と育て方はほぼ同じなので、覚えておけば応用できちゃいます。それぞれの花言葉や、生け垣の作り方も解説していますよ!
金木犀との違い、見分け方
金木犀(キンモクセイ)といえば、秋の初めになるとただよう香りが大人気な、オレンジ色の花を咲かせる花ですよね。対する銀木犀は、金木犀と同じモクセイ科の木です。花の色が白いという違いこそありますが、見た目は金木犀と酷似しています。
開花時期
9月の終わり~10月の初め頃に開花します。
違いが分かる特徴①銀木犀の花
銀木犀の花は、こんな感じ。金木犀とよく似ていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
違いが分かる特徴②銀木犀の葉
銀木犀は葉の縁がトゲトゲしています。金木犀の葉は細身でトゲがないので、開花前は葉を見ると見分けやすいでしょう。ただし、遠目でも分かるくらいのトゲトゲは、銀木犀ではなく「ヒイラギモクセイ」という別の植物である可能性大なので注意!
銀木犀のここに注目!
香りが良い
銀木犀は金木犀に似た、非常に良い香りを持っています。金木犀の香りはあんなにも有名なのに、銀木犀も香りがするということは認知されておらず、しかも名前すら知らない人が多いだなんて不思議なくらいです。銀木犀の花が咲き始めると、思わず「どこから香ってくるんだろう?」と甘い匂いの源を探したくなるほど。それほど魅力的で、かぐわしい香りです。
金木犀より香りが控えめ?
一般に、銀木犀の香りは金木犀よりも控えめだと言われています。でも、それは金木犀の香りがずば抜けて強いからであって、銀木犀も充分に香りが強い花の部類に入ります。庭に1本植えてあれば、花を見なくても開花が始まったと分かるくらいです。庭全体に広がる銀木犀の香りは、この上なく幸せな気分にさせてくれます。
銀木犀と金木犀、どっちを育てる?
知名度も人気も、残念ながら金木犀に劣りがちな銀木犀。「あえて銀木犀を庭に植えるメリットって何?」「香りのあるお庭造りがしたいけど、銀木犀と金木犀はどっちが育てやすいの?」なんて思いますよね。銀木犀が活躍する場面や、育てるメリットについてご紹介します。
「香り」をテーマにした庭造りに
ガーデニングでは、香りの強いお花が人気。銀木犀にも香りがあるので、一年中お花の香りがするお庭を作るなら、ぜひ植えてみたい木なんです。 金木犀と一緒に、「白い金木犀」のような感覚で導入してみましょう。画像は、金木犀と並んで開花した銀木犀です。色の違いが珍しく、「金木犀は知ってるけど、白いタイプもあるんだ」なんてご近所さんの目を引きそうですね。思わず足を止めて見入りたくなります。
管理しやすい大きさで、好きな形に整えられる
大きくなりすぎず、庭で管理しやすいサイズに留まってくれるのも特徴のひとつです。その上、自然と樹形を整えるので、剪定必須ではありません(好みに応じて丸く剪定することも可能です。しかも刈り込みに強い!)。古民家や和モダンとの相性も良好です。
実は銀木犀のほうが先輩
また、金木犀は銀木犀から派生した変種です。つまり、銀木犀のほうが先輩なんです。知名度からいくと、ちょっと意外な感じがしますよね。
銀木犀の花言葉
銀木犀の花言葉「高潔」「あなたの気をひく」
銀木犀と金木犀では、花言葉が違います。銀木犀の花言葉は「高潔」や「あなたの気をひく」です。
金木犀の花言葉「謙虚」「謙遜」
対する金木犀には、こんな花言葉が。香りは強いのに、花は小さいので、ひかえめな印象が好ましいとして付けられたそうです。花言葉から金木犀と銀木犀のどちらを育てるか決めてみるのもあり!?
銀木犀の育て方1.日当たり
日光を好む植物なので、たくさん太陽の光が当たる明るい場所に植えてあげてください。やや排気ガスに弱い傾向がありますから、道路沿いより、家の陰にならない庭の内側が適しています。ただし、あまり車が通らない場所にお住まいの場合、あまり気にする必要はありません。
銀木犀の育て方2.水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをしましょう。地面に直接植えてしまえば、定着後は地中の水を吸い上げて育ちます。なので、極端に乾燥する時以外は特に水やりしなくても平気になり、手がかかりませんよ。長期的に管理するなら、鉢植えより地植えがおすすめ!定植するなら、成木になって人の背を越したとき困らない程度のスペースを取っておいてください。
銀木犀の育て方3.植え替えるときの土、肥料
土
水はけのよい肥沃な土が適しています。苗を植えるなら、植え穴に堆肥や腐葉土をたっぷりすき込んでおきましょう。温暖地の木なので、成木は冬の移植に適していません。移植するなら夏~秋にしておきましょう。
肥料
肥料の与え方はシンプルです。春と秋に分けて2回、緩効性の肥料を毎年与えてあげましょう。春は成長と開花に向けて栄養をたくさん必要とする時期、秋は充分な開花のために肥料を与えたほうがいい時期です。肥料は毎年あげなくても、枝がすべて枯れるわけではありません。ただ、花つきが悪いのは、肥料不足ですので、ちゃんと栄養補給させてあげるべきです。例外として、肥料のあげすぎで生育が悪くなるパターンもあります。
銀木犀の育て方4.剪定
剪定は時期が大切
剪定とは、不要な枝を切って必要な枝の生育を促す作業のこと。必要な枝にしっかり日光や栄養が行き渡るようになるので、美しい見た目にできます。剪定をするなら、まず時期をはずさないことが肝心。4月~は木が花を咲かせる準備をしている時期ですから、ここで剪定をすることは、すでに花を咲かせようとしていた枝を切ってしまうことになります。するとその年の秋(開花時期)は、逆に花つきが悪くなってしまいますから、剪定をするなら花が終わってから~冬の間にしましょう。
剪定すべき枝
生育が充分でない枝、短くて枯れかけている枝、ほかの枝を遮るようにクロスしてしまっている枝は優先的に剪定します。また、全体をヘッジトリマーで丸く刈り込むのも人気です。モクセイ科の植物は新しい芽を出す力に優れています。なので、強めの剪定が可能なんです。
銀木犀の育て方5.好む気候、適した地域
どちらかといえば温かい地域向きです。東北地方以南で育てるのが理想でしょう。冬の北風は得意ではないので注意してください。
銀木犀の育て方6.害虫
風通しが悪いと発生しやすくなります。ハダニやカイガラムシが銀木犀につくおもな害虫です。発生しやすいのは5月~9月なので、冬に前もって石灰硫黄合剤をまいておくと良いでしょう。春以降はスミチオン乳剤の1000倍液を散布します。
銀木犀の育て方7.増やし方は?
挿し木で増やせます。時期は生育が活発な、6月~7月頃が良いです。その年に生えてきた若い枝を15㎝ほど切って、2時間くらい切り口から吸水させます。ジャムの空き瓶や花瓶に挿しておくだけでOKです。その後は用土に切り口をさし、根が生えてきたら成功です。
銀木犀の生け垣
剪定して好きな形に整えられる銀木犀。自然の植物でおうちを囲う「生け垣」作りも可能なんですよ。まずは骨組みを立て、それに沿うように苗を植えていきます。
骨組みの作り方
1.まずは生け垣を作りたいところに、骨組みを設置します。碁盤の目のように、30㎝×30cmで組んでいきましょう。結び目にはシュロ縄を使います。まず横の柱を組み、続いて縦の柱が上から見たとき交互に来るよう、奥、手前、奥……と設置していきます。 2.横の柱は長くしすぎるとたわみ、劣化が早まります。数メートル単位で、碁盤の目を仕切りなおしてください。 3.シュロ縄の結び方は、×印です。
骨組みの完成後
骨組みができたら、苗を植え、最初は剪定せずに育てます。2年か3年が経ったところで、骨組みに沿うよう人の手を加えていってください。生け垣を自分で管理するなら、断然「ヘッジトリマー」の購入がおすすめですよ。
ヘッジトリマーを買う?買わない?
剪定の基本的な道具、「剪定ばさみ」で枝を1本1本切っていく手もありますが、ずっと時間がかかってしまいます。それに、キッチリなだらかに長さを切りそろえるのは困難です。ヘッジトリマーがあれば、短時間でバッサリと均一に刈り込めます。いわば、庭木のバリカンです。
選ぶポイント
ヘッジトリマー購入の際は、作業中に疲れてしまわない重さかどうか、1度に稼働させられる時間はどれくらいか、刃の長さは刈りたいスペースに合っているか(刃が短い物ほど細かい作業向きです。刃が長いものは時間短縮に向いています)といったポイントに着目して商品を見ましょう。また、コードレスのものと、コードつきのものがあるのも特徴。コードまで作業中に切ってしまわないよう、気をつけてくださいね。
銀木犀の香りをもっと楽しむには
モクセイ科の金木犀と銀木犀は、なんといっても香りが大きな魅力!でも、「金木犀の香り」があるオイルや香水って、なかなか見かけませんよね。もしそんな商品があれば、買いたくなるのに……なんて思いませんか?実は、金木犀も銀木犀も、香りを抽出するのが難しいお花なんです。「金木犀のジャム」のような製品が売られていますし、自作もできるのですが、やはり咲き立ての香りをそのまま閉じ込めて長期保存するのは困難。香水やアロマオイル作りに関しても同様で、なかなか上手くいきません。
枝を飾って楽しむ
銀木犀の香りをできるだけ楽しむなら、枝を切ってきて、和風な花瓶に入れながら楽しむと良いでしょう。室内でもその香りを楽しむことができます。ただし!金木犀・銀木犀ともに、花もちは決してよくありません。翌日には花を落としてしまうものと思いましょう。香りも咲き始めが一番強く、徐々にほとんど香らなくなってしまいます。
儚いからこそ人気
特徴的な香りが素晴らしいのに、花の季節しかその香りを嗅げない金木犀・銀木犀。でも、だからこそ珍しくて、多くの人がこの香りを好むのかもしれませんね。しかも開花時期が短く、桜のように早々と散ってしまうのも残念なところです。強い風が吹いてしまうと、アスファルトの上にばらばらと小さな花が落ちていきます。そんな儚さが、日本人の心を掴んでやまないのでしょう。
銀木犀の香りをご自宅で!
金木犀との違いを見極めやすい特徴的な箇所や、育て方、もっと楽しむポイントについてご紹介してきました。銀木犀の魅力、お分かりいただけましたか?ぜひお庭に植えて、香りを毎年楽しんでくださいね!白い花は清楚で、飾らない美しさがありますよ。栽培は難しくありません。初心者さんも積極的にチャレンジしてみてください!