オンス(oz)とは
オンスは英語表記「ounce」、記号で表すと「oz」、ヤード・ポンド法の質量の単位です。液体の体積や力の大きさを表す単位としても用いられています。ヤード・ポンド法とは、米国を中心に使用されている単位系で、世界の国では米国以外に用いている国はミャンマーとリベリアのみです。
日本でオンスで計量証明、つまり「これだけの質量がある」という取引上の証明は認められていません。
オンス(oz)は大英帝国と関係あり
米国で用いられるオンスですが、使い始められたのは近世の英国であった大英帝国のようです。
オンス(oz)を使う国の歴史
米国は大英帝国から戦争で独立を勝ち取りましたが、オンスを含めたヤード・ポンド法の単位系がそのまま残っている唯一の国になりつつあります。前述のミャンマーはかって大英帝国の統治下にありましたし、リベリアは米国から解放された黒人奴隷が建国した国という点も関係しているでしょう。
グラム(g)とは
グラムは英語表記「gram」、記号で表すと「g」、メートル法の質量の単位です。メートル法は、18世紀末のフランスで、世界共通で使用できる単位制度の確立も目指して制定された単位系で、今では国際標準となっています。
グラム(g)は国際標準!で英米は?
米国は頑なにオンスをはじめとするヤード・ポンド法を国内取引、国際取引でも使っていますが、英国は米国より少し柔軟に国内取引でヤード・ポンド法、国際取引でメートル法を用いる使い分けをしています。
グラム(g)で重さ表記のメリット
グラムは1gが10個で10g、10gが10個で100g、100gが10個で1000g=1kgと10進法による単位系となっているのが特徴。手の指の数が10本あるように10進法は私たちが感覚的に受け入れやすい部分が多くあります。
グラム(g)導入以前の日本の単位系
日本では大正まで尺貫法(又は尺斤法)が用いられ、重さ系では貫、または斤が用いられていました。斤は中国で使われていた重さの単位で、貫は日本独自の重さの単位と言われています。現在でもパン屋さんではパンの重さを表すのに斤を用いている場合があるのは、その名残ですね。
グラム(g)に日本人は馴染めたか
グラムをはじめとするメートル法が日本に導入されたのは大正の頃ですが、鎖国をしていた江戸時代を含め、生活に深く根付いた尺貫法をメートル法に変更するのは、かなり抵抗があったようです。実質的に根付いたのは第二次世界大戦後の昭和26年以降と言われています。
オンス(oz)とグラム(g)の違いは?
オンスとグラム、重さを表す基準として様々違いがあることはわかりました。具体的には次の違いがあります。
・違い①:オンスは英国発祥、グラムは仏発祥 ・違い②:オンスを使う国は米国他少数でマイナー、グラムは世界標準で殆どの国が導入 ・違い③:日本でオンスは公式の重さの証明書に使えないが、グラムは公式の重さの証明書に使えることが法律に明記されている
日本でマイナーなオンス表記。釣具屋さんの商品表記に多いのは、その商品が米国の釣り文化と深い関係があるからかも知れません。
オンス(oz)とグラム(g)の換算方法
オンスとグラムの換算について、1オンスは28.3495gなので、「1オンスは28g」と覚えておけば十分でしょう。ルアー、特に米国が本場であるバスフィッシングはハードルアー、ワームとも重量はオンス表記が多いです。分数の形で表記されているのでグラムに換算する場合、電卓があればいいのですが、よくあるサイズについて何グラムか確認してみましょう。
・3/16oz≒5g ・1/4oz≒7g ・3/8oz≒11g ・1/2oz≒14g ・5/8oz≒18g ・3/4oz≒21g ・1.5oz≒42g ・2oz≒56g ・3oz≒84g
1/4ozより下だとベイトフィネス系、1ozより上はビッグベイト系、3/8~3/4ozあたりの重さが一般によく使われるML~Mのバスロッドで扱えるサイズのルアーでしょう。
オンス(oz)の表記が多い釣り具は?
バスフィッシング関連の釣り具は、本場が米国のためかオンスの表記が目立ちます。例えば次のようなものはオンス表記が多いのではないでしょうか。 ・ワーム用シンカー ・ブラックバス用ワーム ・ブラックバス用ハードルアー、等
上記の他、ソルト用のジグヘッドなどについて、一部オンス表記されているものがあります。例えばシーバス用のジグヘッド、メバルやアジなどのライトゲーム用のジグヘッド、一部メタルジグなどにグラム表示と並記されていることがあります。普段はバスアングラーで、たまに気分転換でソルトをする人には商品を選ぶ際に、わかりやすいということがあるのかもしれません。
グラム(g)の表記が多い釣り具は?
日本では取引上の表記として、グラムやキログラムが公式に採用されていることから、釣り具の殆どはグラムの表記となっています。具体的には次のものはグラムの表記になっているでしょう。 ・ルアーロッドやエサ釣り用の竿 ・リール ・エサ ・シンカー類 ・ソルトルアー ・メタルジグ ・トラウトスプーン、等
エサ釣り用のオモリ系は以外にもグラムの表記より号数表記が多いです。号数については後述しますが、古くからオモリの単位として使われていて、年輩の方やベテランの方には号数表記のほうが直感的にわかりやすいのかもしれません。なお、上記以外に釣り具で必要なライン(道糸、ハリス)は重さより強度が重要なので、オンスやグラム以外の表記であるポンドや号数表示が使われています。
オンス(oz)、グラム(g)以外にポンド(lb)とは?
釣り具で必要なラインの表記、特にルアー関連のラインに目立つのが「ポンド(lb)」表記です。ポンドは重さを示す場合にも使われますが、ラインに表示されている場合は、ラインが耐えられる力の大きさを表す単位としてつかわれています。
ポンド(lb)の由来
ポンドはオランダ語(pond)、英語ではパウンド(pound)と表記し、質量を示す単位で記号はlb、人間が1日に消費する大麦の重さが由来です。1ポンドは約0.45kgと覚えておくといいでしょう。
ポンド(lb)には種類がある
単にポンドと言えば、常用ポンドを意味します。この他にポンドには次の種類があります。 ・トロイポンド ・薬用ポンド ・メートルポンド
ルアーのラインの表記の場合、ラインの重さではなく、ラインが破断しないで支えられる重さの意味で使われています。例えば10ポンド表記のラインは4.5kg、20ポンド表記のラインは9kgの質量にかかる重力で引っ張られると破断するという意味になります。
オンス(oz)、グラム(g)以外に号数とは?
釣り具、特にエサ釣りで使う釣り糸の太さを示す単位に号数というのがあります。号数表記は日本独自のものであり、日本で大正まで使われていた尺貫法にそのルーツがあります。
号数は釣り糸の直径を示す
尺貫法を使っていた当時、流通する釣り糸の基準の長さが5尺(1尺=30.3cm)で次のようになっていました。 ・一分の釣り糸:375gの重さを持つ ・一厘の釣り糸:37.5mgの重さを持つ ・五毛の釣り糸:18.75mgの重さを持つ
戦後、尺貫法からメートル法に計量基準が見直されたことで、上記は次のようになりました。 ・一分の釣り糸:10号に換算 ・一厘の釣り糸:1号に換算 ・五毛の釣り糸:0.5号に換算
その当時、一厘の釣り糸の直径が1号で0.165mmだったので、これを基準に号数でラインの直径を示しています。ただし2号が0.165mmの2倍、0.33mmの直径というわけではなく、0.33mmの直径は4号ということで、ちょっとわかりにくいです。号数とラインの直径の関係は、ナイロン、フロロ、PEなど種類によって違います。
号数はオモリの重さを示す
号数はオモリの重さを示す際にも用いられます。「1号は3.75g」と覚えておけば、号数に3.75を乗じることで、グラムに換算できます。例えば10号のオモリなら換算して37.5gのオモリ、20号のオモリなら換算して75gのオモリになります。
オンス(oz)は意外な所でも使われている
オンスは米国人の生活に深く関係する重さを表す単位系であるということはすでにご紹介しました。釣具以外にも米国からもたらされたジーンズなどのデニム生地といった服飾関係でも用いられていることはご存じでしょうか。
オンス(oz)でデニムを表記する
デニムとは、インディゴという藍色の染料で染めた厚手コットン品の総称で、日本ではメンズカジュアルでお馴染みのジーンズの素材などに使われています。デニムで使うオンスは1平方ヤード(0.84平方メートル)当たりのデニム生地の重さを意味しています。
ライトオンスとヘビーオンスの違い
1平方ヤード(0.84平方メートル)当たりのデニム生地の重さが軽い服飾品は「ライトオンス」。重い服飾品は「ヘビーオンス」と表記されます。重さの明確な線引きはありませんが、一般に1平方ヤード(0.84平方メートル)当たりのデニム生地の重さが10オンス以下の製品を「ライトオンス」、15オンス以上の製品を「ヘビーオンス」と表記することが多いようです。なお、オンスはあくまで重さの単位であって、生地の厚み区分ではないことに注意が必要です。
まとめ
釣具店に陳列されている商品ごとに、オンスやグラム、ポンドや号数など様々な単位系で重量などの規格が表示されていて、サイズのイメージがしにくいと感じることは以外と多いのではないでしょうか。釣具業界として統一していただくと有り難いのですが、釣りという娯楽は世界中で楽しまれており、国内は勿論、海外からも優れた商品が国境を越えてくる現在、なかなか難しいのかもしれませんね。