波板とは
波板は名前の通り波のようにうねっている屋根などに使われる建材です。少し前には金属製のものがメインで「トタン板」などと呼ばれていたので、この名前で知っているという人も多いでしょう。
最近は金属の他透明度の高いポリカーボネート製の波板や、スレート(ノンアスベスト石綿)の波板も使われています。
DIYで物置小屋などの屋根を貼るのに使えるのはどんな種類の波板なのでしょうか。波板の種類と寸法・サイズなどの規格からご紹介します。
波板の種類
波板の種類①ポリカーボネート波板
最近人気が高いのがポリカーボネート波板。通称ポリカ波板です。その透明度の高さと丈夫さでジェット機のコクピットにも使われる素材です。耐久度が高く一度施工したら長く使えるのがウケています。その丈夫さの割には価格も安くて、DIYにも使いやすい屋根材です。
波板の種類②トタン板
トタンというのは亜鉛メッキの鋼板のこと。昔から使われている金属製の波板をトタン板と呼んでいます。それほど固くなく切ったり曲げたりという加工がしやすいトタン板を波状に加工することで丈夫さをだした商品で、以前はとても人気が高い建材でした。
最近はもっと軽くて扱い安いポリカ波板にDIYのメイン屋根材の座をとって変わられています。
波板の種類③トタン角波
トタンの波板の中でも少し装飾要素が高いのが角波と呼ばれる波板です。等間隔で波打っている形ではなく凸の部分に溝が入るような形状をしています。
波板の種類④塩ビ
ポリカーボネート波板以前に透明な波板といえば塩ビ波板でした。軽くて扱いが楽なのでDIYで使われる波板といえば塩ビ波板というくらい普及していた波板です。自転車置き場や物置小屋などの屋根に使われていたのを目にしたことがある人も多いでしょう。長い間太陽の陽にさらされていると劣化して割れやすくなってしまうのが欠点です。
波板の種類⑤スレート波板
スレートとは天然では粘板岩の薄い板のことで、これを屋根材に使用したことからスレートといえば屋根材という意味合いで使われています。人口のスレート波板は石綿セメント材などセメント素材を波形に加工したものがあります。丈夫で着色も自由自在なことから、外壁、屋根材にと使用されることも多い波板のひとつです。
波板の規格と寸法
波板には施工しやすいように違う素材・種類でもサイズ・寸法が決められています。ここでは、そんな波板の規格を見ていきましょう。
波板の規格と寸法①鉄板小波
よくホームセンターなどでポリカ波板にも鉄板波板と表示されていて「これって金属なの?」「ラベルが貼り間違えているんじゃないか」と心配される人がいます。混乱してしまう名前ですが、鉄板波板とは鉄板でできている波板のことではなくて「規格の名前」と考えます。
ポリカーボネートの波板も鉄板波板という規格で作られている波板です。その中の小波は波板の頂点から頂点の間が32ミリ。このことから「32波」とも呼ばれます。幅が655ミリで重ね山は2.5山必要です。
波板の規格と寸法①-2.鉄板小波広幅
鉄板小波である32波は一般的にDIYにもプロでもよく使われる建材です。32波の中にはもう少し幅広の建材も欲しいという場面も多く、広幅も用意されています。波の間隔、高さなどは同じで幅だけが1105ミリになったものを鉄板小波広幅と呼びます。
波板の規格と寸法②鉄板大波
波板のサイズには小波の他に大波もあります。こちらは波の間隔が76ミリなので76波と呼ばれます。高さは小波の倍、幅は798ミリになります。施工する時に必要な重ね山は1.5山となります。
波板の規格と寸法③スレート小波
石綿セメントなどを加工して作られたスレートの小波は鉄板小波とサイズが大きく違うので「小波」という言葉に惑わされないようにしましょう。スレート小波のサイズは、山の間隔が63ミリ。深さは鉄板大波と同じく18ミリ。幅は720ミリで鉄板大波よりも少し狭くなります。重ね山は1.5山必要です。
波板の規格と寸法④スレート大波
波板で波の間隔が緩やかなのがスレート大波です。山の頂点から次の頂点までの距離は130ミリもあります。谷の深さも36ミリと大きな波の波板となつています。サイズは幅980ミリ重ね山は1.5となっています。
波板の価格は?
波板の規格をご紹介しましたが、その中に厚みが入っていないのにお気づきでしょうか。波板は素材によって厚みが変わってる場合が多く、規格の中に厚みは含まれていません。波板の価格は、その素材とその厚みで大きく変わってきます。基本的に丈夫な素材は価格も高くなってくる傾向があります。
一般的なサイズ3尺波板の価格と寿命
DIYで使われるホームセンターでも買える一般的な波板の価格は以下のようになります。波板のサイズ表示はメートルなどでなく「尺」になります。3尺は910ミリです。塩ビ波板500円程度、ポリカーボネート波板700円程度、トタン波板700円程度、ガルバリウム波板900円程度となります。
波板の寿命目安
波板はホームセンターなどで売られているDIY用のものは、値段と寿命がほぼ比例していきます。値段があがるとその耐久度も高いと思ってよいでしょう。その目安は先程ご紹介した一番安い塩ビ波板で1~3年の寿命、価格があがるにつれ耐久年数も多くなりこの中では一番丈夫なガルバリウム波板になると15年~25年はもつといわれています。
波板の施工(屋根)
屋根などに波板を貼る貼り方にはコツがあります。サイズのところでも重ね山というものがありましたが、波板を貼り合わせるには必ず山をいくつか重ねるというルールがあります。まずは使用サイズの出し方から波板の屋根への貼り方をご説明します。
使用サイズの出し方
たとえば3メートルの幅の屋根を作ろうとしたとき、どのくらい波板が必要なのか使用サイズを計算してから買いにいきましょう。先程規格のところで幅の他に重ね山の表記があったのはこの必要枚数計算のためです。
幅から重ね山分のサイズを引いた数が「働き幅」と呼ばれる寸法になります。この働き幅は鉄板小波では575ミリです。3000÷575で5.21。鉄板小波と書かれた波板が6枚必要ということになります。
もちろん、これは横幅なので縦の長さも考慮に入れて、貼り合わせないと足りない場合はそれに合わせて2倍、3倍という枚数が必要になります。
波板屋根の貼り方
貼り方①使用する留め具・道具類
波板を貼るには通常の釘ではなく特殊な留め具を使います。金具を打ち付ける下の素材が木材なら「傘釘」。アングルという建物の基礎鋼材に止めるなら「フックボルト」という留め具を使用します。
この他、波板をカットする糸鋸やハサミ、金具を差し込む穴をあけるキリ、傘釘を打ち込むカナヅチ。あとは用途に合わせて軍手や高所作業用の脚立などを用意しましょう。
貼り方②波板施工のコツ
波板の貼り方は、波の数で留め具を打ち込む場所を図ります。鉄板小波の場合なら通常5山ごとに打っていきます。マジックなどで5山ごとに印をつけていき、裏側から穴を開けると開けやすいです。
フックボルトの取り付け方は、ナットを緩めて穴に差し込み、そのあとナットを締めて固定します。波板を重ねた部分はこの5山の中には入れず、必ず留めるようにしましょう。
貼り方③留め具位置/基本は5山軒先は4山
留め具位置を考慮すると丈夫に仕上がります。軒先の打ち付ける間隔は他より狭めの4山ごとにすることで丈夫な作りになります。もっと少なく3山にする人もいますので、状況と自分が用意した留め具の数に合わせて調節していくとよいでしょう。軒先は止めている部分から100ミリ位内にします。あまり長く出すのはよくありません。
波板の注意点
しっかり留める
特に毎年のように台風が通過する地方では、DIYで作った小屋の屋根が飛んで隣家に被害を及ぼしてしまうことも多々あります。波板を使って屋根を張るのは簡単で良いですが、しっかりと小屋の基礎や梁に固定しましょう。台風で飛んでいって、もし人にでも当たったら大変です。
経年劣化チェック
安い塩ビの波板などは状況によっては1年ほどしか耐久がありません。しっかり留めた波板でも経年劣化によって吹き飛ばされる、穴があいて中の物が傷んでしまうということも考えられます。
時々DIYした小屋の屋根の様子をチェックして穴がないか、割れて留め具が役目をはたしていないところがないか見てみましょう。穴などがあった場合は波板を重ねて修理することも可能です。
屋根修理の仕方・波板の重ね方
屋根の波板を修理するとき、新たな波板を重ねることになります。この重ね方を間違えると小屋内部に水が入ってきてしまいます。波板を重ねるときは必ず高さが上の波板を上側に、下り側の波板を下側に重ねるようにすると重ねた部分からの水の侵入を防げます。
フックの耐久
波板の耐久は新しい素材が出てくるたびにあがってきています。しかし、その波板を留めるフックはプラスチック製など直射日光で劣化の激しい素材が使われていることも少なくありません。
強風でカーポートの屋根が飛ばされた人の中には波板にフックがついたまま飛ばされていた。原因はプラスチックの劣化によりフックが折れたことだったという場合が多いのです。
劣化チェックをするときは、波板だけでなくプラスチックフックの状態もしっかり見るようにしましょう。もし手で触ってみてボロボロと崩れるようならば留め直しをすることで耐久年数が増えることもあります。
高所作業の注意
1階部分にあるカーポートやテラスの屋根、物置の屋根などは脚立などを利用して張ることができますが、2階部分の屋根をDIYしようとすると、長い脚立が無い場合はどうしても屋根の上に登って作業しなければならないことになります。
自分の持っている道具で安全に貼り終えることができるのか、別途足場を組む必要はないかという高所作業の安全確認は事前にしっかりしておきましょう。無茶をして屋根の上で作業をして転落事故など起こしてしまっては大変です。
状況によっては自分でDIYすることは諦めてプロに依頼することも考慮に入れましょう。
まとめ
誰にも使いやすくて最近では丈夫な素材も増えてきて使いやすくなったDIY用波板。重ね山やサイズが尺表示であったりちょっと面倒な点もありましたが、それをのぞけば安い価格で手に入りやすく、何年も使えるとても良い屋根材といえるでしょう。
波板の種類や貼り方など覚えて、丈夫で綺麗、そして長持ちするDIYをして家族や友人に自慢しましょう。