検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

オイルストーン(油砥石)とは?研磨で役立つ種類の選び方や使い方を解説!

ナイフを研ぐためにはオイルストーン(油砥石)を使いますが、そのほかにも工具やエンジンのオーバーホールなどにも使われています。日本では包丁を研ぐための水砥石が一般的ですが、違いはあるのでしょうか? オイルストーン(油砥石)についての解説です。
更新: 2024年8月25日
荒石 誠
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

オイルストーン(油砥石)とは?

オイルストーン(油砥石)というのは油を含ませて使用する砥石です。日本では砥石を水に浸けてから包丁などを研ぐ水砥石が一般的ですが、アメリカなどでは油砥石が一般的です。どちらも研磨のためのものですが、オイルストーン(油砥石)は非常に固く、またアルミナを主成分として合成で作られるものなどは広く工業用などにも使われています。

オイルストーン(油砥石)と水砥石の違い

オイルストーン(油砥石)が人工的に造られるようになる前は、当然自然の石を採掘して造っていました。

日本の水砥石も今では人工のものがほとんどですが、日本の砥石は元が砂岩を利用していたので水がしみこみやすかったことと、日本では水が豊富であったため、砥石を水で濡らして使うことが一般的です。

アメリカではアーカンソーで取れる自然の石から造ったアーカンサスストーンが有名ですが、この種の石はもともと油を含有していたこともあり、研磨に際してはオイルを使うのが普通です。

つまり両者の違いは元々の石の性質と、使用する習慣の違いといえるでしょう。 ただし水砥石は一般に柔らかく、刃物を研ぐのと同時に砥石側もかなり減りやすく出来ています。対してオイルストーン(油砥石)はかなりの硬度を持っているので、金属の平面出しなどにも多く使われています。

オイルストーン(油砥石)の特徴

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

水砥石はほとんどが包丁などの刃物を研ぐために生産されていますが、水を使って研ぐのと刃物を素早く研げるけれども砥石の減りが早いので、あまり工業用などには適しません。

現在では天然石のオイルストーンはほとんど産出されなくなっており、合成のオイルストーン(油砥石)が造られています。

金属を研磨するのに油を掛けながら使用できるので、エンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブロックの合わせ面の研磨や、シリンダーブロック内部のホーニングなどにも利用されています。

油で潤滑しながら使えるので工業用途に向いており、精密な金属表面の研磨などのための様々な粒度と形状で、多くの種類が作られています。

オイルストーン(油砥石)の種類

天然のオイルストーン(油砥石)

天然の超仕上げ砥石。高品質でサイズも大きく、こういったアーカンサス砥石は入手が困難になりつつあります。

天然のオイルストーン(油砥石)といえば、アーカンサス・ストーン(アルカンとも呼ばれます)を指すくらいの代名詞ともいえる砥石です。

アーカンサス・ストーンはアメリカのアーカンソー州の西からオクラホマ州まで連なるウォシタ山地から産出するノバキュライトと呼ばれる良質の珪石(石英)から造られた砥石です。

天然資源であるため、すでにその枯渇が懸念されており、実際に大きなサイズのものは価格も高く入手も困難になってきています。


人造オイルストーン

天然に対して、人工的に作られたオイルストーンです。アルミナという物質を砥粒とし、粒の大きさで粗目から細目まであり、人造ゆえに品質や番手ごとの粒度も安定しています。また、人造ゆえに形状も自由に作れるため、工業製品加工用には様々な形状のものが作られていて、当然天然に比べると価格も安くなっています。

オイルストーンの種類:様々な形状があります

画像のように、細長いスティックタイプで、しかも断面が丸かったり三角だったりと、色々な形状のオイルストーンが販売されています。

一般的に砥石のイメージは包丁やナイフなどの刃物を研ぐためというイメージがありますが、金属加工やその仕上げのために、用途ごとに適した形状のものがたくさんあります。当然粒度や番手の違いもあるので、用途と形状、そして仕上がりのレベルに応じて選びます。

オイルストーンの番手

オイルストーンには紙やすりと同じように、その粒度の違いから、粗目から細目までたくさんの番手のものがあります。

通常粗目の番手で研いで、徐々に細目の番手で仕上げていきます。 番手は80番くらいの粗目から、 180番の中目、300番ほどの細目、 500番くらいの極細目としていますが、鏡面仕上げ直前の仕上げになる1000番などの超細目などの番手もあります。

オイルストーン(油砥石)の用途

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

オイルストーンは非常に硬く平面が出ていますから、エンジンのオーバーホールで、シリンダーヘッドとシリンダーブロックやマニフォールドの合わせ面などの凸凹などを修正するのに使われます。エンジンのシリンダー内部をボーリングした後など、周囲のバリ取りなどにも利用されます。

金属加工の現場でも、製品のバリ取りや面取り、金型の仕上げなどにも使われ、オイルストーンはオイルで潤滑しなから加工できることも、工業用として適しています。もちろん刃物を研ぐために使うのは、もっとも一般的な用途です。

オイルストーン(油砥石)の使い方


ここではオイルストーンを使った刃物の研ぎ方を解説します。 ナイフは買った時に刃が付いていますが、使っているうちに切れ味が鈍ってきます。

定期的に研ぐことで切れ味が戻りますが、正しい研ぎ方をしないとかえって刃をダメにしてしまうこともあります。正しいオイルストーンの使い方と研ぎ方を学び、愛用のナイフを永く気持ちよく使えるようにしましょう。

オイルストーンにはホーニングオイル

オイルストーンを使って研磨や研削をする時に、摩擦を減らし砥石の目詰まりを抑えるために必要な油です。オイルストーンの平面を修正する時にも使用します。

オイルストーンを使用するには潤滑のための油が必要で、これをホーニングオイルと呼びます。画像のようなものや、天然のアーカンサスストーン用の高価なオイルまで様々なものが売られています。目詰まりを防ぐ効果もあります。

ミシン油のような粘度の低いオイルを代用として使うこともできますが、CRC556や天ぷら油は使わないようにしてください。基本的にオイルストーンには鉱物油が使われています。

まず必要なオイルストーンを選びます。

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

研ごうとしている刃物の刃がどの程度のダメージなのかによって、必要な番手が違ってきます。

もしも刃こぼれをしているようなら、200番くらいの荒目の砥石から始めて、一度刃を削らないとキレイな刃に戻りませんし、刃こぼれなどがないのなら、500番よりも細目の砥石で研ぐだけで済むかもしれません。

あまり刃がひどくないのであれば、中研ぎ用に400~500番、仕上げ用に800~1000番くらいの番手を用意すると良いでしょう。

それでは研いでみましょう。

まず、オイルストーンが簡単に動かないように、できれば万力を使ったり、木の板に枠をつけるなりしてオイルストーンを固定します。オイルストーンの表面にホーニングオイルを塗って馴染ませます。

いよいよ刃を研ぐのですが、一番の注意点は刃の角度をよく確認し、同じ角度になるように刃物をオイルストーンで擦ります。刃物には両刃と片刃のものがありますが、両刃は左右を同じ回数研ぐようにすると均等に仕上がります。

研ぐ時のコツ

オイルストーンの上で刃を前後に動かして研いでいきますが、刃渡りが短いものなら、一度のストロークで刃の元から先までを一回で研ぐようにします。その時、力と角度はできるだけ一定に保ちます。

そして注意点が一つあります。ナイフなどは先に行くほどカーブがあるので、先を研ぐ時にはナイフを立てるように研ぎます。これは刃を観察すれば意味がわかると思います。 少し研いだら研ぎ具合を確認し、必要ならホーニングオイルを足します。


研ぎ方の裏ワザ

こうするとエッジの角度を確認しながら研ぐことができます。 ナイフはブローニングで、砥石はバックの純正で、どちらも私物です。

あまり書かれていませんが、刃物を固定して砥石の方を動かす研ぎ方もあります。この研ぎ方だと、角度などを見ながら正確に研ぐことができるので、形にとらわれずに試してみてください。

2000番や4000番の砥石もあるけれど

細かい目の砥石を使って、必要であれば剃刀のような鋭い切れ味の刃をつけることもできます。ですが、鋭い刃は切れ味が落ちるのも早いので、頻繁に研ぐことになりますので、自分が使う用途に合わせてどの程度の刃をつけるのか、経験で学ぶ必要があります。

オイルストーン(油砥石)の手入れ

オイルストーンはとても硬いのですが、長く使ううち、使い方によってはやはり表面に平らでない部分が出てきます。その場合には、平らな面(ガラスなどを利用すると簡単です)に耐水ペーパーを置いて、八の字を書くように表面を均します。目詰まりがあればそれもこの作業で解消します。

ですが目詰まりについては、適当にオイルを使用しているのであれば、あまり気にしなくても良いでしょう。 保管する時はジップロックなどに入れておけばいいと思います。

オイルストーン(油砥石)まとめ

刃物を研ぐには必ず必要となる砥石。その砥石でもオイルストーンについてまとめました。天然石の高価なものから安価な物までたくさんありますが、こだわりがなければ人造のメーカー品を番手で3種類くらい用意すればいいと思います。切れない刃物は余計な力がかかって危険ですし、時々は刃を研いで、気持ちの良い切れ味を楽しんでください。