流氷の天使「クリオネ」とは?
天使の顔と悪魔の顔?
クリオネは水中をふわふわと泳ぐ幻想的な姿が特徴でテレビなどで一時期人気を出した生き物です。その姿からクリオネは「流氷の天使」や「氷の妖精」などと呼ばれます。
しかし、クリオネは可愛いだけの天使だけではなく、悪魔のような一面も持ち合わせているのです! クリオネとはいったいどのような生き物なのでしょうか?
クリオネは貝の仲間?
クリオネの生物分類は簡単に言うと巻貝の一種になります。貝殻がないじゃないか?という疑問がありますが、成長すると貝殻を完全に失うのが特徴なのです! そのおかげでクリオネは透き通るようでどことなく柔らかそうな感じがするのですね!
クリオネの生態とは?
クリオネという生き物
クリオネは軟体動物門腹足綱裸殻翼足類のハダカカメガイ科、ハダカカメガイ属に分類されます。似たような仲間だとナメクジやアメフラシ、イカ、タコなどですね。体は半分以上が半透明で、一部だけ色のついている部分が内蔵になります。
体に一対である翼足を動かすことで移動をします! この移動する際の動作の羽をパタパタさせているように見えるところが愛着の湧くポイントですね!
寒いところが生息地域
日本にいるクリオネは3種類居る事が判明しています。どれも日本海がわや北海道近くと寒い海に生息しているので、ほかの地域での飼育などは難しいです。ほかの2種類については南極やオホーツク海に分布しています。
小さい体でも肉食
クリオネは小さい頃はプランクトンとして活動して、植物プランクトンなどをろ過して捕食します。大きくなると体長は1cm~3cmに成長して小型の動物を捕食する獰猛な肉食に変わります! 嗅覚によって獲物を見つけると頭部にあたる場所からバッカルコーンという6本の触手を出して獲物を捕食しに襲い掛かります!
クリオネの捕食シーン!
伸びるバッカルコーン!
クリオネが好物として食べるのはミジンウキマイマイという巻貝です。鋭い嗅覚によって海の中を浮遊しているミジンウキマイマイを見つけると頭部からバッカルコーンという6本の触手を出して襲い掛かります! 今までの可愛らしい姿とは一変して悪魔のような姿を見せるのでちょっと衝撃的ですね。
バッカルコーンで捕まえた獲物は
頭部のバッカルコーンで捕まえた獲物はそのまま囚われたまま養分を徐々に吸われていきます。生物ですので仕方のないことですが、可愛らしさとは逆の姿ですのでなんとも恐ろしく感じてしまいますね。またクリオネは肉食ですが、飢餓に非常に強いことがわかっています。
一度食事をすれば1年は食べなくても平気だとか、一生に1度しか食事をしないなど一部の生態は謎に包まれたままです!
バッカルコーンを見れたらラッキー!
クリオネが獲物を捕食するところは非常に貴重です。そもそも食事をする機会が年に1回あるかないかなので、飼育している場合を除けば近くで見れることはほぼないでしょう。テレビやネットの動画サイトなどでは貴重な捕食シーンを見ることはできますが、やはり直接見るのとは迫力が違うでしょう!
クリオネのバッカルコーンとは?
バッカルコーンは捕食用の触手
上の項目でも説明しましたが、クリオネはイカやタコの仲間でもあります。タコやイカが足を獲物に絡みつけて捕食するように、クリオネにとってはバッカルコーンが足のような存在なのです。
実は頭部のように見える場所はお腹で体に見えるような場所が頭だったりするんです! クリオネを逆さにすればイカのように見えませんか?
バッカルコーンは喜びも意味する?
話は変わりますが、有名人のしょこたんが「バッカルコーン」と言っているところを聞いたことがあるかもしれません。意味としては喜びの段階を表す表現で最上級の時にそう呼ぶのですが、バッカルコーンには実際そんな意味はありません!
しょこたんがどの様にしてそういう表現に至ったのかはわかりませんが、皆さんはバッカルコーンと聞いたらクリオネの捕食用触手を思い浮かべてくださいね!
クリオネは雌雄同体
決まるのは産卵間際
クリオネの産卵についてですが、まずクリオネにはオスメスという個体が存在しません。クリオネは産卵間近になると2匹の個体がお腹を寄せ合います。この時に2の個体が初めてオスとメスに変わります!
雌雄同体というのですが、仲間であるアメフラシなども同様にオスメスが決まっていません。天使は性別がないなどと言いますが、クリオネもそうなんですね!
産卵は意外と早い
クリオネはメスになった個体のおなかの中に卵を溜め込みます。その後、4時間ほど立つと海中にゼリー状にまとめられた卵の塊を放出するそうです。卵の数は100~1000個と大量です。卵から孵化して1年で成体になって2~3年の寿命を迎えます。
クリオネは飼育できるのか?
家庭での飼育も可能
家庭でクリオネを飼育することは可能です。近年ではネット通販などでクリオネの販売も行われているので、入手は簡単でしょう。ただしクリオネは寒い環境が必要なのと特殊な生態ですので、よく理解を深めてから飼育することにしてください! クリオネだって立派な生き物ですから、飼育するのには責任があります!
クリオネの飼育に必要なもの!
冷蔵庫
クリオネは日本海の北側や北海道付近の寒い海水に住んでいます。その為、通常の温度の水ではクリオネは飼育できません。水槽用のクーラーなどもありますが、クリオネの適正飼育温度の0℃~5℃ですのでクーラーではそこまで冷却できません。
やはり一番安定した温度を出せてどの家庭にもある冷蔵庫が最適化と思われます。もしも、家族などに嫌がられるのあれば、小型の1人用冷蔵庫などを購入してみましょう!
飼育容器(水槽やペットボトル等)
クリオネを飼育する容器にはペットボトルやビンなどが最適です。水槽もいのですが、海水を適温に保つのが難しいですし、海水の量も多くなるので大変です。入手の簡単なペットボトルやビンでしたら交換も比較的に簡単ですし、海水の量も少ないので飼育が楽になります。
また、密閉できる方が細菌の侵入なども防げるのでクリオネが長く生きることが出来ます!
海水(頻繁に交換)
クリオネは海水に生息しているので、飼育でも海水が必要です。水生生物の飼育用に海水は販売されていますので、購入しておきましょう! リッターでもかなり安いので入手は問題ないと思います。水中の酸素濃度などを保つためには一週間程度での交換がおすすめです。
またクリオネは海水中に含まれるプランクトンも一応ですが捕食しています。こまめに交換することで寿命が延びますので、きちんと交換してあげましょうね!
餌のミジンウキマイマイ(入手困難)
クリオネはミジンウキマイマイしか捕食をしません。1年で1回捕食するかしないかのクリオネですが、やはり餌というものは必要になってきます。しかし、この餌のミジンウキマイマイは非常に入手が困難です。そもそも冬季の間しか捕獲することができない上に、捕獲も難しいので市場に流通することはあまりありません。
クリオネの飼育はある意味で難しい!
長い飼育は家庭では難しい
クリオネを飼育することは入手なども簡単になったことから簡単です。ただし、クリオネの特殊な生態を家庭で再現することは難しいので、長期間の飼育はできずにクリオネは死んでしまいます。
餌の入手が困難
長い間の飼育を試みようとしてもクリオネの主食であるミジンウキマイマイの入手が困難な事が挙げられます。クリオネは海水中の動物性プランクトンとミジンウキマイマイしか捕食しないので、家庭での飼育下ではほぼ飢餓状態で生存していることになります。
プランクトンであれば捕食する可能性もあるということで、エビ類のプランクトンを与える場合もあるそうですが、効果は不明です。
クリオネを育ててみよう!
難しくても魅力的なクリオネの飼育
これまでの記事を踏まえてもクリオネの飼育がしたい!という方はクリオネを購入しましょう! クリオネの値段は1匹で千円ほどです。ちょうど良く飼育できる容器のサイズがペットボトルですので、2匹くらいがベストかと思います!
クリオネも過密すぎる環境だとストレスを感じるそうなので、150mlに1匹くらいと考えましょう。
クリオネによっての良い環境
クリオネを飼育するときは冷蔵庫で海水を0℃~5℃に保ってください。10℃以上になるとクリオネは衰弱してしまします。クリオネを観察する際も10分~15分程度で冷蔵庫に戻すようにしないと水温が上がってしまうので、衰弱の原因になります!
明るさは特段に気を付けることはありませんが、夜間は外と同じく暗くして上げるとストレスの緩和になるかもしれせん。
海水の交換
クリオネは海水に含まれる酸素を皮膚呼吸で徐々に使用していきます。また海水中に含まれる動物性プランクトンを捕食しているそうなので、ずっと取り替えないでいると死んでしまいます。海水は1週間程度で交換するようにしましょう!
海水の交換については他の水生生物と同様にいきなりすべての水を交換するのではなく、水温などに気をつけながら交換してください!
バッカルコーンを見てみたい!
非常に難しいですが、クリオネの餌であるミジンウキマイマイは冬季になると北海道付近の海で見つかります。近年はネット通販が何でも売るようになってきていて、ミジンウキマイマイも冬季限定で手に入ることがあるとの情報が出ています。
もしも、バッカルコーンを出して捕食している姿が見たい!という方は冬の時期に探してみるのも良いかもしれません!
クリオネを見に行こう!
各地の水族館で
クリオネを家庭で飼育するのは困難ですが、冬になると水族館でその姿を見ることが出来ます!
北海道や東北だけでなく関東などでも多くの水族館がクリオネを展示するので、家族や友人などと見に行ってはいかがでしょうか?
特に水族館では家庭とは飼育方法が違うので、数多くのクリオネが水槽の中にいるのを見ることが出来るでしょう!
アイスダイビングをしよう!
クリオネを見るためのダイビングツアーというのが冬のあいだに開催されています。氷の下を潜るアイスダイビングというのですが、ツアーが組まれているので気軽に参加することが出来ます! 海の中で自由に泳ぐクリオネを見ることが出来たら、それは一生ものの思い出になるでしょうね!
クリオネのバッカルコーンまとめ
可愛らしいクリオネと少々怖いバッカルコーンについてはご理解いただけましたでしょうか!
ただ可愛いと思っているクリオネがバッカルコーンを伸ばして捕食する姿は知らずにみたらトラウマになりそうですが、生物として生き残るためだと思えば多少は怖くなくなるのではないでしょうか?
飼育してる人にとっては間近で見てみたいバッカルコーンだと思いますので、是非ともミジンウキマイマイを探して見てください!