スタイロフォームとは
スタイロフォームは発泡プラスチック系といわれる種類の断熱材を差す言葉です。スタイロフォームは商品名で一般名称は「押出し発泡ポリスチレン」と呼ばれるものです。
発泡ポリスチレンといえば、発泡スチロールと呼ばれているものは一般名が「ビーズ法発泡ポリスチレン」ということをご存知でしょうか。 スタイロフォームは発泡スチロールと同じ材質の違った作り方をした断熱材ということになります。
いわば発泡スチロールの進化版といえるでしょう。
スタイロフォームと発泡スチロール
スタイロフォームは発泡スチロールの進化版ですが、アメリカではもうほとんどの発泡ポリスチレン製品がスタイロフォームという名前で呼ばれています。もちろん、日本の発泡スチロールもアメリカではスタイロフォームです。
日本ほどスタイロフォームと発泡スチロールを分けて考えていないので海外のサイトなどを見る時はそれが断熱材としてのスタイロフォームなのか、広く色々な使われ方をする発泡スチロールを差す言葉なのか前後の文で判断しないといけません。
断熱材としてのスタイロフォーム
スタイロフォームの特徴として非常に熱を伝えにくいという性質を持っています。熱の伝わり方(断熱材の効果)を測るには熱伝導率を調べるのですがスタイロフォームは熱伝導率が0.022というとても小さな値を記録しています。
熱伝導率は数字が少ないほど断熱効果が大きいので、この数字は断熱材効果の高さの証明でもあります。 ちなみにみなさんよくご存知の発泡スチロール。発泡スチロールの熱伝導率は0.040ですのでスタイロフォームは倍近い断熱効果があるといえますね。
スタイロフォームの断熱効果はとても長持ち
スタイロフォームが断熱材として優れているのは、その製造過程で注入されるガスが外気との温度差に対してクッションの役割を果たしてくれるからです。 スタイロフォームを製造・販売しているダウ化工株式会社調べによると、驚くべき事実がわかっています。
施工されてから20年経過している冷凍室に使われているスタイロフォームを採取。製造中に注入された熱伝導率の低いガスの値を調べたところ、その断熱効果は0.036とまだまだ断熱材としての効果を十分発揮しているものだったと確認できたそうです。
スタイロフォームの断熱材としての実力が非常に長持ちするということが証明されていますね。
ガスが逃げにくい
20年前のスタイロフォームに断熱効果が残っていたということは、中のガスが逃げにくいということでもあります。スタイロフォームはシロアリのエサになると言われることもありますが、最近はシロアリ対策の薬剤が混じっているスタイロフォームもあります。
大切な家を守るのには積極的に使用していきたいですが薬剤の流出が心配ですよね。 しかし、このようにガスが逃げにくいということからシロアリには効果的ですが普通に施工した状態では薬剤が外に漏れる心配も少なく安心して使うことができます。
スタイロフォームの防音効果
よくプロではなく一般の方が自宅に防音室を作りたいということで、価格が安くホームセンターなどでも手軽に買えるスタイロフォームで個室をつくっている写真などを見かけます。これって本当に防音効果があるのでしょうか?
スタイロフォームに防音効果はない?
結論から言うとスタイロフォーム単体には防音効果はありません。もちろん、発泡スチロールにも防音効果はありません。もっと中身がぎっしりつまっている素材、例えば石膏ボードの方が手軽な建材としては防音効果が高いです。
もちろん、石膏ボードでスタイロフォームをサンドして施工したとすれば立派な防音効果の高い防音室を自作することも可能でしょう。
スタイロフォーム単体には防音効果はほとんどないということは知っておかないと「せっかく作ったのに」とガッカリしてしまうことになるでしょう。
スタイロフォームの性能
ここまでのスタイロフォームの情報をまとめると、断熱材としての効果は発泡スチロールと比較して倍以上優れていて、築20年たっても十分使えるレベルの長持ちするものだった。
しかし、日曜大工で作るようなスタイロフォームの防音室には防音の効果はほとんどないので硬くて重い建材と組み合わせることが必要ということもわかりました。 ここでは、もう少し詳しくスタイロフォームの性能についてご説明していきます。
硬さ
スタイロフォームは発泡スチロールの一種ですので、中はガスが入っている空洞がたくさんありスカスカで硬さはありません。家庭用のカッターナイフでも大きめの物を使用すれば簡単にカットすることが可能です。
このスタイロフォームの硬さも施工しやすさに大きく影響しています。
厚み
先程ご紹介したスタイロフォームを作っている会社のオフィシャルサイトでは建材としてのスタイロフォームの厚みの規格も検索することができます。日本では地域や家の構造によって必要な断熱材(スタイロフォーム)の厚みが決められているのです。
一例として関東地方に建てられる一般住宅の中の木造建築の家の断熱材の厚みは薄いところで15ミリ、屋根など一番厚みが必要な部分でも170ミリのスタイロフォームが基準の規格となっています。
逆に考えると、関東なら夏は一番暑くなるような屋根の部分でも最低170ミリの厚みのスタイロフォームで断熱材効果があるとされています。
参考資料:断熱材の厚みを調べる
自分の住んでいる地域、家の構造ではどのくらいのスタイロフォームの厚みが必要なのか気になる方は、ぜひ上のリンクから調べてみてください。
重さ
スタイロフォームの重さは水の約1/30という非常に軽い建材です。
スタイロフォームにも種類があって、その重さも少しずつ差がありますが、一番軽いスタイロフォームIbという断熱材で27kg/立方メートル、一番重いスタイロフォームFGという断熱材で36kg/立方メートルとなっています。
重さと種類・その使われ方
スタイロフォームIbは先程の断熱材の厚み一覧で見ると土間等の外壁周辺の基準値15ミリの断熱材として使用されるものです。
一番重さのあるスタイロフォームFGは最高クラスの断熱材として他のスタイロフォームと比較しても細かい気泡膜(ガスの入っている部屋ひとつひとつが狭い)を持っていて厚みも40ミリ以上限定の高断熱スタイロフォームです。
この2つのスタイロフォームの間にもたくさんの種類がありますので、自分の目的にあったスタイロフォームを選ぶことができるでしょう。
スタイロフォームの使い方
残念ながらスタイロフォームだけで防音室を作ることは出来ないというお話をしましたが、実は家の建材として使用する他にスタイロフォームの面白くて便利な使い方があるのでご紹介しましょう。
温室・冷温室への使い方
安くて加工のしやすいスタイロフォームを使って簡単にスチールラックで温室や冷温室を作ることができます。用意するものは「スタイロフォーム」「スチールラック」「アルミシート」接着剤として「シリコンシーリング剤」を用意します。
扉の代わりにはビニールシートを使用しますので、とても安価に作ることができます。
作り方
スタイロフォームをスチールラックが入る大きさの箱に仕立てます。スタイロフォーム1つ1つはアルミシートでくるんで断熱効果を高めましょう。扉部分として1方向は開けておきます。
箱に仕上がったらその中にスチールラックを入れて扉代わりにビニールシートを前に垂らしておくだけです。女性でも簡単に作れる温室・冷温室ですがスタイロフォームの断熱効果は大きく少しの手間で大きな効果がある使い方ができるでしょう。
まとめ
スタイロフォームは家にあるカッターやノコギリでも簡単に加工できる硬さが便利な、軽く扱いやすいのに断熱効果が抜群の建材でした。ご紹介した温室などもガーデニングをされる方にはとても便利で使いやすいものではないでしょうか。
手頃や簡易温室が欲しいと思っていた方は、ぜひ一度チャレンジしてみてください。