ヘビイチゴとは? 食べれるの?
道端や山の中で赤い実を付けている、ヘビイチゴ。「これ、食べれるの?」なんて、誰もが1度は考えたことがあるのではないでしょうか。毒々しい見た目の蛇イチゴですが、実は食べれるんです。
しかも、「お庭であえて増やして、グラウンドカバーにしている」「リースにして飾っている」「ジャムにして食べる」なんて方もいらっしゃるんですよ!
ヘビイチゴの特徴や生えている時期、栄養成分、食べ方に意外な鑑賞方法などをご紹介します!
ヘビイチゴの特徴
春の時期に生える
バラ科キジムシロ属に分類されます。田んぼや川の脇、空き地など、春の時期の野原に生えている多年草です。ヘビイチゴを見つけたいなら、4月~6月に近所を歩いてみましょう。
その辺りの草むらに自生しています。1センチほどの赤い果実は特徴的で、よく目立ちます。見つけやすいですよ。
ヘビイチゴの花
黄色い花をつけます。大きさは1センチほど。ヘビイチゴとよく似た植物に「ヤブヘビイチゴ」がありますが、このヤブヘビイチゴは花の色・形ともにヘビイチゴとよく似ています。異なるのは大きさで、ヘビイチゴよりひとまわり大きいです。
ヘビイチゴの葉
クローバーのように3つに分かれた葉です。縁の部分がぎざぎざしており、イチゴの葉をぎゅっと小さくしたような外見が特徴的。ヘビイチゴは、葉もヤブヘビイチゴより小さいです。
ヘビイチゴの実
目立つ真っ赤な実をつけます。イチゴのように種が目立ちますが、 ・イチゴよりずっと小さい(直径1.5センチ程度) ・形が丸い ・種は触ると取れやすく、実と同じように赤い という点が、普通のイチゴとは異なっています。
そもそも普通のイチゴはその辺には自生していませんから、野原で見間違えることはまずないでしょう。
ヘビイチゴは食べれるの?
食べれる!
名前からして、ちょっと食べるのは敬遠してしまうヘビイチゴ。
でも、「食べられるのかな……」なんて好奇心を掻き立てられますよね。「ヘビイチゴには毒がある」なんてウワサもささやかれているようですが、ヘビイチゴに毒はありません。ちゃんと食べることができるんですよ。
味は?あまり美味しくはない?
そもそも味がない
でも、残念ながらヘビイチゴはあまり美味しくありません。口に運んでも、ほとんど味がしないのです。周りにブツブツと付いた種が目立ち、ジューシーさもないのが特徴。
「まずいわけではないが、とにかく味気ない」「スポンジを噛んでいるような気持ちになる」だなんて言われています。「イチゴ」の名を冠していながら、ほとんど食べられることもなく雑草として道端に放置されているのも、納得してしまいます。
ヘビイチゴの栄養成分
栄養成分はあまり期待できない
普通のイチゴには栄養成分が豊富に含まれています。たとえば、ビタミンC。これは多くの果実に含まれる栄養で、風邪予防に良いことが知られていますね。
では、ヘビイチゴの栄養成分はどうでしょうか。
好んで食べられることはまずないと言っても過言ではないヘビイチゴは、栄養成分についてもほぼ期待されていません。普通においしくて大粒なイチゴを食べた方が良さそうです。
一番有効なのは「焼酎漬け」?
ヘビイチゴの民間療法
栄養成分こそほぼ期待されていないヘビイチゴ、でも、「ヘビイチゴは焼酎漬けにして肌に塗ると良い」という民間療法があります。かゆみや肌あれに効くのだそうです。ただし飲むのは良くありません。あくまで「塗るだけ」です。
ヘビイチゴの食べ方
食べ方1
「ヘビイチゴを食べてみたい!」というチャレンジングな精神をお持ちの方は、まずはそのまま食べる「生食」で、味を確認してみてください。できれば洗ってから口に入れることをおすすめします。香りもなければ味もない、空気を噛んでいるような感覚です。
食べ方2
次は、周りにブツブツと付いている赤い種をできるだけ取り除いて食べてみましょう。ヘビイチゴを食べるとき気になってしまうのが、この種の存在です。
実が小さいのに種はたくさん付いているので、どうしても舌触りが悪くなるのです。種を落とすことで、いくらか食べやすくなるかと思います。
それでもやはり、あまり美味しいものではありません。そもそも味がしないのですから、その辺にたくさん生えていて、しかも食べられるのに、食用にされてこなかったのも納得してしまいます。
ヘビイチゴの食べ方例!ジャムにしてみよう
ヘビイチゴのジャム
食べづらい果実を美味しく頂く方法の定番といえば、ジャムへの加工です。ヘビイチゴジャムに関してのネットの声は、「そこそこ美味しい」という意見から、「美味しくない」という声まで、さまざま。やはり自分で作ってみて、実食で確かめるのが一番良さそうです。
ヘビイチゴジャムの作り方
1.まずはヘビイチゴを摘んできます。 2.ヘビイチゴを水洗いして、ざるにあげたら、鍋でじっくりコトコトと煮込みます。木べらでかきまぜながら、砂糖、レモン汁を加えていきましょう。
適宜味見して、量を調節します。 3.とろみがついたら完成です。
保存には、沸騰させたお湯で消毒殺菌した空き瓶を使います。あら熱が取れたジャムをそそぎ、しっかりと蓋をして冷蔵庫に入れましょう。
ヘビイチゴジャム作りのコツ
ヘビイチゴ自体に味はほとんどありません。なので、ヘビイチゴは実質、ジャム作りにおいて着色料くらいの役割しか果たしていません。味は砂糖とレモン汁で付けます。
砂糖ばかりだと、ただ甘いだけなので、酸味をレモン汁で加えてあげましょう。パンに塗ったり、ヨーグルトに加えたりして食べます。
ヘビイチゴをグラウンドカバーにする
お庭を覆う草のことを、「グラウンドカバー」と言います。一般に、踏まれるのに強いカモミールのような植物が用いられますが、「ヘビイチゴをグラウンドカバーにする」なんて方もいらっしゃるんですよ。
ヘビイチゴの魅力は?
「ちょっと見た目が……」なんて敬遠する方もいるので、好みは分かれるところですが、ヘビイチゴの黄色い花はなかなかに愛らしいです。
普通のイチゴをひとまわり小さくしたような葉も、なかなかキレイですよ。赤い果実はアクセントになりますね。 ヘビイチゴは雑草なので、丈夫ですし、広がりやすいです。
しかも、その辺に生えているので、タダで手に入ります。採取しても特に怒られません。
インスタグラムのようなSNSをチェックすると、以外と観賞価値のある植物として認められているような雰囲気がうかがえます。
見方を変えると、ちょっとメルヘンチックにさえ思えてくるヘビイチゴ。グラウンドカバーとして試してみるのもあり!?
他の野の花と一緒に
ヘビイチゴをお庭に植えるなら、シロツメクサのような他の野の花と一緒に植えると相性が良いです。画像のように、白とピンクの花の中にポツンと映える赤い実は、なかなか見ごたえがあります。
「なんだか気味が悪い」なんてイメージだったヘビイチゴも、神秘的で観賞価値のある植物に思えてくるかもしれません。
シロツメクサはヘビイチゴと同じように、葉が3つに分かれていて、花はポンポンと丸いのが特徴です。形の面から見てもなかなか統一感がありますね。
ヘビイチゴを育てるには
雑草ですから、ほぼ手がかかりません。根ごと取ってきた株を庭に植え付け、極端に乾燥する時だけ水を与えましょう。地面に直接植えてしまえば、基本的に雨水だけで育ちます。
ヘビイチゴ、実はこんなにキレイ!
ヘビイチゴのガーデン
ガーデンパラソルに蒼い空、そして映える赤い実……。これ、ヘビイチゴなんです。陰気なイメージが払拭されるような、真似したくなっちゃう美しいお庭ですね。
イチゴは栽培が難しいですが、ヘビイチゴなら管理が楽。しかも上向きに実をつけてくれるので、観賞しやすく、ほったらかしでも大丈夫!春の時期のガーデニングにおいて、実は心強い味方なんですよ。
ヘビイチゴのリース
「あのヘビイチゴが、こんなにステキに変身するの!?」と、驚いてしまうようなリースです。一見、ヘビイチゴではなく、ワイルドルトロベリーを使っているかのように見えますね。
どこにでも生えているヘビイチゴなら、イチゴやワイルドストロベリー、ラズベリーの代わりに使うことができます。ベリー類の愛らしい雰囲気を簡単に加えることができますね。とってもナチュラルで、美しい仕上がりです!
他の野の花と飾る
野の花を摘んできて、お部屋に飾っている女性もいらっしゃるんですよ。お散歩がてらにできて、お店で売っている生花とはまた違った素朴な可愛さがありますね。
小物と一緒に飾る
ヘビイチゴを美しい容器に生けて、かわいらしい小物と一緒に飾られている方もいらっしゃいます。ここまで来ると、「ヘビイチゴは不気味」なんてイメージ、実は間違っていたのかも?とすら思えますね。工夫次第で、いくらでもあたたかみのある雰囲気に変身させられちゃう植物なのかもしれません。
名前の由来
「ヘビイチゴ」という名前の由来には諸説あり、 ・ヘビが食べるイチゴだから ・ヘビがいそうな所に生えているから 等々、さまざまに言われています。
ヘビイチゴの増え方
ヘビイチゴは「栄養生殖」という方法で広がります。ランナーと呼ばれる茎をヒュルヒュルと伸ばし、このランナーが地面に付くことで、そこからまた新しい株ができるのです。
これは、あまおうやとちおとめといった、普通のイチゴの増え方と同じなんですよ。また、種でも増えます。
鳥がヘビイチゴを食べると、糞と一緒に種が出て、また新しい土地で芽吹きます。こうしてヘビイチゴをはじめとした、多くの植物は広がっていくのです。
まとめ
春の時期に見られるヘビイチゴ。実のところ毒はなく、食べれる果実です。ですが味がほとんどしないので、好んで食べられることもないのが現状。
子どものころ、ツツジの蜜を吸って遊んだ方は多いかと思いますが、「イチゴ」でありながらヘビイチゴはまず見向きもされません。毒々しい見た目だけでなく、味も美味しくないからなのですね。
ヘビイチゴは、工夫次第で可能性が広がる植物!
でも、「ジャムにする」「リキュールにしてみる」なんて食べ方を試されている方も、世の中にはいらっしゃいます。
グラウンドカバーとして増やす、リースにアレンジする、なんて楽しみ方もあり、工夫次第で可能性が広がっていく植物なんです。決して「残念な植物」ではないのですね。
大人になった今だからこそできる、ひと工夫したヘビイチゴの食べ方や、楽しみ方。
あなたも春の時期には野原でヘビイチゴを採取して、その味を確かめてみてはいかがでしょうか!?さらに見た目が気に入ったら、お部屋に飾ったり、庭に植えたりして、新しい楽しみ方をしてみてくださいね!