リベットで何でもガッチリ締結!
部材と部材を接合する方法として古くから使われているリベット。半永久的で高い強度の締結が手軽に行えるため、古くから航空機の外板を留めたりする方法などに用いられてきました。
そんなリベットの特徴や打ち方、その独特な締結の方法である「かしめ」のやり方についてご紹介します。
リベットとは?
ネジとは違うの?
モノとモノをつなぎ合わせる方法として、誰もがまず思い浮かべるのはボルトやナットではないでしょうか。これは軸にらせん状に切られた「ネジ」を利用して接合を行う方法です。
専用の工具で締め込むことにより強い締結力を得られますが、はずすことを想定して作られているため締結が緩むこともあり得るのが難点です。
リベットの特徴
一方のリベットは、軸の一端がフランジ状になっており、もう一方の端をかしめることによって変形させることで締結を行う構造となっています。
一度かしめたリベットははずすことを想定していないため、半永久的な強度の締結力を得られるのが特徴です。リベットもネジと同様にさまざまな規格サイズがあります。
リベットについて詳しく知ろう!
リベットの各部の名称
リベットの中でももっとも一般的なブラインドリベットを例に、リベット各部の名称について解説します。まずは穴を開けた部材の中に差し込んで、締結を行う本体となるのがリベットボディです。
この後端をかしめることによって塑性変形が起こり、部材をしっかりと留めます。リベットボディのかしめる側と逆の端には、フランジがついています。このフランジとかしめた後端が部材をはさみこむことで接合が可能になります。
そしてリベッターと呼ばれる工具でかしめの作業を行うガイドとなるシャフトがリベットボディの中に差し込まれています。
リベットの構造
接合したい部材にリベットを差し込むと、フランジの部分が引っかかってリベットボディは穴の中にとどまります。この状態で専用の工具を用いて本体の中に差し込まれたシャフトを引っ張り上げます。
するとシャフトの後端の少し太くなった頭が、リベットボディの後端を押し広げるようにして変形させます。これが「かしめ」という作業になります。
一定以上の力がかかりかしめを完了したシャフトは、リベット内に一部を残した状態で切断されて排出されます。
必要な工具
リベットを締結させるかしめ作業を行う工具がリベッターです。中でも人間の手でかしめることができるハンドリベッターは、手軽にかしめ作業が行える工具として人気です。
使用するリベットのサイズに合わせてノーズピースを取り換えることができるようになっているものが一般的です。打ち方・形状によって3つの種類に分けられます。
リベッターを寝かした状態でかしめる片手式横型と、起こした状態でかしめる片手式縦型、両手でかしめる両手式縦型とがあります。初心者には片手式横型がもっともかしめが容易ですが、縦型は狭い場所でもかしめ作業ができる利点があります。
リベットの種類
リベットといえばブラインドリベットと言っても過言ではないぐらいメジャーに使われているリベットです。
締結したい部材の片側からのみの作業でかしめることができるのが特徴で、裏側に工具が入らない状況で締結が必要な場面で多く使われています。
初心者でも簡単な打ち方で強度のある締結ができ、規格サイズも豊富なことから、DIYでも一般的に良く使用されているリベットです。
中空リベットとは、リベットの脚にあたる部分が空洞になっている軽量な構造のリベットです。かしめるにはリベットセッターという専用工具が必要で、どちらかというとDIYなどで手軽に使用することはできないリベットといえます。
ですが使用用途は意外に多く、小学生のランドセルのパーツや、文房具のバインダーの締結など、日常生活のさまざまな場面でこのリベットが大活躍しています。用途に合わせ、さまざまな形状・規格の種類のものが存在します。
樹脂でできたリベットです。樹脂の柔らかさを活かし、プラダンの接合や車のフェンダーや内装、バイクのカウリングなどいろいろな場面で使用されています。金属製のリベットと異なり、廃棄時に分別しなくても捨てられるものが多いのも利点です。
また他の金属製リベットと異なり、高い強度をもちながら取り外すことが可能な種類のものが存在するのも特徴です。専用工具がなくても締結作業が可能なものも多く、初心者でも簡単に扱えるのもDIY向きと言えます。
リベットのかしめ方法を図解入りで解説!
ハンドリベッターによるブラインドリベットの打ち方、かしめ方を6段階に分けて図解でわかりやすく解説していきます。
リベットのかしめ方法1/6:下穴あけ
まずは接合する部材に、締結するリベットの規格サイズに合わせた下穴をあけます。下穴の大きさはリベットのパッケージに記載されています。サイズがわからないときは、リベットボディより一回り大きく、フランジがかかるサイズの穴をあけます。
下穴をあけたあとは、切削で出た金属くずをきちんと取り除いておきましょう。
リベットのかしめ方法2/6:リベットをセットする
下穴にリベットをセットします。使用するリベットのサイズは、接合する部材同士の板の厚さに合わせて決定します。リベットを差し込む方向は、リベットボディを下穴に向けて差し込み、シャフトが上に飛び出すように入れます。
かしめる際に抜けてこないよう、フランジがひっかる位置までしっかりと差し込みましょう。
リベットのかしめ方法3/6:ノーズピースを交換する
リベットのカシメ作業を行う工具であるハンドリベッターには、使用するリベットのサイズに合わせて交換するノーズピースが付属しています。ノーズピースが大きすぎると、しっかりとしたかしめ作業が行えません。
一方、ノーズピースが小さすぎると、かしめた後にシャフトがうまく排出できなくなります。ノーズピースは付属の工具かレンチを使用して、しっかりと固定します。
リベットのかしめ方法4/6:リベットをかしめる
いよいよかしめ作業です。シャフトをリベッターに差し込み、ノーズピースをリベットのフランジに密着させます。
ハンドリベッターのハンドルをしっかりと握りこみます。リベットがかしめられるとシャフトが切断され、リベッターがリベットから外せます。1回でうまくかしめられないときは、ハンドルをいったん解放し、再度ハンドルを握りこみます。
シャフトがちぎれたら、ハンドリベッターを持ち上げてリベットから離します。
リベットのかしめ方法5/6:シャフトを排出する
握っていたハンドリベッターのハンドルを解放すると、シャフトがリベッターから排出されます。もしシャフトが排出されないときは、何度かハンドリベッターのハンドルを握ったり離したりすると排出されます。
リベットのかしめ方法6/6:かしめ作業の完了
以上で、ハンドリベッターによるリベットのかしめ作業は完了です。最後にかしめたリベットがしっかり締結されているかを確認します。何箇所もリベットを打ち込むときは、このかしめ作業を繰り返します。
リベットは外すことができる?
半永久的な締結方法であるリベットですが、まったく外す方法がないわけではありません。用意するのはドリルです。
このドリルをかしめられたリベットの穴の中心にあてて、ドリルを回転させます。リベットの頭を削っていくと、やがてリベットボディとフランジが外れます。フランジの外れたリベットボディは、反対側に押し込めば落とすことができます。
くれぐれも締結している部材自体を傷つけないように、慎重に削ってください。
リベットのかしめ方を知ればDIYがもっと楽しくなる!
強力に部材と部材を締結するリベットについて解説してきましたが、いかがでしたか。
しっかりかしめられたリベットを見ると、素人には手が出せない特別な接合方法に見られがちですが、意外に簡単にかしめ作業が行えることが分かっていただけたのではないでしょうか。
リベットを使いこなせるようになると、ネジとは違った強力な締結方法を手にすることができ、DIYの幅が一気に広がります。あなたもそんなリベットのかしめをマスターして、なんでもしっかりと締結してみませんか。