コーキング剤とは
「コーキング」とは、英語では「詰め物をする」や「隙間を埋める」という意味を持ちます。
みなさんが生活する空間では、主に水回りで目にすることが多いと思いますが、お風呂のタイルのつなぎ目やシンク・浴槽などと壁の隙間を埋めている白いボンドのようなものがコーキング剤です。 「じゃあシーリング材とは何が違うの?」という疑問を持たれる方も少なくないはずです。
シーリング材との違いは?
商品名 :SRシールNB50 色調 :アイボリー※他2色 NET(個装) :333ml(カートリッジ)
結論から言いますと、「コーキング剤」と「シーリング材」に特別な違いはありません。一般的には、建築業者さんや職人さんなどの個人や企業により呼び方・言い方に違いがある場合が多いですが、特に定義しているわけではないと言った会社なども少なくありません。 では、なぜ2つの呼び方があるのかと言いますと…
油性コーキングの名残
日本工業規格(JIS)によると、シーリング材と油性コーキング剤は定義づけられており、本来は油性コーキング剤以外はすべてシーリング材となります。
以前は油性コーキング剤の需要が多くあり、油性コーキング剤を使用する工事を「コーキング工事」と呼ばれていました。現在では油性コーキング剤の需要が激減しましたが、当時の名残が現在の2種類の呼び方になったとされています。
なぜ使われなくなったのか
過去に使われていた油性コーキング剤には、製品にアスベストが配合されているものが多くありました。アスベストを長期的に吸入する環境下にあると、中皮腫(ちゅうひしゅ)や肺癌(はいがん)が発生することがあると言われ、改修工事では油性コーキング剤が撤去されたり、現在の建物には使われなくなりました。
シーリング材とコーキング剤は同じ
現在ではシーリング材もコーキング剤も基本的には同じで、厳密にいうと違うということです。また、材料を「コーキング剤」と言い、作業を「シーリング工事」と言う方もいますが、どちらでも通用しますので特に悩む必要はありません。
コーキング剤の種類と特徴
コーキング剤は大まかに分類すると5種類あります。それぞれのコーキング剤は成分が違うため、用途にあった特徴・特性を理解して使用することが必要になります。また、1成分形と2成分形に分かれていたりと単に「コーキング」と言っても色々ありますので、これからご紹介したいと思います。
コーキング剤① シリコン
耐水性・耐熱性・耐候性に優れています。一般的に多く使われているのがシリコンコークです。安価で、固まってからも弾力性があり、収縮しないのが最大の特徴で、ガラス類によく接着するのもシリコンコークの特性です。
デメリットとしては・コーキング剤を塗布した周辺(目地)を汚染する・塗装ができない、などがあります。 この後ご紹介する変成シリコンコークとは違いがありますので注意が必要です。
コーキング剤② ウレタン
ウレタンコークの特徴は耐久性が高いということです。それは、硬化後ゴムのように弾力性を持ちます。ウレタンコークは資材との密着性が高いのも特徴です。耐久性はコーキング剤の中では1番あります。 デメリットとしては・紫外線に弱い・ホコリが吸着しやすいなどのため、塗装が必要になります。
コーキング剤③ アクリル
アクリルコークは水性系のため、作業のしやすさが1番の利点です。また塗装もでき、湿った場所にも使用できます。 デメリットとしては耐久性が悪く、日当たりのよい場所だと10年ほどでひび割れになると言われています。アクリルコークのリフォームでの需要はほとんどありません。
コーキング剤④ 変成シリコン
変成シリコンコークの特徴としては、塗装可能でカラーも豊富です。また、塗装をしなくても耐久性はあります。耐候性もシリコンコークより劣りますがあり、周辺の汚染性も低いのが変性シリコンコークの利点です。
デメリットとしては、・価格が高め・耐久性などはあるがシリコンコークなどに比べると低い、などがあります。 シリコンコークと間違えやすいため、「高いからいい物」と勘違いをし、購入間違いをしないように注意しましょう。
コーキング剤⑤ 油性コーキング剤
油性コーキング剤の特徴は、耐候性のある皮膜を形成します。イメージ的には木工用ボンドに一番近いかもしれません。 デメリットとしては、皮膜内部は硬化しないので、固まったと思い触ってしまうと中がブヨブヨなんてこともあります。
1成分形と2成分形
低モジュラス 高耐候性 標準塗布量 目地巾10mm深さ10mm→約8.3m/L
ホームセンターなどでよく見かける、先端が尖った筒状のタイプを一般的に「1成分形シーリング材」と言います。缶のタイプもありますが、基本的には専用容器(カートリッジ)に入っておりコーキングガンを使用するものが多いです。
混ぜ合わせる必要がないので手間がかかりません。 写真のようにペンキのような缶に入っているのが、一般的に「2成分形シーリング材」と言います。硬化剤や着色トナーを混ぜ合わせて使い、混ぜ合わせるにも専用の道具が必要になるため「1成型形シーリング材」よりも手間がかかります。
「1成分形シーリング材」=一般家庭・部分補修などの用途に、「2成分形シーリング材」=業務用用途と認識しておくとよいと思います。
コーキング剤の種類ごとの用途は?
5種類のコーキング剤をご紹介しましたが、次にそれぞれの特性に合った使用場所や使い方などをご紹介していきたいと思います。
シリコンコーキング剤の用途
シリコンコークは上からの塗装に不向きなため外壁等には使用しません。主に使用する箇所は室内で、防カビ性があるため特に洗面所・浴室などの水回りでの用途があります。一番目にするのがシリコンコークではないでしょうか。 色も白・グレー・ブラウンなど多彩なので、場所に合わせた使い方ができます。
ウレタンコーキング剤の用途
シリコンコークと違い、ウレタンコークは耐久性が高いため外壁などの塗り替え時の用途が多いです。コンクリートのひび割れなどの補修にも効果的です。 ウレタンコークは塗装が必要なため、「ノンブリードタイプ」という、塗装による汚染がしにくいものを選ぶといいでしょう。
アクリルコーキング剤の用途
アクリルコークはALCパネルへの用途があります。一般的な需要としては、壁紙などの張替えや床と壁の隙間埋めなどにはアクリルコークのような水性系のコーキング剤がおすすめです。 ALCパネルとは、主原料の珪石(けいせき)・セメント・石灰石・発泡剤のアルミ粉末を板状に成形したものです。
新幹線のホームや高層ビルなどにも使われていますが、断熱性や耐火性が強いため家の外壁などにも使われるようになりました。 ALCパネル自体は耐久性に優れていますが、アクリルコークは耐久性がないので、改修工事などの用途はありません。
変性シリコンコーキング剤の用途
変性シリコンコークは『万能型』のコーキング剤です。但し、変性シリコンコークは、シリコンコーク・ウレタンコークなどに比べると密着性・耐久性が低いので、他のコーキング剤でも良いと言うような所に使うことはあまりありません。
変性シリコンコークの主な用途は、施工後シールがむき出しになっている外壁や今後塗装をする屋外箇所などには効果的な使い方です。
油性コーキング剤の用途
油性コーキング剤は、シリコンコークと同様で塗装ができないため、塗装をする箇所への使い方は適切ではありません。現在ではあまり使われませんが、内部が数年間は軟化状態のままなので用途としては、金属の折り曲げ部分や釘打ち部分の補強といった使い方が効果的です。
コーキング剤の使い方
「コーキングしたいけど使い方がわからない」という方もいるかと思います。そこで、簡単にですがコーキングガンを使用した正しい使い方をご説明していきたいと思います。
コーキングガンの使い方
カートリッジガンとも言います。 使い方はとても簡単で、まずはカートリッジの先端を切り準備します。次にガンの手元(トリガー)の後ろのレバーを親指で押しながらガンの取っ手(ロッド棒)を引き、カートリッジをセットします。
セットしたらもう一度レバーを押しながらロッド棒を押しカートリッジの底部に当てます。後はトリガーを握るだけでコーキング剤が押し出されます。 コーキングガンの種類も色々ありますが、自宅で少しの修繕作業をする分には安価なものでも十分だと思います。
マスキングも重要
コーキングをするうえで重要なのがマスキングです。コーキング剤のはみ出しは必ずあるので、目立つ箇所の作業は特にマスキングが必要になります。
マスキングをする上での注意点は、テープのよれや貼り方が曲がってしまうと隙間からコーキング剤が漏れてしまったり、補修個所の邪魔をしてしまうので、きちんとマスキングをした方がコーキングがきれいにできます。
作業後の注意
カートリッジを使ったままの状態で置いておくと、コーキング剤が出てきてしまいます。必ずコーキングガンからカートリッジを外して保管しましょう。カートリッジの外し方は着けるときと同じ要領です。
まとめ
「コーキング剤」と「シーリング材」の違いや、種類と色々な用途をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。コーキングと言っても色々ある中で、迷われていた方のお力に少しでもなれたら嬉しいです。建物は必ず老朽化するものなので、これを機に自分でご自宅の簡単な修繕を行ってみるのもいいかもしれませんね。
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