不凍液とは
車のエンジンの冷却や家庭の暖房器具(主に床暖房)の器械の中を循環する液体が冬の凍結で壊れたり、効果がなくならないように入れる水の代わりの液体のことです。名前の通り凍らない(凍りにくい)液体という意味です。
不凍液の成分と効果
不凍液とはなんで凍りにくいのでしょうか。その成分や凍結防止効果から見ていきましょう。
不凍液の成分
不凍液の主な成分は「エチレングリコール」です。このエチレングリコールはその濃度によって凍ってしまう温度を調節できるメリットがあります。
凍結防止効果
エチレングリコールの凍結防止効果は古くから知られていて長く不凍液として使われています。しかし、エチレングリコールは金属を腐食させたりというデメリットもあることから最近では家庭用床暖房にも水道水が使われるものも出てきました。
しかし、まだまだエチレングリコール不凍液を使っている暖房機器を設置しているご家庭も多いので、量が足りなくなったり濃度が濃くなりすぎ循環しにくくなるのを防ぐために定期的に補充したり、数年後との交換が必要となってきます。
濃度
エンジンの冷却水でも暖房器具でも不凍液の濃度はとても重要です。エンジンでは濃度が高すぎるとオーバーヒートの原因に生ります。床暖房器具でも説明書に濃度について書かれているはずです。
でも、水で薄めてしまうとせっかくの不凍液の凍らないという性質がなくなって効果が期待できなくなってしまいます。不凍液の濃度はそのパフォーマンスに大きな差がうまれる大事なポイントです。
古いけどまだあるからと交換を怠ると実は濃度が高すぎて故障の原因になってしまう場合もあるのです。
不凍液の減り
不凍液は凍りませんが少しずつ量が少なくなります。不凍液の中にも水分が入っているので、それが蒸発してしまうからです。不凍液の水分量が減るとどうしても濃度が濃くなってドロドロとしてしまいがちです。
濃度が濃くなってしまうと暖房器具の中を循環する時間がかかるようになります。当然冷えた不凍液がいつまでも部屋にとどまることになってしまって暖房が暖かくない!という現象がおこってしまいます。
LLCの減りはオーバーヒートの原因
車の場合に使われる不凍液はLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれています。このLLCが循環することでエンジンを冷やしています。車の不凍液が減ってしまうと冷却がスムーズにおこなわれなくなり、オーバーヒートの原因となります。
LLCの代わり
エンジンの冷却水(LLC・不凍液)が減ったとき、水道水をバシャバシャといれる人もいます。夏場ならそれでも一時しのぎとしての冷却水の効果はあるのですが、寒い季節は水道水ではとても危険です。
クーラント液の通り道はエンジン内部にもあり、そこで凍って破裂した場合エンジンを破損させるおそれもあります。 LLCの代わりに水道水を使うのはやめて、必ず不凍液を使うようにするのが安全です。
暖房機器には不凍液が必要!
暖房機器のコスパアップは不凍液で?
家に入居したときに、床暖房がついている家なら業者さんから不凍液の余りを渡され(または余りを保管してある場所を説明され)ているはずです。
不凍液がドロドロになって流れが悪くなるとどうしても暖房のコスパが悪くなってしまいます。 最近前よりも暖かくないなと感じたら不凍液の補充・交換時期かもしれません。
暖房機器の効率が下がった
最近暖房効率が下がってきたと感じている人は、暖房機器の室外機の中を覗いてみてください。機種にもよりますが不凍液の注ぎ口から量が確認できるようになっているはずです。
注ぎ口から不凍液が見えないようなら不凍液不足の可能性が高いです。 暖房器具のマニュアルを参考に適切な量の不凍液がタンク内に入っているように補充することで暖房効率が元にもどる場合も多いです。
暖房機器の消費電力にも影響が?
不凍液が古くなって循環が悪くなると暖房効率が下がります。同じくらいに暖かくしようとするとどうしても消費電力もあがってしまいます。
床暖房を使っている家庭で不凍液を交換する前と交換した直後の電気代を数回比較してみると1日50円~80円の電気代の差が出てきました。1日にすると少ない金額ですがこれが年間になると結構な電気代の節約につながります。
内部の防錆・腐食防止にも
不凍液は凍らない液体というだけでなく、サビを防ぐ防錆剤や抗酸化剤の成分が含まれています。経年劣化で不凍液の中のこの防錆や腐食防止の効果がどんどん薄くなっていきます。
そのため、古い不凍液を使っていくと内部でサビが発生したり不凍液自体の酸化が進んでしまうことになります。 メーカーで交換時期が決められているのもこのメンテナンスの意味も含まれているのです。
不凍液の保管方法
不凍液は多くは一斗缶などの大きな容器に入って売られています。このまま室外機の注ぎ口に注ごうとすると一度にたくさん出てしまってこぼしてしまうという場合もあります。何よりとても重いので女性には大変な作業になります。
保存はペットボトルに移し替えて
石油を移し替えるようなポンプを使ってもいいですが、不凍液を買ったら大きな缶からペットボトルに移し替えると移動も使うときも楽になります。500mlのペットボトルなら、面倒な気持ちが減ってこまめに不凍液を補充しようという気持ちにもなります。
それでもあまり頻繁に補充したくないという人でも1.5Lや2Lのペットボトルに移しておいた方が保管場所にら困らずによいでしょう。
冷却水LLCの寿命
不凍液は暖房器具だけでなく、エンジンの冷却水にも使われます。車を使用している人ならこちらの方がよく耳にする冷却水なのではないでしょうか。LLCとはロングライフクーラントの頭文字で、長寿命クーラントという意味です。
エンジンの冷却水用の不凍液の寿命は2~4年といわれています。車検のときに入れておきましょうといわれることも多いですが、車検で入れていないという人は寿命を目安に自分で補充するようにしましょう。
不凍液の交換時期
毎年の補充交換
暖房器具の不凍液は使用しているうちに少しずつ水分が蒸発して量が減っていくというお話をしました。その足りなくなった分は補充してあげる必要があります。
こまめに補充して必要量を満たしてあげるのが理想的ですが、少なくとも冬の暖房シーズン前には必ず不凍液の補充をおこなうようにしましょう。 暖房効率も良くなり、電気代も節約できます。
数年ごとの補充交換
毎年不凍液を補充していても、どんどん水分は蒸発していくので濃度が濃くなるのは止めることができません。濃度があがってしまうとどうしても補充だけでは効果が出にくくなってしまいます。
暖房器具のマニュアルを見ると不凍液の交換時期が書かれています。
2~3年に1度の交換を推奨されているもの、10年に一度と書かれているもの色々です。10年ごとと書かれていてもできるだけ早めに不凍液の交換をした方がよいでしょう。
不凍液交換は個人でできるの?
不凍液の補充は簡単にプロでなくてもおこなうことができます。ただ、必要な量まで不凍液を足すだけです。しかし、不凍液に使われるエチレングリコールは有毒な液体でその処分方法にも決まりがあります。
一般家庭の奥さんや旦那さんが自分で交換、不凍液の廃棄をするのは難しいです。不凍液交換は暖房器具のメーカーや施工してくれた工務店に相談して、しかるべき業者にお願いしましょう。
まとめ
車のエンジンの冷却水、家庭用暖房器具に使われている不凍液。その成分や効果、補充や交換についてお話してきました。いかがでしたでしょうか。 補充することで電気代が節約できるというのは嬉しい情報ですね。
ぜひこまめな不凍液の量チェックをして補充して節約していきましょう。また、何年も不凍液を交換していないという人はぜひ交換も業者に相談してみてはいかがでしょうか。
今までよりもずっと暖房効率がアップして快適にすごせるのではないでしょうか。