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ブルーシートは工夫次第で万能のタープとなる!
地震の被災地で大いに活躍したブルーシート
2016年4月に熊本を襲った熊本地震は、最大震度7の揺れが連続して2度も発生した、過去に経験のない地震でした。1度目の前震で耐震性を失った家屋は2度目の本震で倒壊。強い余震が続く中、多くの人が倒壊の恐れがある自宅に戻ることができず、体育館や車中泊、テントでの長期の避難生活を余儀なくされました。
こうした中、ブルーシートはとても活躍しました。大型のブルーシートは雨漏りから家財を守るために、屋根にかけられました。中、小型のものは敷物として、また援助物資の雨よけテントなどとして活躍しました。
雨よけ、日よけで活躍したブルーシートの自作タープ
ブルーシートの用途は多岐に及びました。炊き出し場所では雨よけの屋根として威力を発揮しました。またおにぎりなどの食品が傷まないように、直射日光から遮る遮光材としても多用されていました。「体育館の駐車場のブルーシートで水を配っているよ」などと、物資の分配拠点の目印のテントにもなっていました。
パーティションとして被災者たちのプライバシー確保も
目隠しとしても多用されました。断水が続き、トイレの多くが使えなくなる状況下で、簡易トイレが多数設置されました。ポールや、鉄管を組み合わせた自作の骨組みにブルーシートを張った簡易トイレがいくつも作られ、被災者の生活を支えました。
避難所では女性の着替えのスペース作りにも使われました。ポールを上手に組み立て、下着などの洗濯物を干す場所を男性用と分けるパーティションとしても使われました。
ブルーシートの柔軟で独創的な張り方を学ぼう
ブルーシートのタープとしての使い方が編み出されて広がる
被災地で活躍したブルーシートは、アウトドアで使われるタープそのものでした。その使い方は極限状態で必要に迫られた結果、柔軟で、独創的なものとなっていきました。ブルーシートの自作タープの便利な使い道は、目撃した人によって次々と別の避難所にも作り方が伝えられ、広がっていきました。
ブルーシートの用途は主に3つに分類できる
主な用途を整理すると次のようになります。 一つは「雨よけ、日よけ、風よけのテントの役目」。 二つは「プライバシーを保護するパーティションの役目」。 三つ目は「防寒」です。
③の防寒は、熊本地震で目にすることはありませんでしたが、林業者など、山仕事をする人は急な雨や気温の低下時に、カッパや防寒具としても利用します。ブルーシートは時に、命を守るほどの力を発揮するアイテムです。
100均のブルーシートの特徴について
100均のブルーシートの面積
100均のブルーシートは2メートル四方程度のものが一般的です。これは畳2畳分の広さとだいたい同じ面積で、そのまま広げると2人が横になれる大きさとなっています。花見などでよく用いられているため、是非この機会に取り入れてみてはどうでしょうか。
ブルーシートは燃えやすい素材でできているので火からは遠ざける
100均のものに限らず、ブルーシートは特別な加工をしていないものを除き、火に非常に弱いです。材質は主にポリエチレンなどの樹脂で、火の粉がかかったらすぐに穴が空いてしまいますし、いったん火が付けば激しく燃え上がります。火の周囲で使うことはできれば避けるべきものです。
ブルーシートの自作タープの作り方①:雨よけ
雨よけの作り方
屋外で食事をしていて急に雨が降り出したような場合、ブルーシートで屋根を張り、簡易テントを作りましょう。作り方は簡単です。ブルーシートはある程度の雨であればしのぐことができます。ただし先述の通り、火に大変弱いので、ブルーシートの屋根の下で調理をするのはよほどの事情でもが無い限り、絶対に避けてください。
燃え移ると屋根が溶け落ちて、大やけどを負う危険があります。 ブルーシートの屋根の作り方は、ブルーシートの四隅を張るという方法です。四隅を張るには、四隅のひもを結びつけるポールや柱となるものか、ひもをくくりつける地面のテントの杭(ペグ)のようなものが必要になってきます。
ポールは園芸用の支柱などで代用できるが・・
ブルーシートを張るのにポールがあれば便利です。しかしポールを持ち運ぶのは大変です。園芸用の支柱など、100均で手に入る棒をポールの代用にすることもできますが、長くてかさばるため、持ち運べない場合は、ポール以外のものを代用するしかありません。
ブルーシートの自作タープの作り方②:車を利用してブルーシートを自作天幕に
車のドアに挟む作り方
自家用車がある場合は、自家用車をポール代わりに利用しましょう。ルーフキャリアなどがあればそれに結びつけますが、そうした突起が無い場合や、急ぐ場合の張り方には、ブルーシートのひもをドアに挟んで固定する方法があります。
ブルーシートの反対側のひもは、木やテント、キャンピングチェアなどに結びつけて固定します。このときに、雨が流れて溜まらないような張り方にします。ブルーシートに傾斜を付けるのがコツです。車が2台ある場合は2台の車の間を渡して屋根を作るような張り方にします。
ポールが無いときの作り方 地面に固定
周囲にポールや適当な柱になるものが無ければ、シートの端を地面に導きます。ひもをなるべく延長して地面に伸ばし、結びつけるものが無ければ石などを巻き付け、固定します。車高にもよりますが、鋭角の三角形のかなり狭い空間となるため、食事は楽しむのは難しくなります。料理や食器を一時的に避難させる、雨宿り用の屋根と考えましょう。
ブルーシートの自作タープの作り方③:風通しを確保
日よけの作り方も同じ方法で
雨よけは日よけにもなります。しかし日よけの場合は、ブルーシートの下がビニールハウスと同じ状態になるので、蒸し暑くなってしまいます。熱中症などの恐れもあります。風通しが良くなるように、必ず風向きを考えて 設置するようにしましょう。
ブルーシートの自作タープの作り方④:プライバシー確保
戦国武将も陣幕というタープでプライバシーを守ってきた
戦国時代の野戦では、布陣の際に陣幕という長大な布が多く用いられました。陣幕には忍者などの諜報員を遠ざけ、軍議などの秘密の会議の内容を保持をする役目がありました。それだけではありません。大将や軍師ら上層部の位置を外部から見えなくし、遠距離からの狙撃を防ぐという役割も果たしてきました。
ブルーシートのタープで陣幕を張る
夏の人気のキャンプ場などでキャンパーが密集したり、学校のキャンプと鉢合わせたりしてどうも人目が気になる、というような場合、ブルーシートのタープで陣幕を張りましょう 。 雨よけの時と同じように、自家用車を活用するのが手っ取り早いです。自家用車とブルーシートを「L」字の角度になるように張るだけで、かなり効果的な目隠しとなります。
ブルーシートをそのまま張ると、プライバシーはより守られますが、景色が見えなくなるので、逆に息苦しくなります。そうした場合は半分にたたみ、下半分だけ、または上半分だけを隠すようにします。
ブルーシートの自作タープの作り方⑤:風よけ
ブルーシートの自作タープでの風よけの作り方
風が異常に強い日などは体温が急速に奪われるし、ホコリが舞い上がるしで、バーベキューなどの野外活動は難しくなってしまいます。そんなときはブルーシートを風上に張り、風よけを作りましょう。
ブルーシートは寒冷紗などと違って、風を全く通さないので、帆船の帆のように風をはらみ、突風の際には凧のように吹っ飛んでしまいます。張り方は工夫しなくてはなりません。
ブルーシートの自作タープは、風を弱める、風を逃がすように張る
風が強すぎ、風に対して真正面となるような張り方では、ブルーシートが耐えられないと思われるときは、風に対して斜めになるような張り方にします。ブルーシートに石を載せ、斜め上に向けて張ることにより、風を上に逃がす方法もあります。
風をすべて受け止める張り方では無く、横に受け流すイメージの張り方でなくては、突風に耐えることはできません。
ブルーシートのタープを使った1、2人の野宿用の張り方
ブルーシートのタープでビバークをする方法
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テントを持たずに山中で一晩を過ごさねばならなくなったような場合を考えます。小型の簡易テント「ツェルト」があれば便利です。しかしもし無ければ、ブルーシートが立派なテントの代役を務めてくれます。
いくら着込んでいても夜露が降りると、体温がどんどん奪われてきます。明るくなるまで体を休めるスペースの作り方を覚えましょう。
段差とブルーシートを組み合わた空間の作り方
沢の近くなどの鉄砲水の恐れがある場所や、落石の危険がある崖の下を避け、安全に寝れる場所を探します。山の斜面なら、自分の座高程度の段差を探しましょう。横になるならもっと低い段差でも問題ありません。
段差の上にブルーシートを固定してから段差の下へ、斜めにブルーシートを張り、石などで固定して屋根にします(上を石で固定する際は、落ちてこないようにしてください)。こうして三角形の空間を作るようにします。段差の長さの程度によっては、横になることもできます。狭い空間ですが屋根のお陰で多少の雨には耐えられますし、保温性も確保できま可能です。
多人数でブルーシートのタープを分け合う野宿をする場合
多人数なのにブルーシートが1枚しかない場合の野営の方法
数人で野営しなくてはならないのにブルーシートが1枚しか無いという場合は、ブルーシートを全員で共有するようにします。
危険な状況下で、まだ穴を掘る体力があれば、窪地などを利用して縦穴を掘り、上からブルーシートをかけて蓋をするようにします。そこまで過酷な状況で無いなら、ブルーシートで天幕を作るだけでもある程度の寒さがしのげます。
ブルーシートを地表から30~40センチほど浮かせるようにペグなどで張ります。低い屋根の小屋のようなものです。寝袋があれば入り、芋虫のようにブルーシートの下に頭から突っ込んで寝ます。
全員の全身が寝袋に入らない場合は、「十」または「米」の形になるように、頭だけを突っ込むようにします。 ブルーシートの隙間をザックなどで埋めます。こうすると体温でブルーシート内部が暖まり、体を休めることができます。
ブルーシートが安心感をもたらしてくれる
屋根や閉鎖空間が安心感をもたらす高価は大きい
100均のブルーシートたった一枚でも、屋根や壁となった場合、雨が顔に当たり、風が顔を吹き付けるような環境を防いでくれます。狭い空間には違いありませんが、ブルーシートが外界と内界を区切ってくれるだけで、むき出しに比べると圧倒的に安心感を得ることができます。
リュックや自家用車に忍ばせておこう
100均のブルーシートは何かと役に立つものです。防寒や自作の雨よけだけでは無く、水をためたり、担架にしたり、工夫次第で強力なサバイバルツールとして使うことができます。100均の手頃なロープとともに、リュックや車の片隅に忍ばせておいて決して損はありません。
最後に、ブルーシートの四隅には、ロープを通す鳩目の金具が取り付けられていますが、100均のも のは丈夫ではありません。簡単に破れてしまいますので、ブルーシートの端をよじって結びこぶを作り、そのこぶにロープを巻き付けて使うようにしましょう。