長潮のこと
海の釣りにおいては、潮回り、大潮、中潮の日を狙って(意識して)釣りに行く人が多いかと思います。逆に、長潮の日に大きな釣果の期待を持って釣りに行く人は少ないのではないのでしょうか。かくいう私もその一人。
シーバスの釣りにおいては、どちらかというと、長潮は避けておりました。せっかく良い機会なので、まずは、長潮と潮回りについて再確認してみましょう。
長潮、潮回りについて再確認
潮回りは、おおよそ15日間(約半月)周期で、大潮→中潮→小潮→長潮→若潮→中潮→大潮の順を繰り返しています。
それぞれの特徴(とその期間)は、大潮(4日間):潮の干満差が大きい → 中潮(2-4日間):大潮と小潮の間 → 小潮(3日間):潮の干満差が小さい → 長潮(1日):干満差が一段と小さくゆるやかになり、同じ潮の状態が長く続く → 若潮(1日):大潮に向かって干満差が再び大きくなる(=潮が若返る)長潮の翌日、ということです。
また、潮回りは、月の引力(満ち欠け)と地球の自転も関係しているため、15日間の周期と1日の中での干満差が生じています。こうしてみると、長潮の日は、月に2日間程度、1月だと約6.7%、1年だと約6.6%の日にあたります。
長潮って、釣れないの?
少なくとも月に2日間は訪れる長潮の日。皆様の過去の釣果はどうでしたでしょうか?やはり、釣れない日だった、という方が多いでしょうか?私自身は、過去の釣行ノートを見てみると、釣れない日もありますが、そうでない日もあります。なので、長潮は釣れない、とは一概には言えません。
昔と違って、今はスマホという、とても便利なものがあります。簡単に、潮回りの確認から釣果の記録が出来ます。潮回りと釣果だけでも良いので、データを取る事をオススメします。きっと釣果という結果になりますので。
対象魚・釣り方・エリアによる長潮対策
さて、ここからは具体的な釣り方などについて解説します。職業柄(釣り具メーカーでの企画営業)、担当エリア(北海道と一部関東エリア)のフィールドスタッフの情報等を集約してます。
エリアと魚種に偏りはありますが、釣果に役立つ情報を下記にまとめます。迷いがちな初心者の方向けに、実践して経験する事によって結果で検証してもらいたいと思います。極端になるかもしれませんが、バッサリとわかりやすく解説します。
また、釣りは水中の生物が相手になるので、釣果を出すために意識した方が良い、餌=ベイト、水(水温や濁り等)、潮回り等は、基本的な要素となります。人間も魚も同じ生物です。空気や水が無ければ生きられません。食事や餌=ベイトが無ければ生きていけません。
暑ければ涼しい、寒ければ暖かい場所を求めます。自分だったらどうだろう?魚だったら?という感覚、同じ生物として考える事が出来ると、より釣果にも繋げられると思います。
長潮での釣り方1.ロックフィッシュ
北海道や東北エリアは元より、全国的に人気が高まっているロックフィッシュ。一昔前の関東では、メバルやカサゴがロックフィッシュの代名詞でしたが、関西エリアを中心にハタ類のゲームも盛んになってきています。
ここでは、北海道のアイナメ(アブラコ)のルアーゲームに的を絞って解説します(ソイは回遊性が高く大型の再現性が低いため、また、大会等の競技の結果にも影響が大きく、よりゲーム性の高いアイナメの攻略を中心にします)。
北海道のアイナメと長潮
長潮を意識する必要があるのは、秋〜冬の低水温の時期だけです。低水温とは3℃以下。その他のシーズンは、ほかの要素のほうが大きくなるので、気にする必要はありません。長潮は前述した通りの変化が乏しい潮回りです。
水の動きも少なく、水温はより安定傾向になります。寒い時には風(潮)が吹かなくて、暖かい場所が良いですよね。人も魚も餌=ベイトも同じです。なので、低水温期の長潮は釣果に繋がるポジティブな要素の一つになります。
長潮の釣り方・ポイント選択
アプローチすべきは、変化が少なく安定してそうなポイント。そもそものエリアも、低水温期に風が当たらない、風の影響を受けづらいエリアを選択します。寒い時期の風は、気温も水温も下げる原因になります。さらに、そのエリアの中でも風や潮のなるべく当たらないようなポイントを考えて探しましょう。
潮&風が当たらなそうで、魚が身を隠せるような場所、ケーソンの穴や継ぎ目、壁の昆布下などのシェード部分など。また、目で見てわかりやすいポイント、例えば、防波堤の角、太陽が当たる場所などは、最初に打つべきではありません。なぜなら、他の釣り人も攻める事が多いからです。
そういうわかりやすいポイントは後回しにします。サオ抜けしているという点も重要です。経験上、大型の個体ほど、変化のない場所でじっとしています。後は、信じて打ち続けましょう。寒い時期でも、思わぬ大型との出会いが待っています。
長潮での釣り方2.ジギング
ジギング、オフショアの釣りこそ、潮回りの影響が大きく、良い潮回りを外すと釣れない、釣果が出ないイメージが強いですね。ここでは北海道のブリジギングについて解説します。
北海道のジギングと長潮
ここ数年ですっかりメジャーになったブリジギング。GWの前後から11月一杯までがシーズンです。初期の頃は数釣り、終盤は大型が狙えます。全国的にみて、数型ともに日本一ではないかと思うくらいの釣果が聞かれています。
長潮の釣り方・ポイント選択
たまたま、釣行日が変化の乏しい潮回りにあたってしまった場合は、他の変化を探しましょう。潮目や鳥山、水中の隠れ根です。中でも、最もわかりやすく釣果が出やすいのは鳥山です。鳥達が水に浮かんで休んでいる場合も同様です。
そこには、必ず、餌=ベイトが絡んでいるからです。魚探で探すよりも、効率が良い場合が多いです。船頭さんにお願いして、鳥を探しましょう。バタバタと急な数釣りが出来る事も少なくありません。とにかく鳥を探しましょう。
長潮での釣り方3.海アメ・海サクラ
海アメ・海サクラは北海道で、とても人気のある定番の釣り。エリアにもよりますが、冬から初夏まで楽しめます。年によっては、釣果が悪い事もありますが、雪の降る極寒の中で釣り上げた一匹は、とても価値が高いです。
海アメ・海サクラと長潮
この釣りにおいては、潮回りを気にする必要はありません。なぜなら、回遊を待つエリアの釣りになるからです。それよりもフィールドに足を運び、投げ続ける事が重要です。
長潮での釣り方4.トラウト(淡水エリア)
九州から北海道まで全国に広く分布する日本の鱒族。そして、北海道はトラウト王国と呼ばれています。札幌のような百万都市にある河川にも、絶滅の危惧があるイトウやサケまで、様々なトラウト達が生息しています。
本州以西のバスのような、とても身近な存在です。そんなトラウト達は、河川から湖まで変化に富んだフィールドで楽しむ事が出来ます。
トラウトと潮回り
淡水エリアの湖、渓流〜海へ流れる河口の手前までは、全くもって潮回りを気にする必要はありません。要素が一つ絞れるので、餌=ベイトや棚、流れなど、他の要素にフォーカスして楽しんで下さい。
長潮での釣り方5.投げ釣り
北海道の投げ釣りと長潮
投げ釣りも北海道では人気のある定番の釣りです。餌であるイソメをエビ粉で潮漬けにして、カレイやアイナメを狙います。ブッコミとも呼ばれていて、大遠投して魚がかかるのを待つ釣りです。
長潮の釣り方・ポイント選択
投げ釣りにおいては、潮の動きがある方が良いので、エリア選択が重要です。日本海の潮位が少なければ、太平洋を確認しましょう。
どうしても、エリアも潮回りも選択出来ない場合は、投げたら待つのが基本ですが、投げたら、ずっと、さびきましょう。常に餌を動かす事です。潮の流れで自然に餌が動く事が期待できない場合は、自分で動かし続ける事が釣果へと繋がります。
長潮での釣り方6.シーバス
湾奥のシーバスと長潮
小潮、長潮、若潮は干満差が少なく、大潮、中潮は干満差が大きいです。干満差が大きいという事は、時合いが短いという事になります。逆に干満差が少なければ、釣りが出来る時間は長くなります。
潮回りによって選択するのはポイントです。干満差が少ない長潮などでは、一発ランカーが釣れる事は少ないですが、アベレージサイズの数釣りが期待出来ます。
長潮の釣り方・ポイント選択
湾奥では荒川をオススメします。また、長潮などの潮回りは釣り人も少ないです。狙うポイントは、魚がいそうな場所、やる気のない状態で多数ステイしています。ルアーが体に当たっても、活性が低いため、食わない場合があります。釣り方のポイントは、リトリーブスピードは遅め、流れにまかせて巻かない場合もあります。
またレンジが多少ずれていても問題ありません。ルアーを見せて、食わせる釣りのイメージです。逆に大潮などは、早めでレンジも合わせていくシビアな釣りになります。干満差の少ない潮回りの方が、初心者には良いかもしれません。釣りが出来る時間も長いので、じっくりと攻めましょう。
長潮での釣り方7.バス
バス釣りは、北海道以外のエリアで1年を通して気軽に出来る釣り。初めてルアーで釣った魚がバスだった人も多いかと思います。オカッパリ、フローター、ボートと色々なアプローチで、池や沼、河、天然湖、リザーバーと様々のフィールドで楽しめます。
バスと潮回り
バス釣りにおいて、潮回りはほとんど意識する必要はありませんが、春先のスポーンの時期の大潮回りだけは意識すると良い事があるかもしれません(長潮というテーマからずれてしまいますが)。
大型の個体ほど、早めにスポーンに入ります。とても寒くて、釣れない時が多いですが、人も少なく、50アップを手にする事が出来るかもしれません。2月からフィールドに通い、たくさんの50アップを手にしている人もいます。
まとめ:長潮の釣り
あらためて長潮について考えてみると、決して釣れない潮回りではありません。ある時には、エリアや釣り方を絞るポジティブな要素になる事がわかります。長潮だから釣りに行かない、はもったいないです。
何より、釣りに行って経験値を上げる事が大切で、次の釣行の釣果へと大きく繋がります。行けるのであれば、ぜひ、釣りに行って下さい。釣行前の天候や気温の確認も大切ですね。そして、釣り場に着いてからの状況確認。すぐに投げたいのはわかりますが、一呼吸おいて、よく観察してみて下さい。
自然が相手になる釣りです。一歩引いて、少し冷静になって見てみると、気づく事が多いはずです。その日の戦略を考える大事な要素を確認しましょう。必ず釣果に近づきます。とても貴重な時間です。後は、思い切り楽しんで下さい!